一方通行<Accelerator>のヒーローアカデミア   作:モンステラ

3 / 3
雄英高校実技試験

試験が始まって結構な時間が経過した

 

完璧なスタートダッシュを決め、凄まじい威力の攻撃で仮想敵を破壊した少年

彼は4本の竜巻を背中に接続し、宙に浮きながら仮想敵の索敵を行う

 

そんな彼の目に、とある少女が目に入っていた

 

 

 

 

 

手を巨大化させて戦闘を行う少女は焦っていた

 

 

(ミスった!!完全に囲まれた!!)

 

 

オレンジ色の髪をサイドで纏める少女は己のミスを悔やんでいた

完全に仮想敵の力量を間違えてしまった

彼女の周りには5体の仮想敵が囲むように位置取り、少女に攻撃を仕掛けようとしている

 

 

(しまっ……!!?)

 

 

彼女の隙をつき、1体の仮想敵が攻撃をしようとしているのが目に入った

ちょうど彼女は攻撃をし終えた後で、体勢的に回避も防御も間に合わない

 

攻撃から少しでも体を守ろうと目を閉じ、体を縮こませる

 

 

しかし、いつまで経っても衝撃や痛みはやってこなかった

ゆっくりと目を開けると、目の前には少年が立っていた

どうやらこの少年が自分を守ってくれたのだという事実に気がつくのに少し時間がかかった

 

 

「え?ど、どうして……?」

 

 

それが疑問だった

ヒーローになるための学校の試験とはいえ、受験者同士で競い合っているのだ

なぜ他の人を助けられるのだろう

 

それを込みで少女は口を開いた

 

しかし、彼女の質問に彼は答えてくれなかった

答えの代わりに彼女を囲んでいた仮想敵が倒れていく

 

 

「まだ完全には壊しちゃいねェぞ。勝手にトドメでもなンでも刺しやがれ」

 

 

そういうと彼は有無も言わさずに飛び立っていった

試しに近くの仮想敵を軽く小突くと、プシュゥと音を立て完全に機能を停止させた

本当に耐久値ギリギリの攻撃をしてあったのだろう

 

 

「ホントだ。簡単に壊れる……。ってポイント集めなきゃ!!」

 

 

少女は次の目標を定め、走り出す

 

 

 

 

 

 

 

見知らぬ少女を助けた彼はビルの屋上であることを考えていた

 

 

(ポイントはもう十分なはずだ。ンなことより、0Pはどこにいやがンだァ?)

 

 

すると、空気の流れを肌で感じ取っていた彼は、些細な変化を感じ取る

その異変は、だんだんと大きくなっていく

 

悲鳴と轟音が響き渡る

 

 

「……あァ?」

 

 

喧しい方へ視線を向ける

そちらでは巨大な仮想敵がビルをなぎ倒しながら大通りを進んでいた

アレが0Pの仮想敵だろう

 

彼は立ち上がり、巨大な仮想敵を見る

 

仮想敵は今おなおビルを薙ぎ払って、突き進む

そして、薙ぎ払ったビルが巨大な瓦礫になって落下し始める

その瓦礫の下には必死で逃げている受験者たちがいた。あんな巨大な物が落下したら死人が出るだろう

 

彼は足元にかかるベクトルを操作する

 

 

「チッ!!センスねェ真似してんじゃねェよ!!!!!」

 

 

あまりの加速に彼が元いたビルにクレーターのようなものができる

砲弾のような速さで巨大な瓦礫へと突っ込む

拳を握る必要もない、ただただこのスピードを維持したまま巨大な瓦礫に触る

たったそれだけの動作にベクトル操作が絡むと、巨大な瓦礫が吹き飛ぶ

 

吹き飛んだ瓦礫は完璧に計算された彼の演算によって寸分狂わずに0P仮想敵へと迫り、直撃する

仮想敵の巨大な体が後退する

 

彼は笑みを受けべ、目の前の巨大な仮想敵を見る

 

 

 

 

 

時間は少しだけ巻き戻る

ある少女の前には周りのビルと同じくらいの大きさの仮想敵がいた

轟音が響いたと思ったら、仮想敵がビルをはかしながら歩く

 

 

(う、そ…!あれはヤバイ……!!)

