放浪の赤の星の主従   作:謎の食通

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改めて皆さんに感謝を述べたいと想います。

・・・ありがとう。


第十話『光り輝く翼』

日本帝国仙台臨時首都にある臨時国連軍基地の一室に彼女は居た。長い紫がかったストレートの髪の白衣を来た女性だ。彼女の見た目は見る人に美女と呼ばせる風貌であるが彼女が醸し出す雰囲気がその美しさを妖しさへと変えている。

彼女こそオルタネイティブ4の最高責任者香月夕呼である。

 

 

「ふう・・・」

 

 

彼女は吐息を漏らしながら肩を回した。彼女の肩こりの原因はその豊満な双球だけが原因では無い。

 

 

「まさかハイヴからあんなものが出てくるとはね・・・」

 

 

彼女が見ているパソコンの画面には荒い画像で映された白い機人が映されていた。

 

 

「大きさは推定100m、瞬時に大気圏離脱できる能力にあらゆるレーダーに探知されないステルス性、そしてレーザーを物ともしない装甲・・・」

 

 

横浜ハイヴから突如として出現した謎の白い人型機動兵器。

BETAからレーザー照射を受けても謎の赤いバリアで防ぎ、アメリカで作られたラプターすら見劣りするステルス、最後に瞬時に宇宙速度に到達した加速性能。

この人知を超越した機人を夕呼は解析しようとしていたのだ。

 

 

「見た目こそ人型だけど、こんなもの現在の科学力じゃ到底実現出来ないわ」

 

 

夕呼は、その見た目から人類に近い価値観を持つ存在が造りだしたものだということは推測できた。

だが、その技術力は地球のものに比べて遥かに高度な物が使われている事しか分からず、どのような原理でこの様な性能を実現したのか皆目見当もつかなかった。

 

 

「BETA?でも、この見た目はどちらかというと私たちの感性に近い物よねぇ」

 

 

彼女はハイヴから出てきたジャイアントメカノイドはBETA由来の物かと一瞬思ったが自分で否定する。そもそも今までのBETAとは姿がまったく異なり、何よりも友軍を絶対誤射しないという性質を持つ光線級の攻撃を受けたのだから。

 

 

「ん?・・・まったく、何かしら?」

 

 

思考が袋小路に入った彼女に連絡が来た。夕呼は、部屋に備えられた受話器を取り、用件を聞き出そうとしたとき、受話器から慌てた声が聞こえてきた。

 

 

『博士、緊急事態です!』

 

 

受話器から非常に焦った声が聞こえてきた。それにより香月夕呼は何らかの非常事態が起きた事を察した。

 

 

「・・・何があったの?」

 

 

相手を落ち着かせるためにも冷静な声で問いかけた。だが、その報告は彼女の冷静さを消し飛ばすほどの大事件だった。

 

 

『所属不明の飛行戦艦がこの基地上空に出現しました!』

 

「!?」

 

 

 

 

***

 

 

 

仙台基地上空にESウインドウが展開され、その中から白亜の戦艦が現れた。赤の星の主従が乗るジェイセイヴァーだ。

ジェイセイヴァーは、基地上空を悠然と飛行している。レーダーに引っかかる事の無いジェイセイヴァーは目視でしか確認できず、地上の人たちは混乱に包まれていた。

 

 

「さて、ここなら大丈夫だろう」

 

ジェイは救い出した少年と少女、武と純夏に話しかけた。

 

 

「ここって・・・」

 

 

武はジェイセイヴァーの艦橋から外を見た。そこは周囲は海の見える街だった。だが、眼下にあるのは軍事基地が見えた。

 

 

「あなた方の言う所の仙台ですね。現在、政府機能はこの都市にあるそうです」

 

 

アベルが現在の所在地を言う。テレビや軍事用回線などの電波から仙台に首都機能が存在する事を突き止め、彼らをここに送り届けるためにESウインドウを展開したのだった。

 

 

「ここなら政府に君らも保護されるだろう」

 

 

ジェイは語る。ここで下ろす事で政府に保護される事になる、と。

 

 

「あと、ついでにこれを渡しておきます」

 

 

そして、アベルは少年少女に赤い宝石を手渡した。

 

 

「わあ~宝石だ~!」

 

 

純夏は、女の子らしく、その赤い宝玉の美しさに驚嘆の声を上げる。

 

 

「あの、これは?」

 

 

だが、武はその宝石に違和感を感じ、ジェイとアベルに赤い宝石について聞いた。

 

 

「それはJジュエル。私たちの星にしか存在しない物質です。それを科学者にでも見せてください」

 

 

赤い宝石、その正体はJジュエルだった。アベルはJジュエルを渡す事で武たちをメッセンジャーとしようと画策しているのだ。

 

 

「は、はあ・・・」

 

 

もっとも武少年はJジュエルを渡す意味が理解できていなかったようだが。

 

 

「これから君たちには政府に保護という名の軟禁が行われるだろう。だが、少なくとも衣食住に困る事は無い」

 

 

武と純夏の故郷は壊滅した。それにより彼らは、住む家を、家族を、失った。そんな彼らが生きていけるようにジェイは、アベルに彼らをメッセンジャーにするよう提言したのだ。

それにより武と純夏は、自分たちに現時点で最も近い人間となり政府にとっても無視しえぬ存在となる。それにより自由は失われるが食うに困らないようにするためにメッセンジャーにしたのだ。

