地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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ボラー連邦の力

とある日、地球防衛艦隊第4パトロール艦隊は地球から遠く離れた星域に居た。

 

 

第4パトロール艦隊旗艦ユーフラテス

 

「副長、これを見てどう思う」

 

第4パトロール艦隊の指揮官兼ユーフラテス艦長を務めるチャールズ・ウッド少将は隣の席に座っている副長に尋ねた。

 

「そうですね。完全編成の打撃艦隊250隻に2個主力艦隊合計600隻、そして機動要塞ゼスパーゼ。正にボラー連邦軍の本気といったところですかな」

「そうか。私も同意見だ。軽く戦艦を600隻近く動員とは防衛軍ならお目にかかれん編成だな」

「そうですな」

 

副長も司令の意見に同意した。

 

「しかしこれでも主力艦隊や本国艦隊の全力ではないと聞くと恐ろしいねぇ」

「全く、ボラー連邦の物量は恐ろしいものです」

 

 

チャールズ少将と副長がそのように話していると、オペレーターが報告してくる。

 

「司令、ボラー連邦艦隊から入電、侵攻を始めるとのこと」

 

それを聞いたチャールズ少将は帽子を被り直すと命令した。

 

「了解した。ボラー艦隊に続いてワープだ」

「はっ」

 

その後、第4パトロール艦隊はボラー連邦艦隊に続いてワープした。

 

そもそもなぜ第4パトロール艦隊がボラー連邦軍と活動しているのかと言うと、一週間以上遡ることになる。

 

 

防衛委員会委員長執務室

 

「ボラー連邦がぁ!?」

 

執務室には委員長の驚きと疑問に満ちた声が響いていた。

 

「はい。数時間前にボラー連邦大使館を通じて連絡がありました。詳細はそちらの書類に」

 

秘書はそう言い、委員長の手元にある紙を指した。そう言われた委員長は書類に目を向け、数分かけて書類の隅から隅まで目を通した。

 

「なるほどね。要するに銀河の大国ゼニー合衆国の領域に侵攻するから、観戦の為に小規模艦隊を派遣してもいいよってことか」

「はいそうです」

「侵攻ついでにボラー連邦の力を見せつけるって目的もあるだろうなぁ」

「恐らくそうかと」

「因みに政府は許可を出したの?」

 

委員長は書類を置くと秘書に尋ねた。

 

「はい、政府は許可を出しています。既に防衛軍司令部に派遣艦隊を選出するように伝達しています。あとは委員長の判断です」

「なるほど。いいんじゃないかな。まぁ派遣する代わりにボラー連邦の力を徹底的に調べ上げて来て貰おうじゃないか」

「了解しました。政府には委員長も許可をしたと言っておきます」

「あぁ頼む」

 

こうして委員長は艦隊派遣に許可を出したのであった。

 

 

 そして第4パトロール艦隊はボラー連邦軍の侵攻目的星域であるイワーハ星系にワープアウトしていた。ボラー連邦軍はゼニー合衆国の攻勢を乗り切り反撃に転じ、ゼニー合衆国領イワーハ星系にあるゼニー合衆国軍の重大拠点の一つであるフーアオ星を攻略しようとしていたのだ。

 

「全艦ワープアウトしました」

「落伍艦ありません」

 

第4パトロール艦隊旗艦ユーフラテス艦橋には第4パトロール艦隊のワープアウト後の報告が続々と入っていた。

 

「了解した。全艦に再伝達、本艦隊はボラー連邦艦隊の後方に待機しボラー連邦軍の力をしっかりと記録せよ。勿論ゼニー合衆国軍のもな」

「了解」

 

 オペレーターは短く返事し直ぐに全艦に伝達した。そしてボラー連邦軍とゼニー合衆国軍の戦闘は始まろうとしていた。

 最初にボラー連邦軍はイワーハ星系外縁部のナイラ星を攻撃し駐留していたゼニー合衆国艦隊20隻を壊滅させると、プロトンミサイルを叩き込みナイラ星を吹き飛ばした。その後もボラー連邦軍は物量に物を言わせながら進撃し、迎撃に出撃してきたゼニー合衆国艦隊50隻をブラックホール砲で消滅させた。さらに次の惑星であるカイロモ星にもプロトンミサイルを叩き込み同惑星を吹き飛ばした。

