地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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大戦への乱入者

時に2205年7月、防衛軍がディンギル帝国艦隊と交戦している頃、銀河連合に参加しているウルップ星域国家連合の4ヵ国はバダルメ恒星系外縁でSUSの大艦隊と交戦していた。

 

 

4ヵ国連合艦隊総旗艦シーガル

 

「敵艦隊は扇状に広がりつつあります。恐らく我が艦隊を包囲するつもりかと」

「うむ。ベルデル艦隊とアマール艦隊に艦載機で敵艦隊の外縁部を集中的に攻撃し包囲を阻止させるように連絡せよ」

 

4ヵ国連合艦隊を指揮するゴルイ提督は旗艦シーガルに次々と入ってくる情報を頭に入れながら命令を出していた。

 

現在の4ヵ国連合艦隊はエトス艦隊250隻を中心に、ベルデル艦隊150隻、フリーデ艦隊150隻、アマール艦隊50隻が900隻のSUS艦隊と交戦していた。そもそも交戦に至る原因は数時間前に遡る。

 

 

数時間前、バダルメ恒星系外縁部でパトロールに当たっていたエトス軍哨戒艦隊がバダルメ恒星系に接近する正体不明の大艦隊を探知したのだ。これを受けアマール王国を除く3ヵ国は戦闘態勢に移行すると共に、哨戒艦隊に接触するように命令した。そして哨戒艦隊は無事に正体不明の艦隊に接触することに成功し会談が始まった。

 

だが、この会談が問題であった。正体不明の大艦隊はSUSと名乗り、ウルップ星域国家連合に対して銀河連合からの脱退とSUS主導の新たなる国家連合への参加を要求したのだ。しかし余りにも一方的な要求であったためウルップ星域国家連合の首脳部は困り果てたのだが協議の結果、「いきなりやって来た訳の分からん国家の要求に従うより銀河連合に居る方が安心、安全である」という意見で一致したため、SUSには丁寧にお断りし帰ってもらうことになり、その旨を哨戒艦隊に通達した。そして哨戒艦隊司令はSUS艦隊に対して「要求はお断りします」と丁寧に返答した途端、SUS艦隊から「宣戦布告する」と返答があり、哨戒艦隊は集中砲火を受け全滅した。だが幸いにも哨戒艦隊は宣戦布告されたことを全周波で発信することに成功していた。この一報を受けウルップ星域国家連合は待機していたエトス艦隊、ベルデル艦隊、フリーデ艦隊と演習の為アマール王国から寄港していたアマール艦隊を加えたウルップ星域国家連合艦隊を派遣したのであった。そしてこの4ヵ国連合艦隊はバダルメ恒星系外縁部にてSUSの大艦隊と戦闘を始めることになったのである。

 

 

時は戻り、戦闘宙域では両軍が凄まじい砲撃戦を繰り広げていた。数ではSUS艦隊が上回っていたものの戦闘は4ヵ国連合艦隊有利に動いていた。

SUS艦艇は防御力が弱く火力偏重の特性が裏目となり総合的な戦闘力では4ヵ国連合艦隊が有利になっており、4ヵ国連合艦隊にも損害は出ていたがSUS艦隊に比べると少数であった。また少数ながら参戦しているアマール艦隊も善戦していた。このアマール艦隊は地球からの輸出艦であるマゼラン級6、サラミス級20、ドイッチュラント級5、レパント級15、コロンブス級4の艦隊編成であり地球艦譲りの火力と防御力を存部に発揮し次々とSUS艦を撃沈していた。

 

 

艦隊総旗艦シーガル

 

「SUS艦隊残数約500です」

「うむ。地球艦隊はどうだ」

「はっ。先程、サイラム恒星系に展開していた1個打撃艦隊が出撃したとのことです」

「では地球艦隊到着まであと少しだ。彼らが来たら波動砲で奴らを薙ぎ払ってくれるぞ」

 

ゴルイは報告を聞きそう言うと同時に少し安堵しながら(やはり主力は派遣できないか)と思っていた。

この時、幸か不幸かウルップ星域国家連合はボラー連邦と正面から殴りあえるだけの戦力をアマール王国以外揃えており、地球防衛艦隊はアマール王国にしか同盟国防衛用の艦隊を派遣していなかった。その為、バダルメ恒星系には1つも地球防衛艦隊が居なかったのである。そしてこの1個打撃艦隊は地球防衛艦隊が急遽派遣できる唯一の艦隊だった。

 

一方のSUS艦隊司令は怒りに震えていた。目の前の艦隊に勝てるどころか自軍が圧倒的に劣勢に陥っていた為である。

 

