地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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艦隊戦の始まりです。


土星沖会戦2

両軍による大航空戦が終了した土星沖では本命である一大艦隊決戦が今まさに開始されようとしていた。

 

 

防衛艦隊総旗艦アンドロメダ

 

「全艦主砲発射用意」

「主砲発射用意!」

 

土方の命令により総旗艦アンドロメダから全艦に主砲発射用意の命令が下る。

各艦がデータリンクに従い、それぞれ割り振られた目標に主砲を照準ししつつあった。

 

土星沖に布陣しガトランティス艦隊を待ち受ける防衛艦隊は、アンドロメダ以下の主力部隊を中心に第一から第三大隊が土星を背に展開、艦隊決戦開始の時をただ静かに、しかし銃口を向けながら待機していた。

 

「ガトランティス艦隊、射程まであと2分」

「全艦射程に入り次第データリンクに従い主砲及び各種ミサイルを発射せよ」

 

土方は冷静に全艦隊にそう伝える。

 

「了解しました」

 

そしてオペレーターは素早く慣れた手つきで命令を各艦に伝達していく。

 

両艦隊による艦隊決戦の火蓋が切られる時は刻一刻と近づいていた。

 

 

バルゼー艦隊旗艦アポカリクス

 

「バルゼー司令、地球艦隊射程に入ります!」

「よし。攻撃開始だ。地球軍を蹴散らせ」

「はっ、全艦攻撃開始!」

 

バルゼーの命令が下り、ガトランティス艦隊から無数のビームやミサイル、量子魚雷が発射される。この瞬間、土星沖で地球人類史上最大である一大艦隊決戦の幕は開かれた。

 

 

地球防衛艦隊総旗艦アンドロメダ

 

「敵艦隊発砲!」

「全艦撃ち方始め!応戦開始」

「主砲撃てっ! 続けて重力子スプレッド弾、艦首ミサイル発射!」

 

 

防衛艦隊旗艦アンドロメダからガトランティス艦隊の攻撃開始とほぼ同時に防衛艦隊全艦に土方の命令が下り、防衛艦隊の各艦からショックカノンやミサイルが撃ちだされ、アンドロメダ級が重力子スプレッドで攻撃を防ぐ。

 

ガトランティス艦隊は損傷により火焔直撃砲が防衛艦隊は波動砲を白色彗星迎撃の為使えず、主砲やミサイル、量子魚雷を使う。双方とも各艦艇の純粋な火力での大艦隊戦が始まった。

 

防衛艦隊各艦が一斉に主砲、ミサイルを発射する。さらにマゼラン級やサラミス級、エンケラドゥス級、レパント級のVLSからは続々とミサイルが発射されていき敵艦に命中、敵艦を撃沈ないし戦闘不能に陥れ。さらにショックカノンがガトランティス艦を貫き、ミサイルの飽和攻撃でカラクルム級を撃沈するが、負けじとガトランティス艦隊からビームと量子魚雷が一斉に発射され、マゼラン級や護衛の艦艇を撃沈する。特に量子魚雷が多数命中したレパント級は波動防壁を食い破られ、量子魚雷がミサイル発射管に命中、発射直前だったミサイルに誘爆し大爆発を起こし瞬時に轟沈した。

 

 

「ガトランティス艦隊、戦艦17隻、巡洋艦18、駆逐艦24撃沈」

「戦艦スタウト、巡洋艦ミンドラ、レパント級5隻沈没」

「巡洋艦フォボス大破、戦線離脱します」

「敵宙雷戦隊突撃してきます!」

「近づけさせるな!各艦迎撃せよ」

 

総旗艦アンドロメダには敵味方双方の損害の情報が続々と入り、土方が素早く命令を出してゆく。

 

 

 

「主砲、ミサイル撃ちまくれ!敵を近づけさせるな!」

 

第1大隊第7巡洋艦戦隊のサラミス級巡洋艦サヴァンナ艦橋では艦長が命令する。

 

マゼラン級アスタリスク艦橋でも艦長が命令を飛ばす。

 

「主砲三式弾で敵宙雷戦隊の隊列を乱せ。艦首ミサイルは波動ミサイル装填」

「主砲三式弾、ミサイル装填完了」

「撃てっ!」

 

アスタリスクから放たれた三式弾はガトランティス宙雷戦隊の隊列内部で炸裂し隊列を乱す。そこに波動ミサイルが命中し数隻を纏めて撃沈する。さらに突撃してきたガトランティス宙雷戦隊に向かって防衛艦隊各艦から多数の主砲、ミサイルが放たれ肉薄する前に宙雷戦隊は全滅する。

