地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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投稿が遅くなりました。

3199三章が公開されましたね。今後の展開がますます楽しみになってきました。


北極作戦3

惑星モウルド近傍

 

モウルドから少し離れた宙域には第五遠距離遊撃打撃艦隊とガルマン・ガミラス帝国軍在地球艦隊を中核とした地球・ガルマン連合艦隊は展開していた。そしてそれに相対するのはボラー連邦軍モウルド救援艦隊であり、お互い激しい艦隊戦を繰り広げられていた。

 

「敵艦隊は陣形を広げて再度我が方を半包囲しようとしています」

 

ボラー艦隊迎撃部隊兼第五遠距離遊撃打撃艦隊旗艦建御雷の艦橋では原参謀長が司令である大石大将に報告した。

この時、第五遠距離遊撃打撃艦隊を中核とした地球防衛艦隊とその右側にガルマン・ガミラス在地球艦隊が展開しており、ボラー艦隊はそれらを纏めて半包囲にしようとしていた。

 

「うむ。各艦は応戦しつつ後退。敵の包囲陣形を完成させるな。航空隊は包囲しようとしている敵外周戦力を叩け。ガミラス艦隊にも行動内容を通達」

 

大石はそう命令を下したが、状況は良くなかった。

ボラー艦隊は地球・ガルマン連合艦隊より遥かに数で勝っているのみならず、拡散波動砲を警戒し各艦が広範囲に散開、地球・ガルマン連合艦隊に対して半包囲陣形を組もうと陣形変更を繰り返していた。

これは数で押す戦法を取ることが多いボラー連邦艦隊においてモウルド救援艦隊司令のトゥーロフ中将は数で押す戦法では無く、数を活かす戦法を得意とした司令官であることもあり、地球・ガルマン連合艦隊が苦戦する要因になっていた。

そして、大石が命令を下し艦隊が行動を開始した直後に緊急電が入ったのであった。

 

「モウルド近傍に新手のボラー艦隊ワープアウト」と。

 

 

モウルド近傍にワープアウトしたボラー艦隊は2部隊であった。1つはクロンタット型1、クロトガ型30、アマンガ型20からなる第1強襲部隊とクロンタット型1、アマンガ型10、クロトガ型10からなる第2強襲部隊であった。そしてそれら2つの艦隊は2方向からモウルド目指して突撃を開始したのであった。

 

 

 

対する地球側はモウルド軌道上に展開する制圧作戦部隊旗艦の飛鳥型武装補給母艦可可西里湖の艦橋では島大吾大将がモニターを見つつ状況把握をしていた。

 

「中々やる相手だな」

 

戦況とボラー連邦軍の動きを見てそう呟いた島であったが状況の悲観はしておらず、次の命令を出すのであった。

 

一方、モウルド近傍にワープアウトしたボラー連邦軍強襲艦隊は加速しつつモウルドに向けて突撃しつつあった。

モウルド救援艦隊司令のトゥーロフ中将が実施した作戦はシンプルかつ強力な物であった。

自らが指揮する救援艦隊本隊を囮とし地球・ガルマン連合艦隊主力をモウルドから引き剝がし、その隙に別動隊がモウルド近傍にワープアウトし、上陸している地球・ガルマン連合軍を強襲するという作戦であり、その作戦は順調に進んでいたのである。

 

そしてモウルド近傍の小惑星帯を突破した第2強襲部隊は第1強襲部隊より早くモウルドに近づきつつあった。

その正面には可可西里湖以下松型数隻が展開していた。

 

「モウルド軌道上にドレッドノート級改型1隻以下松型数隻確認。ドレッドノート級改型は飛鳥型と推定」

「よし行けるな」

 

第2強襲部隊旗艦クロンタット型ベロルイ艦橋ではレーダー手からの報告を聞いた司令は強襲が成功すると確信していた。だがその直後、艦隊後方に居た1隻のクロトガ型が爆沈したのである。

 

「何事だ!」

 

司令がそう叫ぶとレーダー手から報告が入った。

 

「後方の小惑星帯より艦艇多数出現!」と。

 

 

小惑星帯から出現したのはダミーバルーン内に姿を隠していたロンド・ベル隊の艦艇であった。

小惑星帯にてダミーバルーンの小惑星で船体を隠していたロンド・ベル隊の各艦は小惑星帯をボラー艦隊が突破すると小惑星のダミーバルーンを爆破しその姿を現しボラー艦隊に向け突撃をしながら攻撃を開始した。