「早く雑魚どもを撃破できないのか!」

 

司令は怒りに満ちた声で言った。

 

「しかし司令、敵は意外にも防御力が高くなかなか攻撃が効きません。それに敵航空機が邪魔で包囲もできません」

 

兵士の一人がそう言うと、司令の顔は更に怒りに満ちた顔になった。

 

実際この時4ヵ国連合艦隊を包囲しようと動いた艦はアマールのセイバーフィッシュとベルデルファイターによって次から次へと沈められていた。セイバーフィッシュはその豊富なミサイルで攻撃を行い、ベルデルファイターはその圧倒的な数による攻撃でSUS艦艇を蜂の巣にしていた。

 

「雑魚どもに手こずるとは!」

 

司令は大声で叫んだ。

 

SUS司令がそう叫んでいる間に一番少数かつ一番強力な艦隊が到着したのである。

 

 

4ヵ国連合艦隊総旗艦シーガル

 

「提督、我が艦隊後方にワープアウト反応!数9」

「来たか」

 

報告を受けたゴルイはそう言うと後方を映しているモニターを見た。そこにはたった9隻の少数ではあるがここにいる艦隊の中では最強の艦隊が映っていた。

 

「地球艦隊より入電{オクレテスマヌ。コレヨリカセイスル}です」

 

兵士の一人がワープアウトした第九打撃艦隊からの電文を読み上げるとゴルイは一瞬口角を上げると命令を出した。

 

「全艦に打電、地球艦隊の正面をあけよ。波動砲の巻き添えを食らうぞ」

「はっ。全艦に打電します!」

 

ゴルイの命令を受け兵士は素早く命令を伝達した。この時4ヵ国連合艦隊の士気は強力な友軍の来援により跳ね上がっていた。

 

 

防衛艦隊第九打撃艦隊旗艦ベヒモス

 

「司令、本艦隊正面の4ヵ国連合艦隊が散開していきます」

「さすがゴルイ提督。此方の思考を読み取っているな」

 

第九打撃艦隊司令はそう言うとニヤリと笑みを浮かべ命令を出した。

 

「統制波動砲発射用意。正面の4ヵ国連合艦隊が退避したら直ちに発射だ」

「了解。全艦統制波動砲発射用意!」

 

司令の命令を受け第九打撃艦隊の中核を担う3隻のバジリスク級ベヒモス、アルミラージ、タラスクは波動砲の発射準備に入った。そして3隻が波動砲の発射準備をしている間、護衛の秋月型駆逐艦A1タイプの6隻は自慢の主砲を撃ちまくっていた。

 

「主砲撃ちまくれ!地球防衛艦隊の力を思い知らせてやれ!」

 

1隻の秋月型A1タイプ駆逐艦の艦橋では艦長が大声で叫んでいた。

 

 

 

一方のSUS艦隊司令は散開していく4ヵ国連合艦隊を見て不思議がっていた。

 

「なぜ奴らは散開していくんだ。それに正面の3つの青白い光はなんだ」

 

司令が不思議そうな声を出していると兵士の一人が驚いた声で報告してきた。

 

「司令!正面に居る3隻の艦艇から凄まじいエネルギーを確認、計測不能です!」

「なんだと!」

 

司令も驚きの声を出したがそれが最後の言葉となった。3隻のバジリスク級から第九打撃艦隊司令の「波動砲発射」の号令で拡散波動砲が発射されたのだ。

3隻から放たれた拡散波動砲はSUS艦隊正面で拡散すると500隻近くいたSUS艦隊の内、旗艦を含む400隻以上の艦艇を消し飛ばした。そして旗艦を失ったSUS艦隊は圧倒的力によってもたらされた惨劇を受けて慌てて反転、ワープし離脱していった。

 

 

4ヵ国連合艦隊総旗艦シーガル

 

「SUS艦隊撤退我が方の勝利です」

 

兵士の一人がそう嬉しそうに報告し艦橋内が沸き上がる中、ゴルイは「波動砲の威力は凄まじいな」と逃げ帰っていくSUS艦隊を見てそう呟いた。

 

 

この日、バダルメ恒星系外縁部でSUS艦隊と4ヵ国連合艦隊そして地球防衛艦隊第九打撃艦隊は交戦し、SUS艦隊900隻の内800隻近くを撃沈し勝利した。第九打撃艦隊は無傷、4ヵ国連合艦隊の損害も比較的軽微であった。

 

しかしこれは混迷極める銀河大戦が更なる混迷へと入って行くことを示しているようであった。

 

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