ネカマくんはバレたくない 作:お試し太郎
現在、高校二年生のゲームオタクな僕には知られたくない秘密がある。どんな秘密かだって?そりゃ…
「大人気VRMMOでネカマしていて、そのキャラが何を間違えたかトップランカーになって居るなんて知られたくない!」
ネカマしたのは気の迷いだった。このゲームは男女どちらにもなる事が可能で、課金すればボイスも変えられる。ロールプレイが得意な人ならバレない。僕の場合は可愛い女の子になれる?姫プして貢いで貰えたら楽しいかなって思って始めた。
クズじゃないかって?楽して強くなれるならそれが一番いいじゃない?大変な思いしてまで強くなりたいとは思わないのよ…。
そんな僕はキャラクター設定にて、可愛い女の子を三時間以上かけて制作した。種族は獣人を選んだ。種族に関しての説明をするならば
人間…魔法、物理が平均的で使いやすい
獣人…物理特化。
エルフ…魔法特化。
他にも種族はあるが、ランダムを選択しなければならないので割愛する。
そんな僕のキャラクターの説明をすると
ベースは狼。獣人といってもほぼ人間ベースで、頭に狼耳が付いていて尻尾がモフモフしてるっていうよくある設定した。
髪型は腰の辺りまで伸びたロングヘアー。茶系の髪色で明るさを出しつつ、大きな空色の目で相手を翻弄する完璧な女の子キャラクターだと自負している。実際、自身で作り出したキャラクターに頼られたら何でもしてしまう自信がある。
そんな私のキャラクターのステータスは力とスピードに全振り。理由としては、僕が紙防御しかないと知れば皆僕を守るしかないだろ?っていう浅はかな考えからである。
スキルに関しては、初期で五個選べるウチ全ての枠を使う『覚醒』のスキルを習得した。このスキルは浪漫スキルと呼ばれており、体力が半分以下にならないと発動しないし、発動してもステータスがアップするだけで使える技が増える訳でもなく、完全にPS頼りになってしまう。それにこのスキルは獣人限定である。
新たなスキルを得る為には大変な努力が必要であることが検証されており、剣スキルを得ようとするなら個人差はあれども十万以上の素振りと百体以上の敵を倒さなければいけない。運営としては「スキルがそんな簡単に得られる訳がないどろう?努力したまえ努力を」と明言している。
ステータスが上がるだけのスキルに五個分のスキル枠を使うくらいなら他のするわって言う人が断然多く、覚醒しても、スキルがなくやられてしまうことから、このスキルはPSなきゃゴミだよねwと酷い扱いを受けたスキルになってしまっている。
そんな浪漫スキルを取った理由としては、姫プしている時に周りの皆さんがやられてしまった場合の自衛、逃走用のスキルとして獲得した。
そんな私は気づくことが出来なかったことがある。それは…
「いくら可愛くても、極振りでゴミスキルを抱えている奴を姫プするとかさすがにキツすぎw」
そう。ステータスもスキルもゴミすぎて姫プして貰えなかったのである。
相手の攻撃を喰らうとスライムであったとしても一撃でやられてしまい、スキルの覚醒が活かせない。それに、僕が始めたのはリリース当初。そんな皆が強くなりたいという時期の中、地雷の僕のキャラクターを時間を割いてまで育ててあげようっていうお人好しが居なかったのである。魔法特化のエルフにして援護脳になれば結果が違ったと思うが、当時の僕は殴った方が強くね?という脳筋思考だったのである。
そんな姫プ狙いの僕のキャラクターは、姫プをして貰えずに進めることになったのである。最初はアンストしようかと迷ったが、ボイスの課金もしてしまったし、何より三時間かけて作ったキャラクターを白紙にするのは無理だった。
だから僕は柄にもなく本気をだした。姫プして貰えなかったのもそうだが、僕のキャラクターを否定したあの野郎どもをキルしてやるという思いが僕の楽して強くなりたいっていう思いを上回ったのだ。
何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も僕はキルされた。それはスライムだったり、背後から迫っていたスライムだったり、他のプレイヤーに投げられすっ飛んで来たスライムだったり…
そんなスライムにやられすぎた僕のキャラクターは、ある称号を手に入れることで劇的に変わった。
『最弱の意地』この称号はどんな攻撃を受けてもHPが一残る神スキルである。習得条件は、スライムに千回やられ、スライムに舐められるという屈辱的な条件である。このゲームはモンスターに舐められる事がある。一撃を受ける時に目の前で鼻で笑ったり、挑発ダンスを踊りながらキルしてきたりなどである。…スキルより称号の方が取りやすくないか?って?称号に関しては救済処置であったり、運営の悪ふざけが主だったりするので、取りやすくなっているのではないかと思っている。それに、スライムに千回やられる奴なんて居ないだろうと言う運営とプレイヤーの考えが緩くしたんだと今では考えられる。
屈辱的なこの称号のおかげで僕のキャラクターは覚醒を行えるようになり、メキメキとレベルを上げ、いつの間にかソロでトップランカーの仲間入りを果たしていたのである。
そんな僕は調子に乗ってしまう。そりゃそうだろう?最弱なキャラクターだった僕のキャラクターが並いる野郎どもの上に立っているんだから。
調子に乗った僕はゲームの機能にある動画投稿をしてしまう。内容は、『覚醒スキルだけでダンジョンボスを倒したった』である。
この動画を上げた後の反響は凄まじく、覚醒スキルをゴミ扱いしていた者たちは掌返しをしたし、獣人を選んで覚醒スキルを取る人も格段に増えた。僕はジェノサイドプリンセスと言う姫プを願ったキャラクターとは正反対とも言える二つ名を襲名した。
トップランカーの仲間入りを果たし、順風満帆な僕に現在、かつて無い程の危機が迫っている。
「高杉くん!○○○○○っていうゲームやってる?私達も一緒にやってるんだけど、一緒にやらない?」
クラスのアイドルにゲームを誘われました…誰か助けて。