地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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ディンギル帝国侵攻4

各地で防衛艦隊とディンギル帝国軍が戦闘している頃、テッロー軌道上に展開している侵攻艦隊主力では変化が起きていた。

 

一つは総司令のワイアットが中将から大将に昇進したことである。本来は侵攻開始前に昇進予定であったが事務手続きの関係で遅れていたのであったが、この度侵攻作戦の真っ最中だが昇進となったのである。

もう一つはワイアットの昇進にあたって、ワイアット指揮下の第六主力艦隊が大将指揮の艦隊になった為、艦艇の増強としてドイッチュラント級20隻の増強が行われたことである。

 

 

惑星テッロー軌道上侵攻艦隊総旗艦バーミンガム艦橋

 

「どうだね。このテッローの静かな事を。どこにディンギル帝国の徘徊がある」

 

惑星テッロー軌道上に展開している侵攻艦隊主力の総旗艦バーミンガムの艦橋で大将に昇進したワイアットは紅茶を飲みながら言った。

 

「我々の作戦は順調です。これまでに37隻の敵艦艇を撃破し1隻の要塞母艦を駐留艦隊諸共鹵獲しました」

 

アルマン中佐は手元にある資料に目を通しながら報告した。そして一息間を置くと続けた。

 

「よろしい。だが油断するなと各部隊へ通達するように。ここは敵のホームグラウンドなのだからな」

 

報告を聞いたワイアットがそう言うとアルマン中佐は頷き「わかりました。全部隊へ通達しておきます」と返答し報告を続けた。

 

「では報告を続けます。前進基地の設営及び護衛部隊の展開は完了。鹵獲した要塞母艦は現在回収準備中、輸送艦隊を襲撃した艦隊は壊滅に追い込みました。またコピーしたハイパー放射ミサイルの性能も良好なのが確認されました。報告は以上です」

 

アルマン中佐が報告を言い終わるとワイアットは口を開いた。

 

「ふむ。では本隊と惑星制圧部隊は進軍を再開するとしよう」

 

ワイアットはそう言うとニヤリとした。

ワイアットとしては既に作戦は最終段階に入ったと思っていた。懸念はワープ戦術に優れているディンギル帝国の奇襲もしくは前進基地に対する攻撃だが、そちらは対策済みであった。

 

そしてワイアット率いる本隊は最外縁のテッローを出撃。次の惑星ニップル、そしてディンギル帝国本星を目指した。

 

 

都市衛星ウルク

 

「地球軍主力は侵攻を再開しました。惑星ニップルが目標の模様」

「ならば第2遊撃隊に攻撃を命令せよ」

 

ルガール大総統はそう命令を下した。既に通信消失部隊が多数出ており、地球が降伏勧告を出している現状だが、彼は戦闘を辞めるつもりも無かった。

 

 

そして同時刻、統括司令部でも動きがあった。

 

「総長、侵攻部隊主力は侵攻を再開しました。橋頭堡は確保、侵攻作戦は最終段階に入ったと思われます」

 

そう報告を受けた総長は頷くだけであった。

 

「総長。本当に作戦は予定通りでよろしいですね。向こうは降伏勧告を無視しています」

「そうだ。予定通りでいい」

「わかりました。しかし予定通り作戦を行えば…」

 

そこまで言って秘書は言葉を詰まらせた。

 

「構わん。全責任は私が負う。気にすることは無い」

 

総長はそれだけ言うとコーヒーを口にしたのであった。

 

 

一方、惑星テッローを出撃した侵攻部隊主力は惑星ニップルに侵攻を開始していた。

だがそこでテッローに展開中の部隊から緊急電が入ったのであった。

 

 

「ディンギル艦隊襲来現在応戦中!」

 

この一文がバーミンガムの艦橋に届けられたのであった。

 

「やはり仕掛けてきたな」

 

ワイアットはそう言うとアルマン中佐に問いかけた。

 

「戦局はどうなっている」

「有利との通信が入っています」

「それならよろしい。後は後方部隊に任せる。主力はこのまま侵攻を続ける」

 

ワイアットは冷静に命令を下したのであった。

 

その頃、テッロー軌道上では戦闘が繰り広げられていた。

 

奇襲を仕掛けてきたのはディンギル帝国第2遊撃隊、ガルンボルスト級3、カリグラ級20、水雷艇50の部隊であった。

 

これを迎え撃つのは本国艦隊第1艦隊(マゼラン級2、サラミス級1、秋月型A2タイプ6)、第3艦隊(ドイッチュラント級4、秋月型A2タイプ6)、第95任務部隊(松型6)そしてゴルバ1基であった。

