地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

131 / 145
北極作戦

 

ワン中将立案の作戦、北極作戦と名付けられた作戦は実施が決まると速やかに準備段階へと移行した。

 

最初の作戦段階として4つの自由浮遊惑星へ攻撃を実施していた艦隊は最後の仕上げと言わんばかりの徹底的な攻撃を各自由浮遊惑星のボラー連邦軍基地に仕掛け、基地に対して大打撃を与えた後に随時撤収、第八機動艦隊と第1鹵獲艦隊はゼダンの門へ帰還し、それ以外の艦隊は北極作戦実施に伴い作戦支援の為に派遣されたラビアンローズ級ドック艦ラビアンローズもしくはラビアンローズⅣに合流し整備・補給を受けることになった。

このラビアンローズ級ドック艦はヤシマ重工が建造した全長600mを超える大型のドック艦であり、同時に最大3隻の艦艇に対して修理・補給等を行うことができる艦艇である。

 

一方、補給を受けない艦艇や増援艦隊・部隊は各基地より準備が整い次第順次出港し、アスターテ星系及びその近傍宙域に向けて出撃、アルゼ星系駐留軍からの参加部隊は出撃準備を整え待機状態へと移行していった。

 

そしてこれらの作戦準備には防衛軍物資調達部と後方支援・兵站部の隊員が過労死寸前まで全力で動いた為、それぞれのトップであるエルネスト・メックリンガー大将とアレックス・キャゼルヌ大将は部下達からデスマーチ指揮者とまで言われたのであった。しかし各隊員の過労死レベルの働きと時間断層というチートパワーのおかげで作戦準備は問題無く終わったのである。

 

 

 

2205年6月26日

奇しくもディンギル帝国侵攻作戦によりディンギル帝国本星が破壊された同日に北極作戦は開始された。

 

最初の一撃は最もアスターテ星系寄りの惑星ロスドルとアルゼ星系寄りの惑星ジェルデに対して同時に行われた。

 

惑星ロスドル、4つの自由浮遊惑星の中で最もアスターテ星系寄りの惑星であるがロスドルの終わりは突如訪れた。

次元潜航のまま密かにロスドルに接近したタイフーン級次元潜航艦チャクラはロスドルを射程に捉えると浮上し搭載していた惑星破壊ミサイルを発射した。

 

先の第八機動艦隊による惑星攻撃により、大打撃を受けていたロスドルに駐留していたボラー連邦軍だが辛うじて発射された惑星破壊ミサイルの存在には気づいたものの時すでに遅く、発射された後では何も対応ができなかった。そして惑星破壊ミサイルはロスドルに命中。その威力を解放しロスドルを消し飛ばしたのであった。

 

惑星ロスドルへの攻撃が行われたのと同時刻、最もアルゼ星系に近い惑星ジェルデにも攻撃が行われたがこちらはロスドルに対する攻撃より悪質な攻撃が行われた。

 

惑星ジェルデは突如、惑星破壊ミサイル2発の攻撃を受け惑星は跡形も無く破壊されたのであった。ジェルデに駐留していたボラー連邦軍は何が起こったのか理解する間もなく消滅したのである。

このジェルデに対する惑星破壊ミサイルの攻撃を行ったのは地球防衛軍地上軍所属の第3戦略ミサイル軍によるワープミサイル攻撃であった。

第3戦略ミサイル軍は冥王星に駐留しており、冥王星からワープミサイルによる攻撃を行う部隊である。先の4惑星への同時攻撃時に惑星フリーデルドへのワープミサイル攻撃を行ったのもこの部隊であり、多種多様なワープミサイルによる攻撃を行うのが任務であった。

 

こうして惑星ロスドル、惑星ジェルデに対してプロトンミサイルの攻撃が行われてから5分後、次の攻撃が実施された。攻撃の対象にされたのは惑星フリーデルドであった。

 

