本年も本作をよろしくお願いいたします。
地球・統括司令部
「防衛艦隊司令部では実施して問題ないと判断しています」
防衛艦隊司令長官のカール・J・マンフォード元帥は統括司令部総長とゴップ総参謀長の両名にワン中将が発案した作戦の実施の是非を聞き総長室に来ていた。
「私としては別に実施して貰って問題ない。調整は現場間でしてくれればいい」
総長はそう言うとゴップ総参謀長も続けて意見を述べた。
「実施するなら必要な物資は集めさせよう。この規模なら短期間で何とかなるだろう。それと地上軍からも可能ならば部隊を出させよう。あまり大規模な部隊は無理だろうがね」
総長に続き統合参謀本部トップのゴップがこう言ったとあっては作戦の実施は了承されたも同然であった。また地上軍からも部隊を出させようと考えているあたり、ゴップもかなり乗り気であった。
因みゴップ総参謀長の傘下には防衛軍物資調達部という部門があり、エルネスト・メックリンガー大将がトップを務めている。この部門は防衛軍の維持及び作戦実施に必要なあらゆる物資を調達しており、ここで手配した物資をアレックス・キャゼルヌ大将がトップを務める後方支援・兵站部が各方面に分配する体制をとっていた。
閑話休題
「ありがとうございます。では実施の方向で調整いたします」
総長とゴップの言葉を受けたマンフォードはそう言った後、敬礼し部屋を後にした。
そして数時間後、防衛艦隊司令部・会議室
「地球防衛艦隊司令部としては実施に問題はないです」
そうモニターに向かって述べるマンフォードの相手は月のガルマン・ガミラス大使館に居るローレン・バレル大使と駐在武官であるクラウス・キーマン少佐である。
本来、彼らはガミラス共和国の大使と駐在武官なのだが既にガミラス共和国とガルマン・ガミラス帝国の国家統合はかなり進められており、双方在地球大使館があったものの統合の一環として大使館の合併も行われていた。その際、赴任歴が長いということでバレルやキーマンはその役職を続投してガルマン・ガミラス大使館で勤務していたのであった。また軍の再編も行われ、ガミラス共和国軍は大使館の統合時にガルマン・ガミラス帝国軍に統合されていた。
余談ではあるが政府機関の統合及び再編も佳境を迎えており、既にガミラス共和国の政府機関はガルマン・ガミラス帝国に統合されており、ヒス首相はガルマン・ガミラス帝国兼ガミラス共和国首相となっていた。これによりガミラス共和国政府機関はほぼ全て統合によりガミラス星を去り、ガミラス星にはヒス首相と移民事業を取扱う機関のみが残っていた。
閑話休題
「こちらとしても東部方面軍司令ガイデル大将が了承すれば問題ないです。東部方面軍も今は特に大きな作戦を実施していませんので稼働兵力もありますでしょう」
「私としても軍が問題ないというなら異論はないです。現場間で調整が出来ているなら尚更です。上が余計な口を挟む必要は無いでしょう」
キーマンはマンフォードに対しそう答え、バレルもキーマンに追随して「問題ない」と答えた。
「ありがとうございます。では詳細はアスターテ星系方面軍とガイデル司令で話し合って頂くということで問題ないですかね」
キーマンとバレルの回答を聞きマンフォードは確認の為そう尋ねた。
「はい。ガイデル司令には此方からも伝えておきます。それと在地球艦隊も作戦参加可能ですがどうでしょうか」
「それは感謝します。可能ならば是非とも参加していただきたい。戦力は多い方が現場としても助かります」
キーマンからの返答、ガルマン・ガミラス帝国軍在地球艦隊の参戦はマンフォードにとって意外な言葉だったが非常にありがたい提案だった。
在地球艦隊は文字通り月面に駐留するガルマン・ガミラス帝国軍の艦隊であり、ガミラス共和国軍在地球艦隊の陣容を引き継ぎ、指揮権はバレルにあるが既にキーマンとバレルは事前打ち合わせで在地球艦隊の出撃を認めていた。ここ最近在地球艦隊は出撃機会も無かった為、キーマンやバレルとしても丁度良い機会だと考えていたのである。
「わかりました。では司令のネレディア中将には此方から話を通しておきます。艦隊の編成等の詳細は後程データをお送りいたします」
「感謝します」
マンフォードは頭を下げた。
いきなりの提案にも関わらず作戦に協力どころか艦隊を派遣して貰えるのは防衛艦隊にとっては大変ありがたかったのである。
その後、会談が終わると両者は各々部隊に連絡し作戦準備に移った。
アルゼ星系東部方面軍司令部要塞
ガルマン・ガミラス帝国軍東部方面軍司令部要塞はアルゼ星系に駐留しており、アルゼ星系の守備に就いているガルマン・ガミラス帝国艦隊や地球防衛艦隊の整備・補給も行っていた。
その要塞内で東部方面軍司令長官ガイデル大将は各艦隊司令等を集め会議を行っていた。内容は事前に知らされていたワン中将が発案した作戦についてであった。
「ガイデル司令失礼します。在地球大使館から電文です」
そう言うと会議中の部屋に入って来た通信兵がガイデルに電文を渡した。
「ご苦労」
ガイデルはそう言い電文に目を通した後、会議室に集まっていたガルマン・ガミラス帝国軍、地球防衛軍の各指揮官達に電文の内容を伝えた。
「在地球大使館から連絡があった。ワン中将発案の作戦は了承された。在地球艦隊も作戦に協力するそうだ」
ガイデルがそう言うと会議室はどよめいた。
在地球艦隊の協力はそれほどまでに意外であったのである。
「さて、それでは作戦の詳細を煮詰めよう」
ざわつきが落ちつくとガイデルはそう発言し会議は再開されたのであった。