 

突如テッロー軌道上にワープアウトしたディンギル帝国軍第2遊撃隊は地球防衛軍の前進基地を破壊すべく突撃を開始したが迎撃部隊が立ちはだかった。

 

「突撃せよ」

「阻止しろ」

 

両者の指揮官が言い放つと火蓋は切って落とされた。

両軍共に目的を果たそうと戦闘を繰り広げるが戦局はディンギル帝国不利であった。艦艇数で勝っていてもワイアットが呼び寄せたデザリアム自治州軍のゴルバという砦が進軍を阻むのであった。

 

ゴルバは第2遊撃隊に対して猛烈な砲撃を浴びせ、第2遊撃隊の反撃を物ともせず次々とディンギル帝国軍艦艇を宇宙も藻屑へと変えていったのであった。

 

そして第2遊撃隊の決死の突撃は護衛艦コノール、ラスバーン小破の戦果と引き換えに全滅という結果に終わったのであった。

 

だがこれで終わりでは無かった。

 

 

ゴルバ司令室

 

「パトロール艦アーミデール及び情報収集艦北極星より入電、先程の敵のワープ航路解析完了とのこと。後は位置座標です」

「よろしい。直ちに反撃を」

 

ゴルバ指揮官のウォルド・ギルキス准将はそう命令を下したのであった。

そして数分後本国艦隊第1艦隊、第3艦隊と強襲揚陸艦マガール、ガリアル、崑崙山、井崗山からなる急造の第201任務部隊が出撃したのであった。

 

そして第201任務部隊がワープした先にあったのは都市衛星ウルクを小型にしたような要塞であった。

 

 

移動要塞ギルス

 

「地球艦隊ワープアウト!」

 

都市衛星ウルクの小型バージョンの要塞である移動要塞ギルス。

ギルスは都市衛星ウルクに装備してあるニュートリノビーム防禦幕放射装置やニュートリノビームを用いたワープ装置その他要塞母艦と同等の設備を有した移動要塞である。その司令室に地球艦隊出現の報告が飛び交った。

 

小惑星に擬態して宙域に展開していた移動要塞ギルスであったが至近にワープアウトした地球防衛軍の目は誤魔化せなかった。

 

「全艦攻撃開始!」

「ニュートリノビーム防禦幕展開」

 

双方の命令が下ったがここではディンギル帝国が上手であった。

ニュートリノビーム防禦幕によって第201任務部隊の艦砲射撃を防いだのである。だがそれも数分の時間稼ぎであった。

 

「あの防禦幕の発生装置を攻撃しろ!」

 

そう第201任務部隊旗艦マゼラン級クラシカル・スールの艦橋で司令が命令を飛ばした。

 

そしてニュートリノビーム防禦幕が展開し終わる前に第201任務部隊は防禦幕が展開されていない個所から発生装置に攻撃を加えたのである。これにより発生装置は次々と撃破されたのである。ここからは地球防衛艦隊の独壇場であった。

 

反撃する火砲の位置に砲撃を集中し反撃を沈黙させると、強襲揚陸艦が接舷し要塞鹵獲の為の空間騎兵隊を雪崩れ込ませる。しかも空間騎兵隊が防衛軍の中でも精鋭部隊のシェーンコップ少将率いる「薔薇の騎士」連隊とあっては白兵戦も一方的な展開であった。

 

こうして移動要塞ギルスは地球防衛軍に鹵獲されたのであった。

 

 

旗艦バーミンガム

 

「司令、即席編成の第201任務部隊がテッローに攻撃を加えてきた艦隊の親玉と思われる移動要塞を占領、鹵獲しました」

「うむ。よろしい。やはり予想通りだったか」

 

ワイアットはそう言うとダージリンティーを一口飲むと問いかけた。

ワイアットはワープ戦術や科学力で地球に勝るディンギル帝国が橋頭堡を無視し続けるとは考えていなかったのである。そこでワイアットは主力移動後も橋頭堡には有力部隊や要塞鹵獲用の空間騎兵隊を展開・待機させていたのである。

それこそゴルバを用意させるほど用意周到に。

 

「惑星ニップルの制圧状況はどうなっている」

「既に確認されていた基地は制圧。現在は秘匿された基地が無いか捜索中です」

 

アルマン中佐がそう言うワイアットは命令を下した。

 

「うむ。では侵攻部隊本隊はディンギル帝国本星へと進軍をする」と。

 

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