フリーデルド近傍の宙域に大石蔵吉中将指揮の地球防衛艦隊第五遠距離遊撃打撃艦隊  がガルマン・ガミラス帝国軍東部方面軍司令部要塞に備え付けられた大型瞬間物質転送装置を用いて転送されてきたのである。

転送されてきた第五遠距離遊撃打撃艦隊の波動砲搭載艦は全艦がトランスワープ状態かつ波動砲発射準備を既に整えており、転送されてきた瞬間その力を解放した。

 

「長官、惑星フリーデルドを全艦目標に捉えています」

 

艦隊参謀長である原少将が大石にそう言うと大石は命令を下した。

 

「全艦波動砲発射!発射後直ちに現宙域を離脱!」

 

そう大石から命令を下されると、旗艦タケミカヅチ以下波動砲搭載艦全艦が波動砲をフリーデルド目掛けて発射した。

 

第五遠距離遊撃打撃艦隊から放たれた波動砲はフリーデルドに狂いなく命中し威力を解放。フリーデルドは崩壊を始めた。そして波動砲を発射した第五遠距離遊撃打撃艦隊はフリーデルドの崩壊開始を観測すると全艦がワープでフリーデルド近傍宙域から離脱した。

 

そして離脱先こそ北極作戦の最大目標である惑星モウルドである。

惑星モウルドはアスターテ星系とアルゼ星系の丁度中間にある自由浮遊惑星であり、ここを占領すれば両星系の中間を抑えることができ、ボラー連邦軍が行うアルゼ星系への補給妨害作戦を阻害させることが出来るだけでなく、アスターテ星系からアルゼ星系に至る宙域を完全に連合国陣営の支配下の置くことができるのであった。その為、ワン中将としては現有戦力で可能ならば速やかにモウルドを連合国陣営の支配下に置くつもりであり、それが可能と判断した為、北極作戦を立案・実施したのである。

閑話休題

 

この惑星モウルドへの攻撃はフリーデルドへの攻撃が行われるのと同時刻に始まっていた。

まず、潜んでいた潜宙艦伊30からの情報を元に第3戦略ミサイル軍のワープミサイル攻撃が開始、それに合わせるようにモウルド制圧部隊が惑星近傍にワープアウトした。

 

以下がモウルド制圧部隊である。

 

宇宙艦隊

・第八機動艦隊

・第四航空艦隊

・本国艦隊第4艦隊

・ロンド・ベル艦隊

・第1鹵獲艦隊

・第五遠距離遊撃打撃艦隊

・ガルマン・ガミラス帝国軍在地球艦隊(ゲルバデス級2、空母型アンドロメダ級4、ランダルミーデ級4、ドルグラード級戦艦4、ガイデロール級3、メルトリア級4、デストリア級15、ケルカピア級20、クリピテラ級40)

・揚陸艦隊(飛鳥型武装補給母艦可可西里湖、改コロンブス級揚陸艦スリ・インデラ・プラ、エルナン・コルテス、ガリシア、カスティーリャ、改ドレッドノート級強襲揚陸艦崑崙山、天王峰、サラトフ、デラメヤ級20、松型紫陽花、勿忘草、石南花、沈丁花、朝顔、水仙、睡蓮、薔薇、鈴蘭、牡丹)※デラメヤ級はガルマン・ガミラス帝国軍所属

・地上部隊(地球連邦防衛軍連邦地上軍第12旅団、第4強襲制圧旅団、第112MS大隊、地球連邦防衛軍宇宙艦隊傘下空間騎兵隊第25、26、27空間騎兵隊、第4MS大隊、ガルマン・ガミラス帝国軍東部方面軍第12空間強襲上陸師団)

 

以上の大部隊を本国艦隊司令の島大吾大将が飛鳥型武装補給母艦可可西里湖から指揮する。

 

