地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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停滞する戦線

地球連邦が居る連合国陣営とボラー連邦陣営が開戦して2ヶ月と少し近く経った頃、両陣営の戦線は停滞していた。

両陣営とも大規模な艦隊戦力を有しているにも関わらず発生している戦闘は北部戦線の小競り合いであった。これは両軍とも戦力の再編、補充を行っている為である。

一方元気に活動しているのは地球防衛艦隊の通商破壊作戦部隊であった。そしてこの通商破壊作戦は地球防衛艦隊の独壇場でありボラー連邦軍は全く防衛艦隊通商破壊作戦部隊を捕捉できていなかった。

 

 

ボラー連邦本星

 

「ですから何度も言っている通りアルゼ星系奪還の為には戦力が足りません。北部戦線は拮抗状態、他の戦線も現有戦力と属国や我が陣営に属する艦隊で戦線を支えるのが手一杯、船団護衛の為には主力艦隊なり打撃艦隊を解体して艦艇を抽出する必要があるんです。ゴルサコフ総参謀長」

 

ボラー連邦軍宇宙艦隊司令たる人物はモニターに向かって冷静ながら怒りを込めたような声で言った。

 

「それは私もベムラーゼ首相も分かっている。首相も司令の要望には理解を示しておられる。現在急ピッチで艦艇建造を行わせている。すまないが今少し辛抱して欲しい。だが逆に今すぐにでも目に見える戦果も必要なのだよ。親ボラー連邦国家の幾らかは中立の立場を取り沈黙しているし、属国の一部はサボタージュを原因に参戦しないと言っている。この現状を打開する為には地球連邦もしくは銀河連合参加国に手痛い打撃もしくは負けても良いからインパクトのある一撃を与える必要がある。兎に角戦果がいるのだよ。政治的な理由でね」

「ですが巨大な戦果と船団護衛の両立は現状不可能です。船団護衛に回す艦艇は主力艦隊と打撃艦隊等の有力艦隊整備に取られ全く足りませんし船団護衛のノウハウもありません。それに戦果を出すにしても何処を攻撃するのですか。目ぼしい場所は全て銀河連合とガルマン・ガミラス帝国によって重厚な防御がされています。それに艦隊指揮権の問題もあります。外務省がやらかした件は艦隊司令部では重く受け止めていますので無暗に艦隊を消耗したくありません。親衛艦隊を貸していただけるなら話は別ですが」

「なるほど。まず現時点での攻撃地点の候補はアルゼ星系もしくは北部戦線での優勢状態の確立だ。攻略方法は宇宙艦隊司令部で考えてくれたまえ。できないなら後日、熟考の末不可だと報告してくれ。それと親衛艦隊の貸し出しは不可能だ。また艦隊指揮権については今すぐには無理だ。ベムラーゼ首相にもこの後伝えるができれば会議で訴えてくれ。それでは失礼する」

 

ゴルサコフ総参謀長そう言うと通信を切った。

 

「無責任な!」

 

宇宙艦隊司令はそう何も映っていないモニターに向かって吐き捨てた。

少しは宇宙艦隊側に逃げ道を残したとはいえ無謀な要求には間違いなかった。

 

一方、通信を終えたゴルサコフ総参謀長はベムラーゼ首相と話していた。

 

「それで宇宙艦隊司令はなんと言っていた」

「兎に角戦力が足らんとのことです。実際地球軍などの連合国陣営の強さからして現有戦力で攻勢を仕掛けるにしても勝てる見込みが少ないのは事実です。また船団護衛にしても艦艇が無いと言っています。彼曰く船団護衛の為には有力艦隊を解体する必要があるとのことです。これについては私も同意見ではあります。ですので不可能なら不可と言うように伝えておきました。後は艦隊指揮権の問題にも苦言を申しておりました。これも課題の一つです。艦隊指揮権の問題がある限り有力艦隊の解体も宇宙艦隊が望んでも実現できません。この課題は早めに解決するべきかと」

「なるほど。彼の言っていることはおおむね正しいだろう。だが政治的な面が許さん。有力艦隊を解体しての船団護衛など我が国が属国から舐められる可能性がある。だが有力艦隊を解体して船団護衛艦隊を組織することが必要なのも事実だ」

 

ベムラーゼ首相は宇宙艦隊司令の意見に理解を少しだけ示しながらも政治的に許されないことがあると言った。だがこの点についてはベムラーゼ首相も大いに悩んでいた。内心では一部有力艦隊を解体し船団護衛部隊が必要なのは理解していたのだ。

 

「その通りですな」

「まぁ船団護衛などの戦力は全ての新造艦を宇宙艦隊に渡すので、それらの戦力を当てるように宇宙艦隊司令には伝えといてくれ。何時までもグダグダしていても連合国につけ入れられるだけだ。あと攻勢が出来ないのなら嫌がらせの攻撃でも仕掛けるように伝えるのだ」

