地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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象徴とその効果

『アンドロメダ級戦艦』それは地球の復興と地球防衛艦隊を象徴する艦艇であり、高い攻撃能力と優れた防御力を備えた艦である。その美しくも勇ましい姿は子供たちのみならず地球市民の憧れ、さらに地球の誇りでもある存在であった。そしてその姿を見て防衛軍に志願する者も居るなど、まさに地球を代表する戦艦である。

 

またその知名度も高く地球市民ではその名を知らない者はおらず、ガミラス共和国やボラー連邦においても知られているヤマトに並ぶ名艦である。

そして残暑も落ち着きつつあった9月10日、かねてより時間断層で建造されていたアンドロメダ級5隻が就役することになる。

 

地球連邦首都メガロポリス近郊にある宇宙港の近くに用意された記念式典会場には新造されたアンドロメダ級5隻が真新しい塗装を光らせながら停泊し、その上空には防衛艦隊第一艦隊が観艦式のごとくアンドロメダ級一番艦アンドロメダを筆頭に艦首を揃え記念式典を見守るようにて展開していた。

 

 そんな会場にはアンドロメダ級を一目見ようと式典会場外にも多くの見物人が集まっており、式典会場内に六万人の民間人が式典会場外にも一万人余りの見物人が集まっていた。

 

一方、建造計画を立てた総長は椅子に座りながら「凄い人数だなぁ」と呟いていた。すると総長の隣にいた秘書が「そりゃアンドロメダ級5隻の同時就役ですから見たい人は多いですよ」と返した。それに対し総長は「そりゃそうか」と短く返した。そんな当たり障りない会話を総長達がしていると演説台に大統領が上がり、就役記念の演説を始めた。

 

「市民の皆さんこんにちは。私は今日、このアンドロメダ級5隻の同時就役という記念すべき日にここに立てたことを誇りに思っております。」等々大統領は演説を続け、アンドロメダ級5隻に命名される時が来た。

 

「それではこの5隻のアンドロメダ級に命名します。11番艦アテン、12番艦オシリス、13番艦エルピス、14番艦セクメト、15番艦アナトと命名します。それぞれ神の名から艦名を命名しました。そして今の命名を持ちまして、このアンドロメダ級5隻の就役です。彼女たちは地球防衛そして宇宙の平和維持に大きく貢献するでしょう!」

 

そう大統領が就役宣言をすると会場内外から盛大な拍手が起こり、シャンパンとくす玉が割られた。そして5隻はロックが外され浮上し発進した。発進したアンドロメダ級5隻の行き先は訓練の為、アステロイドベルトであった。

 

 

式典会場上空 第一艦隊旗艦アンドロメダ

 

「土方司令時間です」

 

副官が艦長兼司令の土方大将に言った。

 

「よし、本艦隊も姉妹艦の訓練に付き合う。全艦発進!」

「はっ、全艦発進」

 

土方司令の命令により式典会場上空に展開していた第一艦隊、旗艦アンドロメダ以下ドレッドノート級8、マゼラン級6、エンケラドゥス級14、サラミス級10、改ドレッドノート級2、フレッチャー級30、レパント級8は一斉に波動エンジンを点火しアンドロメダ級5隻の後を追い、アステロイドベルトに向かって行った。この大艦隊の出発も市民たちの盛大な拍手によって見送られた。

 

その後アンドロメダ級5隻と第一艦隊はアステロイドベルト宙域にて猛訓練を行うことになる。また記念式典と同時刻、北米州ノーフォーク基地ではアリゾナ級ニュージャージー、ウィスコンシンが、欧州キール基地ではティルピッツが就役していた。これらの艦もアステロイドベルトで合流し合同で訓練にあたることになる。そしてこの5隻のアンドロメダ級同時就役は地球のみならずガミラス共和国、ボラー連邦で大きく報じられることになる。ガミラス共和国では肯定的に捉えられた就役だがボラー連邦では違った。

 

 

ボラー連邦本星 首相官邸

 

「ゴルサコフ、このニュースどう思うか」

 

ベムラーゼ首相は映像に映るアンドロメダ級5隻を見ながらゴルサコフに尋ねた。

 

「はい。私としましては、地球はやはり侮る存在ではないと改めて思い知らされるニュースだと思います。これほどの戦艦をほぼ単一星系国家である地球が同時に5隻も就役させるその国力恐ろしいと思います。また情報部によりますとこの5隻と同時にヤマト型を上回る戦艦が3隻就役している他、数隻が建造中だと判明しております」

 

ゴルサコフは自身の考察と情報部からの情報を淡々と述べた。実際この情報は正しく現在地球ではアリゾナ級2隻、改プリンス・オブ・ウェールズ級3隻が建造中であった。尤もこの他にも時間断層や各造船所では既存の艦艇や新型戦艦、巡洋艦、駆逐艦が多数建造されていた。

