シリウス、プロキオン攻略作戦(星一号作戦)の為に出撃したレビル艦隊は進撃途中で、プロキオン攻略のレビル将軍直属の艦隊とシリウス攻略のヤマトを含む別動隊に分かれ侵攻作戦を開始していた。艦隊を二分したといっても両艦隊とも3個主力艦隊と1個機動艦隊そして空間騎兵隊を乗せた揚陸艦隊という200隻を超える編成での侵攻となっていた。
そして星系に到達した艦隊はすぐさま攻略に掛かり、事前に入手していた情報を基に次々とガトランティス基地を占領していった。防衛艦隊に偶然遭遇した艦隊に至っては、降伏勧告を無視した場合すぐさま猛烈な攻撃を受け宇宙の塵となっていった。
先制攻撃を仕掛けてきたガトランティス艦隊に至っては拡散波動砲で全滅という形の反撃を受ける有様であった。また空間騎兵隊も機動甲冑のおかげもあり負傷者すら出さずに次々と基地を占領していった。勿論ガトランティス駐留艦隊も必死の反撃を行うが、都市帝国とバルゼー艦隊の壊滅により士気が著しく低下しており、破竹の勢いに乗る防衛艦隊の敵では無かった。
この光景はシリウス、プロキオン両星系とも同じでありシリウスではヤマトが単艦で無数のガトランティス艦を血祭りにあげており、もはや戦闘ではなく虐殺に近い光景が両星系で繰り広げられていた。
プロキオン星系・第三艦隊旗艦アナンケ
「敵艦隊全滅、周囲に敵影ありません」
オペレーターがそう報告すると参謀がレビル大将に話しかける。
「将軍、呆気なかったですな」
「あぁ 彼らも疲弊しておるのだろうな」
そうレビル大将はそう考察した。
「でしょうな」そう参謀が言うと、オペレーターが新たな報告を伝えてきた。
「将軍、第八艦隊より入電、植民地兵の艦隊が降伏してきました」
それを聞いた参謀の一人が「またか」と呆れ気味に言う。
「ガトランティスはよっぽど苛烈な支配をしていたのだろうな、ワッケイン君には手厚く保護するように伝えてくれ」
レビル将軍はそう第八艦隊に指示した。
実はこのシリウス・プロキオン両星系の多くのガトランティス基地や駐留艦隊・警備艦隊には多数の奴隷や植民地兵がおり、地球軍が圧倒的な戦力でガトランティス正規軍に勝利していくと、勝てないと判断し艦隊ごと降伏してくる植民地兵艦隊や、奴隷が反乱を起こしガトランティスの基地守備隊を軟禁し降伏を申し出る基地が続出していた為、攻略艦隊は大忙しになっていた。
また、その捕虜や投降してきた基地・艦隊の多さにより本来の占領計画が狂い、攻略艦隊は地球に輸送艦と空間騎兵隊の増派を願い出るどころか、投降してきた植民地兵に基地占領を手伝わせる始末だった。もっとも彼ら植民地兵や奴隷は協力的であったのが唯一の救いであった。のちに地球に帰還した攻略艦隊の将兵から「降伏したいのはこちらだった」という声が上がるほどの忙しさだったらしい。
ともあれ想定外の出来事に悩まされつつも攻略作戦は順調に進み、攻略開始からわずか8日という短期間で両星系の完全占領は終了し星一号作戦は成功した。
この作戦による防衛軍の損害は0だった。そして占領されたガトランティスの基地や造船所などの兵器生産設備は地球連邦が接収し、後に地球防衛軍仕様のゴストーク級や量子魚雷が生産されることになる。
攻略作戦完了から5日後、お決まりとなった高級料理店で転生者達が会合を開いていた。
「星一号作戦、完璧なまでの作戦でしたな」
委員長はそう嬉しそうに言った。
「まぁ想定外の事もありましたがね」
副参謀は苦笑いしながら言った。
「確かに、幾ら何でも捕虜が多すぎるな」
「軍部としては希望する者に対して教育後、防衛軍の将兵になって欲しいと考えています。彼らには投降してきた艦艇の運用などに就いて貰うつもりです。」そう副参謀は今後の方針を言う。
「なるほど。ちなみに反乱の可能性は無いよな」
委員長はそう尋ねた。
「大丈夫でしょう、彼等は皆、非常に協力的ですから」
「それだとありがたいな」
「しかし投降してきた艦艇だけで1個艦隊以上が作れるとはな」
そう一人の転生者が顔を引きつらせながら言う
「それほど、ガトランティスの統治が酷かったのでしょう」
「奴隷からの聴取に立ち会ったレビル大将の話ですと、安堵のあまり泣いていたようですし、植民地兵も扱いはかなり酷かったようです」
副参謀がそう報告内容を伝えると他の転生者達は「マジかよ」と口をそろえて言った。
転生者達はガトランティスの統治が苛烈だということは知っていたが、どれ程酷いのかは知らなかった。
「今は皆さん精神的にも落ち着かれているので今後は大丈夫でしょう」
「それはよかった、それですまんが星一号作戦から話題を変えてもいいかね」
副参謀が言った言葉に対してそう委員長は返した。
「大丈夫ですよ、これでこの話題も区切りが付きましたから」
「すまんな」
そして話題は変わる
「近いうちにアンドロメダ級7番艦カシオペアとアナンケ級アルビオンが就役する。そして、この二隻の就役をもって防衛委員会としては防衛軍を大きく変革し、本土防衛軍とシリウス・プロキオン方面軍に分けたいと考えているのだが大丈夫かね」
委員長はそう参加者に問いかけた。
「なるほど、大丈夫じゃないですかね」
「そうですな、戦力的にも余裕は少しですがありますし」
転生者たちからは「異議なし」の声が上がる。それを聞いた委員長は続けて発言する。
「では、この案を議会と政府に上申しよう。それとワイアット中将から申し出があった観艦式についてだが政府は春藍型2隻の就役後にするつもりらしい」
「なるほど、では軍としてはその方向で調整します」
副参謀はそう返答した。
「よろしく頼む、あとガトランティスから接収した技術や生産設備の方はどうですか」
この委員長からの質問に対し技術官が答える
「旧都市帝国研究所での解析は順調です。地球製破滅ミサイルももう間もなく試作品が完成しますし、火焔直撃砲を流用した物質転送装置は間もなく実用化できます。潜宙艦については現在、試作艦1隻が建造中です」
「了解した」
「しかし破滅ミサイルを装備した防衛艦隊とは面白いですな」
一人の転生者が言った。
なおここでの破滅ミサイルは波動エネルギーを大量に詰め込んだミサイルになるのである。
「まったくですな」
「ちなみに破滅ミサイルを運用できる艦はなんですか」
そう委員長が聞く。それに対して技術部門の転生者は少し残念そうに答えた。
「それが今のところゴストーク級だけなのです」
「なるほど、では鹵獲艦のゴストーク級を優先的に修理させましょう。それとシリウス・プロキオン星系で接収した生産設備で地球仕様のゴストーク級も建造しましょう。そうすればミサイル艦と破滅ミサイル運用艦が簡単に揃えられますし」
副参謀がそう発言すると技術部門の転生者は「ありがとうございます」と答えた。
「しかし、いずれは地球製の艦艇で運用できるようにしたいですな」
そう委員長が言う。
それに対して「そうですな」と賛同意見が上がる。
「開発と改良を急ぎます」
そう技術部門の転生者は言った。
「艦製部門も使用可能な艦の設計を急ぎます」
艦製部門トップの転生者もそう言った。
「頼みます」そう委員長は言った。
こうして会合は続いていった。