あまりにも早いバルゼー艦隊の壊滅。これは都市帝国前面で戦闘していたガトランティス艦隊に対して戦力の分散を強要させることとなった。ここで戦力を抽出しバルゼー艦隊の穴を埋めなければ、都市帝国は土星から駆け付けた地球・ガミラス連合艦隊の攻撃に対して無防備に近い状態になるのだ。
そして都市帝国前面の艦隊から分散された戦力が地球・ガミラス連合艦隊に立ちはだかったことにより、戦闘は都市帝国周辺全宙域での激戦へと発展した。
都市帝国周辺では幾つものビーム、ミサイルが飛び交い、攻撃が命中した艦が大爆発を起こし轟沈し、双方が制空権を確保すべく無数の航空機が乱戦を繰り広げ、防衛艦隊各艦からは無数のパルスレーザーが豪雨のごとく撃ちだされ、都市帝国から続々と発進してきた航空機を次々と撃墜していった。
更に地球連邦地上軍の火星守備隊も加勢。3基の反射衛星砲や地対艦、地対空ミサイルでガトランティス艦隊を攻撃し、反射衛星砲の直撃を受けたカラクルム級が大破し、エンジンにミサイルが命中したククルカン級が行動不能になるなど、守備隊は善戦していた。
先遣艦隊旗艦アルデバラン艦橋
「全艦に都市帝国には接近しないように徹底させろ。集中砲火を浴びるぞ」
谷はそう冷静にオペレーターに言った。それに対しオペレーターは「了解、各艦に周知させます」と返答する。そこへ別のオペレーターが報告する。
「正面に新たな敵艦約150!」
「全艦主砲、多連装ミサイル、艦首魚雷発射!」
オペレータの報告を聞き、そう谷は素早く冷静に言った。
その命令直後に主力艦隊全艦が一斉に攻撃を開始し、ガトランティス艦隊内に幾つもの火球を生じさせた。その火球はガトランティス艦隊が少なくない被害を受けたことを示していた。そして第二大隊も戦闘を開始しており激戦が繰り広げられていた。
第二大隊旗艦アナンケ級タイタン艦橋
「白根、インフレキシブル損傷拡大、戦列離脱。ファタモルガーナ、アインフェリア前へ出ます」
「正面の敵艦残り108!」
タイタン艦橋にはオペレーターの様々な報告の声が響く。
「うむ、このまま正面の敵艦隊を殲滅する。臨機応変に対応しつつ慎重に進軍だ」
オペレーターの報告を聞くとそうティアンム中将は言った。
「了解」
そうオペレーターが返事した瞬間、別のオペレーターが報告をした。
「後方ワープアウト反応。識別確認、アンドロメダ麾下の友軍です」
「来たか」
オペレーターの報告を聞いたティアンム中将はそう呟いた。
アンドロメダ艦橋
「全艦ワープ完了!」
「右前方ヤマトの突入支援部隊です」
「ヤマトより入電」
ワープアウト直後にもかかわらずオペレーターが冷静に報告を上げる。
「内容は」
土方はそう尋ねる。
「支援部隊準備よし、とのことです」
「よし、突入部隊はヤマトの部隊に合流、その他の部隊は突入支援を行う!」
土方はそう力強く言った。
アンドロメダから命令が発信されると、アンドロメダに同伴していた改ドレッドノート級戦闘空母8隻と改コロンブス級揚陸艦4隻、その他護衛部隊がヤマトの部隊合流するために行動を開始する。そしてヤマト麾下の突入部隊は編成が完了すると直ちに突撃を、アンドロメダ以下の艦艇からは支援射撃が開始される。
「主砲撃ち方始め」
「主砲てっー」
土方の命令によりアンドロメダ以下各艦が砲撃を開始し、支援射撃は突入部隊を攻撃しようとする艦艇を次々と沈めていった。
一方、突入部隊は支援射撃もあり順調に都市帝国に接近しつつあったが、都市帝国からも攻撃が始まると攻撃を吸収していた艦に脱落艦が出てくる。
