地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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雷王作戦

太陽系外縁を輪形陣で航行する艦隊がいた。

 

その艦隊は6隻の改コロンブス級軽空母を陣形中央に入れた艦隊は順調に航行していた、しかし艦隊乗組員にはただならぬ緊張感と不安感が漂っていた。

 

 

第1航空艦隊旗艦マゼラン級ナッシュビル

 

「司令、奴らは喰いつくでしょうか」

 

そう副官が司令に不安そうな声で尋ねる。

 

「わからん… だが見かけは立派なガミラスへ向かう輸送船団だ。しかも戦艦付きのな」

「そうですが…」

「副官は何が不安なのだね」

「それは敵戦力です。想定以上の艦隊に奇襲などで一気に攻められるとこの艦隊では勝ち目はありません」

 

副官の言うことは尤もであった。この艦隊の編成の主力は軽空母6隻であるが、艦隊付近にワープされたりするなどの奇襲を受けた場合、頼りになるのは護衛のマゼラン級戦艦1隻、サラミス級6隻、レパント級16隻である。しかしガトランティス残党軍には少なくともカラクルム級数隻を含む数十隻であることが確認されていたのだ。これでは奇襲を受けた時には護衛艦隊がガトランティス残党軍に圧倒されてしまい、艦隊が全滅させられてしまうことが明白であった。

 

「なるほど、確かにそれは私も不安だよ。だが我々の後方には強力なティアンム艦隊がいる。想定以上の戦力が来ても大丈夫だ」

「わかりました、司令を信じます」

「ははっ。あまり頼りにはしないでくれよ」

 

そう言うと司令は少し笑いながら言った。

司令としても後方に指揮下の艦隊戦力は不安であった為、後方のティアンム艦隊に対して強力な期待と信頼を寄せていた。

 

 

 

一方、第1航空艦隊から約20万キロ離れた宙域、そこにはガトランティス残党軍の艦隊が集結していた。

 

「提督、前方に地球艦隊を捕捉しました」

「編成は」

「戦艦1、巡洋艦6、駆逐艦16、輸送艦6です」

「護衛が多いが数では此方が上だな、よし全力で叩く」

「はっ」

 

かくしてガトランティス残党軍カラクルム級4、ラスコー級8、ククルカン級28は第1航空艦隊に向けて突撃を開始した。囮の艦隊であるとは知らずに。

 

 

 

第1航空艦隊旗艦ナッシュビル

 

「レーダーに反応あり。正面ガトランティス艦隊40隻捕捉。此方へ向かってきます」

「来たか。全艦減速しつつ戦闘配置、空母は全機発艦用意!それとティアンム艦隊に打電、平文で良い。{トラは餌に喰いついた}とな」

「了解!」

 

 

 

第1航空艦隊後方約7万キロ・第1任務部隊

 

「司令、第1航空艦隊より入電{トラは餌に喰いついた}です」

「よし。全艦戦闘配置、直ちに第1航空艦隊前方3万キロにワープだ」

 

ティアンム中将は冷静に命令した。

 

「了解。全艦戦闘配置及びワープ準備」

 

 

ティアンム中将の命令を受け、艦隊は数分でワープ準備を整えワープ体制に入った。

 

「全艦戦闘配置及びワープ準備完了!」

「全艦ワープ」

 

ティアンム中将の号令で艦隊は直ぐにワープ準備を終え、ガトランティス残党軍を殲滅すべくワープした。

 

 

一方、罠に掛かっているとも知らないガトランティス残党軍は全速で第1航空艦隊に向かっていた。

 

「地球艦隊まで後5万キロ」

「地球艦隊減速した模様」

「なぜ減速した」

 

オペレーターの声を聴き、指揮官は疑問を抱いたがそれは直ぐに解決することになる。

 

「正面ワープアウト反応!」

「なんだと!数は」

「戦艦8、巡洋艦22、駆逐艦30!」

「くそ、嵌められたか。全艦砲撃戦用意!」

 

指揮官は咄嗟に自分達が罠に嵌められたことを確信しそう命令した。

 

 

第一任務部隊旗艦タイタン

 

「ワープ完了、正面ガトランティス残党軍。数40」

「よし。全艦砲撃用意。ネメシスは直ちに拡散波動砲発射だ」

 