接近してきたガトランティス宙雷戦隊に放たれたこの波動ミサイルはミサイルの弾頭に波動エネルギーを込めたものであり、その破壊力はマゼラン級戦艦を一撃で吹き飛ばすほどの威力の物であった。それが直撃となればククルカン級駆逐艦など紙切れ同然に吹き飛ぶのも当然であった。

 

 

こうして防衛艦隊は波動防壁を展開し敵の攻撃を受けつつも、被害を抑えながら応戦するが、駆逐艦などの小型艦は多数の攻撃を受けきれず沈む艦が多く被害が拡大する。

 

「駆逐艦Z45、白露、ダンカン、護衛艦マーチン、エーベル、巡洋艦ザラ轟沈」

「巡洋艦ヒンデンブルク、戦艦テネシー戦列より離れる」

 

巡洋艦や小型艦が猛攻を受け多数沈み、2隻の巡洋艦と戦艦は黒煙を出しながら後退する。

その光景は報告が続々と入るアンドロメダのモニターで流れていた。

 

一方のガトランティス艦隊でも防衛艦隊の攻撃により損害は拡大していた。

 

 

バルゼー艦隊旗艦アポカリクス

 

「第5、9、13戦艦戦隊、第1、12、14、27駆逐隊、突撃した5個宙雷戦隊全滅」

「第4、17、20巡洋艦戦隊全滅」

「バルゼー司令、地球軍の艦艇は強力なバリアを展開しているようで思うように打撃を与えられません」

「地球軍め、思ったより手ごわいな。よしイーターを発進させろ」

 

思わぬ頑強な抵抗に若干の不安を持ち慌てる部下に対してバルゼーは冷静にイーター発進の命令を出す。

 

「了解しました」

 

少し不安がっていた部下はそう返事をするとイーターⅠの発進準備をさせた。

このイーターⅠはアポカリクスのみに搭載されている自滅型攻撃機である。満載すればアポカリクス級には80機搭載できるが今次戦闘時には艦載機発艦能力確保の為40機のみ搭載されていた。

 

数分後、旗艦アポカリクスの甲板が回転し複数のイーターⅠが発進する。そして発進したイーターは地球艦隊を目指し飛行を開始した。

 

 

「敵巨大空母から小型艦多数発艦!」

「迎撃しろ!撃ち落とせ!」

 

迎撃の命令を受け、速射性に優れた主砲を持つ小型艦が一斉にイーターⅠの迎撃を開始する。しかし被弾面積が極端に小さいイーターの撃墜は艦砲射撃では難しく、一部をミサイルで撃墜したが、それ以外は波動防壁を貫通し多数の艦艇に命中する。

 

 

そしてアンドロメダ艦橋に新たな被害報告が入る

 

「ドレッドノート級安芸、コロラド マゼラン級オレスタル、リューリック、クークスタウン エンケラドゥス級シャルネ、ウラジオストク、コンコード 護衛艦6 駆逐艦7 フリゲート9轟沈」

「敵小型艦は自爆機と思われ波動防壁を貫通できる模様!」

「なに」

 

波動防壁貫通の報告を受け、土方は少し驚いたような声で反応したがその後は冷静だった。

 

「敵巨大空母から発艦した小型艦は現在は確認できず」

「わかった。敵小型艦には今後も十分注意し、迎撃にはミサイルを使用」

「敵艦隊一部突出してきます」

「突出してくる艦を優先して狙え。焦ってはならん」

 

イーターⅠによる攻撃に驚いた土方であったが、敵艦隊突出の報を受けると素早く頭を切り替えそう全艦に命令をした。

 

「了解しました」

 

通信兵は短く土方の命令に返事をすると全艦に命令を伝達、そして命令を受けた各艦は突出するガトランティス艦に集中砲火を加えていった。

 

 

一方のバルゼー艦隊ではイーターの攻撃に合わせて一部の部隊が戦果を求めて突出していた。

 

「バルゼー司令、前衛部隊の一部が突出して集中砲火を浴びています」

「功を焦り追って。本艦の残りの艦載機を全機発艦させて援護しろ」

「はっ」

 

バルゼーの命令を受け、アポカリクスから残されていた多数のデスバテーターが発艦する。

 

 

アルデバラン艦橋

 

「敵空母から艦載機多数発艦!」

「主砲速射で迎撃!速射魚雷、多連装ミサイル発射。続けて重力子スプレッド撃てっ!」

 