「戦艦ハル、浅間戦列より離れる」
「護衛艦ブレナン、ライレイ反応消失。轟沈しました」
レーダーを見ていた森雪が報告する。だがその報告は南部と古代の声にかき消された。
「正面カラクルム級!」
「主砲1.2番てっー」古代がそう号令する。そして主砲から放たれたショックカノンは一撃でカラクルム級を貫き撃沈した。
「あと少しだ」そして古代はそう爆沈するカラクルム級を見ながら呟いた。
「巡洋艦アキリーズ落伍!」
ヤマト艦橋には続々と報告が入ってきていた。その報告を聴き、黒煙を出しながら戦列から脱落していく1隻のサラミス級を見ながら古代は苦い顔をしていた。そこへ真田が声を掛ける。
「古代そろそろ波動砲を!」
「よし。波動砲を最低出力で発射する」
「了解。エネルギーを波動砲へまわすぞ」
徳川機関長がそう古代の命令に答える。だがその間にも状況は変化する。
「戦艦サジタリウス前へ出ます!」
「盾になる気か」雪の報告を聞いた真田はそう呟いた。
そう、マゼラン級サジタリウスはヤマトが波動砲発射準備に入ったのを確認し、主砲を撃ちまくりながらヤマトの前へ出たのであった。
「ヤマトの波動砲発射まで盾になるぞ!主砲撃ちまくれ!」そうサジタリウス艦橋で艦長は叫んでいた。
「エネルギーチャージ完了まで後30秒!」
「サジタリウスに離脱命令を」古代がそう相原に言う。
「了解」
そうしてサジタリウスは命令を受けると直ぐに波動砲射線上から離脱した。そしてサジタリウスが射線より離脱した直後、ヤマトは波動砲を発射し都市帝国の惑星部分に大きな穴を開けた。
「波動砲命中、突入口出来ました!」
太田がそう報告すると古代が相原に命令を伝えさせる。
「よし 突入部隊に突入命令を」
「了解です」
命令を受けた直後、単縦陣で付いてきていた後続の8隻の改ドレッドノート級戦闘空母の甲板や、4隻の改コロンブス級揚陸艦の格納庫から機動甲冑を身に着けた空間騎兵隊を満載した磯風改型と戦闘機が発進する。
彼らは艦隊からの援護射撃と銀河の波動防壁による支援を受けつつ突入口に入り都市帝国内部へと入っていった。
「突入部隊全て無事に突入しました」
そう森雪が報告する。
「よし、全艦直ちにこの場を離れる」
突入口を見ながら古代はそう言った。それに対し「了解」と艦橋要員は答えた。
こうしてヤマト麾下の突入部隊は都市帝国からの攻撃に応戦しつつ離脱した。
一方、都市帝国正面での戦闘は一気に防衛艦隊有利になっていた。アマテラスやインディゴ・ベルなど各艦が主砲を撃ちまくり、数が減ったガトランティス艦隊を疲弊させていく。
そして都市帝国左側で戦闘していたドメル艦隊は持ち前の機動力と優秀な将兵の活躍により、ほぼガトランティス艦隊との戦闘に決着がついていた。
「敵艦隊は敗走状態です」
「バーガー艦隊、敵艦隊追撃します」
「あまり深追いするなと伝えろ。伏兵が居るかもしれん」
「はっ」
オペレーターの報告を聞きドメルが命令を出していると通信兵から報告が入る。
「ヤマトより平文入電!」
「なんと言ってきた」
焦るようなオペレーターの声に対してドメルは冷静に尋ねた。
「突入部隊は無事に突入したとのことです!」
「了解した」
報告を聞くと、そう短くドメルは返事をした。
一方、レビル大将率いる第1大隊も戦闘を有利に進めていた。
戦艦群やエンケラドゥス級を前面に押し出し、凄まじい砲火を敵艦に浴びせていき次々とガトランティス艦艇を宇宙の塵へと変えていたのである。
