地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

137 / 145
レオ星系にて2

ヘルード中将との会談が終わり総長の言葉を受け補佐官が部屋を退出した後、ヘルードが総長に声を掛けた。

 

「長い時間ありがとうございました。まだ何か議題がありましたでしょうか」

「いえいえ、こちらこそありがとうございました。議題は何もありませんよ。少し雑談をしたいと思ったもので」

「なるほど。で、内容は」

 

総長が笑みを浮かべて話したのでヘルードも自然と笑みとなった。

 

「いや、この短期間でよくぞここまで発展したものだと思いましてね。どうです今の景色を見て」

 

総長はそう言い景色を眺めるために席から立ちあがると窓際に立った。

それに合わせてヘルードも総長の横に並び景色を眺めながら口を開いた。

 

「驚きですよ。最初は何もない土地を見て長い時間が掛かると思いましたが、政府や軍、民間の助力を得てここまで発展できました。あそこのモビルスーツも建設現場では大変役立っていましたよ。初めて見る兵器ですので最初は驚きましたがね」

 

そう言い窓から見える1機のジェガンをヘルードは指差した。

 

「なるほど。それは良かった。モビルスーツが平和な事に使われるのは嬉しいものです。私も発展には時間が掛かると思っていましたが、ここまで諦めずに発展させた貴方方デザリアム帝国非主流派の方々も凄いものです。連邦としては受け入れて正解だったと思いますね」

「そう言って頂けると嬉しいですな。私としても地球に助けを求めて良かった。最初は問答無用で追い返されるか殲滅されると思っていたものです」

「なるほど。まぁ受け入れに反発はありました。ですが地球市民は強く優しく心も広いのです。私も今回の件で改めて実感しました」

「強く心も広い民族ですか。実に羨ましい」

 

ヘルードはそう言うと少し間を空け続けた。

 

「主流派も強いだけでなく優しく心が広ければ良かったのですがね。そうすればデザリアムは何処かと共に未来に向けて恨みを買わずに歩めたでしょうに」

 

そう言うヘルードの声は何処か哀しさがあった。

デザリアムは二重銀河諸共故郷を地球の怒りにより消し飛ばされた。非はデザリアムにあるとはいえ故郷を失うのは哀しいものであった。

 

「確かにそうです。ですが貴方方は地球と共に歩み道を選んだそれだけで良いじゃないですか。このレオ星系、デザリアム自治州には約1億5千万ものデザリアム人が居る。彼らは地球と共に未来に向けて歩むのです。デザリアム人は絶滅しなかった、今後も生き残るでしょう。ここに来た貴方方は間違った判断はしていないと私は思いますね」

「実に嬉しい言葉です。その言葉を聞いたらここに来たデザリアム人達は喜ぶでしょう」

「こんな私の言葉で喜んで頂けるなら私としても嬉しいですな」

 

総長はそう言い終わると少し間を空けて別の話題を切り出した。

 

「ヘルード中将気分を害されたら申し訳ないのですが一つお聞きした事があるのです。ヘルード中将麾下の部隊は稼働可能なゴルバだけでも3基。艦隊戦力もかなり大規模です。非主流派なのによくこれだけの戦力を維持、管理できましたな」

「いつかは聞かれると思っていましたよ。我々非主流派は主流派から警戒され危険な戦域への派遣を行わされていました。その一つがガトランティス戦線です。地球もガトランティスに攻め込まれた事があるから分かるはずです、彼らの恐ろしさを」

 

ヘルードはガトランティスの恐ろしさを回想しつつ述べた。

 

「えぇ十分わかります。あの戦力そして野心は驚異です」

「そう驚異です。我々非主流派艦隊は主流派艦隊の穴を埋めたり、ガトランティス艦隊に対しての危険な作戦に幾度も投入され少なくない戦力を失いました。また地球の反撃の最中ではゴルバと主流派艦隊が抜けた戦線への派遣も行われました」

「それではガトランティス戦線での戦力が不足するのでは」

 

総長はそう問いかけた。

それに対しヘルードも頷く。そして何か懐かしい思い出を思い出す表情をしながら答えた。

 

「そうです。戦力が不足します。特にガトランティスとの戦いは消耗戦でした。ですが主流派に居るミヨーズという指揮官が非主流派を支援してくれました。ゴルバや艦隊戦力が私の手元に来るようにしてくれたのです。ガトランティス戦線を戦い抜き、地球の反撃中に反デザリアム国家群と戦えたのもミヨーズのおかげでした。ミヨーズは主流派に居ましたが非主流派の理念も大変理解していた人物でした。彼は私の教え子だったんですよ」

 

ヘルードの言葉に総長は少し驚きを感じ一間置いた後に口を開いた。

 

「そうでしたか。ミヨーズ提督なら存じ上げております。総指揮官を失ったデザリアム帝国地球侵攻艦隊を立て直す為に懸命な努力されていたのは通信傍受で全軍が承知しております。ミヨーズ提督は艦隊が崩壊している中でも頑強に抵抗を続け1隻でも多くの味方艦を逃がそうとしていました。最後まで残った彼の乗艦は集中砲火を浴びましたが簡単には沈みませんでした。正に守護神の如く」

「そうですか。ミヨーズらしいですな」

 

総長の言葉を聞いたヘルードはそう言った。その目には涙が浮かんでいた。

その姿を見た総長は少し間を置き口を開いた。

 

「ヘルード中将、そのミヨーズ提督なら生きておられますよ。戦闘終了後の救助活動の際に負傷しながらも生きておられ、駆逐艦に収容後、病院にて治療を行い一命を取り留めました。まだかつての戦闘時の生き残りの戦士たちの名簿をお渡ししていなかったので存じ上げていないのも無理ないですが、ミヨーズ提督は療養中ですがお元気です。良ければお会いに来られては」

 

総長はそう尋ねた。

その言葉を聞いたヘルードは一瞬フリーズした。まさか生存が絶望的であった教え子が生きているとは思っていなかったのである。話の流れ的には戦死の流れであったがまさかの生存となればヘルードの感情は嬉しさに満ちていた。

 

「な、なんと。それは嬉しい事です。てっきり亡くなったと思っていたものでまさか生きているとは」

 

嬉しさのあまり声を震わせながら言ったヘルードはそこで一旦区切り、少し間を置き続けた。

 

「ですが行く時は艦隊司令か軍に復帰した時です。その方がミヨーズも喜ぶでしょう」

「やはり艦隊司令ないし軍に戻られるのですか」

 

総長は薄々感づいていたことではあったがヘルード自身から艦隊勤務ないし軍務への復帰の意向を聞くと自然とそう言葉を返さざる得なかった。

 

「えぇどうも州知事という仕事は似合わん様でね。艦隊か軍を指揮していた方が活き活きしているのですよ。暫定知事ですし2週間後の知事選には出ませんよ。既に移動願いは政府宛に出しています」

 

ヘルードは少し笑いながら言った。そして言い終わったその顔にはもう忙しい州知事はこりごりだと言いたげな表情だった。

 

「そうでしたか。その願いは恐らく受理されるでしょう。何より私は宇宙艦隊司令をしたかった人間です。艦隊勤務や軍務を願い出る者を拒むような事はしません」

「そうでしたか。ならば有難い。総長閣下の分まで仕事をして見せますよ。それに主流派とのけじめを着けなければなりません」

「なるほど。頼みましたよ」

 

そう話し合う二人の顔は笑みで溢れていた。

 

後日、ヘルードは艦隊司令に戻りミヨーズと感動的な再会をするのだが、それは今少し後のことであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。