冥王星沖での敗北後、ガミラス・地球間で主力艦隊同士の大きな戦闘は起きなかったものの国連宇宙海軍は天王星、土星、木星での駐留艦隊による防衛戦や撤退戦にて敗北を重ね、それらの惑星を失うことになり地球側の防衛線は火星沖にまで後退することとなった。
これにより後が無くなりつつあった国連宇宙海軍は火星を絶対防衛線と定め、主力艦隊や予備役艦、保管艦などモスボール化されていた艦艇や新造艦を火星に集結させていた。その数は700隻にも及び数だけはガミラス艦隊を遥かに凌駕していた。
だがこの国連宇宙海軍司令部の決定に対して地球圏艦隊司令部は「地球圏艦隊も全力で参戦できる月軌道を決戦場に」と強固に主張したが国連宇宙海軍司令部は聞き入れなかった。
国連宇宙海軍司令部としてはこれ以上の敗北と惑星の損失は面子にかかわるどころか組織の存在自体を揺るがすものと考えていた。
そして2192年6月5日に第一次火星沖海戦が勃発。初期は地球側が内惑星戦争時の残骸を上手く使い有利に戦闘を進めていたが、ガミラス側に増援としてシュルツ直卒の本隊より強力な増援艦隊が現れると形勢は逆転。地球側は惨敗し、ここに国連宇宙海軍主力は事実上壊滅した。
それから10日後、奇跡的に火星沖から撤退した残存艦隊を通じて火星沖での惨敗が国連各国に伝わると、国連総会は阿鼻叫喚になっていた。そしてそれは国連宇宙海軍司令部も同じであった。
惨敗の報告が届いてから10日も経っているのに各所共に混乱が収まらないのは、その衝撃の大きさを物語っていた。勿論、いまだ諦めずに技術開発を行っていた者もおり、決戦には間に合わなかったものの画期的な新型砲を完成させてはいた。そして転生者達や地球圏艦隊の司令官達はまだ何一つ諦めてはいなかった。
国連宇宙海軍司令部
ここ国連宇宙海軍司令部の会議室では国連宇宙海軍司令官や地球圏艦隊司令などが集まり会議を開いてはいた。
「あれだけの数を揃えて負けたんだ!これからどうするんだ!」
一人の参謀が怒鳴るように言う。しかしそれに対して何か返答する人物はなかなか現れなかった。転生者を除けば絶句するレベルの敗北なのだ。直ぐに対策が用意できるわけがなかった。そして暫く沈黙が続いていたが、それを地球圏艦隊司令が打ち破った。
「まだ地球圏艦隊が全艦無傷で残っていますし、日本の艦隊や各国の残存艦隊も残っています。新造艦もあります。それに現在、日本艦隊、また地球圏艦隊の一部は主機を換装し画期的な新型砲を撃てるようにしていく計画が進行しています。さらに地球圏艦隊は全艦、実弾兵装が豊富です。なので我々はまだ戦えます!」
地球圏艦隊司令はそう力強く言った。
実際、キリシマをはじめとする日本艦隊は転生者技術陣の活躍により、発射間隔は長いもののショックカノンを撃てるようになってはいた。原作では主機の関係で連射できずオーバーヒートに気を付ける必要があったが、この世界では転生者技術陣の力によってその問題が完全ではないが解決はしていた。またガミラス艦艇が実弾に弱いことも第一次火星沖海戦やそれ以前の戦闘結果によって判明していた。
「だが日本艦隊や各国残存艦隊はともかく、旧式艦ばかりの地球圏艦隊に何ができるというんだね!」
そう国連宇宙軍参謀の一人が言う。それを聞いた地球圏艦隊司令は一瞬、「不愉快だ」とばかりに眉を吊り上げたが直ぐに反論した。
「旧式艦ばかりとは失礼ですな。マゼラン級戦艦やサラミス級巡洋艦などは全艦が100年、いやそれ以上使える軍艦として設計、建造されております。また国連宇宙軍の中でも指揮系統がはっきりしており統率もしっかりととれております」
それを言われた参謀はバツが悪そうな顔をして黙った。実際、国連宇宙海軍主力では大国が指揮権で揉めていたのだ。それにより指揮系統がはっきりしなかった戦闘も多かった。そして黙っている参謀を見ながら地球圏艦隊司令は続けて言った。