ティアンム中将はそう命令を出す。

 

「了解 {旗艦タイタンよりネメシス、拡散波動砲発射を許可する}」

「主砲発射準備よし」

「ネメシス波動砲発射まで30秒」

 

オペレーターが次々と報告する。

それを聞きつつティアンム中将は命令を出す。

 

「よし、全艦耐閃光防御」

「全艦耐閃光防御」

 

「ネメシス、波動砲発射まで10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0発射!」

 

そしてオペレーターのカウントダウンが終わるとネメシスの艦首が光り拡散波動砲が発射された。

 

 

ガトランティス艦隊旗艦

 

「全艦砲撃用意」

「提督!地球艦より高エネルギー反応!」

「波動砲だ!全艦回避行動!」

 

ガトランティス指揮官はそう命令したが、その命令が全艦に伝達されることはなかった。

 

「ダメです間に合いません!」

「うわぁぁぁ」

「これまでか…」

 

悲鳴が響く艦橋内でそう短く提督は呟き目を瞑った。

 

そしてガトランティス残党軍は一瞬にしてカラクルム級4隻を含む35隻が轟沈、残りも無視できない損害を受けた、そこに第1任務部隊が攻撃を加える。

 

 

旗艦タイタン

 

「敵艦残り5隻です」

「うむ。全艦砲撃開始1隻も逃がすな」

 

ティアンム中将は短く言った。

 

「了解。全艦砲撃始め!」

 

副官の号令を合図に第1任務部隊各艦の主砲から一斉にショックカノンが撃ちだされる。先の拡散波動砲によって指揮系統は乱れ、まともに回避行動もとれないガトランティス残党軍は最初の一斉射で全滅した。

 

 

旗艦タイタン

 

「敵艦隊の全滅を確認、周囲に敵影ありません」

「了解した。全艦戦闘配置解除、第3フリゲート戦隊は生存者の救助に当たれ」

「了解、{旗艦タイタンより第3フリゲート戦隊へ、戦隊は敵艦沈没宙域へ向かい生存者の救助に当たれ}」

 

ティアンム中将からの命令を受けた第3フリゲート戦隊はガトランティス残党軍の残骸が漂う宙域に向かい生存者の捜索を開始した。しかし全艦が爆沈という結果だったので1時間以上にも及ぶ捜索であったが生存者は一人も見つからなかった。

 

こうして、雷王作戦はガトランティス残党軍の全滅という防衛艦隊の圧勝で終わった。

 

 

 

その頃、転生者達はいつもの高級料理店に集まっていた。

 

「春藍の予算可決に乾杯!」

「乾杯!」

 

転生者達は春藍建造の予算が承認されたことを喜んでいた。

 

「これで春藍が建造できますな」

「ですな」

「しかも2番艦も同時建造とは議会もよく許可してくれましたね」

 

転生者達が口々に言った。それに対し委員長が口を開く。

 

「まぁガトランティス戦役が激戦だったからな」

「確かに、あの激戦の直後ですと恐怖が大きいですからな」

「まぁそういうことだ」

 

委員長は嬉しそうな顔をしながら言った。そこへ芹沢参謀長が遅れてやってきた。

 

「おっ芹沢参謀長ようこそ」

 

委員長がそう言う。

 

「お邪魔します、雷王作戦の結果が出ましたので持ってきました」

「もう雷王作戦の結果が出ましたか」

 

委員長は驚いたような声で言った。

 

「はい。結果は防衛艦隊の圧勝です、残党軍40隻を一瞬で始末したようです」

「おぉ容赦ないですね」

 

委員長は苦笑いしながら言った。

 

「えぇ。あとシリウス、プロキオン攻略艦隊も暴れまくっております」

「それは頼もしいですね」

「完全占領まで、あと2週間もかからないでしょう」

 

芹沢参謀長は冷静にしかし嬉しそうな表情をしながら言った。それを聞いた委員長も嬉しそうな笑みをしながら「わかりました」と言った。

 

 

こうして転生者と芹沢参謀長が会合している間、攻略艦隊であるレビル艦隊はシリウス、プロキオン星系で大暴れしていた。

 

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