夢が醒めたなら   作:ペン皇

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この少年最弱につき

 これは、後の文献にて『荒々しくも眩しかった数世紀』と呼ばれた時代に生きた

  

 狩人たちの物語である

 

 - - - - - -

 

 大陸西部に位置するアルコリス地方、その一角にある村。

 その村はかつては伝説的なハンターであり、現代におけるハンター業の基礎を作り上げた英雄がおさめる村で、今尚その名声に惹かれてハンター達が集う。

 村の名を、【ココット村】という。

 

 そして、ここにもひとり年若いハンターがいた。

 

 「たぁ!!」

 

 少年はあらかじめ抜刀していた太刀を大きく上に振りかぶり、気合いと共に剣を相手に叩きつけた。

 相手は悲鳴を上げる間もなく絶命する。

 

 「おっしゃあ!一匹目!どんなもんだ!シマシマ野郎!」

 

 少年は再び太刀を構え、切っ先を眼前にいるランポスにむける。

 森林地帯を中心に幅広い範囲に生息する小型の鳥竜種。

 

 ドスランポスと呼ばれる大型化した個体をリーダーとした群れを作り、集団生活を送る習性を持つ。

 環境への適応力が高く、様々な地域で活動する事が可能で、各地には環境により適した進化を遂げた亜種が存在する。

 

 細身の体躯に鮮やかな青と黒のストライプ模様が特徴で一見すると目立ちそうな体色だが、環境に適応した進化の結果であり、立派な保護色である。

 

 ほんの少しの沈黙を経て、少年は先ほどの気合いを乗せた斬撃を次の獲物へと放つ。

 

 しかし、相手もバカではない、そのあまりに単純明快な動きを軽く躱し少年と距離をとる。

 

 「くっそ!もう一回!……たぁッブフォ!?!?」

 

 今しがた距離を取られたばかりの相手に、少年は先ほどより前のめりに体を踏み出そうとした瞬間、思わぬ方向から衝撃を与えられ、その重さに耐えられず少年は横に吹っ飛ばされた。

 

 「いつつ……コイツよくも邪魔しやが…って……?」

 

 少年は自分を吹き飛ばした相手をにらみ吠えたが、よく周りを見れば先ほどよりも数を増えているではないか。

 

 「…はっ!2匹も4匹も変わんねぇよ!未来のG級ハンター、ティオさまをなめるなよ!!」

 

 少年もといいティオはランポスの群れに体をねじ込ませる。

 「はああああ!!!」

 最初の一撃とは比べものにならないぐらいの気合いと踏み込みをくわえ、ティオは太刀を弧を描くように振るった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 「じゃ、これで受付終了です」

 

 「あ、はい」

 

 ティオはクエストに失敗した。

 

 「おいおい、あいつまた負けて帰って来やがったぜ」

 「勝てないなら、チームでも組めばいいのに」

 「いや~小型モンスターの狩猟もままならないヤツ誰も組んでくれね~って」

 「だね!あんなヨエー奴となんて誰も狩猟に出たがらないよ!」

 

 ここはココット村のギルド出張所その酒場、一仕事を終えて酒をかっくらっていた4人の男達は酔いが回っているせいか、少々乱暴な言葉を大きな声で話す。

 

 「……ぐぅぅぅぅ!!!やい!てめぇら!ずいぶん好き勝手いってくれるじゃねえか!」

 「あ~?だって事実だろぉ?」

 「そ~そ~悪口じゃねえ、一般人が狩り場に紛れ込んで死にかけたって、俺達はそんな哀れなパンピーを嘆いてやってるのさ」

  

 男達は、ほんのり赤くなった顔をニヤつかせティオの反応を伺う、それはまるでいじめられっ子が泣き出すのを待つガキ大将のような意地のわるい目つきだ。

 ここまで売られては買うしかない、ティオは4人が座るテーブルに向かって歩き出そうとした。

 

 「はい、ケンカはやめて下さいなー」

 

 後ろから伸びてきた手は、ティオの右耳をしっかりつまむ。

 掴まれた本人は痛みと前に進もうとした反動で強制的に半歩後退をさせられた。

 

