新米クソ雑魚提督の艦これ日記   作:タケノコ軍曹

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我が艦隊の華々しい戦果


一ヶ月前
ワイ「(゚∀゚)7-3で海外艦が手に入るチャンスやって!よし、足柄、羽黒おめえらの出番だ!!」

現在
ワイ「(´・ω・`)80周回以上回ったのに、海外艦一人だけしか手に入らなかったンゴ……。」


代わりに海防艦がぽこじゃか出たけど、そうじゃない。結局、この手のゲームに限らず最強の敵は物欲センサー何だな……。


三日目 その3

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「よお。俺がサタデーだ。宜しくな新人。」

 

 

そして待つこと数分。クソ雑魚提督が乗っている艦よりも年季が入った旗艦の甲板に先輩ことサタデー提督が姿を表した。

 

 

「……ああ、成程。サタデーですね……うん。」

 

 

サタデー提督の姿は高い身長にガッチリした体格。(そう言えば描写が一切無かった)クソ雑魚提督も結構高めの身長に、元料理関係の仕事についていた事もあり中々鍛えられた体をしているがそれを一回り大きくした、まさに戦う男のマッスルだった。

 

だが、それよりも気になるのは頭―――何とアフロなのだ。ただのアフロではない。五歳児位の子供なら余裕で埋もれる位のご立派なアフロだ。ああ!そのアフロにサタデー提督は手をツッコミ何かを取り出した。―――帽子だ。提督の帽子だ。と言っても、流石に入らないのか帽子ではなくサンバイザーに改造されているが……何で漫画みたいな取り出し方してるんだろう?

 

気になるところはアフロだけではない。提督が着る真っ白い軍服だが、それも改造されていて胸元が大きくはだけているし、一応軍服の面影はあるがほぼ見た目はスーツ―――サラリーマンが着ているようなものではなく、夜の街で見られる様なスーツだ。

 

 

 

「夜のディスコなんかのステージでフィーバーしてそうな姿ですね……。」

 

「本当は、もっと分かりやすい『アフロ』とかにしようとしてたんだがな。相棒に止められて……」

 

「当たり前でしょう!あんたは良くても私達は『アフロ』の艦娘とか言われるのよ。恥ずかしいわ!」

 

 

サタデー提督の不満そうな言葉に彼の横にいる艦娘―――叢雲(ツンデレぽい見た目している。あと、ウサギ耳を連想させるものが頭についている)が怒る。そんなにアフロが嫌なのだろうか?……うん、嫌だ。

 

 

「それで、そこの新人提督!」

 

「さ、サー!イエスサー!」

 

「普通にやりなさい、普通に!あと、相手が女ならサーじゃなくてマム!!……で?何であんたは提督用の軍服着ずにそんな私服なわけ?」

 

「ズボンは小便漏らして今乾燥中であります!!」

 

 

今日の出来事で少しはメンタルがつよくなったのか、それとも心が荒んで捻くれたのか。どっちでも構わんが今の彼には小便漏らしたことなど、オスのサメの生殖器が2つあるとか位どうでも良いことなのだ。

そもそも、今現在体験している海の生態系に比べれば、小便漏らしたことくらい何だというのだ。糞漏らさなかっただけでも褒めろよ!……は流石に言いすぎだろうが、今の現状は彼が開き直らせるには十分すぎた。

 

 

「……初陣?」

 

「戦場についてきたのは初めてです。」

 

「そ。ならしょうがないか。」

 

 

あら?意外とあっさり話を終わらせてくれたぞ。もっと根掘り葉掘り聞かれるか、笑われるかと思っていたのに拍子抜けである。

 

 

「別に戦場で漏らす位で笑わないわよ。―――ま、実戦についてくる度胸は褒めてあげるわ。」

 

「(やだぁ……。凄く淑女だ……)」

 

 

彼は優しさに飢えていた。それはまさしくちょっと優しくされるだけで落ちるチョロインそのものであった。

 

といっても、パーティーメンバー:提督(巻き添え一号)、夜戦馬鹿(胃痛1)、シグルイ(胃痛2)、バラドル(巻き添え二号)。さっさとルイー●の酒場でメンバー入れ替えをしたくなるような面子だから少しは分かる。

 

そんな男の心情は放っておいて、その淑女である叢雲は新人提督をジロジロ見てくる。

 

 

「でもそれならせめて上だけでも着ときなさい。今のあなたは……こいつ(サタデー提督)よりはましだけど、提督に見えないわ。」

 

 

叢雲から見たクソ雑魚提督の姿は、顔はそこそこ整っている。少なくとも、相手がよっぽど特殊性癖持ちでなければ第一印象で悪く思われることは無いだろう。そして、体格だが元民間人にしては結構鍛えられている(※料理人は体力勝負なのだ。)ところもプラス点だ。

 

ただ、提督だと証明するものを一切身につけていないせいで――――頭は帽子でなくバンダナ、上は黒のタンクトップ(※サメの解体&処理のため)、下はジーパン、そして真っ赤なエプロン。提督というより漁師……いや、この世情で単艦だと密猟者にしか見えなかった。

 

 

「上も汚れて洗濯中です。」

 

「あら?上も着られないくらい汚すなんて器用な―――」

 

「返り血で真っ赤かです。」

 

「何事!?」

 

 

下と比べて上が大惨事すぎる。もう帰ったら雑巾にして再利用するか、逆に完全に赤色に染めてそういった服として着るしか無いだろう。申請してから何日位して新しいやつがくるのでしょうか?と質問する雑魚提督に、「え~……。何?初陣で漏らした直後に直接自分で始末しに行ったの?最近の子こわいわね……」と勘違いを始める叢雲。

 