「現在、日本艦隊と地球圏艦隊合同でとある作戦を準備しております。詳細は明かせませんが決戦の地は火星沖としております。その時に地球圏艦隊の実力を見せます」
そう地球圏艦隊司令は胸を張って言った。そしてそれに対して何かを言ってくる国連宇宙海軍司令本部の人間は一人もいなかった。
もはや地球圏艦隊に対して強気でいられた国連宇宙海軍主力艦隊は残っておらず、地球に残された宇宙戦力では地球圏艦隊が最大勢力となっていた。そして発言力も地球圏艦隊司令部が国連宇宙海軍司令部よりも上回っていた。この地球圏艦隊司令の言葉を聞いて国連宇宙海軍司令官は短く「わかった」と答えるだけであった。
この会議の4カ月後、南米ジャブロー基地ギアナ高地エリアから延びるカタパルトに複数の艦影があった。そしてカウントダウンが終わるとそれらの艦艇は一斉にロケットブースターが点火され宇宙へと打ち上げられる。その数マゼラン級戦艦10、サラミス級25の計35隻はロケットブースターによって地球軌道上まで打ち上げられるとロケットブースターを分離しエンジンを点火、一路ルナツー基地を目指した。しかし、この時点火したエンジンは熱核ロケットエンジンではなかった。その機関は金剛型と同じ機関であった。
そして月日は流れ2193年4月2日、地球に接近する隕石(遊星爆弾)を衛星が発見、これをティアンム中将率いる地球圏艦隊第二艦隊が迎撃し、三式弾や核融合ミサイルを大量に使用してこれを破壊した。しかしそれから5日後、今度は4つの隕石(遊星爆弾)が接近し地球圏艦隊が3つを破壊したものの1つが迎撃に失敗し日本の高知県に落下し多数の死傷者を出した。しかもこの遊星爆弾の迎撃に失敗したのは国連宇宙海軍司令部直属の艦隊であり、不本意ながら破壊に成功した地球圏艦隊の株が地球市民の中で上がることとなる。
こうして地球圏艦隊はガミラス戦争終盤まで遊星爆弾破壊任務に就くことになり、数多くの遊星爆弾を破壊することとなる。そしてそれが多くの地球市民の命を助けることになる。
そしてさらに月日は流れ2193年7月4日、ついに第二次火星沖海戦の準備が整うことになる。
富士宇宙港
ここ富士宇宙港では34隻の艦艇の発進準備が行われていた。
日本艦隊旗艦キリシマ
「沖田提督、全艦出港準備整いました」
そう幕僚の一人が報告する。そしてそれを聞いた沖田提督が命令する。「全艦抜錨。目標火星」と。その命令により宇宙港内にブザーが鳴り響き艦隊はエンジンを始動させ発進する。
艦隊は美しい富士山の麓を眼下にどんどん高度を上げていき、地球を後にした。そして時を同じくして、ルナツー基地からも出港する艦隊がいた。
その艦隊はレビル中将座乗の地球圏艦隊第一艦隊旗艦アナンケとコロンブス級2、護衛のサラミス級10、そして昨年にジャブロー基地から打ち上げられたマゼラン級戦艦10、サラミス級25だった。どの艦もエンジンを熱核ロケットエンジンから更新しており、戦艦は全艦が画期的な新型砲が撃てるようになっていた。それから両艦隊は月軌道で合流し、月軌道に展開している地球圏艦隊第四艦隊の見送りを受けながら一路火星を目指した。その数実に82隻。第一次火星沖海戦に比べると少ない数であったが、全艦の乗組員一同士気は非常に高かった。
一方のガミラス軍も地球艦隊の動きを察知し冥王星から艦隊を出撃させていた。
そして火星沖に展開した地球艦隊は第一次火星沖海戦時のデブリや艦艇の残骸に隠れ、ガミラス軍の来襲に備えていた。
そして7月15日、遂にガミラス軍が火星沖に来襲することになる。
第一次火星沖海戦は我が家の地球防衛艦隊様の作品を参考にさせて頂きました。
許可を頂いております。