 「おいおい、なにしてくれてんだドリス、せっかくソイツが来てくれてたのによ」

 

 「まあまあ、わざわざこんな所で争わなくたっていいじゃありませんか、ハンターなら狩りの腕で競っていただきたいですわ」

 

 ドリスと呼ばれたその女性は、青い衣装を着こなしたギルドガールで普段はギルドに寄せられる依頼の管理を請け負っているが、いまはカウンター越しにティオを力尽くで引き留めている。

 

 「そうだぜドリス!あいつらワザと俺にケンカ売って来やがったんだ!ここでいかなきゃ……いででで!!?」

 

 ドリスは引っ張っていた耳をさらに上に引き上げて自分の口の近くまで持って行く。

 

 「あんな安い挑発に乗っちゃだめだよ仲裁するボクの苦労も考えて、それに君もハンターなら相手をちゃんと見極めなきゃダメだよ」

 

 「ぐ……ごめん、ちょっと熱くなりすぎた」

 

 「ふふ、えらいえらい」

 声はあくまでティオにだけ聞こえるように囁く。

 

 「あ?なに話してやがんだ~?」

 「いいえ~、それよりどうです?お仕事の依頼ならたくさんありますが受注なさいますか?」

 「いやおれはパス、今日はかえって寝るわ・・・じゃあなクソガキ」

 「はい、またの起こしをお待ちしております~」

 

 4人の男達は、先ほどのやりとりなど無かったかのように気だるげに立ち上がり酒場をあとにした。

 

 「すげぇな……どうやったらそんな高い声出せるんだ?」

 「まぁ仕事だからね、ボクは正直この声と喋り方は恥ずかしくてイヤなんだけどさ」

 

 ドリスは困ったような笑顔を作りながら、制服の頭巾をいじる。

 

 「それはそうと、ティオこれからどうするのさ?もう契約金も払えないぐらいお金無くなってるよね?」

 「ぐ……アレ行くよツアーに……鉱石でも採ってきてそれを売ってまたクエストを受けるよ……」

 「まぁそれしかないよね」

 

 ツアー、または素材ツアー、採取ツアーと呼ばれる契約金は一切かからないがその代わり報酬も出ないクエストである。

 各ギルドが管理するフィールドごとにその配置されたクエストで、名前の通り狩り場でしか手に入らない品を安全に採取するためのいわば新米ハンター達への救済措置だ。

 

 しかし、これはあくまで新人の為のものであり、ティオのように金が底をついたので受注します、というような人は中々いない。

 

 「善は急げだ!ドリス!次のツアーはいつなんだ?」

 「あー…いいにくいんだけど、もうそろそろ行きの便が出る頃だよ」

 「な!?…こんなことしてる場合じゃねえや!急いで支度してくるよ!俺の名前で受注しといてくれ!」

 

 いうや否や、ティオはピッケルなどの道具をそろえる為に酒場を後にした。

 

 「あ、ちょっと!……もう、慌ただしいなぁ」

 「すまない、このクエスト間に合うか?」

 

 ドリスが溜息をついていると、ティオと行き違うように別のハンターがクエストカウンターの前に立った。

 

 「はい、承ります…あれ?このクエストって……」

 

 これは森丘の採取ツアー、ティオが受付をお願いしていたアレである。

 

 「失礼ですが、受注するクエストを間違えてませんか?」

 

 目の前のハンターにドリスは訝しげな目を向ける。

 男は、大怪鳥イャンクックの素材から作られるクックシリーズを胴体と頭を除く部位に身にまとっていた、使われている素材こそある程度のハンターなら珍しくもないものだが、形状、鱗の厚さ、色つやから見ておそらく、Sシリーズ、つまり目の前のハンターは上位ハンターだということである。

 

 ドリスはもう一度そのハンターを見定める。

 

 上位ハンター、それは星の数ほどいる狩人達の中のほんの一握りの人間しか到達できない領域であり、そのレベルになると名指しの依頼を任されたりする、そんな傑物がなぜこんなクエストを受けようというのか?

