IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

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簪、073、専用機。

更識 楯無から受けた頼み事、生徒会顧問の就任と妹への接触とそこから行う姉妹仲の修復の手伝い。それ容認した073は巡回を終えた後に妹がよくいるという整備区画へと足を踏み入れる事にした。今迄は自分には関係がなく巡回以外では入る事も無かったが、今日初めて自分の意志でそこへと行く。既に日も落ちているが室内は灯りに包まれている、その一角はより強い光がある。

 

「―――違う、もっとこう……そうか此処の配線を繋ぎ直せれば……」

 

一人の少女が忙しなく空中投影ディスプレイを見つめながらキーボードを叩きながら計算を行い、その結果に満足気な笑みを浮かべながら早速設備を使って装甲をはがしながら内部の配線系を弄繰っていく。青い髪に赤い瞳、姉に通ずる部分も多いが彼女の方が大人し気で幼い印象を強く受ける。いや、少女として考えれば楯無が成熟しすぎてしまっているという点もあるだろう、彼女は暗部の人間としての役目を遂行し続けているとの事。それを考慮すれば成熟が早いのも当然の事。そんな彼女を見ながら楯無から貰った箱を見る。

 

『これ先生から渡してあげてください!!最近人気のケーキですから』

『彼女の好物でなくていいのか』

『それだと何で初対面なのに好物を?ってなるかもしれないじゃないですか、偶然かもって思われるのを期待するよりはこうした方が自然です』

 

と熱弁して出来るだけ自分との関係性を匂わせないように努力する姉の姿に苦笑する、どれだけ妹が大切なのだろうか。そんな事を思いつつもそこへと足を踏み入れていく、そしてその時に彼女は額に流れる汗を拭いながら水を口にする。

 

「お腹すいた……甘いもの食べたい」

「ならいるか?」

 

と唐突にかけられた事に思わず振り返った、すると彼女の動きは完全に停止した。そこに立っていたのは全身を包むアーマー、紛れもなくスパルタン-S-073であった。

 

「ス、ス、ス……スパル先生!?」

「根を詰めすぎるのは身体の毒だぞ」

 

と気遣いの言葉を掛けるのだが彼女の反応は芳しくない、流石に集中している作業の邪魔をしてしまうのは拙かっただろうかと思う傍らでイグが声を出した。

 

『多分違うと思います、彼女は酷く感激して処理が追い付いていないようです。もう少し待ってあげましょう』

「〈……そういうものなのか?〉」

「あ、あのサイン貰えますか!!?」

『ほら』

 

何処から取り出したんだと問いたくなるような感じで出現したサイン色紙とサインペン、それらを持ちながら身体を90度の角度で保ちながら差し出すような体勢を維持する。ふつうこの角度は更につらいのではないだろうかと思うが彼女にとってそれは辛くも無いのかもしれない、自らの誠意が伝われるのならば望んで苦労する。色紙を差し出してからどれだけの時間が経過したのだろう、酷く経過が遅く感じられるほどに時が圧縮される。そして指先から離れていく感覚に思わず顔を上げる。

 

「書いた事ないが……それでもいいか」

「は、はいっ!!」

 

「こ、これ一生の宝物にします!!」

「喜んでもらえたならまあ、何よりか」

 

頬を赤く染めながら胸に抱きしめたそれ、初めて書いて見せたサインに楯無の妹の簪は酷く感激していた。自分が初めてサインをもらう、そんな光栄を受けて良いのかとすら思ってしまえたが幸運に魂の奥底から感謝しながらそれを受けた。

 

SPARTAN-S-073から更識 簪へ

 

と書かれただけではなく一緒にツーショット写真までセットになっているそれを酷く大事そうに抱き込む。まるで誕生日にぬいぐるみを買って貰った幼い少女のような行いだ、それ程までに嬉しい物なのかと思いつつも同時にケーキを差し入れる事にした。それについても酷く感謝されながら手を震わせながら受け取られて流石の彼も困惑気味だった。

 

「話は聞いている、専用機を作っているのだったな」

「はっはい!!」

「大変な部分もあるのではないか」

「そ、そうですね色んな苦労がありますけど整備課の友達とかも手伝ったりしてくれてるので私はそこまでの苦労はないです!はい!!」

 

本人曰く、姉を見返す為に一人で完成させたというのならば自分は友達と一緒に生徒達の手だけで作ってやろうと画策しているらしい。整備課の生徒達も整備ではなく開発に携われる貴重な機会だと積極的に協力しているとの事。そんな専用機はどんな物なのかと目を向けてみる、それに簪は恥ずかしそうに各部の装甲などを外してしまっているので是非とも完成予想図を見て貰いたいと投影ディスプレイを最大化させながらそこに表示する。

 

「これが私が作ろうとしているものですっ!!」

「これは……」

 

そこにあったのはIS、と呼ぶには些か武骨なものだった。そしてそれは酷くミョルニルアーマーに似ている、可能な限りミョルニルアーマーの形状などを網羅しつつIS的な装備や形状もある、二種のハイブリットというのが的確な表現に思える。

 

「その、勝手なんですけど先生のアーマーをリスペクトしつつ私なりにISに取り入れてみたんです」

 

その言葉通りに各部にはミョルニルアーマーを思わせる作り、頭部のメットなども明らかにリスペクトしている部分が多い。ガトリングなどは052を見たばかりなのか、外付けのオプションとしての検討が行われているらしい。だがそれらを合わせると073としてはとあるものが脳裏を過った。それを見つけたのは単純な偶然が重なった末の光景だった、データだけだったがそれを見て纏っているアーマーの重さを感じて前に進もうと思った。

 

「悪くないな、だがこの部分の設計が浅い。1.5深くした方がいい」

「えっ!?あっそこが問題だったんだ!?ずっと問題になってたのに……そんな簡単な事で……!」

 

目から鱗が落ちたと言いたげな少女の頭を軽く撫でる、楯無の事とは関係なしに彼女の事は応援しておく事にする。それは教官としてなのかスパルタンとしてなのかは本人しか分からないが……ジョージの言葉通りにこの世界のスパルタンというものは少しずつ芽生えようとしているのかもしれない。

 

「この機体の名前は何なんだ?」

「まだ仮名でしかないんですけど……HRUNTINGかYGGDRASIのどっちかにしようかなって思ってます」




《ギルティスパーク》

通称モニターと呼ばれるHALOの管理AI。浮遊する青い機械を本体とし、システムの監視、維持、修復などを行っている。またHALO起動プロセスにおいては権限を持つ者を導く存在で、様々な情報を与えてくれる。自衛や攻撃はセンチネルという攻撃ドローンに任せることが多い。

なにがどうと言えるわけではないが性格が悪く、プレイヤーを的確にイラつかせる天才で、嫌いなプレイヤーが大多数。故か、ファッキンスパークとも呼ばれる。
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