鴨が鍋に入ってやって来た   作:さわZ

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第三話 嫌がる乙女に太くて長いものを

ああ、確かステータスアップアイテムって、一つのイベントで一人一回しか使えないとかあったな。

フォレスト・エイプを倒す度に出てくる大きなバナナ。これ一つで一日の食事を賄えるだけの量だった。

いや、これから決闘がある日まで無心で毎日食べれば見違えるほど打たれ強いキャラになるだろう。それだけのタフナルバナナが手に入った。これで勝機は見えてきた。

 

魔法学園生徒と名ばかりの筋肉でムッキムキのチームの姿も見えた。

 

「ぜっっっっったいに、いやですわ!!」

 

そんなムキムキになることを嫌がるのは思春期の女子にとっては当たり前の反応だった。

一般女性より少し背が低いネインが用意された椅子に座りながら地団駄を踏むと、全身が揺れているのかと思わんばかりに彼女の胸部装甲が揺れる。

カモ君を除く男性陣。シュージやウェインと言った学生から引率に来た教員。業者までもが彼女の波打つ体に目を取られがちだが、カモ君だけは冷えた目で見ていた。

 

理由はいくつもある。

一つ目はミカエリという女体としては理想的な体つきをしている輩と長く接してきたため、耐性が付きまくっている。

二つ目はコーテという幼女体型な恋人が出来たため、巨乳にあまり魅力を感じなくなったから。

三つ目。これが一番多くを占めている。彼女には強くなってもらわなければ困るのでどれだけ嫌がろうとその口にバナナをねじ込むことを諦めないカモ君。

 

「先輩も貴族だろ。国のため、民のため、その身を捧げろ」

 

そう言いながらカモ君はコーテとシュージに目配りをしながら、左手と口を使って荒々しくタフナルバナナを剝いていく。自分が食べるためではない。

この腕のように太くて長いものをネインの口にねじ込むためだ。

 

「覚悟」

 

カモ君がバナナを剝き終えると同時にコーテがネインの背後に回り、羽交い絞めにした。遅れてシュージが両手を使ってネインの口を無理矢理こじ開けた。

 

「ネイン先輩。失礼します」

 

「へ、へーひんのふんふぁいふぇー」

 

平民の分際でー。と、言っているのだろうか?

だが、今は非常事態だ。カモ君にとってはこんな状況では身分の差など関係ない。

シュージとしては貴族様に触れるなど恐れ多いと思っていたが、カモ君の放つ雰囲気からそちらを優先した。彼にとってカモ君はだいぶ優先順位が高いらしい。

 

「あむぅうううううっ」

 

ネインも一応、ヒロインと評されたキャラクターだけあって、容姿はかなり整っている。

ややつり目で勝気そうな赤い瞳からは涙がこぼれだした。

コーテやミカエリ。カズラが綺麗系なら、彼女はキィやルーナといった可愛い系の美少女だ。

そんな彼女が無理矢理バナナを食べさせられている絵面は扇情的に見えるだろうが、カモ君は容赦なくバナナを食べさせ続けた。

そんな攻防が十分くらい続いた。

量が量なので全部食べさせるには時間がかかったが、まるまる一本食べさせた。

その途中途中で、もう入らない。とか、お腹が破裂しちゃう。とか弱音を吐き続けるネインにかける慈悲はカモ君にはなかった。

一人の少女が食べきるには大きすぎるタフナルバナナを食べさせられたネインは口とお腹に手を当て、涙を目に浮かべながらカモ君を睨みつけ、叫んだ。

 

「伯爵令嬢の私にこんな事をしてただで済むと思っているのっ!」

 

「決闘で負ければ領土と国民が持っていかれるかもしれないんだから文句を言わない」

 

カモ君のもっともな言葉に怒りのぶつけ先を見失いそうになったネインだが、矛先をシュージに変えて同様に叫んだ。

 

「お婿が取れなくなったら責任を取ってもらいますからね!」

 

「えっ」

 

シュージが躊躇っているとそこにカモ君が追い打ちをかけた。

 

「安心しろ、こいつはやるときはやるやつだ」

 

「えっ?!」

 

カモ君的にはシュージは救国の英雄になるからそれでチャラだと思っているのだが、カモ君以外から見るとシュージが婿になることを許したようにも聞こえる。

カモ君的には、シュージが決闘に勝てば、彼と一緒に戦ったネインも一躍有名になり婿など選び放題だという意味で言っただけに過ぎない。

 

「お、おいっ、エミール。そんなことを急に言われてもだな」

 

「なんだ、(決闘に)自信がないのか?」

 

「そ、それは、いきなり言われたら誰だってそうだろう」

 

「そんなに急か?前もって学園長から言われていただろう」

 

確かにシュージも学園長から言われている。

今度の決闘はただでは済まない。掛けている物が学生の分を超えて、他人の将来もかかっている物であり、準備期間に何かあるかもしれないから今から覚悟しておけてとも言われてきたが、まさか自分が婿になるかもしれないというのは何度考えても想像できなかった。

ライツという前例もあるが、あれは悪意から来るものであって、今回のような味方から来るなど思ってもいなかった。

一応、シャイニング・サーガにはハーレムエンドという複数のヒロインと物語の最後に過ごしていくとテロップが付いたこともある。

それは主人公がリーラン王国を救った実績があるから。今回の決闘も勝てば似たような状況になるから想像できないのはシュージの自己評価が低いからかもしれない。

 

「胸を張れ。ここにいる時点でお前は認められているんだよ。当然俺もな」

 