谷司令の命令によりアルデバランや周囲の艦艇群から主砲やミサイルが発射される。

一方のデスバテーターは撃墜されながらも迎撃網を突破するが、その先では無数のパルスレーザーが待ち受けており、激しい迎撃を受け多数の機体が撃墜される。

何とか迎撃網を突破した機体がミサイルを発射するも、そのミサイルはドレッドノート級山城を小破させただけだった。そして、その機体も無数のパルスレーザーの集中砲火により撃墜され、デスバテーターの艦載機群は全滅した。

 

だが激戦は終わってはおらず、むしろ激しさを増していた。

 

 

総旗艦アンドロメダ

 

「敵艦載機全機撃墜」

「突出してきた敵艦隊、全艦撃沈」

「戦艦ガングート、巡洋艦ケント、トレント、球磨轟沈 マリアナ戦線離脱 小型艦も損害拡大」

「敵艦隊の4割を撃沈。しかし前進止まらず!」

 

オペレーターの焦りに満ちた声が旗艦アンドロメダ艦橋に響く。

 

 

防衛艦隊の猛烈な攻撃に対してガトランティス艦隊はその物量に物を言わせ損害を気にせず前進する。

 

そして両軍の艦隊戦は激しさをさらに増していく。マゼラン級フッドはカラクルム級5隻を同時に相手取り自身の大破・戦線離脱と引き換えに5隻全艦を撃沈し、サラミス級アトランタも数隻のラスコー級と猛烈な砲雷撃戦を行い全艦を撃沈していた。

 

戦闘は激化しドレッドノート級戦艦が一撃でカラクルム級を撃沈するが、報復とばかりに集中射撃を受け爆沈し、ミサイルに誘爆したサラミス級が一瞬で轟沈する。駆逐艦などの小型艦は多数のククルカン級と猛烈な撃ち合いを繰り広げ、エンケラドゥス級巡洋艦妙高の主砲が命中したゴストーク級が大爆発を起こし僚艦を巻き添えにして沈む。

まさに死闘ともいえる戦闘が続き双方とも損害が拡大していく。

 

 

戦闘は防衛艦隊の高い火力と防御力によりガトランティス艦隊は攻めきれず、損害だと既にガトランティス艦隊は半分近くが撃沈されるか損傷し戦線離脱をしていた。

 

一方の防衛艦隊は序盤こそ戦況を有利に保っていたものの、波動防壁の使用時間が過ぎると損害は拡大傾向であった、しかし波動防壁消失後はビーム攪乱幕を各艦が絶え間なく展開し損害を少しだが抑えていた。

そんな激戦の中で戦艦バーミンガムはその異色さ故に集中砲火を浴びていたものの、英国版ヤマトと言っても過言ではない防御力と高火力で次々とガトランティス艦を沈めていた。

 

「右舷に被弾 隔壁閉鎖」

「左舷にも被弾!」

「このバーミンガムが簡単に沈むか!」

 

被害報告が絶えない中、ワイアット中将がそう叫ぶ。

 

「正面、カラクルム級3、ククルカン級12!」

「プレゼントを返してやれ!」

「アイ・サー 主砲撃てっ」

 

そしてバーミンガムの主砲が発砲し、砲撃を受けたカラクルム級3隻が瞬く間に爆沈し、ククルカン級も猛烈な射撃を受け、カラクルム級の後を追うように全艦が爆沈する。特にバーミンガム艦底部に装備されている大口径砲は駆逐艦、戦艦など艦種関係なく一撃で撃沈していった。しかし単艦ではいくら奮戦しても戦況は変わらない。一隻また一隻と防衛艦隊は数を減らしていく。

 

 

総旗艦アンドロメダ

 

「戦艦エイブラム、クールベ 巡洋艦アマルテア、利根、ザイドリッツ、トレントン 駆逐艦以下18沈没 他に戦線離脱艦多数」

「司令、味方の損害拡大止まりません!」

「限界だな 。全艦に通達。応戦しつつ全速で後退せよ。作戦計画Bを発動する」

「了解。全艦に通達します」

 

土方が発した命令は素早く伝達され、防衛艦隊各艦は命令通り応戦しつつ後退を開始する。

 

 

 

「バルゼー司令!地球艦隊が後退していきます。どうなさいますか」

「決まっている。全艦全力で追撃せよ。これで地球艦隊も終わりだ」

 

 

 

後退を始める防衛艦隊に対してガトランティス艦隊は全速で追撃を始めた。

地球艦隊を全滅させるがために。

 

 

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