そしてこれらの戦力がモウルド制圧の為に一気にモウルド近傍の宙域に出現し制圧の為の攻撃を開始した。

ワープミサイルによる攻撃が終わると第八機動艦隊、第四航空艦隊、ガルマン・ガミラス帝国軍在地球艦隊から艦載機が大挙出撃しモウルドにあるボラー連邦軍基地に対して空爆を開始、更に艦隊も艦砲射撃を開始し徹底的な殲滅作戦が開始されたのであった。

 

 

一方、ボラー連邦軍メルデーリング星系方面軍司令部は大騒ぎになっていた。突如地球、ガルマン・ガミラス帝国軍の大規模攻撃が始まったのでその対応の追われていたのである。

 

メルデーリング星系方面軍司令部会議室

 

「地球、ガルマン・ガミラス帝国両軍は大規模攻勢を仕掛けています。ロスドル、ジェルデ、フリーデルドの3惑星は監視衛星等から収集した情報と反応が消えたことから恐らく惑星破壊ミサイル等の攻撃を受けたと思われます。なおモウルドについては大規模艦隊が出現し攻撃を実施している模様です。規模的に今回は上陸部隊を伴っていると思われます」

 

情報参謀は戦局が映し出されたモニターを見ながら説明した。

その説明を腕を組んで聞いていたデルギン大将はモニターをじっと見た後口を開いた。

 

「敵ながらあっぱれだな。先の同時多発的攻撃で我が軍に真の目標を悟らせないようにした所で本命の惑星に攻撃。我々は後手に回ってしまったか」

 

デルギンはそう言った。

事実、先の地球防衛軍の攻撃の後メルデーリング星系方面軍司令部では地球防衛軍が新たに攻撃を仕掛けてくることは確実と判断したものの、どこに攻撃を仕掛けて来るかを判断しかねていた。4つの自由浮遊惑星は徹底的に叩かれ、拠点としての機能は損失しておりアスターテ星系とアルゼ星系間の補給妨害の拠点としては使えないため次の目標はメルデーリング星系では無いかとも考えられていた。だが4惑星を制圧しアルゼ星系に対する補給航路の安全確保を行う可能性も否定できなかった。しかし同時に4惑星を制圧できる程の地上部隊を地球防衛軍が用意できるのかの疑問も残り、むしろ艦隊戦力を結集してメルデーリング星系への攻撃の可能性の方があるのではないかとも議論されていた。

 

こうして結論の出ない議論が行われていた中、地球防衛軍は突如ガルマン・ガミラス帝国軍と共同で攻勢に出たのである。しかも4つの自由浮遊惑星の内3つを文字通り消し飛ばすという予想を超えた大規模攻勢であった。

 

「司令、感心している場合ではありません。速やかにモウルドに艦隊を派遣しましょう。モウルドを失えば今後アルゼ星系への補給妨害は困難になります。幸か不幸かモウルド以外の惑星はもうありません。亡くなった将兵には申し訳ありませんが戦力を心置きなく集中できます」

 

作戦参謀がスラスラとそう言った。惑星ごと亡くなった将兵が多いので流石に「幸か不幸か」という言葉にはデルギン含め他の参謀達は顔をしかめたが作戦参謀の親は政権中央の偉いさんなので咎める様な言葉は出なかった。不適切ともとれる言葉ではあったが作戦参謀は有能な人物であり、変な事を言ってメルデーリング星系方面軍司令部が荒れては支障をきたすのだ。

 

「そうだな。直ちに艦隊を派遣しよう。作戦参謀頼む」

「わかりました」

 

デルギンがそう言うと作戦参謀は返事と敬礼をした後、直ちに司令室へと向かっていた。

 

そして命令を受けた艦隊は直ちに出撃していった。先のメルゲル要塞攻撃以降臨戦態勢で待機していた艦隊の動きは問題なく早かった。

 

 

そして艦隊は無事に出撃した。・・・はずだった。

 

 

司令部にメルゲル要塞から緊急電が入ったのは艦隊出撃と同時であった。

 

「星系外縁部に地球艦隊多数ワープアウト!」と。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。