デザリアム前衛艦隊がフルボッコにあっている頃、太陽系外縁部各地では地球艦隊殲滅を目指すデザリアム艦隊と防衛艦隊の間で戦闘が始まっていた。
最初に防衛艦隊の犠牲となったのはクーギス、ルーギスの両指揮官に率いられた2個艦隊、300隻からなる大艦隊だった。そして彼らを相手したのは歴戦の名将、レビル大将率いる第三艦隊であった。第三艦隊は旗艦をアナンケ級アナンケとしマゼラン級戦艦生駒、摂津、フェーベ、オレスタル、プロキオン、フォレスタル、ドレッドノート級戦艦サウスカロライナ、ミネソタ、リットリオ、ローマ、扶桑、山城の戦艦13、改ドレッドノート級空母レキシントン、サラトガを中心にサラミス級巡洋艦12、エンケラドゥス級巡洋艦14、駆逐艦、フリゲート合計36からなる防衛艦隊屈指の大艦隊である。
太陽系を背に展開した第三艦隊は次元潜航艦と第一潜宙艦隊からの情報により自軍に向かって300隻もの大艦隊が接近していることを認知していた。
第三艦隊旗艦アナンケ
「司令どう対処されますか。敵はかなりの数ですが」
一人の参謀が尋ねる。
「そうだな、ここは敵がそのまま前進してくるなら戦艦と巡洋艦の拡散波動砲で素早く処理しよう」レビル大将はそう言った。
「ですが相手はこちらの3倍以上です、複数に分散し多方面から攻撃された場合は厄介になるのでは?」
作戦参謀が懸念を示す。
「その時は戦隊ごとに拡散波動砲を発射し仕留める。分艦隊にあまり時間を掛けたくない」
「あくまで短期決戦でいくということですか」
「そういうことだ、敵主力がどう動くか判らんからな。それと此方が一刻でも早く反撃に出られる体制にしたい」
レビルはそう言いあくまで短期決戦の方針を示した。
作戦参謀は納得した顔で「わかりました」と返答すると作戦指示を出した。
一方のデザリアム艦隊ではクーギスとルーギスが話し合い、数的優位を活かして短期決戦で行く方針を出していた。こうして両軍とも短期決戦の方針が奇しくも一致した。尤も双方ともそれを知る由はなかったが。
そして短期決戦方針を取ったクーギス、ルーギス率いる2個艦隊は密集体形を取りながら全速で第三艦隊に向けて突撃していた。
第三艦隊旗艦アナンケ
「敵は密集体形で此方へ向かってきます」
レーダー手の声が静かな艦橋に響く。
「司令どうしますか、これでは拡散波動砲で全滅は無理そうです」
作戦参謀がそう尋ねる。
「構わん、この状態でも100隻程度までは減らせるだろう。射程に入ったら各艦波動カートリッジ弾の斉射で残存艦を仕留める」
レビルは落ち着いて攻撃の流れを伝える。
「了解しました、全艦に波動カートリッジ弾装填させます」
「たのむ」
「通信兵、全艦に波動カートリッジ弾装填の命令を」
レビルの命令を受け作戦参謀は直ぐに指示を出した。
「はっ」
通信兵は短くそう返答し各艦に命令を伝達した。
そして時間はあっと言う間に過ぎ、何も知らないデザリアム艦隊は拡散波動砲の射程に入ろうとしていた。
「全艦拡散波動砲エネルギー充填120パーセント、射程まで後30秒」
「全艦波動砲発射体制完了」
「総員耐閃光防御」
オペレーターの報告を聴くとレビル大将は落ち着いて言った。そしてカウントダウンが始まる。
「拡散波動砲発射まで10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、発射!」
オペレーターのカウントダウンが終わると6隻のドレッドノート級戦艦と14隻のエンケラドゥス級巡洋艦、2隻の改ドレッドノート級空母の艦首の波動砲口が光り一斉に拡散波動砲が発射された。
一方、拡散波動砲が撃たれたデザリアム艦隊は何も対策をしなかったわけではない、彼等にもサレザー星系での戦闘報告が伝わっていたのだから必然である。しかしここでクーギス、ルーギス両指揮官は最悪の判断をしてしまった。彼らは部下から「地球艦隊から高エネルギー反応が発せられている」との報告を受けると全艦に散開命令を出してしまったのだ。
この命令により陣形的に本来は護衛の巡洋艦、護衛艦の存在により拡散波動砲が直撃を受けないはずであった彼等の乗艦であるプレアデス級にも拡散波動砲が直撃し轟沈してしまったのだ。
この一撃で彼等率いる艦隊300隻は一瞬で旗艦を含む260隻もの艦艇を失ってしまったのだった。そして残存艦40隻が右往左往しているところに旗艦アナンケ以下マゼラン級6、サラミス級12、フレッチャー級駆逐艦20が急速に前進してき、残存艦隊を射程に収め砲撃を開始したのだ。