「カラクルム級全艦撃沈、残るはゴストーク級3、ラスコー級14、ククルカン級40」
「うむ、このまま攻撃を続けよ。取り逃がしてはならん」
レビル大将はそう短い命令を出した。
それに対してオペレーターは「はっ、全艦に伝達します」と返した。
そして命令を受けた艦隊は残る敵艦に対して猛攻を加えていくのであった。
このように各宙域での戦闘は地球・ガミラス連合艦隊が有利に進めており、最早艦隊戦の決着は付いた様なものだった。
一方、突入した部隊は順調に都市帝国の惑星部分を制圧していた。既に格納庫、動力源は制圧が完了していた。特に機動甲冑の効果は絶大であり死傷者はほとんど出ていなかった。
「動力源は制圧した、艦艇ドックと在泊中の艦船の鹵獲を急げ!」
大声で斎藤が叫びつつ、続けて通信兵に命令する。
「それと都市帝国上部に砲撃要請!」
「「了解」」
こうして斎藤率いる空間騎兵隊の素早い行動により都市帝国下部は既に陥落したも同然だった。
都市帝国司令部
「動力炉制圧されました!」
「艦艇ドックにも侵入されました!」
「バリア展開不能です!」
「防衛隊は何をやっているのですか!」
オペレータの報告を聞き、帝国総参謀長サーベラーがそう吠えるが事態は好転しない。
「敵兵は何やら装甲着を身に着けており此方の火器が通じずに…」
副官がそう怯えるように報告しているとオペレーターが大声で「総参謀長!」とサーベラーの事を呼んだ。
「次はなんですか!」
「ゲーニッツ提督の艦隊が全滅しました」
オペレーターは無念そうな声で言った。
「なんですって!」サーベラーはヒステリックな声を出した。
ゲーニッツ提督率いる都市帝国防衛艦隊は最後までアマテラスの艦隊と戦闘を繰り広げていたが、後方からの谷司令官のアルデバラン率いる艦隊とバーガー艦隊に挟撃され奮闘虚しく壊滅していた。そしてゲーニッツ艦隊壊滅をもってガトランティス艦隊の組織的抵抗はなくなり、残存艦は各個撃破されていくか降伏していった。
「どうすれば」 サーベラーがそう呟いた瞬間、司令部が大きく揺れた。
「「うわぁぁ」」
叫び声が司令部に響く。
「何事ですか!」
「砲撃です。これは艦隊からの艦砲射撃です!」
その報告を聴きサーベラーは青ざめた。
その頃、都市帝国を包囲した地球・ガミラス連合艦隊は突入部隊からの要請により都市帝国上部に向けて数百隻もの艦艇から砲撃を開始していた。
「撃てっ、撃って撃って、撃ちまくれ!」各艦の艦長がそう叫ぶ。
動力炉を占領されバリア展開も反撃もできない都市帝国に対して、各艦から放たれたミサイルやビームが容赦なく都市部分の建造物に命中し破壊していく。こうして幾つもの砲撃により都市部分は只の瓦礫の山になりつつあった。
そして都市帝国の建造物が崩れ去る音は内部の突入部隊にも聞こえていた。
「凄まじい音だな」
「俺たちを巻き添えにしないでくれよ」
空間騎兵隊員は口々にそう言っていたその時、大きな揺れが彼らを襲った。
「うわっ」
「何事だ!」
次々と隊員達がそう叫ぶ。中には衝撃で転倒する者も居た。
「全員無事か!」そう斎藤が叫ぶ。
「無事です」
「第二小隊も無事です」
「第三中隊もです」
無線を通じて各部隊から無事の報告が入る。
「わかった。通信兵、艦隊に連絡を取れ!」
「了解」
艦隊に連絡を取った隊員は艦隊からの報告で青ざめた。
「どうした!艦隊は!アンドロメダはなんと言ってきた!」
「斉藤隊長、超巨大戦艦が都市帝国より出現とのことです」
通信兵は驚愕した声で報告した。
「何だって!」そう斎藤は大きな声で言った。