太陽系土星衛星タイタン基地
土星の衛星であるタイタンにあるタイタン基地にはディンギル帝国侵攻艦隊が集結しつつあった。
現在タイタン基地には第六主力艦隊、第七主力艦隊、第八主力艦隊が集結し、作戦発動に向けて艦艇整備や武器弾薬の補給を受けていた。
第六主力艦隊旗艦バーミンガム
「ワイアット司令、本作戦において総旗艦はバーミンガムとし指揮官はワイアット司令です」
そう言ってきたのはディンギル帝国侵攻に当たり急遽作戦部から派遣されたマリア・アルマン中佐であった。
この作戦部とはチュン・ウー・チェン大将をトップとした部であり、地球防衛艦隊のみならず地球防衛軍全体の作戦を計画する組織である。
「その件は承諾したが、アルマン中佐はどうするのかね」
「私はバーミンガムに乗艦し作戦指揮の補佐をします。司令の補佐として扱って貰って構いません」
ワイアットとの問いに対しアルマンはそう答えた。
「ふむ、では作戦指揮の補佐を頼むよ。それと揚陸艦とその護衛艦隊はバジウド星系に集結中で間違いないかね」
「はい。現在、アスターテ星系から配置転換した部隊が再編制しつつバジウド星系に集結しつつあります」
アルマンはそう手元の資料を見ながら言った。
「わかった。では艦隊の出撃準備が終われば、艦隊はバジウド星系に向かおう」
ワイアットはそうアルマンに言うと傍らにいた副官のタイレル・フィリプス大佐に各艦の整備・補給状況をまとめて報告するように伝えたのであった。
その頃、防衛艦隊司令長官のカール・J・マンフォード元帥は後方支援・兵站参謀長のアレックス・キャゼルヌ大将と科学技術局長官の真田志郎長官達と会議をしていた。
「新造艦ですがブルーノア級の就役はまだしばらく時間が掛かるでしょう。続いて新型フリゲートですが、松型をベースに若干船体を大きくした艦艇を生産予定です。なお新型フリゲートについては用兵側の要望をほぼ満たすことができており使い勝手はいいと思います。それと以前より要望がありました作戦指揮艦ですが設計が完了しましたので説明致します」
キャゼルヌはそう言うと資料を配布した。
「此方が建造予定のブルーリッジ級作戦指揮艦です。船体はブリストル級の船体を流用しています。武装は15.5 cm3連装砲を艦首2基、艦底部1基、10 cm連装砲を片舷2基の計4基、8連装ミサイル発射管1基、艦首ミサイル発射管4門、艦尾ミサイル発射管2門、3連装対空パルスレーザー12基、艦載機30機、重力子スプレッド弾、電磁パルス砲を予定しており、現在実施予定のディンギル帝国侵攻作戦のような場合に各部隊を統率できるようになっております」
キャゼルヌは配布された資料を見ながら喋った。
「なるほど。やはり建造時期をもう少し早めておくべき艦艇だったな。ボラー連邦戦でも必要な場面は多々出てくるであろうから直ちに予定通り建造を開始してほしい」
マンフォードはそうキャゼルヌに言った。
「了解しました。資材調達も必要ですが建造中のブリストル級を流用して完成を急がせましょう」
そうキャゼルヌが言うとマンフォードは「頼む」と頭を下げて言うと「かしこまりました。建造を急がせます」とキャゼルヌが返答した。そしてキャゼルヌは発言を続けた。
「では続けます。新造艦に戻りますが以前から建造を進めていましたカラマズー級波動直撃砲搭載艦が新たに完成致しました。既に1から5番艦が就役、6から10番艦も近いうちに就役できます。11番艦から20番艦も現在建造中です」
この発言にはマンフォードも笑みを浮かべた。
このカラマズー級波動直撃砲搭載艦はプリンス・オブ・ウェールズ級戦艦をベースに武装はそのままにし、メダルーサ級と同様の物質転送装置を装備した艦である。ただし物資輸送装置は2基ではなく1基であり、波動砲口から艦首下の部分に物質転送装置を搭載しており、波動砲転送時は転送装置から円状の転送エネルギー波が波動砲口から艦首にかけて幾つも発生するようになっていた。
「波動直撃砲ですが弾種は収束のみですが改メダルーサ級の波動直撃砲と同様の威力を持っています」
「それはいいことだ。全艦本国艦隊に配備させてもらおう」
マンフォードがそう言うとキャゼルヌは頷き続けた。
「それとヤマト型3隻ですが機関改装と合わせて武装強化をしているので戦列復帰には今暫く時間が掛かります。如何せん量産型ではないので装備もあまり予備が無く整備には時間が掛かります」
「それは仕方あるまい。むしろどれだけ時間が掛かっても良いから無敵不沈戦艦として戦列復帰できるようにしてくれ。あれは地球の誇りだ」
「かしこまりました。改装班にはそう伝えておきます」
マンフォードの言葉にキャゼルヌそう答えた。
この時点でヤマト型3隻の改装速度は非常にゆっくりとした状態になっていた。如何せん3隻だけの船ということもあり装備の大部分が共通部品でも装甲板は特注品の為、改装に時間が掛かっていたのである。
「よろしく頼む」
マンフォードはそう言うと今度は真田長官に尋ねた。
「真田長官、例の機関の研究はどのような感じかね」
「現在科学技術局の総力を挙げて実現に向けて研究中です。実験艦アイル・オブ・スカイも使用していますので、研究速度も速いです。実現できれば早期の実戦投入も可能でしょう」
「なるほど。承知した。ただ物が物だ。万が一があってはいかんから兎に角、慎重に研究を続けてくれ」
「承知しました」
マンフォードは真田に慎重に研究するよう念を押して伝えた。
そして続けてキャゼルヌに問いかけた。
「それとキャゼルヌ大将、以前渡した仮称X艦の建造は可能かね」
「はい。建造は可能です。最悪例の機関が完成しなくとも波動エンジンでも動きます」
「うむ。予算は上が確保してある。建造の準備は進めておいてくれ」
マンフォードの言葉にキャゼルヌは深く頷くのであった。