地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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重核子爆弾を破壊せよ!

2204年9月1日

 

この時点ではまだデザリアム艦隊主力と輸送艦隊は順調に太陽系に向けて進撃していた。

 

デザリアム帝国地球侵攻艦隊旗艦ガリアデス

 

「カザン司令、前衛艦隊と重核子爆弾が太陽系外縁部に到達しました。間もなく地球艦隊と接敵します」

 

参謀が淡々と報告する。

デザリアム側はステルス性の高い高速艦艇による偵察で既に太陽系外縁部で待ち構えている地球艦隊の展開状況を掴んでいた。

 

「了解した。主力の部隊は所定の行動に移り、各部隊はまず太陽系外に展開している地球艦隊を殲滅せよ」

 

カザンの命令により艦隊は各部隊事に散開し太陽系に向け進撃を始めた。

 

デザリアム艦隊総司令のカザンは2500隻もの大艦隊を有効に活用すべく、幾つかの部隊に分け、今現在所在の分かっている地球艦隊を各個に撃破するつもりだった。尤も分散といっても一つの部隊が100隻越えの大艦隊であった。

 

勿論この作戦は重核子爆弾により地球艦隊が混乱していることが前提であり、太陽系内外の各地に展開している地球艦隊が態勢を立て直す前に全滅させるつもりであった。一方この作戦に対してミヨーズは「兵力の分散は愚策では」と懸念を示したがカザンは「2500隻もの大艦隊を効率よく運用しなければ勿体ない」と言い作戦を強行した。

 

 

だが既に地球防衛艦隊は態勢を整えてデザリアム艦隊を待ち受けており、シリウス・プロキオン方面軍からも援軍を呼び寄せていた。そして重核子爆弾破壊作戦も順調に進んでいた。

 

 

 

その頃、次元潜航艦アーチャーフィッシュは統括司令部の命令によりデザリアム艦隊の監視の任務に就いていた。

 

「ほぉ、デザリアム艦隊は艦隊を分散させるか」

 

アーチャーフィッシュ艦長は潜望鏡を覗きながら呟く。

 

「分散ですか」

 

副長がそう言葉を返した。

 

「恐らく各個に太陽系に突撃させるのだろう。通信で司令部と各艦隊に状況報告だ。内容は{敵主力は1部隊100隻越えの複数の部隊を分離}だけでいい」

「了解しました」

 

こうしてアーチャーフィッシュからの通信は、予め通常空間に放っていた偽装通信機魚雷を通して統括司令部と各艦隊に暗号化されて送信された。

 

この通信はデザリアム艦隊にも傍受されたが内容を解読できず、デザリアム艦隊は警戒レベルを上げただけであった。

 

 

一方、重核子爆弾正面に展開する第三機動艦隊は重核子爆弾破壊作戦の準備を順調に進めていた。

 

「川崎司令、デザリアム艦隊の監視に就いているアーチャーフィッシュより入電です{敵主力は1部隊100隻越えの複数の部隊を分離}です」

 

通信兵が報告する。

 

「了解した。全艦臨戦態勢、奇襲に備えよ」

「はっ」通信兵は返事すると各艦に通達する作業に入る

 

「それと作戦参謀、作戦準備は順調か」

 

川崎はそう尋ねる。

 

「はい順調です。すでに本艦とウエストバージニア、ロスバッハとのデータリンクは完了しました。あとは射程に入るのを待つだけです」

 

作戦参謀は現状を簡潔に伝える

 

「わかった」 川崎はそう返した。

 

この重核子爆弾破壊の任務を与えられている第三機動艦隊はガトランティスの鹵獲艦で編成されており、その中核には防衛軍の虎の子である魔改造された鹵獲メダル―サ級出雲、ウエストバージニア、ロスバッハの3隻がおり、これらの艦にはヤマトの真田技術長や大山技術長、そして転生者の技術者といったマッドサイエンティスト集団によって魔改造、製造された火焔直撃砲改め波動火焔直撃砲が搭載されていた。

 

この波動火焔直撃砲は火焔直撃砲と波動砲を融合させた代物であり、波動砲と同じようにエネルギー充填に時間が掛かり連射できないものの、仕組みは火焔直撃砲と同じでありその威力は絶大である。その威力は彗星帝国ほどの物であれば一撃で葬り去れるものであった。しかも通常の火焔直撃砲も発射できる素晴らしい兵器である。今回は波動火焔直撃砲を3隻が連動して重核子爆弾に発射するのでオーバーキルもいいとこであったが、念を押して3隻連動で発射するのである。

 

 

「司令、射程まであと5分です」

 

作戦参謀が川崎司令に報告する。

 

「よし。5分後、射程に入った直後に波動火焔直撃砲発射だ」

「はっ」

 

(デザリアムに防衛軍の恐ろしさを見せてやる)そう川崎は心の中で呟いた。

 

 

同時刻、統括司令部

 

