2205年6月15日
地球本土、スカパ・フロー基地から出港した本国艦隊第6任務部隊は攻撃目標に向けて航行していた。第6任務部隊は戦艦ライオンを旗艦にライオン級ネプチューン、ダイダロス、バジリスク級エルドラド、ルドラ、ヴリトラ、ドレッドノート級ミナス・ジェライス、サン・パウロ、サラミス級5、レパント級10からなっている打撃艦隊であった。この艦隊は艦隊司令部からの特命を受けボラー連邦の基地を攻撃するために出撃した。
第6任務部隊旗艦ライオン
「司令、目標へのワープ地点です」
「了解した。全艦ワープ準備、目標ボラー連邦軍ガルボ基地!」
艦隊司令のチャールズ・エヴェレスト・ヒース准将の号令で艦隊は一斉にワープ体制に入った。
この第6任務部隊の攻撃目標となっているボラー連邦軍ガルボ宇宙基地は小惑星改造の基地であり、ゼニー合衆国本土とイワーハ星系の中間地点となっており、ガルボ宇宙基地はゼニー合衆国軍のイワーハ星系への航路の中継基地となっていた。そしてイワーハ星系がボラー連邦軍の猛攻によって陥落した後はゼニー合衆国軍の前線を支える重要な基地となっていたはずの基地である。
「はず」というのはボラー連邦の猛攻によりイワーハ星系の陥落後、ゼニー合衆国軍の戦力の再配置が追いつかず、ゼニー合衆国はガルボ基地より撤退、その後はボラー連邦軍が占領、ゼニー合衆国方面の前線基地としたのである。しかし北部戦線での戦闘の激化により現在はボラー連邦軍の戦力は駐留艦隊として30隻の艦艇が常駐しているだけであった。
ボラー連邦軍ガルボ基地
ここガルボ基地内ではピリピリとした空気が漂っていた。復活したゼニー合衆国の参戦により前線基地となったものの新たな防衛戦力は配置されず、手元にあるのは僅か30隻の駐留艦隊のみ。その30隻の艦艇も防衛艦隊通商破壊作戦部隊への対処の為、哨戒や船団護衛に引っ張りだこでありオーバーワーク気味であった。
「司令、基地防衛に展開していたデストロイヤー艦の1隻が機関故障を起こしました」
「またか」
報告を聞いた司令は呆れた声で言った。それも仕方が無かった、既にここ数日で4隻が機関に不調を訴えていたのだ。
「兎に角はやくドックに入れて修理させろ、いつ敵が襲い掛かってくるか分からんからな」
「了解しました」
部下がそう言い下がった。
「やれやれ、早く増援を派遣してくれんかね。上は現場を理解しているのか…」
司令はそう独り言を言った瞬間、基地内に警報が鳴り響いた。
「司令、基地右舷にワープアウト反応!」
「なに!直ちに迎撃準備」
司令はそう言いモニターを眺めた。そこには20隻余りの艦艇が映っていた。
第6任務部隊旗艦ライオン
「全艦ワープアウト完了。以上なし」
「艦隊正面、ガルボ基地確認」
「よし艦隊全艦全砲門撃ち方始め!」
オペレーターの報告を聞いた艦隊司令ヒース准将はそう命令を出した。そして次の瞬間、旗艦ライオンの3基9門の主砲からショックカノンが撃ちだされそれは基地防衛の為に展開していたデストロイヤー艦1隻を一撃で轟沈させた。さらにそれに続くように第6任務部隊各艦がショックカノン、ミサイルを乱れ撃ち始めた。
ガルボ基地司令室
「デストロイヤー1隻轟沈」
「敵艦隊ミサイル多数発射!」
「敵艦隊は未確認の戦艦3隻、バジリスク級3隻、ドレッドノート級2隻、サラミス級5隻、レパント級10隻です」
「敵艦隊ビームかく乱幕の展開を確認!」
司令室には次々と報告が入っていた。
「ミサイルで応戦しろ。それと付近の哨戒艦隊を呼び戻せ!」
司令がそう命令を出した瞬間、大きな揺れが司令室を襲い立っていたオペレーターは転倒し、座っていたオペレーターも悲鳴を上げていた。
「何事だ!」
司令がそう叫ぶと一つの報告が入った。
「第4ゲートで入港中だったデストロイヤー艦が爆沈しました。ゲートは崩壊し使用不能!」
そう悲鳴のような報告が司令室に響いた。
この爆沈したデストロイヤー艦は機関が故障したデストロイヤー艦であり、曳航されながら入港中だったところをバジリスク級ジャランダラの主砲が直撃しゲートを巻き添えに爆沈したのであった。さらにこの爆発の被害は広がり、基地内にも被害が及び大規模な被害が生じていた。
