地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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同盟国防衛戦

 

地球防衛軍はボラー連邦との開戦後、同盟国である銀河連合の各国に防衛用の艦隊を派遣していた。その内容は1国につき1個主力艦隊である。またそれとは別に各国を巡回する第1遠距離遊撃打撃艦隊が存在していた。そしてこのゼークト王国にも防衛軍主力艦隊が派遣されていた。

 

その艦隊は第十九主力艦隊であり、司令官は竜野 龍中将が務めていた。艦隊陣容は旗艦アナンケ級ワルキューレを筆頭にドレッドノート級6、マゼラン級4、エンケラドゥス級6、サラミス級8、レパント級6、フレッチャー級16という防衛艦隊にとってはごく普通の主力艦隊の編成である。

 

この第十九主力艦隊の派遣目的は同盟国の防衛が第一であるが第二の任務としてゼークト王国艦隊の訓練もあった。ゼークト王国は地球連邦から多くの艦艇を輸入しておりそれらの艦艇を使いこなせるようになる為の訓練を第十九主力艦隊が受け持っていた。そしてこの日もまた第十九主力艦隊と合同でゼークト王国の宇宙艦隊マゼラン級10、サラミス級25、レパント級30が訓練をしていた。

 

 

「大分上達してきたな」

 

第十九主力艦隊旗艦アナンケ級ワルキューレの艦橋からゼークト王国宇宙艦隊の訓練様子を見ていた竜野中将はそう呟いた。その呟きが聞こえていたのか副官が「そうですな」と同意する意見を口にした。この時、ゼークト王国は銀河連合の一員としてボラー連邦に宣戦布告していたがまだ平和であった。

 

しかしその平和を脅かす存在が迫りつつあった、そうボラー連邦軍である。ボラー連邦軍は開戦初期に銀河連合参加国のどれかを奇襲しボラー連邦の版図に加えることで銀河連合の瓦解もしくは地球連邦への不信感が芽生えさせる事を狙っていた。

 

だがその目論見は開戦直後の地球連邦やガルマン・ガミラスの相次ぐ攻撃で消え去った。だがボラー連邦軍上層部は諦めておらず、奇襲ではなく強襲を行う方向で作戦を変更していた。そしてこの強襲のターゲットに選ばれたのがゼークト国であった。

ゼークト王国は地球連邦との接触により漸くワープ技術を取得した為、本格的な星間戦争をしていなかった。これにより容易く勝てると思われターゲットにされたのであった。

 

2205年4月25日、この強襲作戦実施に伴いボラー連邦軍上層部はゼークト王国侵攻の為に第10、11打撃艦隊が派遣された。

 

そしてボラー連邦が派遣した2個打撃艦隊は順調にゼークト王国のあるダイダラス星系に接近していた。しかしゼークト王国の哨戒艦隊が星系に接近しつつあるこの2個打撃艦隊を発見したのであった。

 

 

2205年4月30日 ゼークト王国第3哨戒艦隊

 

この日、レパント級4隻からなるゼークト王国第3哨戒艦隊はダイダラス星系に接近するボラー連邦軍を捕捉した。

 

 

第3哨戒艦隊旗艦レパント級グエルプ

 

「レーダーに反応あり、ボラー連邦艦隊です!真っ直ぐダイダラス星系に進んでいます」

「全艦直ちに現宙域より離脱。司令部と地球艦隊に連絡だ。急げ!」

 

第3哨戒艦隊司令は直ちにボラー連邦艦隊接近の報告を打電を命令し宙域より艦隊は離脱したのであった。

 

 

第十九主力艦隊旗艦ワルキューレ

 

「ボラー艦隊だと!」

「はい。ゼークト王国の第3哨戒艦隊が捕捉しました。数は500隻、2個打撃艦隊かと思われます」

「よし、直ちに星系外縁で迎撃する。訓練は中止、第十九主力艦隊全艦は直ちに発進。それと第一遠距離遊撃打撃艦隊に救援要請だ」

 

竜野中将は訓練を即中止にすると迎撃のために艦隊を率いて星系外縁に向かった。

それから数時間後、第十九主力艦隊はあまり時間を掛けずに星系外縁部に展開した。そして第十九主力艦隊の後衛には合同訓練をしていたゼークト王国宇宙艦隊が後詰めとして展開した。

 

一方、ボラー連邦艦隊は第十九主力艦隊が展開を終えた直後に星系外縁に姿を表した。

 

第十九主力艦隊旗艦ワルキューレ

 

「レーダーに反応あり。ボラー艦隊を捉えました」

「先制攻撃を仕掛ける。全艦、波動砲発射用意」

「了解、全艦波動砲発射用意」

 

竜野中将は波動砲発射用意を命令した。この命令を受け、艦隊は波動砲発射体形へと移り、ドレッドノート級とエンケラドゥス級は波動砲のエネルギーチャージを始める。そして数分後には第十九主力艦隊はボラー艦隊を拡散波動砲の射程に捉えた。

 

「ボラー艦隊、拡散波動砲の射程に入りました!」

「よぉし。全艦拡散波動砲発射!」

 

竜野中将がそう命令を下した瞬間、ドレッドノート級6、エンケラドゥス級6の艦首が強く光り拡散波動砲は撃ちだされた。

発射された拡散波動砲はボラー艦隊直前で拡散すると無数のボラー艦をそのエネルギーの濁流に飲み込んだ。

 

