天の川銀河で多数の国家が激しく死闘を繰り広げている中、地球とガミラス星の中間地点にあるバラン星で地球連邦、ガミラス共和国、ガルマン・ガミラス帝国の三ヵ国の代表団が集まり何度目かの会合を開いた。
会合の内容はガミラス共和国のガルマン・ガミラス帝国への合流に伴う大小マゼラン銀河からの撤退により発生する勢力再編についてであった。
そしてこの会合で勢力再編についての決まりが最終決定した。
まず大小マゼラン銀河のガミラス共和国の領土については大部分はガルマン・ガミラス帝国に引き継がれるものの、ガミラス共和国からの独立を希望する国家については独立することになり、その独立した国家は昨今の星間国家情勢を鑑みてマゼラン銀河国家連合として国家連合を形成、銀河連合にはオブザーバーとして参加することになった。またサレザー恒星系はガルマン・ガミラス帝国及び地球連邦の共同守備宙域となった。これはイスカンダルが存在する為である。
最後に地球連邦だが、地球連邦はガミラス共和国から幾つかの資源惑星を譲渡されており、地球連邦も大マゼラン銀河に権益を持っていた。その為、勿論地球連邦にも分け前があり、元々の資源惑星と追加で幾つかの資源惑星などが譲渡されたが、今回の会合では更なる惑星が付いてきた。それがノルド大管区である。
現在はかなり復興が進んでいるが、ノルド大管区は属州惑星オルタリアなどが旧親衛隊の横暴によって大打撃を受け、そこに住んでいたオルタリア人の人口は現在、最盛期の3割にまで減っていた。そしてデスラー体制崩壊による大ガミラス帝国崩壊後は独立運動があったが、独立した場合自力での国家運営能力不足ということもあり独立は出来ていなかった。だが独立が国力の面で力不足だとわかるとノルド大管区は地球連邦への併合を求め始めた。このためガミラス共和国とノルド大管区は地球連邦と大小マゼラン銀河の勢力再編に伴い幾度となく意見交換を行いノルド大管区の地球連邦への併合が決定されていた。
この勢力再編については2204年末から協議されており漸くその協議がまとまったのである。そしてこの勢力再編については協議場所がバラン星であることからバラン合意と呼ばれるものになった。
このバラン合意に基づいて各国は勢力再編の為に動き出した。
この合意の一番の当事者であるガミラス共和国はガルマン・ガミラス帝国への移民政策の加速及びボラー連邦との戦争を行いつつ、新たに大小マゼラン銀河に誕生するマゼラン銀河国家連合の結成の為に独立予定の国家に艦艇譲渡などの軍事支援や様々な独立支援を行っていた。これらを同時並行で進められるのは全盛期から多少衰えたとはいえガミラス共和国が大小マゼラン銀河を支配する超大国であることを示していた。
次にガルマン・ガミラス帝国だがこちらは統治を引き継ぐだけの為、特に大きな動きはなった。
一方の地球連邦だがこちらは大忙しであった。まず譲渡された資源惑星については大きな問題は無かったのだが、マゼラン銀河方面の拠点が必要なため、惑星レプタポーダに拠点を建設し始めていた。またそれに合わせて地球連邦に併合が決まったノルド大管区の惑星の併合準備や併合に合わせて地球防衛軍に吸収されるオルタリア人などが運用していた艦艇の防衛軍との装備共通化が急ピッチで行われていた。
この装備の共通化だが、ノルド大管区の併合決定時に地球連邦がガミラス共和国のノルド大管区の人々が操艦する艦艇を購入しており、それらの艦艇の装備の換装がメインだった。因みになぜ地球連邦が艦艇を購入したのかだが、これは単純に地球連邦側が防衛艦隊や同盟国向けの艦艇建造で忙しく、ノルド大管区の人々が操艦する艦艇を短期間で置き換えるのが不可能だったからである。
そして急ピッチで行われている装備共通化では各艦艇の主砲の換装と機関の波動エンジン化がメインで行われていた。例えばデストリア級であれば主砲をエンケラドゥス級の3連装砲と同型の物に換装、対空パルスレーザーの増設がされていた。
こうしてガミラス製の艦艇に地球連邦の武装を装備していく中、地球防衛軍でも大きな動きがあった。
統括司令部にある総長室にはヤマト型が機関の換装などの近代化改修の為にドック入りしているため暇を持て余していた古代守が呼び出されていた。
「急に呼び出してすまないね」
総長はそう言いながら紅茶を差し出した。
守は少し頭を下げると総長に話しかけた。
「今日は一体どういった要件なのでしょうか」
守がそう言うと総長は直ぐに答えた。
「君に新規に編成される艦隊の司令官になってほしいのだよ」
「私がですか」
総長の言葉に守は驚いた表情で言った。
「そうだ。君はバラン合意を知っているかね」
「えぇ勿論知っていますが大きく報道されていましたからね。何か関係があるのでしょうか」
「勿論関係がある。バラン合意によって地球連邦はマゼラン銀河に正式な領土を持つことになった。これに伴い防衛艦隊ではマゼラン方面軍が結成されることになる。それで君にはマゼラン方面軍の中核を担う艦隊である第一戦闘群の司令官になってほしい」
「第一戦闘群ですか。新規の艦隊ですね」
「そうだ。第一戦闘群は本隊と幾つかの分艦隊によって編成される艦隊だ。それで守君にはその司令官を頼みたいのだが。どうかね」
総長はそう言うと真剣な表情で守の方を見た。
「わかりました。その任を受けましょう」
守のその言葉を聞いた総長はホッとした表情を浮かべた。
「わかった。よろしく頼むよ。既に艦隊の準備は出来ている。数日以内にゴップ総参謀長が辞令を出すだろうから辞令出たからイゼルローン要塞に向かってくれ。そこが暫くは第一戦闘群の母港だ」
ここで総長が言ったイゼルローン要塞はシリウス星系とプロキオン星系の中間にある惑星型の要塞であの銀河英雄伝説に登場する要塞である。現在はイゼルローン要塞と同型として建設されつつあるガイエスブルグ要塞がある。なおガイエスブルグ要塞は完成後にスカラゲック海峡星団に配置される予定である。
閑話休題
「イゼルローン要塞が母港ですか。了解いたしました」
「そうだ。ただ暫くはイゼルローン要塞を母港にボラー連邦との戦闘に投入されるがよろしく頼むよ」
「承知しました」
守はそう言い敬礼をした後総長室を退室した。
それから数日後、守はイゼルローン要塞に到着した。
守がイゼルローン要塞に到着してから暫くしてから第一戦闘群は正式に編成された。
そして第一戦闘群が編成された同日、地球圏にある要塞ア・バオア・クーに一つの艦隊が集結していた。
「不気味な艦隊だねぇ」
モニターに映る艦隊を見ながら基地司令は言った。
「全艦黒色の塗装に殆どが無人艦ですからね。そりゃ不気味ですよ」
丁度コーヒーを持ってきた副官がコーヒーを差し出しつつそう言った。
「なるほどねぇ」
司令はそう言うと受け取ったコーヒーを一口飲んだ。
この日、ア・バオア・クーに集結した艦隊は防衛艦隊の新編成の艦隊であり、黒色機動打撃艦隊と命名されていた。この艦隊は春藍型ネヴァンを旗艦に黒く塗装されたアンドロメダ級4、アンドロメダ級派生型のアマテラスの同型艦モリガン、ハデス ドレッドノート級10、エクスカリバー級20からなる攻撃特化の艦隊であった。
因みに転生者の誰かはこの艦隊を黒色槍騎兵艦隊と呼んでいるらしい。