IS×SPARTAN   作:魔女っ子アルト姫

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新学期、IS学園。

「あっつう間に新学期、今日から箒ちゃんもち~ちゃんが担任の下で頑張るのかぁ~……」

 

遂に迎える春、新学期。人によってはこの時期を地獄と揶揄する者いるだろうが多くの者にとっては新たな出会いと別れ、そして世界が開ける時期である。IS学園に拠点を移した束はそこで研究を続けていたがある日この日を待っていたのかもしれない。一夏がISを稼働させた時のデータの解析などを行うのは自分、彼女としても何故男である一夏がISを稼働させられるのかというのは興味深く調べてみたい。

 

「レイ君、ち~ちゃんに授業の参加をお願いされたみたいだけど参加するの?」

「戦闘訓練にて教官として招待を受けております。その際には是非私の使う武器を使わせてほしいと」

「あのハンドガンとかアサルトライフルって事だよね、まあ数は用意するのは簡単だけど」

 

073に依頼された授業は戦闘訓練などの一部に教官として参加、元から軍人である彼からすればその程度ならば引き受けるのは簡単、そこで教えるのはISとはいえその手で武器を持つという事の意味と武器の怖さを教えてあげて欲しいというものだった。

 

ISは良くも悪くも競技用としての側面が強く出過ぎている、実情は世界最強の兵器である事に変わりはない。安全性の確保やルール整備がされているとはいえなまじ武器を扱うのならばその心構えを確りと教育しておく必要があるので軍人である073にその依頼が成された。ドイツ軍にて教官経験がある千冬自身が教えてもいいのだが、073の従軍経験と比べたら大人と子供なので本職に任せる事になった。

 

「ういうい、まあ準備はしとくよ。まあ正直こいつをそのままISにぶっ放しても十二分なダメージになるからねぇ」

 

束自身も護身用と称してハンドガン(M6D)を携帯している。これの威力を考えると普通にISに損傷を与えてしまう、それらを使って武器の怖さを教え込むというのも何とも贅沢な物だ。訓練用の弾丸なども確り準備しておくとしよう。

 

「束、邪魔をするぞ」

「おりょ、ち~ちゃんどったの」

 

そこに姿を現した千冬、普段通りのスーツ姿が決まっている。見た目も非常に整っている凛々しい美人女教師、此処だけ書き出すと凄まじく良いだろうが酷いスパルタなのでどっこいどっこいである。それ故の優しい真耶が副担任なのかもしれない。

 

「すまんが(スパルタン)を借りていいか」

「束さんは構わないけど何々どったのよ」

「教官の件は学園長から許可を得た、その過程で生徒への顔合わせはしておけという事だ。ついでにお前と彼への警告もしなければならんのでな」

「成程ね、分かったよ。スパちゃん悪いけどち~ちゃんに従って貰っても良いかな?」

「了解しました」

「良し行こう」

 

束の許可を取って073を連れてエレベーターへと乗り込んだ千冬(親友)へと手を振りながら見送ると束は懐に合った携帯をとりながら一通のメールを開いた。それは大好きで大切な妹である箒からの物だった。

 

『姉さん、私は今日からIS学園にて勉学に励む事になります。今まで姉さんの事を毛嫌いしていた私がIS学園に通うなんて姉さんからしたら妙かもしれませんが……私は―――姉さんを少しでも理解したくて此処にいるのです』

「……気持ちは嬉しいけど束さんはこっちに来て欲しくはなかったかな……」

 

ポツリと呟かれた言葉は空調に飲まれて消えていく、束は瞳を閉じた後に携帯を仕舞いこむと073用の武器の制作に戻った。

 

「度々すまんな」

「適材適所です」

 

授業初日という事でクラス内で配る物は数は多い、プリントだけではなく一部の教本なども渡す必要がある。それらは流石に重いので数回に分けて持っていく予定だったが073が纏めて持っていけるお陰で通常よりも早く教室に着く事が出来る。今現在は真耶がHRを行っている筈、終わる前に着く事が出来そうだ。

 

「織斑女史、私は教官としては不適格と思われるが」

「何、それでも私が教えるよりはマシだろう。それに真に教えるべきは銃を握る意味だ」

 

073はその言葉にはい、と短く返すが十二分に理解している。一度銃を握ったら人生は大きく変わっていく、例えそれが訓練であろうと実戦であろうと変わりはしない。武器の本質は暴力、そしてそれらの本質の方向性を定めるのは人間。兵士も機械も扱うのは同じ人間だ、それを向ける意味を知ってほしいのが千冬の本心。一度軍にて教官をしたときに深く思った事がそれだった。武器を持つ事の意味を。

 

「奴から聞いたぞ、従軍経験は酷く長いそうだな」

「はい」

「ならばその経験を基にしてそれを伝えてやればいい、その歴史の重みを」

「―――難しいですね」

 

千冬が初めて073の少しだけ弱気で冗談のような言い回し、それに笑った。失礼かもしれないが目の前に彼は間違いなく人間だと改めて認識してしまった。しかしそれは本気で難しいと思っているのは千冬に伝わらない事だった。彼はチームを組んだ時、多少の指導をした事はある。それは相手が同じ軍人、加えて最後まで共に戦った戦友でスパルタンⅢだった。彼らと何も知らない民間人の少女たちでは比較にならない。

 

「何、難しかったら素直に私に助けを求めろ。力になれるか分からんが出来るだけ助けよう」

「有難う御座います織斑女史」

「うむ苦しゅうない、では私が先に行く。名を呼んだら中へ入ってくれ」

 

荷物を持ったまま、教室前の廊下にて待機する073は不意にかつての仲間達の事を思い出す。共に戦えたことを誇りに思っている、今彼らが今の自分を見ていたらどう思う事だろうか。彼らと自分は違う、自分はスパルタンⅡであり彼らはⅢだった。だが自分達は人類の為に戦った、そこに迷いなどは無かった。彼らとチームを組んだばかりの頃に教え方と気分の乗せ方が上手いと言われた事があった気がするが、そんな事は無かったと思う……だがこれからはその言葉で自信を作って教鞭を取る事になる。成せることを懸命になそうと決意する中で教室から何やら叩く音が聞こえた少し後に名が呼ばれた。

 

「スパルタン-S-073。戦闘訓練時の教官を受け持つ事になっている、皆宜しく頼む」




スパルタンⅢ

スパルタンⅡの下位互換、コヴナント戦争による戦災孤児を徴用、また遺伝子適正のレベルを下げて実施されたスパルタンⅢ計画によって生まれたスパルタン。
特に脱落率の高かった外科手術を撤廃、投薬のみで同水準の性能を獲得しており、僅か33名しか誕生しなかったⅡに比べⅢは数百体の量産を達成している。

しかし戦闘能力はスパルタンⅡ程ではなく、軍からも普通の兵士より使いやすい「備品」として扱われる事もあるが彼らはそれに文句を言う事は少ない。

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