そんな二人を傍目に、サタデー提督は川内達に「……一先ず、どっちでもいいから中に入らないか?」と提案。

話が脱線しすぎてあれなので、彼女達は自分たちの提督が乗っている旗艦で話し合う事にしたのであった。

 

 

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《場所:クソ雑魚提督旗艦》

 

 

一先ず誤解を解いて――――「それならそう言いなさいよ!びっくりしたじゃない!」と可愛く怒られた新人提督。

そんな彼は放っておいて、少し視点をサタデー提督に回してみようと思う。

 

 

サタデー提督が新人クソ雑魚提督の艦に入ると真っ先に思ったことは「(……え。俺の乗っているやつより快適じゃね?)」であった。

 

キッチン、「お風呂」て掛札が下がっているドア、広い茶の間。

自分のところ―――いや、普通の旗艦は簡易ベッドに、シャワー(※ジムとかで見れるコインシャワー位の狭さ)、後は4人ぐらいで囲んで話し合う位の大きさしか無いテーブルとパイプ椅子。

 

この格差に愕然とする一方、この構造を立案、実行した者―――十中八九そこの提督の所の明石だろうが。そいつに「思い切ったことをしたな」と感心した。

 

――――スペースが小さいのだ、操縦席や通信機などで本来だったら大分取っている場所が。

妖精さん達が動かすのに最低限のものしか取り付けていない。他の旗艦にはいざとなったら自分で動かす為の舵輪、逐一戦況報告&指示が出来る充実した通信設備、そして作戦立案&指示する為の大型モニター(※妖精さん製)等々。

それらが此処にはないor最低限のもの(※妖精さん達が扱うには十分だが、提督自身が指揮官として何かする為のものが無い。)しか取り付けてない。

 

全部が全部全く同じというわけではないにしろ、少なくとも此処まで艦娘と妖精さん頼み―――良く言えば信頼の証、悪く……ではなく率直に言ってしまえばただの丸投げだ。

 

「お前は大人しく椅子に座っとけ」と言われているようなもので、それは指揮官としての才能が無いと判断されたと同義。艦むす、妖精さんたちから舐められている―――――と、いうわけではない。

確かに指揮官としての仕事を新人提督に求めていないのは間違いないだろう。

だがしかし、この新人さんと艦娘達の関係が上手くいっていないかというとそれは違うように思える。

 

というのも、どうでもいいと思われてたらもっと適当にするはずだからだ。それどころか、もう改装工事などせず当初作られたものをまんま出せばいい。

 

艦内をみた時一番目についたのはキッチンだ。

自分の所なんて、カップ麺のお湯を沸かす用の小さいガスコンロしかないのに、此処にはご立派な料理ができる位には設備が整っている(※流石にレストランのキッチン程スペースは取っていないが……)。これから推測するに、新人君は料理好き、もしくは前職がコックだったのではないだろうか?どっちでも良いが、此処で重要なことは此処の設備はこの新人君のためだけに改装されたということだ。

 

他にも奥の方に見える風呂場。

 

 

「ほ~!中々良いんじゃないの~!」

 

 

と、サタデー提督は下手なリアクションしながらドアを少し開けて覗いてみる。

 

……予想していた浴槽より良かったんだが?ま、まあ良い。と自分の所と思わず比べて泣きそうになったが、これで確信できた。

この新人提督は艦娘たちから嫌われていない―――いや、寧ろ好かれているのだろう。まだ3日目だというのに良好な関係を築いているのがこれで分かった。

 

 

「(嫌いな相手のために、此処までそいつの事を考えて改装できるはずがねえし……。それに―――)」

 

 

チラッと、新人君と彼が連れている艦娘達―――川内三姉妹を見る。

 

 

 

「じゃあ、川内。私はサタデー提督と叢雲さんに出す茶請け準備するから、飲み物の方をお願い。」

 

「コーヒーで良い?」

 

「……そう言えば明石から良い豆貰っていたな。うん、じゃあコーヒーお願い。器具はそこの棚にあるから。」

 

「はーい。」

 

「提督~。那珂ちゃんもなにか手伝おうっか?」

 

「じゃあ、お客さん達の相手をお願い。あと、10分位で焼き上がるからそれまでね。」

 

「余裕、余裕!那珂ちゃんにまっかせて!」

 

「提督。私は何を?」

 

「……那珂ちゃんが滑ったりしたときのフォローをお願い(小声」

 

「クスッ。……はい、了解しました。」

 

 

 

―――3日だ。

着任してからまだ3日。しかし、新人提督とその艦娘達の関係は良好であった。

一年経ってもただの指揮官とその部下なドライな関係をしている提督も多々いる中でこれは素直に凄いと思えた。

 

 

「(同期の天才くんに比べれば、と上の奴らが比較対象に見てたが……。こいつはこいつで当たりかもしれんな……。)」

 

 

少なくとも、彼の艦娘たちから見れば十分当たりであろう。

 

 

「(少なくともこいつの艦娘達のモチベは十分で、それを維持できているのはこいつのおかげだ。―――よし、決めたぜ。こいつらにも俺達の今日の仕事を手伝って貰おう。)」

 

 

そう心のなかで決めたサタデー提督は、川内が飲み物を持ってくる間に、仕事を手伝ってもらった時の報酬をどうしようか考えることにしたのであった。――――勿論もし依頼を受けてくれたら、これからの期待分を込めて報酬に色を出すつもりである。

 

――――ただ、懸念すべきことは「話聞くだけで断られる可能性が十分にある」様な仕事内容だということであった。

……別に悪いことではない。寧ろ人々を海の脅威から守る大事な仕事内容には違いない。ただ、凄くしょうもないというか情けないというか、そんな仕事内容なのだが、それは後で分かることだろう。


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