地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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勝利の結果

2204年9月3日。

この日、地球各地はお祭り騒ぎであった。

 

市民は街に繰り出し、皆が歓喜の声を挙げていた。『地球市民全員が歓喜の声を挙げる』この現象の要因であるニュースはこの日の朝、統括司令部総長より臨時ニュースとして発表されたのであった。

 

そのニュースの内容は「9月1日、地球防衛軍は太陽系外縁部にて3000隻を超えるデザリアム帝国艦隊と交戦、此れを殲滅した。なお防衛軍の損害は僅かであり死者はゼロである」であった。この発表は地球連邦内のみに限らずガミラス共和国やボラー連邦を通じて瞬く間に宇宙各地に広がっていった。

 

「市民はお祭り騒ぎだな」

 

連邦議会に向かう公用車の中で総長は呟いた。するとその呟きが聞こえていた運転手が話す。

 

「そりゃ嬉しいですよ。ガミラス救援作戦後からデザリアム帝国の地球侵攻の可能性はニュースで取り上げられていましたからね。それを完膚なきまでに叩き潰したとなると皆、嬉しくなりますよ。今夜は枕を高くして寝むれる人も多いんじゃないですかね」

「なるほどな。そうならば我々も頑張って軍備を揃えてよかったと言えるな」

 

運転手の言葉を聴いた総長は街で喜びに溢れている市民を見ながら安堵の笑みを浮かべて言った。

 

 

一方、月にあるガミラス大使館ではバレル大使と在地球艦隊司令のフォムト・バーガー司令が話していた。

 

「今回は我々の出番は無かったな、バーガー司令」

 

そうバレル大使は執務室から見える在地球艦隊の姿を見ながら言った。

 

「それほど彼等も強くなったってことですよ」

 

バーガーも艦隊の姿を見ながらそう答えた。

 

「もはや地球の軍事力は我々に追いつくどころか超えたのかもしれないね」

「少なくともあれ程の波動砲艦隊を揃えている時点でガミラスを追い越して居る様なものです」

 

そうバーガーは答えたが内心では既に地球軍はガミラス軍に対して一部では遥かに超える存在であると確信していた。(最近ではドレッドノート級をベースにした新型艦を祖国が建造するという話もある。間違いなく地球はガミラスを超える存在になるな)そうバーガーは思いながらガラスの向こうに停泊している在地球艦隊を眺めた。

 

 

またこの勝利の一報を受け取ったデスラー総統は「あの地球があっさりと負けるわけがないな」と言いつつ、側近のタランに「デザリアム帝国は喧嘩を売ってはいけない存在に手を出したな」と話した。それを聞いたタランも「その通りですな総統。デザリアム帝国も馬鹿なことをしたものです」と返答していた。そしてデスラー総統は軍部に対しては念には念を入れて「死にたくなければ間違っても地球には手を出すな。私の友人も居るのでね」と強い口調で命令を出した。

 

 

そしてニュースを銀河系にばら撒いたボラー連邦ではベムラーゼ首相が報告書を読んでいた。

 

「本当にこれだけの戦力しか失っていないのかね」

 

そうベムラーゼ首相は外交部の人間に尋ねた。

 

「はい、間違いありません。主力艦どころか艦艇の損失はゼロ。無人戦闘機を10機程度失ったのみです」

 

外交部の人間は淡々と述べた。

 

「なるほど。地球人はまさに戦闘民族だな」

 

ベムラーゼ首相はそう言うと少し考えた。(これでは新たな反政府勢力が生まれたり、新ボラー連邦国家に更なる動揺が広がりかねんな)こうベムラーゼ首相が考えた背景にはやはりガルマン・ガミラス帝国との戦闘があり、何とか戦線を維持しているものの反撃には出られず、悪戯に戦力の減少をまねいてる現状があった。

 

勿論現状を打開すべく大幅な艦隊増強と新型艦の建造を行ってはいるものの何時になったら大規模な反攻作戦が実施されるかは不明であった。これによりボラー連邦内ではベムラーゼ首相の指導能力を疑う声が挙がったり、新ボラー連邦の国家や属国ではボラー連邦を離れ地球連邦に接触しようとする動きがあるということがベムラーゼ首相の元には届いていたのであった。

