地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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脱出者

各戦線が激戦を繰り広げている頃、ガルマン・ガミラス帝国と地球連邦は戦線とは離れた地域、主にガルマン・ガミラス帝国領南部を中心に領土拡大合戦を繰り広げていた。

 

そもそもなぜ両国はボラー連邦相手に戦争を繰り広げながら領土拡大合戦を繰り広げているのか、それは戦争遂行能力維持の為であった。

戦争遂行に当たり両国は資源の獲得と新たな惑星開拓による経済力拡大の為、新たなる領土を必要としていたのである。地球の場合は更に過去の戦争の事もあり人類生存領域拡大を大々的に掲げ領土拡張をしていた。

 

この領土拡大合戦では地球連邦はガトランティス帝国からの亡命者で組織された部隊を使い順調に領土を広げていた。

 

本国艦隊第十二特務艦隊、ナスカ級1、ラスコー級1、ククルカン級3からなるこの艦隊も例外ではなく領土拡大合戦に派遣されており順調に任務を進めていた。だがある日、第十二特務艦隊は不審な電波を受信することになった。

 

「不審な電波だと!?」

 

ナスカ級ラスカに乗艦していた艦隊司令は驚いた声を出した。

 

「はい。間違いありません。ですが少なくとも我々の知っている電波ではありません。ただ微妙にガトランティス軍の電波にも似ていますが」

「そうか。だがガトランティスの正規軍は少なくともホイホイ電波は出さんぞ。とりあえず現場に向かう。司令部にも伝えておけ」

 

司令がそう言うと艦橋は俄かに慌ただしくなった。

 

 

 

それから暫くして艦隊は思わぬ光景を目撃した。

 

「司令あれは」

 

双眼鏡を覗きながら艦橋要員の一人が司令に話しかける。

 

「分かっている。見間違いじゃなきゃガトランティスの艦艇だ。カラクルム級も居る」

 

司令も双眼鏡を覗きつつ言った。そして続けた。

 

「だが、カラーリングが違うし輸送船らしき船も多数居る。それに黒煙を出している船も居る。おまけに発艦させたコスモタイガーに攻撃する様子がない。明らかに様子がおかしい。最近急増しているガトランティスからの脱出部隊かもしれん、接触するぞ。司令部にも打電だ」

 

司令がそう言うと艦隊は戦闘態勢を取りつつ接近した。

 

第十二特務艦隊が所属不明の艦隊に近づくとその全容が明らかになった。

 

「カラクルム級5、ナスカ級2、ラスコー級5、ククルカン級12その他の輸送船などが41か」

 

レーダーと見張り員からの情報を受け取った司令は頭を悩ましていた。

 

「しかもこれは健全な艦艇で損傷している艦艇が他にカラクルム級3、ラスコー級2、ククルカン級14、輸送船4、一体何に襲われたんだ?」

 

司令がそう呟きながら頭を掻いていると所属不明艦隊の代表がやって来た。

 

「司令、向こうの代表がご到着です」

「了解した」

 

司令がそう言うと代表が艦橋に入ってきた。

 

「初めまして。地球防衛艦隊第十二特務艦隊司令のベム・ラングです」

「初めまして。私はケイ・ハスクです。あの脱出艦隊の代表です」

 

二人がそう挨拶をした時、レーダー員が報告を上げた。

 

「司令、ワープアウト反応です」

 

レーダー員がそう言うと司令が反応するより先にハスクが反応した。

 

「奴らか!?」

 

ハスクのその反応を見て司令は少し驚いたが直ぐに安心の報告が上がった。

 

「艦隊後方に多数のワープアウト、識別地球防衛艦隊ロンド・ベル隊です」

「そうか。大丈夫です。味方ですよ、ハスクさん」

 

報告を聞いた司令はそうハスクに言うとハスクも安堵の表情を浮かべた。

 

この時ワープアウトしたのはロンド・ベル隊のアイリッシュ、ラーディシュ、スタウト、クークスタウン、サラミス級6であった。なおスタウトとクークスタウンは他国に輸出されているアイリッシュ級機動戦艦であり防衛艦隊で唯一ロンド・ベル隊にも配備されていた。

 

そしてロンド・ベル隊の司令官ヘンケン大佐もラスカの艦橋に直ぐにやって来た

 

それからラスカ艦内で話し合いと状況の整理が行われ、ようやく状況が分かった。

 

まず脱出艦隊の詳細だが白色彗星消滅後、指導部を失ったガトランティスでは内紛が続いていたが、ガトランティス本国が勢力を回復させつつあり、この脱出艦隊は一時独立に成功したがガトランティス本国に再征服されつつあった幾つかの国家がせめて科学者だけでも脱出させようということで命からがらアンドロメダ星雲から脱出した艦隊であった。ここまでは前例が幾つもあるので地球連邦側は驚くことでなかった。

そしてアンドロメダ星雲から脱出したこの艦隊は白色彗星を撃破した地球連邦を目指し、天の川銀河に到着し、地球を目指していたところを赤い塗装の艦艇に攻撃されたとのことであった。

 

「兎に角ここにいては危険だ、地球の勢力圏へ行きましょう。航行不能な損傷艦は曳航します」

 

ロンド・ベル隊の司令を務めていたヘンケン大佐はそう言った。

ラング司令もそれに同調した。

 

そして曳航準備に取り掛かった時に敵は現れた。

 

戦艦アイリッシュ

 

「左舷に艦隊出現数15!」

「全艦戦闘配置!」

 

艦隊左舷に展開していたマゼラン級アイリッシュではマニティ・マンデナ艦長がすかさず命令を出していた。

 

「旗艦ラーディシュより入電、相手が撃つまで攻撃は禁止、また敵艦は脱出艦隊を襲った艦艇とのこと」

「了解。波動防壁展開及び波動防壁弾は直ちに撃てるようにして」

「了解しました」

 

こうして命令が飛び交う中で所属不明艦は発砲した。

 

「敵艦、発砲!」

「直ちに反撃!波動防壁弾発射!」

「ラーディシュ主砲発砲!」

 

次の瞬間アイリッシュの主砲もラーディシュに続き発砲し後続艦や第十二特務艦隊も発砲、更に脱出艦隊の各艦も続くように発砲した。

 

 

戦闘は一瞬だった。敵艦が放った砲撃は波動防壁弾によって防がれ、逆にラーディシュなどの砲撃は敵艦に命中しこれを撃沈したのであった。

 

 

旗艦マゼラン級ラーディシュ

 

「敵艦全滅しました」

「どうやらかなり軽装甲のようです」

 

オペレーターが報告を挙げるとヘンケンは直ちに命令を出した。

 

「了解した。全艦直ちに離脱準備に掛かれ。また敵が来るかもしれん」

「了解、曳航の準備作業を再開します」

 

 

 

この日ロンド・ベル隊及び第十二特務艦隊は正体不明の敵艦と遭遇し攻撃を受けたためこれを全艦撃沈しガトランティスからの脱出艦隊の救援に成功した。そして数日後にこの部隊は地球連邦の勢力圏に無事に到着したのであった。

 

 

一方、この戦闘報告を受けた総長は険しい表情を浮かべ、転生者達による緊急会合を開いたのであった。

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