一方、基地防衛艦隊は果敢に応戦していたもののショックカノンの威力には勝てず1隻1隻と数を減らしていった。また被害は基地防衛システムにも広がりミサイル発射システムやビーム砲台などに次々と砲撃、ミサイルが命中しその機能が奪われていった。
第6任務部隊旗艦ライオン
「展開中の敵艦27隻中20隻撃沈しました」
「了解した。ミサイルはゲート内への攻撃へ集中。基地の能力に打撃を与える」
「はっ」
司令の命令によりミサイルはゲート内への攻撃に特化し始め、ガルボ基地のゲートは破壊しつくされ、基地内部では波動ミサイルが炸裂し基地の能力に大打撃を与えていった。そして第6任務部隊は攻撃を開始してから15分後には攻撃を終了しワープして離脱していった。しかしガルボ基地の防衛艦隊は壊滅し基地能力も短期間では修理不可能なほどダメージを受けていた。ガルボ基地駐留艦隊で被害が無かったのは哨戒にでていた3隻のデストロイヤー艦だけであった。
ボラー連邦軍ゼニー合衆国方面軍司令部
ここボラー連邦軍ゼニー合衆国方面軍司令部はお通夜状態であった。ゼニー合衆国に対しての最前線基地ガルボ基地が壊滅的な被害を受けたためであった。
「ガルボ基地の機能は短期間での復旧は不可能なほど破壊されました」
「また復旧するための資材を送るにしても通商破壊作戦が激化している今、どれだけ苦労するか分かりません」
そう報告する部下の目は死んでいた。
「了解した。とりあえず復旧するための段取りを組んでくれ。不可能に近いのは分かるが頼む」
司令はそう言うと頭を下げた。
「了解しました」
部下はそう言い部屋を去った。
一方、第6任務部隊は数日後にスカパ・フロー基地に帰港してきた。第6任務部隊の被害は皆無であり、任務を完璧にやり遂げたのであった。
この攻撃によりボラー連邦軍はゼニー合衆国方面への前線基地が一時使用不能となり、今後の作戦計画に遅延が生じたのである。これによりゼニー合衆国は戦力整備の為の貴重な時間を手に入れたのである。
そして防衛艦隊は新たなる作戦が開始されそうになっていた。
バジウド星系・艦隊集結宙域
「何っ!艦隊が殆どいないだとぉ!」
ディンギル帝国侵攻艦隊旗艦バーミンガム艦橋でグリーン・ワイアット中将は拍子抜けしたような声を出していた。
「はい。先行した次元潜航艦の偵察情報によりますと艦隊が展開しているのはディンギル星軌道と少数の艦艇が外惑星の基地の軌道上にいるようです。しかしそれ以外の艦艇は水雷艇の1隻も確認できていないそうです。また本星を除く惑星には大規模基地がある気配は無いとのことです」
作戦指揮の補佐についているアルマン中佐はそう冷静に言った。
事前の偵察と情報収集の結果では外惑星の軌道上にて艦隊戦が起きる想定であったがそれが覆された状態であった。
「了解した。だが作戦に変更は無い。予定通り艦隊は進軍する。それと全艦に通信を繋いでくれ」
「はっ」
ワイアット中将はそう言い全艦に通信を繋ぐと演説を始めた。
「ディンギル帝国侵攻作戦に参加する全将兵に達する。これより我が艦隊はディンギル帝国侵攻作戦を開始する。皆も知っていると思うがディンギル帝国は卑怯にも宣戦布告もなく地球連邦に攻撃を仕掛けてきた国家である。その為、連邦政府はディンギル帝国に対して遠慮は必要ないと判断した。なので本作戦は無差別攻撃許可法による敵本星破壊を含む殲滅戦をする作戦であると同時にディンギル星を除く各惑星を地球連邦の版図に加える作戦でもある。そしてディンギル帝国は我が艦隊の攻撃に対して死に物狂いで抵抗するであろう。しかし各員共に常に冷静に対応し、紳士的に応戦することを心に刻むと共に地球防衛軍が地球を守る盾であると同時に矛でもあることをディンギル帝国に教え込むことを期待する。以上」
そして演説が終わるとバーミンガムを総旗艦とするディンギル帝国侵攻艦隊は待機していたバジウド星系から発進、進撃を開始した。
時に2205年6月22日の事であった。
今年最後の投稿になります。
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