 

そして1分ほど経つとベムラーゼは口を開いた。

 

「ゴルサコフ、地球とガルマン・ガミラスに目立つように大規模演習を実施しろ。勿論新型艦を多数動員してな。ボラー連邦の軍事力の余力と存在感を示さねば地球に舐められかねん」

「わかりました」ゴルサコフはそう言うと下がっていった。

 

 

一方、満を持して送り出した地球侵攻軍が一方的に地球防衛艦隊によってボコボコにされ壊滅したデザリアム帝国は阿鼻叫喚の大騒ぎであった。

 

何しろ帰還艦はゼロ、多数の優秀な将兵を稼働可能艦と共に全て失い各戦線に影響が出るレベルであった。「とにかく戦線は縮小しゴルバと新造艦で各戦線を維持せよ」聖総統はそうサーダや軍幹部に命令していた。(地球侵攻は早すぎたのか。いや遅すぎたのか)聖総統はそう考えていたが失ったものが帰ってくる訳がなく、デザリアム帝国首脳部の苦悩は続くことになる。

 

 

そしてデザリアム帝国艦隊を全滅させた防衛軍は大忙しであった。

デザリアム艦隊は全滅したものの、そこの宙域にはデザリアム軍の宇宙戦力のみならず地上戦力の残骸もあるのである、それは防衛軍からしたら宝の山であり、ありったけの輸送艦や工作艦を送り込みデブリ回収業者さながらの仕事をしていた。そして回収された残骸は続々と旧都市帝国残骸にある研究所へと運び込まれ、真田、大山コンビを筆頭とするマッドサイエンティスト集団によって解析されていった。

 

そして場所は変わり地球連邦議会、ここでは今後の対デザリアム戦略をどうするかの議論が行われていた。

 

「やられたらやり返す、倍返しです!」そう一人の議員が大声で言う。

「軍備増強そして反撃すべきだ」

「そうです、相手は我々人類を滅亡させようとしてきたのです。足腰立たなくなるまでやり返すべきです!」

「「そうだ、そうだ!」」という声が多数あがる。

 

それに対し慎重意見もあったが、その慎重意見も反撃反対ではなかった。そして意見を求められた総長は議員に対して説明をする。

 

「えー、現在防衛軍ではデザリアム帝国に対する反撃作戦を計画中です。幸いデザリアム帝国本国の位置も敵の残骸の解析により判明しています。しかし反撃を行うにしても戦力の準備に時間がかかりますので、直ちに反撃とはいきません」

 

総長はその後も議員に対し今後防衛軍がどのような構想を計画しているのかを説明した。

これらの説明はテレビ中継などを通して市民にも伝えられ、「デザリアム帝国に対して反撃するべきだ」との声が大きくなっていくと同時に、防衛軍に対する期待の声も大きくなっていた。

 

その後、統括司令部の執務室に戻った総長は溜息をつきながらぼやいた

 

「全く、議員連中を相手にするのは疲れる」

 

するとそのぼやきを聞いた秘書が話しかける。

 

「お疲れ様です。まぁ反攻作戦実施の確約と引き換えに主力艦隊を含む防衛艦隊の大幅な増強のための予算を確保したからいいじゃないですか」

「それもそうだな」

 

総長は議会で反攻作戦実施と引き換えに防衛艦隊の大幅な増強のための予算を獲得していたのだ。これにより総長の株は防衛軍内で大きく上がるのであった。

 

 

その頃、旧都市帝国内にある研究所ではマッドサイエンティスト集団によってデザリアム軍の装備解析が急ピッチで行われていた。既に本国までの経路は解析済みであり現在は多脚戦車の解析などが実施されていた。そしてその研究所の一室に数人の転生者が集まっていた。

 

 

「多脚戦車と機動甲冑に技術を組み合わせれば可能だな」

 

そうリーダー格の技術者は言う。

 

「既に基礎設計は出来ています。あとは試作の許可を得るだけです」

 

一人の技術者が言う。

 

「わかった、では提案書類の方を総長にあげておこう」

 

リーダー格の男が言うと他の技術者は頷いた。そして彼らの顔には不気味な笑みが浮かんでいた。

 

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