 

 

耳郎響香(じろうきょうか)は目の前の脅威に恐怖した

戦う戦わないのレベルではない。それ以前の問題だ

そもそもステージに立てていない

 

彼女は逃げようと後ろを向いた瞬間、

 

 

「痛っ!!」

 

 

誰かの悲鳴が聞こえた

目線の先には蹲っている少女がいた

他の受験者たちは自分が逃げることに必死でその少女に気づきもしない

中には気付いている者もいるだろうが、それどころではないのだろう

 

 

「大丈夫!!?」

 

 

自然と足が動いていた

少女に駆け寄り、声を掛ける

どうやらビルの破片が体に当たったようだ

 

 

「ごめん、なさい。ありがとう……」

 

 

肩を貸し、少女と共に巨大な仮想敵から逃げようとする

 

 

しかし、さらなる悲劇が彼女らへ降り注ぐ

すぐ近くまで迫っていた0P仮想敵がビルを薙ぎ払ったのだ

轟音に耳を塞ぐ暇もなかった

 

薙ぎ払ったビルが崩れ、巨大な瓦礫にとなって落下し始める

迫り来る瓦礫を自身の個性で破壊しようと思ったが、あまりにも瓦礫が大きすぎる

 

 

(間に合わ……、)

 

 

そこで彼女は猛スピードでこちらへ向かってくる人影を確認した

その人影はそのまま瓦礫へ突っ込み、その巨大な瓦礫を仮想敵へと吹き飛ばしたのだ

 

理解が追いつかなかった

 

そんな彼女たちの近くに白い少年が降り立った

どうやらこの少年があの瓦礫を吹き飛ばしたのだろう

 

その華奢な体のどこにそれほどの力があるのか疑問だった

 

 

「…さっさと行け」

 

 

声は思っていたより低かった

そんな少年にお礼を言って、先へ進む

 

ダゴン!!という爆音が響いた

耳郎がその音を聞き、後ろの少年の方を見る

しかし、すでに少年の姿は地面にはなかった

 

ロケットをイメージさせるような加速で彼は空間を駆け抜ける

その背には、巨大な暴風の竜巻のようなものが4つ接続されていた

 

 

父に、母に、世界に見放された汚れた天使がこの世界へ牙を剥く

 

 

 

その右拳はすでに握られていた

ただ真っ直ぐと弾丸のようなスピードで仮想敵へ迫る

 

 

「悪りィが、こっから先は一方通行だ!!!!」

 

 

その能力者は、口の端を思い切り歪め、宣言する

 

 

「侵入は禁止ってなァ!!大人しく尻尾ォ巻きつつ泣いて無様に元の場所へ引き返しやがれェ!!!!!」

 

 

0P仮想敵の厚く硬い装甲に、硬く握りしめた拳が壮絶な速度で突撃する

 

彼の一撃を受けた仮想敵は後方へ吹き飛ぶ

試験会場どころか、ここら辺の地域全体が揺れているのではないかと錯覚させるほどの激震だった

 

この世界に響くのは一つの名前

 

学園都市第1位の能力を持つ男の名前

 

ヒーローを目指す彼の名前

 

 

一方通行(アクセラレーター)

 

 

透き通るような白い髪に血のような真っ赤な双眸の少年はヒーローとして産声をあげた

 

 

 

耳郎響香は驚愕していた。先ほど自分ともう1人の少女を瓦礫から助けてくれた白い少年が巨大な0P仮想敵を吹き飛ばし、破壊したのだ

未だに空中にいる少年を見上げる

 

 

(超ロックじゃん)

 

 

真っ白い少年が吹き飛ばした仮想敵の上に着地するのと同時にチャイムが鳴り響く

 

 

「終了ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 

プレゼント・マイクによる試験終了の合図が響き渡る

これにて雄英高校の入学試験が終了した

 

 

 

 

 

試験も終わり、受験者は指示があるまで指定された場所で待機することになった

一方通行は日陰で壁に寄りかかりある人物を見ていた

 

 

「ハイハイお疲れ様―。怪我してる子はいるかい?はい、ハリボーお食べー」

 