40隻の残存艦は応戦しようと砲撃するが攻撃は波動防壁によって無力化され、お返しとばかりに波動カートリッジ弾の一斉射を受け全滅した。こうして第三艦隊は300隻もの大艦隊に無傷で圧勝した。また同時刻、ティアンム中将率いる第五艦隊は150隻からなるデザリアム艦隊から攻撃を受けていた。
第五艦隊旗艦タイタン
「敵巡洋艦6隻撃沈」
「右舷に被弾、損害軽微」
「艦首ミサイル、波動ミサイル装填完了」
オペレーターの報告が続々と艦橋に響きティアンム中将の耳に入る。
「艦首ミサイル目標敵戦艦」ティアンムはそう命令する
「了解。艦首ミサイル目標敵戦艦、撃てっ!」
砲術長の命令で艦首から4発の波動ミサイルが発射される。
「思ったより抵抗が弱いですな」作戦参謀がミサイル発射直後、ティアンムに小声で言った。
「そうだな、やはり司令部の情報通り波動エネルギーに弱いのだろう」
そうティアンムは司令部の言ってきた情報をもとにして言った。
「はい、波動ミサイルやショックカノンの一撃で撃沈できていますから」
「だな。しかし油断は禁物だ。相手は科学力で此方を上回っている。想定外の何かをしてくるかもしれん」
ティアンムはそう返した。
そして会話が終わるとレーダー手から「敵戦艦4隻撃沈」の報告が入った。
第五艦隊は戦艦20、巡洋艦50、護衛艦80からなるデザリアム艦隊と戦闘していたが、戦闘開始から20分で既に戦艦13隻、巡洋艦34隻、護衛艦57隻を撃沈していた。
特に第五艦隊は最初に200発を超える波動ミサイルと波動カートリッジ弾の一斉射撃をおこないデザリアム艦隊に大打撃を与えていた。この時デザリアム艦隊は波動エネルギーの攻撃により誘爆を発生させられ数十隻を一度に失っていた。
防衛軍はサレザー星系での戦闘結果と残骸を回収しての研究により、デザリアムの兵器は波動エネルギーが弱点であると確信(転生者は原作通りで安心)していたため、波動ミサイルと波動カートリッジ弾を大量生産して各艦隊に配備していたので、各艦隊はそれらを贅沢に使って戦闘ができていた。おかげでデザリアム艦隊は防衛艦隊の最初の一斉射で壊滅的な被害を受けることになっていた。
それでも第五艦隊とデザリアム艦隊の戦闘は比較的艦隊戦らしい戦闘ではあった。
それは第五艦隊には波動砲搭載艦がいない為、通常の砲雷撃戦での戦闘となっていた為である。しかし第五艦隊は得意の砲雷撃戦にて波動ミサイルと波動カートリッジ弾を贅沢に使いデザリアム艦隊を苦しめ、デザリアム艦隊の攻撃は波動防壁とビームかく乱幕によって無力化していた。
そして戦闘開始から50分、デザリアム艦隊は第五艦隊にまともな損害を与えられることができずに最後の戦艦が撃沈されることになる。
この他にワッケイン中将率いる第八艦隊、高杉中将率いる第四機動艦隊を攻撃目標とし、150隻ずつのデザリアム艦隊が攻撃していたが両艦隊とも拡散波動砲と波動カートリッジ弾の洗礼を受け全滅していた。
ワッケイン中将率いる第八艦隊はアナンケ級ルザルを旗艦にマゼラン級6、ドレッドノート級6、サラミス級8、エンケラドゥス級12、駆逐艦、フリゲート30からなりレビル大将と同様の戦術を取り150隻のデザリアム艦隊を無傷で撃破していた。
一方の高杉中将率いる第四機動艦隊はドレッドノート級4、マゼラン級3、イラストリアス級戦闘空母6、エンケラドゥス級10、サラミス級6、駆逐艦10、フリゲート16からなっており、イラストリアス級戦闘空母の艦載機でデスラー戦法を使っての奇襲を仕掛け、混乱しているデザリアム艦隊に拡散波動砲を撃ち込み全滅させていた。
もはやどの戦闘も虐殺に近いものであったが、どの戦闘も指揮官は転生者であり、彼ら曰く「情けは必要ない」とのことであった。こうしてカザンが仕向けた刺客の艦隊と前衛艦隊合計1000隻は防衛艦隊にまともな損害を与えられず全滅した。
この情報を知ったカザンは地球艦隊の各個撃破が愚策だったことに気付くと同時に、地球侵攻作戦を継続するか悩んだ。しかしこの判断を決める時間がデザリアム艦隊にとって命取りとなった。防衛艦隊は反撃に出たのだ。
その戦力は後詰めの戦力として待機していた春藍を旗艦とする攻勢主力の第十艦隊とカシオペアが旗艦の第十五艦隊、第一航空艦隊、第一戦略艦隊、更に体制を立て直した第三艦隊、第五艦隊、第八艦隊、第四機動艦隊、第三機動艦隊と第一独立任務部隊が一斉にカザン率いるデザリアム艦隊主力を半包囲する形でワープアウトしたのだった。
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