『レッドプラン』発令後、防衛艦隊は直ちに作戦を開始、次元潜航艦等による索敵を始めた。だが、SUSは防衛艦隊にとっては脅威ではあれどそこまで大きな物ではない。ベルデルファイターの機銃掃射で大破もしくは撃沈できるほど防御が脆弱となると、防衛艦隊が相手するとなれば容易く撃沈できる公算が大である。であれば防衛艦隊の当面の脅威はやはり圧倒的な物量と高い科学力を誇るボラー連邦であった。
そして銀河大戦開戦以来続く通商破壊戦は連合軍とボラー連邦陣営双方において激しい攻防戦が繰り広げていた、だが通商破壊戦や船団護衛は地球防衛艦隊を有する連合軍に一日の長があった。
地球の人類同士で争っていた経験がフルで活かされていたのは何とも皮肉な話である。
また地球防衛軍と防衛艦隊司令部は保有している30個の護衛艦隊では船団護衛戦力が不足していると判明すると、即座に新たな護衛部隊である護衛隊群を急遽編成し戦線に投入、通商破壊を行うボラー連邦艦隊と連日戦闘を繰り広げていた。
この日も北部戦線への物資輸送を行うEN36船団を巡って戦闘が勃発した。
「敵はデストロイヤー艦6隻だ、守り抜け!」
果敢に突撃してくるボラー連邦のデストロイヤー艦を見た護衛隊群司令はそう声を大にして言った。
このEN36船団はコロンブス級20隻とコロンブス級を半分に割った大きさであるビクトリー船20隻からなる船団であった。
それを守る第二護衛隊群は村雨改型軽巡洋艦6、松型8、無人磯風改型12、バラクーダ級無人汎用タイプ8、無人防空タイプ8からなり船団護衛部隊としては有力な戦力であった。
だがボラー連邦軍の通商破壊部隊は勇敢であり外周の無人磯風改型を沈め船団を目指して突入を仕掛けてきていた。
「全艦撃ち方始め」
そう護衛隊群司令が命令を出すと各艦はボラー連邦艦を目標に発砲する。
そして砲撃は命中し2隻を撃沈に追い込んだが最大火力が村雨改型の15.5㎝砲では全てを仕留めきることは出来ず、一斉射では僅かに進撃速度を低下させるのが限界だった。
しかし第二護衛隊群各艦の砲撃は一斉射では終わらない連続して砲撃が行われ、ミサイルも発射される。流石に一撃轟沈しなかったデストロイヤー艦も連続で被弾し戦闘不能となり2隻が離脱に成功したものの残りは撃沈され、第二護衛隊群は船団を守り切ったのであった。
このような戦闘は船団が航行するたびに繰り広げられ、防衛艦隊も無人艦を中心に被害が出ていた。特にピケットの無人磯風改型の損耗率は高かったものの、防衛艦隊の中では直ぐに損耗を回復できる艦であった為、痛むのは財布であった。
尤も統括司令部や防衛艦隊、ましてや政府としても無駄な損失と財布が痛むのは極力避けたい。幾ら小規模造船所でも建造できる小型艦と言ってもそれなりの価格はするのだ。
損失を避ける、その為にはやはりピケット艦が問題であった。対策としてはパトロール艦の配備もしくは哨戒機の配備である。この内パトロール艦の配備は楽にできる部類である。後は哨戒機の配備だが問題は哨戒機の母艦であった。手っ取り早いのはコロンブス級軽空母ではあるが、如何せん防衛艦隊にとって現状コロンブス級は軽空母より輸送艦や補給艦として使いたかった。その為には新規の小型空母が必要であった。
そして2205年7月30日、防衛艦隊の船団護衛部隊に期待の新星が登場しようとしていた、
ナイラナ級軽空母。この空母は地球防衛艦隊にとって待望の軽空母であった。
ナイラナ級軽空母はサラミス級巡洋艦の船体を利用し建造された空母であり武装は10㎝連装砲2基、6連装ミサイルランチャー2基、連装対空パルスレーザー16基、艦載機40機という軽空母としては十分満足できる性能であった。
このナイラナ級軽空母の建造自体はボラー連邦との開戦以前に開始されていた。
建造の目的としては戦闘空母やエセックス級といった大型艦では非効率になってしまう作戦に投入する為の空母を防衛艦隊が欲しがった為である。またそのような任務に当てられていたコロンブス級を利用した軽空母は拡大する版図に対してコロンブス級の数が不足しているのとコロンブス級軽空母は自衛火器を装備していない艦である為、自衛能力を持つ同程度の艦艇が現場が所望したのであった。