 

 「いや今回はそれでいいんだ、連れとちょっとこの辺を見て回りたくてな」

 「そうでしたか!…あーでも、ちょっと問題がありまして~……」

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 「レイ!ちょっと野暮用が出来た!ツアーに行ってくるぜ!」

 「はいちょっとまった」

 

 ティオは家に帰るやいなや、ピッケル、虫網、その他をありったけ持ってまた部屋を出ようとした。

 しかし、そこに待ての合図がかかる。

 

 号令をかけたのは、ティオと同じ家に暮らす少女、名前はレイ・ファブニール、肩の少し上ほどまで伸びたハチミツのような滑らかな色をした髪と、紅い二つの双眸と整った顔立ちが合わさり、まるで絵本の登場人物のような、どこか浮き世離れした雰囲気を纏っている。

 

 「止めてくれるなレイ!俺はどーしてもやらなきゃならないんだ!」

 「いや、そういうのいいから……ティオ、まさかとは思うけど失敗したんじゃないでしょうね?」

 「……」

 「こっち見てティオ…ねえ聞いてる?」

 「ごめん!今回だけだから!」

 

 それだけを言い残し、ティオは全速力で家を飛び出す。

 

 「コラァ!毎回それじゃない!」

 

 逃げ出したティオを追いかけるが、足の速さでかなうわけもなく、気付いたときにはティオは遙か遠方へと走り去ってしまっていた。

 

 「も~!ホントあり得ないんですけど!」

 

 レイは悔しさのあまり地団駄を踏んでいると、ある人物が目に入る。

 

 後ろで縛った黒い髪と細い目から感じるオーラが、周りの人とは一線を画していた。

 ただ、レイが気になったのはそこではなく、そんなただならぬ雰囲気を持つ目の前の人物の挙動が少し慌ただしいのだ、先ほどから同じ道を行ったり来たり、開いてるのか開いてないのかよく分からないが目をソワソワさせているのだけは解る。

 

 「あぁどうしましょ……は!」

 (ヤバイ…)

 

 目が合ってしまった、やっぱりちゃんと眼球は存在していたようだ。

 

 「ね、ねぇ!アナタはここの村の子!?」

 「はい、まぁ一応は…」

 

 ものすごい勢いで近づいてこられてしまい、レイに逃げる隙は一切与えてくれなかった。

 

 「この村には、あたしともう一人で来たんだけど、ちょっとはぐれちゃって、落ち合う場所はこの村のギルド出張所なんだけど、肝心の場所が解らなくて……」

 「あーそれなら解りますよ、一緒に来ますか?……えっと」

 

 「そういえばまだいってなかったわね、あたしの名前はクルシュ、クルシュ・エスカノーラ、ごめんなさいね名乗りもせずに」

 「いえ、気にしませんから、私はレイです、ギルドの出張所でしたよね?私もちょうど行く予定が合ったので一緒に行きましょう」

 「それって、さっき走って行った子と関係ある?」

 「同じ顔を浮かべてるなら、たぶん」

 

 「ふふ…仲良しなのね~、でも血は繋がって無さそうだけど……未来の旦那様とか?」

 「まさか、アレはなんというか…出来の悪い弟?みたいな者ですから」

 「弟かぁ……わたしも居るの!そっちは出来が良すぎてわたしが困っちゃうぐらいだけど」

 「へぇそうなんですか」

 どうもこのクルシュという女性は見た目に反してけっこうおしゃべりなようだ。

 

 出張所までの道のりはそう遠くない、村の端っこに設置されているとはいえ、村自体が小さいからである。

 なので、二人が5分も歩けばギルドの入り口当たりまですぐに着く、今まさに出張所の入り口をくぐろうとしたとき二種類の怒号が響き渡ってきた。

 

レイは少しだけ嫌な予感がした、このまま出張所に足を踏み入れれば何かとてつもないことが起こりそうな、そんな予感がしたからだ。

 




どうも!ペン皇です!
モンハンの世界観が大好きでついつい書いてしまいました!

如何だったでしょうか?

長すぎたかな、それとも短すぎたかな?

右も左も判らないズブの素人ですが、いろいろ試行錯誤していくつもりなので、気になる点があればコメントの方ドンドンお願いします!
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