地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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外伝12 古代進の一夜

『英雄の丘』そう呼ばれる公園は首都郊外にある。

原作では沖田艦長の銅像があるがこの世界では沖田艦長は生存し今も艦隊指揮をしている為、銅像はヤマトとそれに付き添った6隻のマゼラン級となっている。

この公園は市民の憩いの場になっており、日中は家族連れなどの市民で賑わう他、軍港が見える為、カメラを持った人も多くやって来る。

 

そんな公園に陽も落ち既に時計は22時を回ろうとしている頃に古代進はやってきていた。

普段なら家に帰っている時間だが妻の森雪は家に居ない。『家出をした』という訳では無く飛鳥型1番艦飛鳥の艦長となり長期間家を留守にしているのだ。

 

 

「相変わらず変わらないな」

 

公園を見回しそう呟くと古代進はベンチに腰を掛けた。

そして手に持っているコーヒーを一口飲むとふと空を見上げた。

 

 

今の古代進の役職は宇宙戦艦ヤマト2代目艦長であるがヤマトは現在近代化改修の為ドック入りしている。その為仕事が殆ど無い。流石に艦長ということもあり、偶に様子や説明を聞きに行ってはいるが、艦長としてやることはその程度であった。だがそこでここぞとばかりに目を付けた人物が居た。統括司令部総長である。

総長は古代進を司令部の自室に呼ぶと仕事を頼んだ。

 

「ヤマト改修の為、君も暫く暇だろう。そこで防衛大学校の教壇に立ってくれないか。別に何かを教えろという訳では無い。ガミラス戦争から今に至るまでに君が体験し感じた事を生徒や外部、主に外務省の外交官などに話して欲しいのだよ」

 

そう総長は言うとさらに続けた。

 

「君は若いながらイスカンダルへの航海を体験し、ガトランティス戦役ではテレザート星への調査を反乱覚悟で行った。また戦争を経てデスラー総統と個人的な繋がりを持ち親睦も深い。それらで感じた事や何故そうすべきだと思ったのかを話して欲しい。以前に君とデスラー総統の親睦を公表した際に行った記者会見で君が発した『憎しみからは何も生まれない。俺も家族をガミラス戦争で失った。でも今ではデスラー総統と親睦を深める事が出来るようになった。異星人同士でも分かり合える。だから過去にあった事は忘れる必要な無いが共に未来に向けて歩めるなら過去の憎しみを相手にぶつける必要ない』という言葉以降地球の反ガミラス感情は急速に目に見えて低下した。だから君が教壇に立って色々喋る事は急速に宇宙進出を行い、星間国家となっている地球の未来の為にもなると思っている。どうかな」

 

総長がそう話したことで古代進はここ最近防衛大学校の教壇に立ち色々と喋っている。どうやら総長は他にも声を掛けていたようで、親友の島、ヤマトクルーの山本玲や桐生美影も同じく偶にだが教壇に立っている。

そしてこの講義は好評のようで毎回満員だった。山本玲がクラウス・キーマンと結婚したように、地球人とガミラス人の夫婦も増えている現状、急速に星間国家が進む地球にとってこのような話が聞けるのは異星文明理解に必要と感じる者が多かったのである。

 

このおかげで今後地球を背負っていく者達の異星人や異星文明理解が進み総長から古代進達には感謝の言葉が届いていた。

 

 

「つい先日も講義を受けた生徒から感謝の手紙が来ていたな」

 

そんなことを夜空を見上げなら思い返していた古代進だが、上空を1隻のアンドロメダ級が通過して我に返った。ふと腕時計を見ると時計は22時20分を指していた。

 

「20分もか」

 

ふと口からこぼれた言葉で自分が20分も夜空を見上げていたことを実感した。

 

「家に帰ってもう一つの仕事でもした方がいいか」

 

そう呟いたが、そのもう一つの仕事が難物であった。

その仕事は「銀河大戦の終わらせ方」、総長から「君も会議のメンバーだよ」とニコニコした顔で言われ与えられた仕事である。

 

この会議は銀河大戦をどう終わらせるかの会議であり、メンバーは総長、副総長の芹沢虎鉄、総参謀長のゴップ元帥、防衛艦隊司令長官カール・J・マンフォード元帥などからなる会議である。

この会議は何回か開かれてはいるが未だに良い案は出ていなかった。会議自体も真面目にしているがメンバーも「どうすれば良いか」と言いあう始末であった。まぁ簡単に良い案が出れば戦争は既に終わっているというのが現実ではある。その為頭を悩ます仕事であった。

 

「まぁ簡単じゃないが考えるだけ考えてみるか」

 

そう呟くと古代進は立ち上がり家へと歩き出したのであった。

 




今年も本作を読んで頂きありがとうございました。

今年後半は外伝が多かったですが来年は本編も進めるように頑張りたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
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