統括司令部はデザリアム軍襲来に伴い連絡がより密になり大忙しとなっていた。

 

「第三機動艦隊、波動火焔直撃砲発射準備完了、射程まであと5分」

「アーチャーフィッシュより入電、{敵主力は1部隊100隻越えの複数の部隊を分離}とのこと」

「各艦隊より臨戦態勢を取るとの一報」

 

オペレーターが次々と現状の報告をする。

 

「各艦隊に通達、{接敵次第戦闘を開始せよ}それと全軍に{奇襲に最大限警戒せよ}と通達」

 

総長は命令を言う。

 

「了解、各艦隊に通達します」

「重核子爆弾、第三機動艦隊の射程に入るまであと3分!」

 

(しっかり破壊してくれよ)

第三機動艦隊に対して総長は心の中で呟いた。

 

 

そして当の第三機動艦隊は緊張感で包まれていた。

 

「波動火焔直撃砲の射程まであと1分」

「波動火焔直撃砲発射準備よし、全艦連動完了」

「射線より全艦退避完了」

 

オペレーターの各員が報告を挙げる。

 

「波動火焔直撃砲発射用意!」

 

川崎が言った。

 

「波動火焔直撃砲発射用意! 射程まであと10秒!」

 

オペレーターがそう言ったこの時、艦橋にある波動火焔直撃砲のエネルギーメーターは120%を示しており何時でも撃てる態勢である事を現わしていた。そしてその時は来た。

 

「重核子爆弾、射程距離入りました」

「座標入力よし」

 

報告を聞くと川崎短く言った。

 

「全艦、波動火焔直撃砲発射!」

 

この命令で砲術長が波動火焔直撃砲の発射トリガーを引くと、連動した3艦の艦底部に装備された発射口からエネルギー波が発射されたと思えば、転送装置によって重核子爆弾目前まで転送され、前面と付近にいた護衛艦を跡形もなく粉砕し、その威力を重核子爆弾にぶつけた。

 

3発の波動火焔直撃砲を受けた重核子爆弾はその膨大なエネルギーを受け流せず、瞬く間に周囲の護衛艦を巻き込み爆発した。

 

 

前衛艦隊旗艦ネズガリアでは司令のアズダが呆然としていたが、部下が報告を挙げる。

 

「重核子爆弾破壊されました」

「周囲に展開していた護衛艦18隻通信途絶、爆発に巻き込まれたものかと思われます」

 

部下の声も信じられない事が起きたので少し小さかった。

 

「何が起きた、どこからの攻撃だ!」

 

アズダが問いただす。

 

「重核子爆弾が破壊される直前に、正面に展開している地球艦隊から発射反応があったのでそれかと」

 

レーダー手が恐る恐る答える。

 

「この距離で攻撃できる兵器を地球人は持っているのか…」

 

アズダは少し考えるとすぐに命令を出す。彼とて無能ではないのだ。

 

「重核子爆弾が破壊されたことを平文でいいからカザン総司令に伝えろ。それと前衛艦隊は陣形を整えつつ全速前進、正面の地球艦隊を叩く」

「了解しました」

 

こうしてデザリアム前衛艦隊は第三機動艦隊目指して突撃を開始した。

 

一方、重核子爆弾消滅の一報を受けカザンは驚いたものの、全軍に対して作戦に変更なしと伝え自身の艦隊も全速で太陽系を目指した。これに対しミヨーズは「一度下がるべきだ」と異論を出したものの、カザンは態勢を立て直している間に地球艦隊に攻撃されることを恐れて計画通り作戦を進めるとした。また、この時点で艦艇数が圧倒的に有利であることもカザンに作戦続行を決意させる根拠ともなった。

 

その頃、第三機動艦隊では重核子爆弾の破壊を確認し戦闘隊形へと陣形変更を行っていた。

 

「司令、重核子爆弾の破壊を確認しました」

「わかった、本部と各艦隊に伝えろ。それと全艦戦闘用意、突っ込んでくる敵艦隊を殲滅する」

「了解しました」

 

(よし最難関は無事突破した。あとは敵艦隊を殲滅するだけだ)川崎はそう思った。

 

 

そして統括司令部では「重核子爆弾の破壊に成功」の一報を受け総長は一段落していた。

(よし重核子爆弾は破壊した、あとは敵艦隊を殲滅するだけだな。これで負ける確率はだいぶ減った。見てろよデザリアム艦隊、素敵なパーティーに招待してやる)総長は心の中でそう言ったのであった。

 




 読者の皆さん本作をご愛読していただきありがとうございます。本年の本作品の投稿はこの話を持って最後の投稿といたします。
 思い返せば暇つぶしに書き始めた本作がいつの間にか多くの方に読んで頂けるようになると共にお気に入り登録や感想まで頂けて大変嬉しく思います。作者は文章力など無い者ですがこれからもよろしくお願い致します。

それでは皆さん良いお年を。
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