東方死線華   作:マスターBT

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七夕なので書きました!(え、遅刻?知らない子ですね)

本当はもっと書きたかったけど時間に間に合いそうもなかったので(そもそも間に合ってない)


天に願いを想いを相手へ

「そう言えば今日は七夕らしいですよ」

 

 殺し合いの跡を片付け一息吐いていると華扇さんが空を見上げて話す。七夕…確か、一年に一度織姫と彦星が出会う日だったか。余り興味がないから正しいかよく分からないが。

 それを告げると華扇さんは呆れた様な驚いた様な笑みを浮かべ口を開く。

 

「出会うまでは働き者であった織姫と彦星の物語です。二人はお互いを一目見て恋に落ちました。

ですが、余りにもお互いの事しか考えられず働き者であった筈の二人は仕事をサボり遊ぶ様になってしまった。

結果、神は怒り二人は天の川の東と西に別れ暮らすよう命じたのです。まぁ、神といえど娘は可愛かったのでしょうね。織姫の為に一年に一度会う事は認めたのが七夕伝説です。人々互いを愛しているのに一年に一度しか会えない二人を可哀想と思ったり、願いが叶う日として自分の願い事を短冊に書いたりと、それぞれの過ごし方をする日でもありますね」

 

「なるほど。ただの星々に人はそこまでの物語を作れるのですね」

 

「雫って、風情がないとか言われない?」

 

 私の言葉を聞いて華扇さんが首を傾げる。

 風情がない。確かにその辺を理解している事は余りないですね。

 

「仕事漬けでしたし、心揺さぶられるのは華扇さんとの殺し合いぐらいには、無感動な感性ですので。 

それでその七夕がなんなのですか?」

 

「一年に一度しか会えないのを人は悲しむのですよ?

私達は雫の仕事次第ですが、最高で百年に一度。私達の方が頻度少ないですよね」

 

 微笑み天を見上げる華扇さん。彼女の視線の先には天の川が輝いている。

 私は時間の流れを特には感じない。活動していく上で必ず消えていくのが時間だから。

 だから、その時間の流れを大切にする人の感性は知識で知っていても理解は出来ない。故に今、華扇さんが私に何を伝えようとしているのか分からないが、それでも沈黙を選択する訳にはいかない。

 

「つまり、華扇さんは私ともっと会いたいという事ですか?」

 

「ふぇ!?……え、えーと…は、はい。そうですね。

会いたくないと言えば嘘になります。貴方と一緒に過ごすのは悪くないと思ってますし、もっと貴方のことを知りたいと思ってますから」

 

 顔を赤くしながらはっきりと答える華扇さん。

 

「そ、そうですか。私も貴女と過ごすのは心地よいと思っています。時々、心臓が煩くなるのが気がかりですが」

 

 こうして告げている今も心臓が煩い。なんとなく恥ずかしくなり私も上を見る。

 もし、織姫と彦星がいれば今出会っているのだろうか。私らしくないそんな事を考えた事に気がつき思わず笑う。

 

「…多分これは天然で言ってる…思った事をそのまま口に出しただけで深い意味はない……雫はそういう死神だから…」

 

「華扇さん?」

 

 何か自分に言い聞かせるように呟いている華扇さん。

 華扇さんは私と違って本当に表情がよく動く。甘味処で団子を食べている時、私と殺し合いをしている時、意味もない雑談をしている時、その時々で色んな表情を私に見せてくれる。

 もし、私が彦星で華扇さんが織姫だったら私は仕事が出来るだろうか。

 

「……無理ですね」

 

「何がですか?」

 

「今ふと、私が彦星で華扇さんが織姫だったらと考えたのですが」

 

 私がそう言うとビクッと身体を動かす華扇さん。寒いのだろうか?いや、今の季節はそんな季節じゃないしそもそもこの場所は華扇さんの力で基本的に過ごしやすくなる様に調整される。

 だから、寒いというのはあり得ない。あり得ないが、もし寒いと感じていたなら大変だ。

 上着を脱ぎ、華扇さんへ着せる。

 

「寒いのならどうぞ」

 

「う、あ、ありがとうございます…」

 

 顔を赤くしたまま俯いた華扇さん。

 体調でも悪いのだろうか?いや、そんな感じではなかったし華扇さんの屋敷ですし無理なら彼女自身で戻るだろう。

 

「…それでどう考えたのですか?」

 

 話の続きを求めてくる華扇さん。ふむ、彼女が求めてくるなら大丈夫だろう。

 

「無理はしないでくださいね。それで、続きですが私も同じ運命を辿りそうと思ったのですよ。

きっと、私が彦星なら華扇さんのコロコロと変わる表情を見たくて、色んな事を考えたり一緒に甘味を食べに行ったりおそらく頭の中が華扇さんで一杯になる気がします」

 

 仕事を全くやらないという事はないだろうが、今のままでいられるかと問われれば無理だろう。

 華扇さんとそういう関係になれば恐らく優先順位は入れ替わると確信する。さっき聞いた七夕の話に思考が引きずられているのかもしれないが、殺し合いをしている時に華扇さんしか見えてないのが常時続くとするなら、優先順位は切り替わる。

 

「雫……恥ずかしいこと言ってる自覚ある?」

 

 華扇さんに言われ、自分の発言を振り返る。

 

「…………あ」

 

 今言った事はつまり、遠回しに華扇さんへ告白をした様なものだ。

 考えなくても分かる。勝手に織姫と彦星に当て嵌め考え、挙句同じようになると宣言したんだ。もう好きだと言ってる様なものだろう。

 

「あ、あくまで想定ですから!?そう!織姫と彦星にはて嵌めたから引きずられただけですから!」

 

 慌てて言葉を紡ぐ。すると、華扇さんに引っ張られる。

 いきなりの事で対処できずそのまま倒される。目の前に華扇さんの真っ赤な顔で一杯になる。

 か、華扇さん?

