地球で転生者達が盛り上がっている頃、ボラー連邦本星ではベムラーゼ首相は地球調査の報告を聞いていた。
「恐ろしい連中だな」
そうベムラーゼ首相は報告書を見ながら言った。
「はい、この狂ったような軍備増強は我々でもしたことがありません。というか不可能です」
そうゴルサコフ参謀総長は答える。
「不可能とはどういうことだね。総参謀長」
ベムラーゼ首相にそう尋ねられたゴルサコフはとある表を出し説明する
「首相、この表をご覧ください。ここの部分の白色彗星襲来前後の艦艇の就役数ですが、尋常ではありません。議会が予算可決してからたった数ヶ月で100隻以上の艦艇が就役しています。しかもガトランティス帝国の偵察艦隊や太陽系への侵入を試みたガトランティスの有力艦隊との戦闘、ガトランティス主力艦隊との戦闘期間も艦艇数は減るどころか増えています。ただの単一星系国家であり、しかも自国勢力圏、事実上の本土での戦闘中に艦艇数が増えるなどありえないことです。かなり事前にガトランティスの侵攻を知っていて軍が密かに凄まじい数の艦艇を建造していたなら話は別ではありますが」
「なるほど説明内容はよくわかった」
(あの星には何か秘密でもあるのか…)ベムラーゼ首相はそう考えたが直ぐに話題を変えた。
「まぁ地球については調査を続けるように。ところで、ガルマン人とそれに加勢しているデスラー艦隊を名乗る連中の調査は」
「それについてですが」と外交部の人間が話し始める。
「地球連邦と地球の在ガミラス共和国大使に確認したところ、ガミラス共和国の前身である大ガミラス帝国の総統であったデスラー率いる勢力とのことで間違いないです」
外交部の人間は恐る恐る言った。
ベムラーゼ首相の機嫌を損ねて怒らせては大変だからである。
「なるほど。で地球やガミラス共和国は関係しているのかね」
ベムラーゼ首相としてはデスラー艦隊の背後に地球連邦やガミラス共和国が居るのかが気になっていたのだ。なぜなら今現在ボラー連邦軍はデスラー艦隊とガルマン軍の連合艦隊にボロ負けなのだ。下手したら地球連邦が背後をついて攻撃して来るかもと考えていたのだ。
「いえ、両国とも関係はあるが何も関与していないとのことです。これは多数のルートから仕入れた情報ですので信憑性は高いと思われます」
外交部の人間はそう言ったが実際はガミラス共和国や地球連邦はこっそり支援を行っていた。ビーメラ星を交流拠点として地球連邦は工業製品や食料・医療物資、ガミラス共和国からは艦艇と人員という内容で支援をしていた。
しかしこの2カ国からしたら事実を喋る必要は無かった。当たり前だが喋ったところで何も徳が無いためだ。両国とも「(表立った)関係は無い」であった。
「わかった、それだけでも良い情報だ」
「ありがとうございます」
ベムラーゼ首相の返答に対して外交部の人間はそう言い頭を下げた。続いてベムラーゼ首相はゴルサコフに命令する。
「ゴルサコフ、これ以上の敗退は許されんぞ、わかったな」
「わかりました」
「それとだ。ゼニー合衆国との戦線に地球連邦の小規模艦隊を観戦で派遣させたいと思っているが大丈夫かね」
ゴルサコフにとっては突然の提案であったが「はい。大丈夫です」と答えた。
「だそうだモートフ。地球に観戦用に小規模艦隊をゼニー合衆国との戦線に派遣させるように伝えろ」
ベムラーゼ首相は外務大臣のモートフに言った。
それに対しモートフは「わかりました」と答える。
「ゴルサコフよ。これで地球から艦隊が派遣されたら戦闘では何が何でも勝つように。機動要塞ゼスパーゼを使用しても構わん」
「かしこまりました」
ベムラーゼ首相にそう言われたゴルサコフはそう答えるとその場を去った。
その後外交部の人間も去ったあとベムラーゼ首相は残された資料を見ながら考えていた。