 

 

「正に力押しだな」

 

ユーフラテス艦橋でチャールズ少将はボラー連邦軍の戦闘を見ながら呟いていた。

 

 

 その後もボラー連邦軍は物量とブラックホール砲に物を言わせながら進撃した。途中100隻近いゼニー合衆国艦隊が奇襲を仕掛けてきたため、艦隊に少なくない損害が出たものの気にせず進撃を続けた。

 

 一方のゼニー合衆国軍は最重要惑星であるフオア星沖に艦隊を集結させ決戦を挑もうとしていた。

 

そしてボラー連邦艦隊とゼニー合衆国艦隊は決戦の時を向かえる。

 

 

ユーフラテス艦橋

 

「長距離レーダーがフオア星沖にゼニー合衆国艦隊を捕捉。ボラー連邦から提供された識別表によるとカロノス級戦艦20、ラドロコ級戦艦40、スプワ級空母10、ランド級巡洋艦60、チルボモ級大型巡洋艦30、チャーフレ級駆逐艦120です」

「ゼニー合衆国の主力艦隊か」

 

オペレーターの報告を聞きチャールズ少将はそう呟いた。

 

 

 そして決戦である大艦隊戦は始まった。

 ボラー連邦軍は主力艦隊を前面に展開しお得意の物量押しの陣形を取った。それに迎え撃つようにゼニー合衆国艦隊も迎撃陣形を取りお互いの艦隊をぶつけあった。

 

 ゼニー合衆国軍は背後に重要拠点を抱えており撤退を許されず、ボラー連邦軍は第4パトロール艦隊というお客さんが居るため引けなかった。その為、お互いに持てる火力全てをぶつけ合い終わりのない消耗戦となった。

 

 しかし総戦力ではボラー連邦軍が上回っておりゼニー合衆国艦隊は徐々に押されていった。

 

「引くな!応戦しろ!」

 

ゼニー合衆国艦隊司令であるメルキン提督はそう叱責するが状況は変わらない。

 

 ブラックホール砲がゼニー合衆国艦隊至近で炸裂しチャーフレ級駆逐艦数隻が飲み込まれていく、そしてカロノス級戦艦も集中砲火を受け一隻一隻と数を減らしていった。だがゼニー合衆国艦隊も負けずと反撃しボラー連邦艦隊に大きな打撃を与えていた。そんな激戦は数時間にも及び両軍ともに大きな損害を受けたが、最終的な軍配はボラー連邦軍に上がった。

 そして決戦に敗れたゼニー合衆国軍はイワーハ星系からの撤退を開始したが撤退戦でもボラー連邦軍は追撃戦を加え、ゼニー合衆国軍に対して少なくない損害を与えた。その後、数日掛けてボラー連邦軍イワーハ星系の各惑星を占領していき、イワーハ星系は完全にボラー連邦の支配下に収まった。

 

 

 

 そしてイワーハ星系での戦闘報告を受けた地球連邦政府は驚愕と恐怖に溢れていた。議会では「万が一ボラー連邦と敵対した場合、防衛軍は勝てるのか」や「このままでは地球がボラー連邦の属国になる」と言った意見があったが、防衛委員会委員長が「今は力を蓄えボラー連邦の属国にならないように立ち回るべきである」と言い、大統領も委員長の意見を支持し議会をなだめたのだった。尤もこの一件で防衛軍の予算は歯止めを掛けつつも大幅に増やされることにはなった。

 

だが今回の艦隊派遣で地球はボラー連邦軍がどのような装備を保有しているのかや戦法、艦隊運用方法などの多くの情報を入手することができたため、防衛軍司令部や委員長は満足であった。

 

 

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