地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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火星沖決戦3

それは突然だった。何百隻もの艦艇からの猛砲撃を受けていた都市帝国が不自然な爆発を起こしたかと思えば内部より全長十数キロはあろうかという超巨大戦艦が出現したのだ。そして超巨大戦艦が砲撃を開始し、瞬く間に十数隻が撃沈された。

 

これには各艦の将兵とも唖然とするしかなかった。

 

砲撃はいったん止み、それから各艦のモニターに笑い声と共にズォーダー大帝が映る

 

「これで分かっただろ。この私こそ宇宙の絶対者なのだ。宇宙すべての星、その血のあるもの一滴まで私の物なのだ。私の意のままにあるのだ」

 

ズォーダー大帝はそうモニター越しに言い続けた。

しかし忘れてはならない、この世界にはヤマト作品が前世の者や作品の知識を持った転生者達が多数いるのだ。この言葉の間に転生者が指揮する艦は拡散波動砲の発射準備を完了していた。

 

そしてズォーダー大帝が笑いながら通信を切った瞬間、「波動砲発射!」の転生者艦長の声で数十隻の艦艇が一斉に拡散波動砲を発射した。各艦から発射された拡散波動砲は四方八方から超巨大戦艦に命中しその巨大な船体を破壊しつくした。

 

こうしてズォーダー大帝は応戦も何か反応もする間もなくこの世から退場した。

この光景は地球人類から見たらズォーダー大帝と白色彗星の恐怖が消えてゆく光景であった。

 

「さらばだ、ズォーダー大帝」そうエンケラドゥス級巡洋艦鳥海の艦橋で転生者の艦長は呟いていた。

 

そこへ全艦に「正体不明の宇宙船接近!」のオペレーターの声と警報が鳴り響く。土方をはじめ全艦の艦長が気を引き締める。しかしそこに現れたのは敵ではなくテレサであった。

 

宇宙船に乗って出現したテレサはヤマトクルーをはじめ、その場にいた全艦の将兵や地球にいた人々に対して超能力で語りかけた。テレサは自分を救い出してくれたヤマトや防衛軍に対して感謝していること、常に平和になることを祈っているなどを語り、多くの者がそれに耳を傾けていた。そしてその語りが終わるとそれに対して防衛軍司令室に居た防衛委員会委員長がテレサに聞こえているか分からないものの口を開いた。

 

「我々は貴方を救い出せてとても良かったと思っております。そして貴方が平和を望むことは素晴らしいと思うし、私も平和を望んでおります。そして貴方が自身の超能力を忌み嫌っている事もヤマト乗組員から聞いております。しかし平和は望むだけでは訪れないのです。今回のガトランティス戦も望んで起こしたものではありません。我々が平和に過ごす為の戦いだったのです。それにいまだにガトランティスの支配下で苦しんでいる者も居るはずです。貴方の超能力はその平和をもたらすことができるものではないのですか?」

 

その言葉を聞いたテレサは少しの沈黙の後、何も言わずに静かに宇宙船と共に姿を消した。

 

 

超巨大戦艦の沈没とテレサの出現と消滅を目にし、唖然としていた土方だったが、すぐさま行動可能な艦艇を集結させると同時に小型艦に生存者の救助を命じ、残存していたガトランティス艦に降伏勧告を出した。

この時点で、この宙域での地球・ガミラス連合艦隊で無傷なのは267隻、損傷しつつも全力で行動可能なのは329隻だった。

 

超巨大戦艦の沈没、これにより周囲で粘り強く抵抗し生き残っていたガトランティス残存艦も降伏しガトランティスの地球侵攻作戦は失敗しガトランティス戦役は地球の勝利という形で幕を閉じた。

 

 

第一大隊旗艦アナンケ艦橋

 

「勝ったな」

 

レビル大将はそう呟いた。

すると周りの参謀が「司令、我々の勝ちです」と話しかけた。それに対してレビル大将は「あぁ、我々は勝ったのだ」と短く返したのだった。

 

 

ドメラーズⅢ世艦橋

 

「勝ったようですな ドメル司令」

 

爆発していく超巨大戦艦を見ながらハイデルンがドメルにそう語り掛ける。

 

「あぁ激戦だった。バーガーにもご苦労と伝えてくれ」

 

ドメル将軍の言葉にハイデルンは短く「了解です」と返答した。

 

 

先遣艦隊旗艦アルデバラン艦橋

 

「谷司令勝ったようです」

「だな」

 

参謀の言葉に対してそう短く返すと、谷は帽子を脱ぎ埃をはたき落とした。

 

 

防衛艦隊総旗艦アンドロメダ艦橋

 

「土方司令、周囲のガトランティス艦は全艦が降伏しました」

 

そう参謀が報告する。それをを聞いた土方は「そうか、我々の勝利だな」と言うと「ですな」と傍らに居た山南艦長はそう返した。そして土方は通信兵に命令を出した。

 

「通信兵、あの都市帝国内にいる空間騎兵隊にも勝ったことを伝えてやってくれ。彼らも不安だろう」

 