(このヤマトやアンドロメダ級という戦艦は恐ろしいな、我が軍もヤマトのような戦艦を建造するべきか。しかし我が軍も地球軍ほどの働きをしてくれたら良いものを)
ヤマトは超大国のトップを驚かすほど単艦だけとは思えない戦果を挙げていたのだった。大ガミラス帝国相手に途中で増援が合流したとはいえ殆ど一隻で戦い勝利を勝ち取り、ガトランティス軍テレザート星守備軍を単艦で殲滅している戦果は配下の艦隊がボロ負けしているボラー連邦からしたら羨ましい存在であった。
こうして銀河の超大国、ボラー連邦のベムラーゼ首相は憂鬱であった
その頃、ボラー連邦軍とデスラー派・ガルマン連合艦隊は激戦を繰り広げていたがガルマン軍の次元潜航艦などに兵站線を痛めつけられ、正面戦力はデスラー派艦隊の前に敗退を繰り返していた。
そのためボラー連邦軍は各地から戦力を抽出し物量戦を仕掛けていたが思うように戦果を挙げられていなかった。そんな中デスラーは新たな本星を建設しガルマン・ガミラス帝国を建国しようとしていた。
「タラン、本星の建設状況はどうだね」
デスラーはそうグラスを持ちながら尋ねた。
「はっ、順調であります。あと数ヶ月で完成するかと」
「なるほど、無事建国できたら正式に地球と国交締結をしなければな」
「わかりました、総統」
「それと、ボラー連邦とゼニー合衆国との戦闘の状況はどうだね」
「それも問題ありません。また各方面軍の編成準備も進めております」
この時、ボラー連邦艦隊相手にダゴン司令率いる機甲艦隊が大暴れしており、ゼニー合衆国に対してはヒステン・バーガー師団が攻勢を仕掛け、戦局は圧倒的にデスラー有利であった。
一方、地球侵略を目論むデザリアム帝国では地球侵攻軍の編成が完了、先行して重核子爆弾が発射されていた。この侵攻軍は暗黒星団帝国が自由に使用できる戦力の全力であった。なぜ全力なのかというと、地球に対しての調査により地球が非常に強力な戦力を有している事、何らかの方法により短期間で大規模な戦力を揃えられる事を確認したためであった。
「重核子爆弾発射されました」
侵攻軍総司令カザンは旗艦ガリアデス艦橋で報告を聞いていた。
「よし、我が艦隊も発進!目標は地球だ」
「了解!」
この日、1000隻を超える戦闘艦と多数の輸送艦からなる暗黒星団帝国地球侵攻艦隊はデザリアム星より発進、地球を目指した。自分達の圧倒的な勝利を信じて。
地球が秘策を持って待ち構えているとも知らずに。
そのデザリアム帝国から侵略目標にされている地球では時間断層でアンドロメダ級5隻が同時に起工されていた。転生者達の働きかけにより連邦政府はデザリアム帝国の侵攻がある可能性が非常に高いとし、更なる軍備増強が進んでいた。尤も時間断層の存在がボラー連邦にバレないようにではあるが。
そして転生者達は例によっていつもの店に集まっていた。
「どうやらボラー連邦はデスラー派の艦隊とガルマン軍に苦戦しているようですな」
委員長がそう言うと外交部の転生者が発言する。
「恐らくそうでしょう、そうでなければわざわざ地球連邦と在ガミラス大使館に訪れて、関係性がないか、支援していないかを確認することもないでしょうし」
「ですね、もっともデスラーとは正式な関係性はありますが別に表立って支援はしていないですし」
「まぁ、いずれはガルマン・ガミラス帝国も建国されるでしょう。そして、その時に正式に国交締結をしたらよいのです」
外交部の転生者はそう持論を言う。
「そうだな、今は目前に控えているであろうデザリアム帝国の侵攻に備えましょう」
「そうです、ただ時間断層の存在がボラー連邦にバレないように増強しないといけませんがね」
委員長がそう言うとツッコミが入る。
「それでもアンドロメダ級5隻の同時建造でバレませんか」
それに対して委員長は「以前から建造していたことにしたから大丈夫、大丈夫」と笑いながら答えた
「本当にバレませんかねぇ」
他の転生者は不安であった。