「拡散波動砲効果あり。ボラー艦隊に大打撃を与えました。しかしボラー艦隊以前進撃してきます」

「全艦砲雷撃戦用意。一隻もここを通すな」

 

戦果と状況報告を聞いた竜野中将は力を込めてそう言った。そして数分後にボラー艦隊は第十九主力艦隊の射程に入った。

 

「ボラー艦隊射程に入りました」

「全艦、攻撃始め」

 

攻撃始めの命令が全艦に伝えられ、第十九主力艦隊の各艦の主砲からは次々とショックカノンが撃ちだされた。この時のボラー艦隊の戦力は200隻、数での差は圧倒的に不利であったが第十九主力艦隊の各艦は怯まずに砲撃を開始した。

各艦から撃ちだされたショックカノンはボラー艦隊目掛けて一直線に飛び、ボラー艦隊に次々命中しボラー艦を撃沈していった。しかしボラー艦隊は第十九主力艦隊の猛攻撃に臆することなく進撃し、第十九主力艦隊が射程に入ると果敢に反撃の砲撃を開始した。これに対して第十九主力艦隊は波動防壁弾の使用やビームかく乱幕を展開すると同時にミサイルや亜空間魚雷でも攻撃を始めた。これによりボラー艦隊の損害は更に増えていくことになる。しかしこれは第十九主力艦隊にも同じことが言えた。

 

 

第十九主力艦隊旗艦ワルキューレ

 

「敵艦隊進行速度緩めず」

「戦艦ハプスブルク被弾しました。なお戦闘に支障は無しとのこと」

「わかった」

 

報告を聞いた竜野中将は苦い表情を浮かべた。戦闘は第十九主力艦隊が有利に進めていたがボラー艦隊が近づくにつれ第十九主力艦隊にも被害が出始めていた。

 

戦線にとどまっている艦でも既にサラミス級ジャマイカとエンケラドゥス級ピラウが命中弾を受け、フレッチャー級ワドレー、ノーマン・スコット、マーツ、キャラハン、カッシン・ヤング、レパント級アリントンキャッスル、アニック・キャッスル、アンバリー・キャッスルが被弾し後退していた。また先程ドレッドノート級ハプスブルクも被弾し損害が出ていた。更に損傷艦が相次ぎ艦隊陣形も乱れつつあった。そしてこの徐々に押されている状況に対して竜野中将が悩んでいた時、突如ボラー艦隊が側面より猛砲撃を受けたのである。

 

「ボラー艦隊側面に新たな艦隊出現。これは友軍です!第一遠距離遊撃打撃艦隊です」

「来たか」

 

レーダー手からの第一遠距離遊撃打撃艦隊来援の報告を聞いた竜野中将は安堵の表情を浮かべた。

ダイダラス星系に急行し、ボラー艦隊側面にワープアウトした第一遠距離遊撃打撃艦隊はボラー艦隊に対して猛砲撃を加えていた。

 

 

第一遠距離遊撃打撃艦隊旗艦デア・アウローラ

 

「主砲冷静に狙え。残っている敵の数そう多くないぞ」

 

司令席に座る速水中将は冷静に指示を出していた。

一方、側面より奇襲を受ける形になったボラー艦隊は大混乱に陥っていた。ボラー連邦の主力艦、特にA型戦艦とB型戦艦の前期生産型はその設計上、側面からの攻撃に対する反撃手段が乏しいのである。そしてボラー艦隊に更なる悲劇が襲い掛かる。

 

第一遠距離遊撃打撃艦隊の攻撃によりボラー連邦艦隊から第十九主力艦隊への攻撃が弱まった為、その間に第十九主力艦隊は体制を立て直し、後詰めとして展開していたゼークト王国艦隊と全面反撃に出たのである。

これによりボラー艦隊は前方と側面から猛攻撃を受ける形となり、必死に抵抗したものの第十九主力艦隊とゼークト王国艦隊の反撃開始から15分後には全滅した。またこの反撃時にゼークト王国艦隊も大きな活躍をし、第十九主力艦隊や第一遠距離遊撃打撃艦隊に対してこれまでの猛訓練の成果を見せつけていた。

 

そしてこのダイダラス星系外縁部における戦闘は地球連邦・ゼークト王国連合艦隊の勝利という結果になった。ボラー連邦艦隊は2個打撃艦隊500隻を失い大きな損失を受けた。

 

一方、地球・ゼークト王国連合艦隊の損害は第十九主力艦隊のドレッドノート級ハプスブルク中破、マゼラン級キング・アルフレッド小破、サラミス級ジャマイカ小破、エンケラドゥス級ピラウ小破、駆逐艦、フリゲート計12隻の小中破であった。第一遠距離遊撃打撃艦隊とゼークト王国艦隊の損害は無かった。

 

この戦闘により地球防衛軍はゼークト王国を無事に防衛しボラー連邦の銀河連合の瓦解という目的を砕いた。そしてゼークト王国宇宙艦隊はこの勝利により大きな自信をつけることになる。

 

 

奇しくもこの日は北部戦線にてドメル艦隊が暴れ出した日でもあった。

 

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