カモ君も認められている。ではなく、カモ君がシュージを認めてくれている。

そう受け取ってしまったシュージは胸が熱くなるのを感じた。

自分が理想としている人物から認められたのだと感激し、涙が出そうになったがぐっとこらえる。

 

「そう、だなっ。任せてくださいっ。ネイン先輩っ。俺は絶対にやりますよ!」

 

覚悟をきめたようなシュージの表情と言葉にドキッと胸を高鳴らしたネイン。

勢いで言ってしまったが、まさか本気にされるとは彼女も思ってはいなかった。しかもシュージはイケショタだ。今は可愛げの残る男の子だが、将来は美形が約束されているような顔つきだ。正直、ネインの好みでもある。

 

「べ、べつに、そこまで気を負わなくてもいいのよ」

 

ネインは横暴な態度を取るが、心を許した相手には親身になれる女性だ。むしろそっちが素である。だが、そんな甘い性格では他の貴族の食い物にされるだろう。その処世術として最初はきつい印象を与えていただけに過ぎない。

その上、彼女は抜群のプロポーションを持つ女性でもある。ある意味では、あの自由兄妹の一人。ミカエリに似た人生を歩んできている。だが、ネインにはミカエリほどの技術も力もなかったため、悪意に包まれがちな日常だった。

 

しかし、目の前にいるシュージは違った。

自分の体をいやらしい目で見ることはなかった。自分の立場を利用しようとしていなかった。

それはカモ君も一緒なのだが、シュージの方がネイン好みの少年だった。

 

そんな事を加味して、ネインはシュージを許すことにした。

 

「今は状況が状況ですからね。…仕方ありませんわ。この度の不敬はなかったことにします」

 

「ありがとうございます。ネイン先輩」

 

ネインの対応にシュージは心から感謝した。

カモ君やコーテを含めた知人やクラスメイト達はそうでもないのだが、別のクラス、別の学年になるとやはり身分の差は如実に表れて、横暴な態度を取る輩を多く見てきているシュージにとって、ネインのように自分の意見に耳を傾けてくれる貴族様はありがたい存在なのだ。

そんな背景もあってシュージはまぶしい笑顔でネインにお礼を言った。

 

「い、いえ、いいのです。確かに貴族の務めを果たすのも淑女の務めですものっ」

 

ショタスキーな人間が見たらころりと騙されそうな笑顔を直視できなかったのかネインは顔を赤らめながらも明後日の方を向いて早口でまくし立てた。

 

もしも、ここがいかがわしいお店で、シュージが店員。ネインがお客だったら確実に時間延長の持ち帰りコースを注文していただろう。

さすが主人公といった具合だ。

 

「まあ、これからも貴方達の言葉に耳を傾けるのもいいでしょうっ。何かあればその都度報告しなさい」

 

特にシュージ。

 

と、言わなかったのは彼女にも少しは自制心というものがあったからだろう。

逆にこの場で自制心を持っていないのはカモ君である。

 

「じゃあ、これからウェイン先輩とギリ先輩にも食べさせるんで手伝ってください」

 

そんなカモ君の言葉に驚いたのはネインだけではなかった。

ネインがタフナルバナナの効果に文句を言っている間に、ウェインとギリはメイド達が用意した食事を食べ終えていた。後はデザートか食後のお茶を飲むだけだった。

それなのにカモ君が彼等にも食べさせると言い出したのだ。

 

「ちょ、ちょーっと遅かったかな。俺らは飯を食い終わった後だから。もう、そのバナナは食べられないかなぁー」

 

「僕はもともと小食なんだ。そんなバナナは食べきれない。たとえ空腹だったとしても半分も食べられないぞ」

 

ウェインはやんわりと、ギリははっきりと食べることを拒否した。

それを見たカモ君は左腕を回しながら、首を鳴らしながら近づいていく。

 

「大丈夫ですよ。今すぐお腹は空っぽになりますから」

 

シュッ。シュッ。とシャドーボクシングをするかのように拳を突き出しているカモ君の行動を見て、顔を青くし始めたウェインとギリ。

 

「ま、待ってくれっ!貴族の義務だとは重々承知だが、それはちょっと乱暴すぎると思うんだよなぁっ!」

 

「僕らは君とは違って魔法使いなんだっ!耐久を上げても意味なんてない!」

 

そう言って、後ずさりした二人だが、いつの間にかコーテの魔法で作り出した魔法。水で出来たロープで二人の足をからめとっていた。このロープは魔法で作り出した水だけあって、粘度も高くもがけばもがくほど絡まり、身動きが取れなくなる。まるで納豆のようだ。

カモ君と先輩二人の言動を見てコーテが次なる一手を繰り出していたのだ。それがネイン同様に目標の拘束であった。

身動き取れない二人の先輩に近づきながらもカモ君は出来るだけ優しい笑顔で告げた。

 

「俺もこういうことは初めて何ですけど、精一杯奉仕しますね」

 

「「ヒエッ」」

 

何せ、タフナルバナナなんて超レアアイテムがこんなにポンポン手に入るとは、カモ君すら思わなかった。

それが大量に手に入ったのもシュージのお陰といってもいい。つまり、ウェインとギリのお腹にカモ君の太い物(鳩尾パンチ)がお見舞いされるのもシュージのお陰というものである。

その後、口をゆすがせてすぐに、太くて長い物(タフナルバナナ)を突っ込まれるのもシュージのお陰という事である。

 




キィ「こんなにレアアイテムがあるんだから一個くらいもらっても、…ばれへんか」

コーテ「そんな事を言う貴女のご飯はこれ(ひのきの棒)」

タフナルバナナの横領をしようとしたところをばれてコーテにお仕置きされるキィがいたとかいなかったとか。
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