「だぁぁぁっまた負けたぁぁ……ふざけんなよガリガリのヒョロヒョロ共!!無駄に数が多い上に的確に狙撃してくるとか厄介にも程があるわ!!」
「くそっ……イージーからノーマルに上げただけでこれだけ難易度が上がってしまうなんてな……」
「流石に狙撃となるとアタシだと対応出来ないから少しずつ
正式認定された一夏達の部活、部活動の名前はIS技術向上部というシンプルな物にした。セシリアやラウラが威厳とカッコいい名前を、シャルロットは自分達の目標である高みを目指した意味を踏まえたものを上げていくが、部長として任命されている一夏はシンプルな方がこれから入りたい人にも分かり易くていいという事で纏め上げて、この名前に落ち着いた。
「何だまた負けたのか、先日から良く負けるな」
「勘弁してくれよ織斑先生……今の俺達だと突破キッツいんだよ……」
「兎に角全方位の意識分散が下手すぎる、もっと努力しろ」
『はい……』
そんな部活なのだが、夏休み後には一般生徒の入部も可能にする予定だが一夏がいる事で入部希望者が殺到する事を警戒して千冬が副顧問として名乗りを上げてくれた。これによって千冬のしごきを恐れて抑制が期待できる、千冬としても仮想訓練は非常に興味深い上に現役時代にこれが欲しかったと半ば嘆きを向けている。
「ラウラやセシリア、シャルロットは本国に戻っちゃったからねぇ……その間にアタシ達出来るチームワーク確立が望ましいんだけど……如何せんアタシらって近距離偏重チームよね……」
夏休みに入った事もあって代表候補の皆は本国への一時帰国がされている、鈴は近い上に普段から週に二度に分けてデータを送っている事、そして本国から日本にいて構わないという許可が下りているのでそのまま留まって共に高難度攻略を目指して一夏と箒と共に毎日挑戦を繰り返している。
「そう此処なんだよ、このタイミングあいつらから奪ったグレネード投げたんだよ」
「ゲッ……丁度私がぶっ飛ばしたグランドが此処で爆発で飛び上がって……」
「そこに私が放ったロットガンの一撃で後方へ……」
「織斑の投げたプラズマグレネードが付着、投げたものへグランドごと返却。そして起爆で死亡か」
「何だよこれ笑いの神のせいかよ!!?」
机にもなりそのまま会議が出来るようになっているモニターに映し出されているのは一夏の投げたグレネードが起こした
「プッ……ハハハハハッ!!い、一夏お前……アハハハハハハッ!!!」
「笑うなぁ!!爆笑しすぎだろ千冬姉!!!」
「このような傑作の喜劇を笑うなというのが無理な話だ!!ハハハハッッ、グフッハハハハハハッッ!!!!」
教師としてではなく一人の姉として抱腹絶倒になる千冬と姉のバカ笑いに顔を赤くしながらやめろと叫ぶ弟の一夏、その光景に鈴と箒は懐かしさを感じつつもこの光景を見れた事への役得を感じつつも自分が一夏の撃破判定の原因である事を強く自覚しながらこれからはもっと気を付ける事にした……まああれはかなりのレアケースだろうが……。
「そう言う千冬姉だってやってみればいいじゃねえか!!そうすれば俺達の苦労が分かるって!!」
「私は既にクリアしてるぞ、ベリーハードまで」
『嘘ぉっ!!?』
ベリーハードは今一夏たちが詰まっている難易度のノーマルの二つ上、その上には
「ち、千冬姉でもきついってマジかよ……」
「まあハード以上は多人数攻略が前提らしい、一人でも出来なくはないがその場合は周囲にはAI制御NPCのみでな。それらの管理も一気にするから逆に難しさが増す、多人数の方が楽だろう」
「っつうか千冬さんそんな難易度を一人でクリアしちゃったんですか……」
「おう、書類仕事で溜まったストレスが一気に吐き出した。しかしハーデストの難易度が凄まじい、あの場合は逆に……」
と自分専用の椅子に腰掛けながらノートに何かを書き出しながら呟き続けている千冬、如何やら千冬も此処の施設は大いに活用しているらしい。主にストレス解消目的で、真耶も真耶で体験しているが彼女は一人でハードのクリアは可能だったらしい、本人曰く、一人でやるのは勘弁との事らしいが。
「そう言えばさ、ハードクリアの特典としてなんか特殊なISのデータ解禁ってあったけどあれってきっと第五世代の奴だと思うんだ」
「それマジ?」
「ああ、臨海学校で俺が動かしてた奴と同じ見た目だったし感じもすげぇ似てた」
『という事は……』
仮想空間限定、加えてデータを取る事も出来ないだろうが第五世代に触れる事が出来る。そしてそれを用いて戦う事が出来る。鈴と箒が喉を鳴らしながら体験してみたいと望む中でそれを一夏が諫めるように言う。
「まあ落ち着いた方が良いぞ、だって俺達ノーマルすらクリアできないんだから現状ないもの強請りにしか過ぎないぜ。取り敢えず仲間をぶっ飛ばす事だけはやめてくれよ、なっ」
「あ、ああ……分かった……」
「分かってる、わよ……」
珍しく覇気と威圧感に満ちて一夏の言葉に抑え付けられた二人は素直に落ち着きながら反省会を続けるのであった。そんな二人を見つめる073は千冬へと声を掛ける。
「女子も随分と嵌られていますね」
「ああ、仮想体験とはいえ現実のIS稼働に全て生かせる。それが操縦者が喰い付かない訳が無かろう、錆び付いていた私の身体も疼いて致し方なかった―――最強難易度はお前達用なのか」
唯一、ハーデストにも手を伸ばす事が出来ている千冬のみが確認できたそれ。ハーデストの上、最恐最悪の難易度と思われる
「―――我々、スパルタンが生きた戦場が再現された地獄ですよ」
そう言いながら一夏たちの元へと向かって行く073、彼は敢えて記憶の中にある地獄の再現を束に依頼した。あれを忘れない為に、今もあの中で生きる事が出来るようにするための備えを……怠っていない。
S-A239 エミール コールサイン:ノーブル4
ノーブルチーム所属のスパルタンⅢ。前衛突撃を担当。
任務に対する忠誠心が高い反面、協調性と柔軟性にやや問題があり、粗暴な言動もあって連携は苦手とするある意味スパルタンらしい人物。
前衛突撃を担当するだけあって、ショットガン片手に敵陣に突撃するその胆力と技量はズバ抜けたものがあり、ノーブルには無くてはならない人員であったのは確かである。
彼のヘルメットにはドクロマークが刻まれており、それは肩のククリナイフを用いて自分で彫ったもの。