土方は都市帝国だったものに視線を向けつつ命令を伝えた。

 

「了解しました」

 

通信兵はそう返事をすると都市帝国内に侵入した空間騎兵隊に連絡を繋いだ。

 

 

都市帝国惑星内部

 

「斉藤隊長、艦隊旗艦アンドロメダより入電です」

「なんと言ってきた!」

 

斎藤は大きな声で反応した。

 

「超巨大戦艦撃沈、周囲の残存ガトランティス艦隊も降伏。我が軍の勝利とのことです!」

 

通信兵はそう嬉しそうに内容を読み上げた。それを聞いた斎藤は「やったか!」と大声で叫んだ。そして「俺達の勝ちだ!」と無線からはそう喜びの声が流れていた。

 

こうして突入部隊や艦隊では勝利の喜びが満ち溢れていた。

 

 

防衛軍司令部

 

ここでは超巨大戦艦の沈没をもってガトランティス戦役が事実上、地球・ガミラス連合の勝利で終わったことで安堵するとともに皆が喜んでいた。

 

司令部の一室に集まっていた転生者達も大喜びだった。

 

「勝ったぞ!」

「我々の勝利だ!」

 

次々と喜びの声が上がり、中には涙を流しながら喜ぶ者もいた。

 

「まぁ皆、喜ぶのはいいがまだ終わってないぞ」そう言ったのはリーダー格の防衛委員会委員長だった。

 

それを聞いた途端、全員が真剣な表情となった。

 

「確かに我々は勝った、しかし何隻もの友軍艦と多数の将兵を失ってしまった」

「ですな」

「彼らをしっかりと祀ってやりませんとな」

「そうだな それにまだこれから先もあるしな」

 

転生者達は次々とそう言った。

 

「だな。で、委員長此れからはどうしますか」

 

副参謀が委員長に問いかける。

 

「そうだな。幸い沈没艦より損傷艦が多いだけで済んでるから、戦力の回復は安易だろう」

 

委員長はそう答えた。

 

「ですな。時間断層もありますし」

 

副参謀が頷きながら言うと、委員長が口を開いた。

 

「そこでだ、戦力がある程度回復次第、太陽系のガトランティス残存艦隊を殲滅すると同時に、シリウス、プロキオン星系に逆侵攻したいと考えている」

「なんですと!」

 

突然の委員長からの提案にどよめきの声が上がった。

 

「それは少し無茶では」そう一部の転生者から声が上がった。

 

「大丈夫だ。作戦実施は約2ヶ月後を予定している、その頃には戦力もだいぶ回復しているはずだ」

 

委員長はそう作戦の実施時期について言った。

 

「確かに現段階でもあの宙域で267隻が無傷、時間断層や各造船所で修理や竣工間近の艦艇を加えれば可能ですな」

 

副参謀がそう言う。

 

「現在の損傷艦も2ヵ月あれば余裕で戦列に戻れますでしょう」

 

そう造船部門の転生者が言った。

 

「それでは異議なしということでよろしいですか」

「はい、異議なし」

「それでは司令部と議会に根回ししておきます」

 

委員長はそう言った。

 

「頼みますよ」

「ところで、鹵獲した艦艇群と都市帝国の下半分はどうしますか」

 

転生者達が口々にそう言う。

 

「艦艇は使えるものは使う、都市帝国の下半分は地球防衛の拠点として地球圏まで運んできましょう」

 

副参謀がそう考えを述べる。

 

「了解しました」

「しかし破滅ミサイルやメダル―サ級、潜宙艦を鹵獲できたのは素晴らしいですな」

 

一人の転生者が言った。

この時既に都市帝国の占領をした空間騎兵隊から鹵獲艦の内容が彼らの元にも届いていたのだ。また降伏した艦艇の数も少なくは無く、カラクルム級なども降伏していた。

 

「そうだな、夢が広がる」

「防衛艦隊がデスラー戦法を使う日も近いですな」

「おぉ」

 

かくして地球連邦の暗躍者達の会議は続きテレサについても少しは触れたが、彼女について触れたのはそれだけだった。超能力者であり未来も見えるテレサのような存在ではない彼らに、この後の展開を知る由もなかった。

 

 

一方、市民も喜びに満ち溢れており「地球連邦バンザーイ!」といった声や「地球・ガミラス連合バンザーイ」という声がそこかしこで上がっており、なかには喜びのあまり抱き合う地球人とガミラス人もいた。その光景は数年前までは想像できなかった光景だった。

 

 

そしてその光景を一人の美しい容姿の女性が見つめていた。

 

2203年6月15日 ガトランティス戦役は地球連邦の勝利で終結した。

 

地球連邦防衛艦隊はこの戦役に補助艦を含め、延べ1500隻を超える艦艇を投入し、261隻の艦艇を損失、多数の損傷艦と戦闘後に修理不能と判断された艦艇を出したのであった。




テレサについてはどうするかめっちゃ悩みました。
本作のテレサはヤマト2の超能力者であることを基本としていますが一部さらばの設定も含んでいます。
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