 

「全艦最大戦速。ボラー艦隊にモウルドを攻撃させるな」

 

艦隊を指揮するカティ・マネキン准将は旗艦オアシスから各艦に突撃命令を下した。

一方、奇襲を受けたボラー艦隊だが突撃を緩める気配は無かった。

 

第2強襲部隊旗艦ベロルイ艦橋では奇襲に伴い若干の混乱はあったが司令が突撃継続を判断していた。

 

「敵は少数だ。このまま逃げ切る!」

 

司令がそう言った直後、艦隊左舷上方から無数の砲撃が飛来し数隻の艦艇を轟沈に追いやった。

 

「新手か!」

 

司令がそう叫ぶと、レーダー手が「艦隊左舷上方、艦艇多数出現!」と報告した。

 

この新手の艦隊もロンド・ベル隊の艦艇であった。

此方は、マニティ・マンデナ准将が指揮する艦隊であり、この艦隊はダミーバルーンで小惑星帯を作りそこに隠れていたのである。そしてボラー艦隊の突撃を確認すると小惑星帯から姿を現しボラー艦隊に襲い掛ったのである。

 

 

そして十字砲火を受ける事になったボラー艦隊を可可西里湖の艦橋から島大吾大将が見ていた。

 

「見事なものですな」

 

副官がそう島大将に話しかけると。

島も感心したような声で話しだした。

 

「ボラー艦隊の行動を予想したカティ准将は恐ろしいな、見事なものだ」

「なんでもカティ准将は戦術予報士ですから、この手の分析はお手の物なのでしょう」

「そうだな。敵にはしたくないものだ」

 

2人でカティの予想に感心した話をしていると島は副官に別の事を尋ねた。

 

「敵のもう一つの艦隊はどうなっている」

「そちらも既に対処済みです。対処している方からは『手出しは無用。ボラー艦隊敵に非ず』と入電しています」

「ふむ。それならもう一つの敵艦隊は彼らに任せよう」

 

島はモニターに映し出されている敵味方の表示を見ながら返答した。

 

 

そして第1強襲部隊は強敵と戦闘状態に入っていた。

 

「全艦。遠慮は不要。撃ちまくれ!」

 

艦隊旗艦の艦橋で叫ぶはガルマン・ガミラスが誇る名将の一人、ユーリ・ダゴン中将である。

 

第1強襲部隊を相手どったのは援軍として駆け付けたダゴン率いる艦隊であった。

本来ならばダゴン艦隊は本作戦に参加しないはずであったがアルゼ星系で暇を持て余していた為、選抜した艦艇で艦隊を編成しモウルド近傍の小惑星帯に進出し待機、ボラー艦隊が出現したため、モウルド近傍にワープアウトし第1強襲部隊に襲い掛ったのである。

 

そして突如現れたダゴン艦隊相手に第1強襲部隊は対応できていなかった。

想定していなかった強敵の乱入であり、ダゴン艦隊に先手を取られ反撃体制を整える時間も与えられず第1強襲部隊の艦艇は次々と宇宙も藻屑へとなっていった。

 

 

 

戦闘開始から十数分、モウルド近傍で行われる艦隊戦を可可西里湖から見守っていた島大将はレーダーに映る敵艦隊の動きに違和感を覚えた。

 

「これは撤退だと思うか」

 

島は副官にレーダーを凝視しつつ尋ねた。

その副官もまたレーダーを凝視していた。

 

「動き的に撤退ですかね」

 

副官がそう言った時、レーダーに映る敵艦隊を示すマークが次々と消え、交戦中の各艦隊から旗艦に「敵艦隊、ワープで離脱」の一報が入った。

モウルド防衛線勝利の瞬間であった。

 

 

「敵艦隊ワープで離脱しました」

「うむ。勝ったな」

 

第五遠距離遊撃打撃艦隊旗艦建御雷艦橋で大石は原参謀長から報告を受けていた。

既にレーダーに敵艦影は無かった。

 

 

モウルド救援艦隊司令のトゥーロフ中将は2個強襲部隊での強襲が迎撃を受けたとの報告を受けると作戦が失敗したことを直ちに悟っていた。そして直ちに全艦離脱を命令し各艦が交戦しつつ離脱を開始し、最後にトゥーロフ中将直卒部隊が離脱。これを持ってモウルド近傍での艦隊戦は終結。ボラー連邦軍モウルド救援艦隊はその目的を達せぬまま撤退となったのであった。

 

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