 

 

「あの、ジェイさん、アベルさん」

 

「む?」

 

 

ジェイセイヴァーが高度を下げている最中、武たちはジェイたちに改まって向き合った。

 

 

「助けてくれてありがとうございます!」

 

 

武たちは、ジェイたちに感謝の言葉を告げた。そして、彼らが退艦するとジェイセイヴァーは離陸した。

 

 

「では、この領域を離脱しましょう」

 

 

仙台基地から引っ切り無しに来る通信を無視して、この場を離れようとアベルは言った。

 

 

「了解しました・・・ですが、何処へ行きますか?」

 

 

ジェイは、アベルに次の目的を聞く。

 

 

「ジェイセイヴァーの修復の為にこの星系の恒星に接近してください」

 

 

今のジェイセイヴァーは、先の戦いで疲弊している。それを修復するため太陽に接近しようというのだ。

ジェイアーク級弩級戦艦は、光を取り込み物質精製を行なう光子変換翼により、ミサイル類などは艦内で生成、または艦体の自己修復も可能とするのだ。

 

 

「はっ、承知しました」

 

 

ジェイはアベルの命令を把握し、ジェイセイヴァーを移動させる。そのスピードは何とかジェイセイヴァーに接触しようとしていた地球の機体を置き去りにし、空の彼方へとジェイセイヴァーを誘ったのだった。

 

 

 

***

 

 

 

白い戦艦が仙台基地に現れた。その形状から横浜ハイヴから出現した物との関係性が疑われた。

そして、何よりも彼らによって救出された日本帝国国民が存在した事が世界を大きく騒がした。

 

BETAとは異なり意思疎通が出来る異星人、しかも地球人と殆ど同じ姿をしているそうだ。

 

最初は、ただの欺瞞情報と疑われたソレも香月博士の発表で認識が変わった。

 

 

「BETAから救われた捕虜が持っていたものは地球上の物質ではない」

 

 

武たちに渡されたJジュエルに興味を持った香月博士により解析された。

それにより宝石自体が一種の電子回路の役割を持つことが解明された。ただ、それ以上は彼女でも分からずじまいだったが。

 

これにより世界はジェイセイヴァーに接触しようと活動を開始した。BETAと違い意思疎通が出来、自分たちより優れた技術を持つ彼らを何とか自分たちの陣営に引きずりこめないかと皆が思っていたのだ。

無論、アメリカを始めとして慎重論を唱える者達もいたが、切羽詰った前線国家郡にとっては藁をも掴む思いだった。

 

だが、そんな彼らの思いを裏腹にジェイセイヴァーとコンタクトを取る事が出来なかった。

これに焦れた各国は武たちにも着目したが既に第四計画に囲われていた彼らには手が出せなかった。

 

ジェイセイヴァーが見つからずも時は流れ、遂に明星作戦が開始される一週間前にソレは再び現れた。

 

 

 

***

 

 

 

1999年7月29日

 

 

国連軍・日本帝国軍・日本帝国斯衛軍・大東亜連合軍そして米国が日本に集結していた。

8月5日に開始される明星作戦に参加するためだ。

香月夕呼によって提案された横浜ハイヴ奪回作戦、明星作戦、またの名をオペレーション・ルシファーと呼ばれている。

 

この作戦は、さまざまな政治的思惑の元で成立した物だ。第四計画、第五計画、帝国そして米国。

 

色々な想いが錯綜する戦場に彼らは現れた。

 

 

「・・・ん?あれは何だ?」

 

 

横浜ハイヴから離れた場所に陣取っている戦術機部隊の一人がそれに気付いた。

空に銀色の円が浮かんでいるのだ。いや、それは円では無い。それは穴と言うべき物だった。

殆どのセンサーはそれを捉えることが出来ず、目視で気付いた者しか殆どは知ることは出来なかった。

 

しかし、例外もあった。国連軍の主力でもある米国は、それを察知しえた。

 

 

「何?試作型の重力波探知装置に反応だと?」

 

 

ある目的の為に特別に搬入されたセンサーが空間の歪みを探知したのだ。

 

 

「一体あれは何なんだ?」

 

 

次第にこの状況が周囲に知れ渡っていき、全員が不安に想っていた。だが、次の瞬間それは驚きに変わった。

 

 

「何だ、あれは!?」

 

 

穴の中から出てきたのは白亜の戦艦だった。

 

 

「・・・あれは噂の異星人の戦艦か!?」

 

 

そう、その戦艦は赤の星の決戦兵器ジェイアーク級弩級戦艦ジェイセイヴァーだったのだ。

 

 

ESウインドウから出たジェイセイヴァーに陽光が反射し、白い装甲が光り輝いて見えた。

 

 

それを見た人々はこう想ったそうだ。

 

 

「光り輝く翼」と・・・。




 君たちに最新情報を公開しよう。
再び現れた白い不死鳥。彼はその強大な力で星を蝕む蟲を蹴散らす。その圧倒的な力に見るものに与えた印象は恐怖では無かった。それは、歓喜、そして勇気だ。だが、彼らに活躍により焦燥に囚われるものも居た。
 放浪の赤の星の主従NEXT『天香香背男命の闇』次回もこの小説にメガ・フュージョン承認!!



 これが勝利の鍵だ! 『ES戦法』
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