 

「…………本当に想定ですか?私は魅力ないですか?」

 

 羞恥心か顔を赤くし涙目の華扇さんと目が合う。

 何かを訴えてる様で欲しているその目に私は言葉を失う。

 

「実は…先ほど、私が言いたかったのは雫が考えた通りで、貴方が彦星ならどうしましたか?って聞きたかったんです。

七夕の伝承を知った時は私も貴方と一緒で特に何も思いませんでした。ただ、今日人里で子供達が七夕の話をしてるときに、彦星と織姫を可哀想と。恋というものに憧れてる幼子の言葉でしたが、それで私も考えてみたんです」

 

 ジッと私を見つめ、両手を私の顔の横に置く華扇さん。その言葉、その目はどんどん熱を帯びていく。

 

「…私は仙人ですから大丈夫だと考えました。だから貴方ならどうなのかと思ったんです。

でも、私の想定は自分が織姫と言うだけで相手である彦星に関しては何も考えていなかった。だから、貴方が私を織姫に想定したと聞いて」

 

 グッと顔を近づけて、耳元で華扇さんは囁く。

 

「すごく、嬉しいと感じたんですよ。貴方が私をそういう相手として意識してくれてる様で」

 

 耳元で囁かれる感覚にこそばゆさを覚える。ますます、華扇さんから目を離せなくなる。

 

「もっと貴方と話したい。もっと貴方と一緒の時間を過ごしたい。

私の気持ちはまだ、貴方が珍しい死神だから惹かれているのか、貴方が好きだから惹かれているのか、殺し合いの高揚感を引き継いでいるものなのか分かりません。でも、そうですね」

 

 片手で私の頬を包む。熱に浮かされたその瞳で私を射抜く。

 何故だろう。この体勢も華扇さんのこの手も振り払おうと思えば簡単に出来る。だが、今はそれをしたくない。

 このまま華扇さんのやりたい様にさせようという気が起きてくる。

 

「この感情が好きというモノだとしたら」

 

 華扇さんは私をゆっくり見た後、私の首元へ口へと近づける。

 ゆっくりと口を開きそのまま、華扇さんは私の首元へ……

 

「ンンッ!迎えは邪魔でしたか?」

 

「「ッッ!?」」

 

 聴き慣れた上司の声に驚き、私も華扇さんも距離を開ける。

 慌てて視線を向けた先には予想通り四季様が顔を赤くし私達を見ていた。普段、余程のことがない限り外に出ない四季様がここに居るという事は何か大切な連絡か用事があったのかもしれない。慌てて傅き、四季様に頭を下げる。

 

「お手を煩わせて申し訳ありません。何か緊急の連絡でしょうか?」

 

「よくあの状態からその態度を作れますね…尊敬します。

賢者から聞きましたが、幻想郷の為に戦う契約をしたそうですね。念のため事前に話を通しておいて良かったというもの。

我々、地獄は貴方を幻想郷管轄の死神として現地に留まることを許可します」

 

「分かりました。その任、心して引き受けます」

 

 どうやら私と幻想郷の縁はまた強くなった様だ。

 四季様自ら伝えに来た事から、本当に地獄の総意なのだろう。

 

「…それでその、邪魔をしました?」

 

「大丈夫よ。雫をしばらく借りましたしお返ししますよ。今日、頼んだ事は終わりましたから」

 

 私の返事より早く華扇さんが答える。

 何故かその態度にどことなくモヤっとした感覚を感じる。

 

「そうですか?では、今日は手続きとかもあるので戻ってきてくれるとありがたいのですが」

 

「分かりました。華扇さんも言っていた通りですので」

 

 視線を華扇さんへ合わせる。さっきの熱が嘘の様に引いた様子を見ながら、口を開く。

 俺はされたままというのは好きではない。

 

「華扇さん」

 

「なんでしょうか?」

 

「今度からもう少し会える時間が増えると思います。

私も自分の感情を定めます。その時は、覚悟しろよ?どうであれ殺し合いを止める事はないが、必ずお前を手に入れる」

 

 ニッと笑みを浮かべ宣言する。俺の気持ちが華扇を好きだというモノだとしても死神としての使命は捨てない。

 彦星の様に俺はならない。自らの役目を果たしその上で華扇を愛そう。

 

「……望むところです。私もこの命もそう簡単に手に入ると思わない事です」

 

 返す様に笑みを浮かべる華扇。あぁ、心配する事はない。

 どうであれ俺と華扇は殺し合いを止める事はない。それもお互いにとって必要不可欠な行為なのだから。

 …こんなにも戦いに酔っている織姫と彦星も嫌なものだと華扇を見ながら思った。

 




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