 

「なるほど、お前もこの国力恐ろしいと思っているのか」

 

ベムラーゼはそこでいったん区切ると、少し考え続きを話し出した。

 

「私もあの国力恐ろしいと思っている。地球から小型艦を含むと艦艇就役の報告が無い日が殆どない。既に艦艇数だけで言えば我が国の脅威とも言える。それに地球はデスラーと正式な関係があるとの返答がある。もし地球がデスラーの奴、ガルマン・ガミラスから国交締結を求められたら断らずに国交を結ぶだろう。そうなれば地球がデスラー側に立って参戦するかもしれん」

 

ベムラーゼはそう淡々とゴルサコフに話した。それに対しゴルサコフは返答する。

 

「それは私も同じことを考えておりました。ですが幸い今は地球の刃はデザリアム帝国に向いています。また近いうちにデザリアム帝国に対して大規模な反攻作戦を行うとの情報があります。そうなればガルマンと国交締結をしても我が国には牙をむかないと思われます」

 

ゴルサコフの返答を聞いたベムラーゼは一瞬(反攻作戦の隙をつい攻撃するか)と考えたが直ぐにその思考をやめた。そんなことをしたら間違いなく地球は徹底抗戦をし、いずれはデスラーと共に猛反撃してくると確信したためであった。

 

「おそらくそうだろう。だが、だとしてもいずれは地球と戦闘しなければならないと私は思っている。これは内密だが現在我が国に近い宙域で古代アケーリアス文明を調査していると通達してきている地球の艦があるのは知っているだろ」

「はい、確かラボラトリー・アクエリアスという艦名でしたな。何でもアンドロメダ級の派生型の1隻だとか」

「そうだ、その艦がシャルバート教の信者と接触したとの情報がある」

「なんですと!」

 

ベムラーゼの言葉にゴルサコフは驚いたがこの情報は事実であった。

古代アケーリアス文明調査のために長期航海に出ている改アンドロメダ級ラボラトリー・アクエリアスは8月30日にシャルバート教信者の乗る宇宙船と接触していたのだった。そしてその情報は統括司令部総長の元に届けられ、ラボラトリー・アクエリアスには追加でシャルバート星及びそれに関連する事項の調査も追加で命令されていた。

 

「まぁ驚くのも無理もない。これで間違いなく地球はシャルバート教やシャルバート星について調査を始めるだろう。そうなれば非常に厄介だ」

 

ベムラーゼはそう言うと少し黙った。

この時、既に地球はイスカンダルを信仰の対象に近いものにしているがそれ自体はベムラーゼ個人としては大して気にしてはいなかった。だがシャルバートとなると話は別になる。地球は宗教に対して寛大である為、簡単にシャルバート教を受け入れるだろう。そして、もし地球が伝説上のシャルバート星を発見しその超科学力と軍事力を手に入れたら間違いなく地球が銀河系最強の勢力となる、そうベムラーゼは考えていたのだった。

 

「そこでだゴルサコフ、新型戦艦ソユーズ型の大量生産を許可する、1年で150隻は揃えろ。そして地球、ガルマン・ガミラスの国境付近で大規模軍事演習を行え。地球に対して簡単にボラーに手出しは出来ないと思わせろ」

 

ベムラーゼはそう力強く言った。現在ボラー連邦はガルマン・ガミラス帝国との戦闘を続けているが、大規模演習は自国の余力を示すと共に力を誇示する為であった。またこのソユーズ型戦艦は地球で言えばアンドロメダ級に匹敵する戦艦であり、ボラー連邦期待の新型船である。

そしてさらにベムラーゼ首相は続ける。

 

「それと地球との開戦準備も密かに進めておけ。いずれは宣戦布告しなければならないかもしれん。いや不測の事態による止むを得ない開戦もあるかもしれん。これ以上地球が強大化するのは我が国の拡大政策、将来的な銀河統一についても問題になる。それに属国、保護国や親ボラー連邦国の不信感が増大している。地球を潰さねば我が国が戦わずに潰れる。わかったな」

「かしこまりました。しかし地球とは友好関係を続けておいた方が良いのでは」

「わかっておる。シャルバート関連で何も起きなければ友好関係を維持する。だが地球の軍拡に応じて我が軍も軍拡する。軍拡競争になっても構わん」

「わかりました」

 

ゴルサコフはそう言うと部屋を後にした。ゴルサコフが部屋を後にした直後、ベムラーゼはぼそりと呟いた。

 

「そう、何も起きなければな」と。

 

こうして銀河の超大国ボラー連邦の方針は決まった。

 

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