上記の理由により建造が開始されたナイラナ級ではあるが初期ロットは10隻であったが、地球防衛艦隊が大量建造しつつある次元潜航艦や潜宙艦に対抗してボラー連邦が次元潜航艦を建造している可能性があるという情報を情報部が入手したことにより、船団護衛部隊に随伴する空母としての運用やハンターキラー部隊を結成するという決定も下り大量建造が確定、続々と起工されていた。
また同時期にオマハ級パトロール艦の廉価版であるパシフィック級パトロール艦が建造されていた。武装は艦首波動砲、12.7㎝連装砲3基、連装対空パルスレーザー6基、3連装魚雷発射管4基、VLSを装備されておりオマハ級の後継艦として此方も続々と起工されていた。
このパシフィック級は急増するパトロール艦需要を満たすために計画された艦艇であり、ナイラナ級とチームを組みハンターキラー部隊を結成することになる。
そして開戦から数カ月経った頃にナイラナ級やパシフィック級は作戦に投入できるようになったのである。
ハンターキラー部隊はナイラナ級1隻、パシフィック級4隻、その他バラクーダ級等で編成される部隊であり2205年8月16日より随時戦場へ投入されていった。
なおナイラナ級やパシフィック級は他にも護衛隊群などにも配備され防衛艦隊を支える艦艇となるのであった。
このナイラナ級の護衛隊群配備に並行して防衛艦隊は護衛隊群に対してのパシフィック級を中心としたパトロール艦の配備、本国艦隊から間接護衛艦隊を編成することも積極的に行われていた。
こうして地球防衛艦隊は船団護衛戦力にも力を入れ、ボラー連邦の通商破壊部隊を大いに苦しめていくのである。
そしてナイラナ級とパシフィック級の恐ろしさはその使い勝手の良さであった。
防衛艦隊司令部はナイラナ級が使えると判断すると数隻のナイラナ級とその護衛艦からなる小規模な機動部隊を編成し通商破壊作戦に躊躇なく投入していったのである。
この通商破壊部隊は戦線に投入されるとボラー連邦の輸送船団を次々と血祭りに上げていったのである。
そして使い勝手の良さというのは防衛艦隊にとって魅力的であった。それは新世代艦艇が続々と就役しているにも関わらず旧世代艦艇が現役であり尚且つ未だに就役し続けているのが物語っていた。
金剛改型、村雨改型、磯風改型はその使い勝手の良さから酷使されていた。金剛改型であれば現役艦艇は全てが30.6㎝3連装砲を3基装備しており比較的強力な艦艇であった。
村雨改型であれば船体と武装はそのままの無人型や病院船、索敵能力を強化した無人哨戒型、主砲を15.5㎝連装砲にした村雨改型軽巡洋艦、武装を大幅に変えた新顔の村雨改Ⅱ型防空軽巡洋艦が存在する。
この内新顔の村雨改Ⅱ型防空軽巡洋艦は10㎝連装砲7基、連装対空パルスレーザー20基、4連装対空パルスレーザー10基、艦首ミサイル発射管4門、VLS、対潜宙艦・次元潜航艦ソナーを装備する強力な軽巡洋艦であり、ナイラナ級の直掩艦や護衛隊群での防空艦として活躍するのである。
そして磯風改型であるが船体、武装はそのままの無人型、主砲の代わりにレーダードームを装備し索敵能力を強化した無人哨戒型、主砲を10㎝連装砲2基に換装した砲撃型、主砲を廃止し6連装ミサイルランチャー2基を搭載したタイプ、同じく主砲を廃止しミサイルを搭載した宙雷艇が存在する。この磯風改型の各タイプは全てが無人艦ではあるがミサイルを搭載したタイプは後日波動ミサイルやディンギル帝国の技術を解析し製造した地球製ハイパー放射ミサイルを装備し暴れまわった。
このように旧世代艦艇の改良型もナイラナ級同様に使い勝手が良く、防衛軍からは重宝されバラクーダ級が大量就役しつつある中でも生産が続けられていたのである。
そしてこれら旧世代艦艇の改良型も各国に輸出されボラー連邦相手の戦闘していくのである。