地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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外伝11 仮称X艦

 2205年7月1日、統括司令部の一室である大会議室にはチャーチル大統領、統括司令部総長の他に芹沢副総長、ゴップ総参謀長、ロバート・マッキントッシュ副参謀長、カール・J・マンフォード防衛艦隊司令長官、アレックス・キャゼルヌ後方支援・兵站参謀長、真田志郎科学技術局長官等の他にヤシマ重工や南部重工等の艦船建造に関わる多数の企業の社長や幹部が呼ばれていた。

 

 そして統括司令部直々にとある艦艇建造の計画が説明されていた。

 その説明を聞いた各企業の幹部達は次々と口を開いた。

 

「いくら何でも巨大すぎる」

「軍は本気なのですか」

「化け物だ」

「最早これは戦艦というより小型移動要塞という代物なのでは」

「これは今世紀の50万トン級戦艦とでも言えるのではないかね」

「グワダン級クラスでは無いですがそれでも巨大艦ですな」

 

そう次々と発せられた驚きの言葉を聞いた総長は一通り聞き終わると、口を開いた。

 

「この艦艇は今まで積み上げてきた地球連邦の造船技術とガルマン・ガミラスやデザリアム穏健派の技術協力。そして接収したガトランティス等の技術を考えると建造可能です。既に建造設備は月に新設してあり各主兵装についても技術的課題を次々とクリアしております。技術関連の詳細につきましては後程科学技術局の真田長官に後程お聞きください」

 

 そこで一息つくと総長は続けた。

 

「この艦はアンドロメダ級やブルーノア級そしてヤマト型同様、地球連邦を100年いや、それ以上の期間に渡って守護してくれる艦になってくれると期待しています。そしてその建造には皆さまのお力が必要です。どうか協力をお願いします」

 

 総長はそう言うと頭を下げた。

 そして総長が顔を上げて少しすると各企業から声が上がった。

 

「我が社は乗った!」

「我が社もだ!」

「ぜひ協力しよう」

 

 そう次々と各企業から声が上がりこの日、仮称X艦の建造計画はスタートしたのであった。

 

 それから3週間後、月のクレーター「コペルニクス」に設けられた巨大な造船所にて仮称X艦の建造は開始されたのである。

 

 

月・コペルニクス

 

月のクレーター「コペルニクス」に建設された巨大造船所には多くの人物が到着し、X艦の建造に関わり始めていた。既にコペルニクスには建造に関わる社員やその家族などが住むための都市が建設されており、表面上は新たな月面都市が出来上がったように見える状態であった。その為仮称X艦の建造自体はコペルニクス地下に建設されたドックで行われることになっており、そのドックの大きさには数多くの人物が驚愕していた。

 

「ここが艦首で、反対側のこちらが艦尾になる予定です」

 

 そう淡々と指を指しながらX艦の建造責任者は巨大なモニターで作業員達を前に説明していた。

 その説明を受けると、事前に説明を受けていた作業員達は改めて、ここで建造される艦艇の巨大さに圧倒され、息を飲むのであった。

 

 

同時刻、統括司令部総長室

 

「仮称X艦ですが予定通り起工予定です」

 

 統括司令部の総長室にて報告を聞きに来ていたゴップ総参謀長は総長から説明を受けていた。

 

「承知した。現場には工期遅延は遠慮なくしてもらって構わないから安全第一とミスの無い建造をするように伝えてくれ」

「かしこまりました」

 

 総長がそう言うとゴップは言葉を続けた。

 

「一つお聞きするが、なぜあのような超巨大戦艦を建造する気になられたのですかな。X艦を建造するならブルーノア級の追加建造やアンドロメダ級をダース単位で建造することも不可能では無かったはずですが」

 

 ゴップがそう言うと総長は少し間を置いて口を開いた。

 

「まぁそうですが。理由の一つは他国の艦艇と比べて比類無き艦艇を地球が保有することで抑止力を強化するためです。あれは保有しているだけで巨大すぎる抑止力になる。仮称X艦はゴルバやゼスパーゼだろうと惑星だろうと難無く宇宙の藻屑にできる性能を持っています。下手すれば白色彗星すらも1隻で相手できるかもしれない。地球が今しばらくは機動要塞等を本格的に生産できない以上は仮称X艦が地球の機動要塞となるのです。もう一つはさっきも言ったが機動要塞の代わりです。目下機動要塞の研究を進めていますが生憎地球には機動要塞の建造なんて経験が無いですからね、今しばらくは持っているゴルバ等の機動要塞を使いますが、数が十分には無いのでその埋め合わせに仮称X艦を使おうということです。他に似たような艦艇でグワダン級がありますがあの艦は積極的に前線には出る艦では無いですから」

 

 総長はそう言うとモニターにX艦の完成予想モデルを映した。

 

「この艦はヤマト型やアンドロメダ級、ブルーノア級同様に地球の独立を担保するだけの存在となるでしょう。宇宙一の戦艦として」

 

 モデルを見ながら口に出されたその言葉を聞いたゴップは静かに「なるほどね」と納得した様子で答えたのを見ると総長は別の話題を切り出すことにした。

 

「あれが完成すれば防衛艦隊はより強力になるが、もう一つの地球本土防衛艦隊計画の進捗はどうですかな」

「その計画も順調です。1週間後には最後の艦隊がジャブローより宇宙に上がります」

「それは良かった。この計画は地球本土防衛の要ですからな」

 

 ゴップは総長の言葉を聞き満足げに答えた。

 この地球本土防衛艦隊計画はその名の通り地球本土防衛に特化した艦隊を整備する計画である。現在地球軌道艦隊が本土防衛の為に展開しているがそれでは戦力不足ということで、多数の無人艦隊を配備し戦力不足を補う計画であり。その陣容は、地球周辺を巡航する無人艦隊が3個、ルナツー、ア・バオア・クー、ソロモン、月面基地に敵侵攻に際して即応する即応待機状態の無人艦隊が1個ずつという陣容である。

 原作では散々だった無人艦隊もこの世界ではかなり高性能に仕上がっている為、大量配備しても問題ないと総長が判断した為、これだけの量が地球周辺に配備されることになっていた。

 

 この艦隊の整備の目的は敵が地球侵略に際してガミラスやガトランティスのように正面から攻めて来ず、尚且つ何らかの手段で太陽系各地に配置されているワープ阻害システムを無効化するか地球の天頂ないし天低から直接地球本土に侵攻してきた際に敵を撃退ないし主力艦隊等の有力戦力が到着するまでの間の時間稼ぎを行うことが整備目的である。これは原作のデザリアムの地球侵攻のような事態を防ぐためであった。

閑話休題

 

「この本土艦隊が揃えば地球本土防衛網はより強力になりますな」

「そうです。侵略者には地球に指一本触れさせんよ」

 

 ゴップの言葉に総長はそう意気込んで答えたのであった。

 

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