ガミラス戦役の始まり
時に2191年、地球は異星人の文明、大ガミラス帝国と接触した。
この接触は地球初の異星人との接触であり、本来は穏便な接触で済まさなければいけなかった。しかし国連宇宙海軍が派遣した艦隊は中央司令部の命令により冥王星沖で地球側の先制攻撃によりガミラスとの戦争に突入してしまい、地球側は派遣した艦隊の8割を損失。初戦は国連宇宙海軍の大敗北に終わった。
そして国連艦隊の敗北から3日後、国連では艦隊の大敗により各国が大騒ぎになっている中、国連宇宙海軍司令部の一室では数人の男が集まり会議を開いていた。
「原作通り初戦は先制攻撃の挙句に大敗北か…」
そう言ったのは国連宇宙海軍地球圏艦隊司令補佐の人物であった。
「仕方ない。我々は芹沢参謀長にいまだ接触できていない。それにその上層部は真面に我々の意見は聞き入れんからな」
そう言ったのは地球圏艦隊司令であった。
この地球圏艦隊司令はマゼラン級戦艦やサラミス級巡洋艦を中核とする地球圏艦隊の最高司令官であり、国連宇宙海軍の中でもかなり高い地位の役職である。
「そうですな。ちなみに宇宙海軍司令部は退役艦やモスボール状態の巡洋艦や駆逐艦を引っ張りだしてきて艦隊を再建するつもりです」
そう国連宇宙海軍参謀本部付の男が言う。
事実、国連宇宙海軍は艦隊戦力再建の為に内惑星戦争時の艦艇などモスボール化されていた艦艇をどんどん現役復帰させていた。
「では地球圏、頑張って火星までしか進出できない艦艇群に興味はないということか」
そう地球圏艦隊司令は言った。
「そのようです。マゼラン級やサラミス級、レパント級を前線で使用する気はないようです。まぁ我々からすれば少し有難いですが」
参謀本部付の男が苦笑いしながら言った。
「100年使える軍艦達だからな。大切に運用していくようにしなければ。そして先人達には感謝しなければな」
地球圏艦隊司令は地球圏で今も警戒配置で航行しているであろう艦艇群を思い浮かべながら言う。
今この会議室に居る人物は皆、宇宙戦艦ヤマトの世界に居た者や作品のファンが転生してこの世界にやって来た者たちであった。他にも他作品から転生してきた者も多くおり、そして彼らは今も各地で陰ながら活動していた。
そんな中でもマゼラン級などの艦艇群は今活動している彼等よりも前に転生してきた者達の手によって建造されてきた艦艇であり、現在は地球圏艦隊として多くの艦艇が現役で活動していた。他にもジャブロー基地やルナツー、ソロモン基地などが置き土産としてあった。そして彼らは先人の転生者達の残したメッセージとそれらの基地、艦隊を活かしてガミラス戦争を乗り切るつもりであった。
そして既に彼ら転生者達は地球圏艦隊の指揮系統は完全に掌握していた為、ある程度の戦力と発言権を持っていた。
そもそも地球圏艦隊とは国連宇宙海軍の中でも異色の艦隊であり、国連宇宙海軍は各国が独自に艦隊を保有しており各国が指揮権などで揉める事が多く、問題があるのに対して、地球圏艦隊は地球圏艦隊司令部傘下に全ての艦艇を保有しており、後の地球防衛軍とほぼ同じような組織であった。
特にジャブロー基地やルナツー基地など一部の基地は地球圏艦隊司令部の配下にあり、国連宇宙軍の中でも連携や後方の支援などが万全の完全な自己完結型軍隊であった。また艦艇数で言えばマゼラン級戦艦だけでも50隻を超える艦艇数を誇っており、国連宇宙海軍最大規模の艦艇数を持っていた。
だが膨大な艦艇数を誇る反面、主機が熱核ロケットエンジンであり、頑張っても火星沖までしか進出できない地球圏艦隊の任務は地球及び月近辺の防衛ができること全てであった。
勿論、現在は主機の更新作業が行われているが、膨大な艦艇数を誇りながらも国連宇宙海軍内では旧式艦の集まりとされている地球圏艦隊の主機更新作業は予算の都合もあり中々進んではいなかった。
閑話休題
「では地球圏艦隊は現状維持ということですな」
国連宇宙海軍参謀本部付の男はそう断言した。
「そうですな、まだ時間はあります。第一次火星沖海戦まではね。それまでにできる限り我々の勢力を大きくしましょう」
地球圏艦隊司令は考えながらもそう言う。
「そうですな」
「異議なし」
会議室内に居た他の転生者からもそう言った声が上がった。しかしまだ彼らは知らなかった。今後の自分達の活躍により原作がどのように変わっていくのかを。自分達がどのような地位に就くのかを。
そして場所は変わりルナツー基地近傍宙域、ここには地球圏艦隊最大規模を誇る地球圏第一艦隊、通称レビル艦隊が展開していた。地球圏第一艦隊はアナンケ級アナンケを旗艦にマゼラン級戦艦15、サラミス級巡洋艦48、レパント級フリゲート30、コロンブス級軽空母8という堂々たる陣容を誇る大艦隊である。
旗艦アナンケ艦橋
「司令、地球圏艦隊司令部より入電です」
「どうした」
通信兵からの報告を聞いたレビル中将は通信兵の方を向くとそう聞いた。
「はっ内容を読み上げます{地球圏艦隊ハ全艦隊、警戒配置ニテ展開セヨ}とのことです」
「わかった」
通信兵からの報告内容を聞いたレビル中将はそう短く返答すると。何かを思うように窓を向き何処か遠くを見つめた。
(再び戦争か、彼等から聞いてはいるが此れからは若い者や多くの市民が犠牲になるかもしれん。この戦争を一年戦争を超える戦争にはしたくないものだ、そのためには頑張らなくてはな)
レビル中将はそう宇宙の彼方を見つめながら思っていた。一週間で全人類の半数を失い、一大会戦で敗北し、その後勝利を目前にしてソーラ・レイによって命を落とした経験を持つ身としては、その様な戦争は二度としたくないと考えていたのだった。そして地球圏艦隊第二艦隊司令ティアンム中将、第三艦隊司令ワイアット中将などガンダム世界からの転生者は皆そう考えていた。だが今の地球圏艦隊にできることは何もない、それが現実であった。