「わかりました」

「たのんだぞ。あと艦隊指揮権の問題もどうにかしよう。この問題は私にも責任がある。それとゼスパーゼはどうなっている」

「はっ。機動要塞ゼスパーゼは小惑星基地ラウル基地付近に移動完了しました」

「わかった。では本土に居る親衛艦隊の半分をそちらへ移動させておいてくれ」

「了解しました。しかし首相はやはり反体制派の事が気掛かりで」

 

ゴルサコフはそう尋ねた。

 

「あぁそうだ。最近反体制派が勢いづいておる。粛清だけでは追いつかん程だ。だから万が一の際にはラウル基地に移動し徹底抗戦する必要がある」

「なるほど。わかりました万が一の場合に備え準備を進めます」

「頼んだぞ」

 

ベムラーゼ首相にとって勢いづいている反体制派は頭痛の種になっていた。それにより親衛艦隊を意地でも手放したくない状況になっており、この状況によってボラー連邦軍内ではベムラーゼ首相やゴルサコフ総参謀長の派閥と親衛艦隊も使いたい宇宙艦隊司令部の溝が深まりつつあった。しかしベムラーゼ首相も宇宙艦隊司令部への理解を大いに示していた為、決定的な対立には至っていなかった。

またベムラーゼ首相からの「嫌がらせの攻撃でも仕掛けろ」という命令に対して艦隊司令部は「そんな余裕は無い」と反論した。

 

 

 

地球連邦統括司令部

 

「今後の艦隊運用はこれか」

 

総長は防衛艦隊司令長官が持ってきた書類を見ながら言った。

 

「はい。ディンギル帝国に関しては偵察用の次元潜航艦1隻と第六、第七、第八主力艦隊と強襲揚陸艦隊を派遣します。ネース国への増援は第七機動艦隊と第九遊撃艦隊を派遣します。また艦隊には外交官も同乗します。それと次元潜航艦の抽出で減った通商破壊作戦部隊に関しましては新たに就役した次元潜航艦6隻とルナツーで眠っていた例の艦2隻、さらに本国艦隊からビスマルク、ティルピッツ、ドイッチュラント級3隻を投入します」

「わかった。因みに例の艦は万全の状態なんだろうな」

「勿論です。大改修も完了し、武装強化もしています。期待以上の性能は出せるかと」

「わかった」

 

そして総長の返事を聞いた防衛艦隊司令長官は一礼した後に部屋を後にした。

 

 

ルナツー基地

 

ディンギル帝国攻略艦隊の出撃準備で忙しくなっている中、基地の片隅に停泊している艦艇に二人の男が担当者と共に向かっていた。

 

「なんでこんな艦が防衛軍にあるんだ」

 

そう男の一人は担当者に不思議そうに尋ねた。

 

「実はこの艦はガトランティス戦役時に不足する火力と航空戦力の補佐の為に用意されたのですが実戦投入する前に戦争が終わり、その後も新造艦の配備が優先されたのでずっとこの基地で眠っていたのです。ですが整備は万全であり武装も最新鋭の物に換装してあるので今後の通商破壊作戦では何も問題ありませんよ。艦長」

「なるほど、説明ご苦労。では我々は出港準備に入るよ」

 

艦長と呼ばれた男の一人がそう言うと担当者は「はっ」と敬礼しながら言った。

そして二人の男、2隻の艦長はそれぞれ停泊している2隻の艦に乗艦していった。

 

それから数時間後、ルナツー基地から2隻の艦艇が訓練と通商破壊作戦の為に出撃していった。その艦艇はガミラスのゲルバデス級戦闘空母そのものであった。

 

このゲルバデス級戦闘空母は防衛軍がガミラス共和国からガトランティス戦役時に不足する火力と航空機戦力補佐の為に購入したものだったのだが、主砲などの武装換装に時間が掛かり結局ガトランティス戦役には参戦できず、その後も新造艦の建造、就役が優先されたため長きに渡りルナツーの片隅で眠っていたのだが防衛軍に余裕ができた頃に大規模改修がされ、このボラー連邦との戦争に実戦投入されることになったのだ。

 

そして2隻の戦闘空母「アトランティカ」と「パシフィカ」は少しの訓練の後、ボラー連邦領へと向かって行った。また同時刻ソロモン基地からは6隻の次元潜航艦、本国艦隊の本拠地スカパ・フローからはビスマルク、ティルピッツ、ドイッチュラント級3隻、ロンド・ベル隊からは新造のネェル・アーガマ級ガランシェールがボラー連邦領を目指して出撃した。

 

 

 

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改ゲルバデス級戦闘空母(アトランティカ級)

30.6㎝3連装砲4基

20.3㎝3連装砲4基

連装対空パルスレーザー20基

16連装ミサイルランチャー2基(発光部分改装)

6連装ミサイル発射機2基(艦橋後方)

遮蔽式上部砲戦甲板

30.6㎝3連装陽電子衝撃砲2基

20.3㎝3連装陽電子衝撃砲4基

対空パルスレーザー砲32門

遮蔽式下部砲戦甲板

20.3㎝3連装陽電子衝撃砲4基

その他

瞬間物質転送装置2基

艦載機40機

 

 

 

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