 

彼の目の前では雄英高校の看護教諭として何年も働いている『リカバリーガール』による治療?のようなものが行われていた

怪我をしている受験者がいれば、その怪我の場所にキスをして傷跡すら残さずに回復させる

 

 

(どォなってやがンだ?あの個性はよォ)

 

 

彼女を見ながらその個性について考えていると、

 

 

「えっとさ、ちょっといい?」

 

 

耳がイヤホンプラグのような黒髪の少女が話しかけてきた

一方通行は視線をリカバリーガールから話しかけてきた黒髪の少女へ移す

 

 

「あァ?」

 

 

その少女を見ると、先ほどの実技試験で0P仮想敵によって破壊されたビルの瓦礫に押しつぶされそうになっていた奴だ

 

 

「さっき救けてくれたじゃん?そのお礼を言いたいっていうか…」

 

 

少女は両耳のイヤホンプラグをツンツンしながらこちらを見てくる

 

 

「…別にいらねェよ。お前らを救けようとした訳じゃねェしな。攻撃したら偶々それがお前らを潰しそうな瓦礫だったってだけだ」

 

「それでも、お礼を言いたいの」

 

「………、」

 

「アンタにとっては偶々だったとしても、ウチはそれで救けられた」

 

「チッ、勝手にしろ」

 

「…フフッ、じゃあ言わしてもらう。さっきは救けてくれてありがとね」

 

 

綺麗な目で真っ直ぐこちらを見られ、「フン」と鼻を鳴らしながら一方通行は思わず目を逸らしてしまう

そのまま彼は目線を空へ移し、

 

 

(ま、お礼を言われるってのもいいモンだな)

 

 

そんなことを考える

そう言えばこの世界に来てから初めて人から礼を言われた気がする

人の言葉がこんなにも心を温かくするのかと彼は再認識した

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大なモニターで雄英の教師陣は試験の様子を眺めていた

 

 

「…YEAH!!またやりやがった!!今年は豊作だな!!」

 

「うん、まさかあの0P仮想敵が1日で2体も壊されるとはね」

 

 

彼らは雄英の教師であると同時にプロのヒーローでもある

そんな彼らはモニターに映る2人の少年を見ていた

 

1人はオドオドした様子の緑髪の少年

もう1人は息も切らさずに立っている白髪の少年

 

緑髪の少年は最初は典型的な不合格者の動きだったが、0P仮想敵が出現したとき、彼の近くで瓦礫に足を挟まれて動けない少女のために0P仮想敵に向かって飛び出し、文字通り吹き飛ばしたのだった

 

 

「しかし、敵Pが0Pで救助Pだけで合格とはな」

 

 

受験者には知らされていないもうひとつの採点ポイント

『救助P』とは文字通り、救助活動に対するポイントである。しかも審査制

 

 

【緑谷出久】 敵P:0 救助P:60 総合成績:第9位

 

 

そしてモニターに映し出されるのはもう1人の白髪の少年

 

 

「さっきの奴もすごかったけど、インパクトならこっちの方がスゲェよな!!何度もYEAH!!って叫んじまった!!」

 

「というより、彼のレベルは他の受験者とは違うね」

 

「俺の合図に反応したのもコイツだけだったしな!!」

 

 

ボサボサの髪に真っ黒い服、そして無精髭を生やしている男の教師は、1枚の紙を見ていた。それは受験者のエントリーシートのようなものだった

その男が見つめる紙にはモニターに映し出されている少年の写真が貼られていた

 

 

(本名は不明。どうなってるんだコイツは)

 

 

明らかに他とのレベルが違う個性を持ち、試験を見る限りの動きは並みのプロヒーローを凌駕している

 

 

【一方通行】 敵P:86 救助P:65 総合成績:第1位

 

 

1匹のネズミが試験官である教師たちの方を向き、言葉を紡ぐ

 

 

「なんにせよ、彼は文句なしの合格だ。色々と考えるのは彼が入学した後にしよう。僕たち教師がしっかりと彼を導いてあげよう」

 

 

他の教師たちは頷き、モニターが次の受験者を映す

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。