地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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反撃への道

アンドロメダ級5隻の就役の翌日、総長は統括司令部にある執務室に3人の人物を呼んでいた。

 

「そろそろ来るかな」

 

総長がソファーに座りながら呟くとドアがノックされる。総長は立ち上がり「どうぞ」と言うと秘書が3人の男性を連れて入室してきた。そして秘書は3人に対してソファーに行くように促した。そうして3人は総長の立って居るソファーの前に立った。

 

「わざわざお呼びしてすまないね。沖田司令、古代守艦長、古代進艦長。どうぞ腰を掛けてくれ」

 

「失礼します」3人はそう言い座った。そして座った直後に沖田が尋ねる。

 

「総長はなぜ我々3人を呼びつけたのでしょうか。やはりデザリアム反攻作戦のことですか」

 

そう尋ねられた総長は頷き話し出した。

 

「そうです沖田司令、以前にもお伝えした通り反攻作戦に使用する艦隊の中核は第十三艦隊です。そしてロンド・ベルからヤマト、ムサシ、シナノの三隻、他にも各艦隊からの抽出艦を使用する予定です。そこまでは予定通りなのですが問題が発生しました」

「問題ですか」

 

沖田はそう尋ねた。

 

「そうです。その問題とはボラー連邦との関係です」

「ボラーとの関係ですか。私の知っている限り良好だったはずですが」

 

守はそう疑問を持つように尋ねた。

 

「守艦長の言う通りです。現在地球とボラー連邦は友好関係ですが、最近ボラー連邦軍が国境付近で新型艦を加えて大規模な軍事演習を繰り返しています。これを政府と統括司令部は地球連邦への牽制の意味を込めた演習だと考えております」

「ということはボラー連邦との衝突も近いのでしょうか」

 

沖田が尋ねる。それに対して総長は答える。

 

「いえ直ぐにとは言えないでしょう。しかし緊張感は日々高まりつつあります。8月末には長期航海に出ているラボラトリー・アクエリアスがボラー連邦内では弾圧されているシャルバート教の信者が乗る宇宙船と接触しており、統括司令部としてもシャルバートに対しての調査命令を出しております」

「つまりそのシャルバートについて地球が何らかの情報を手に入れるとボラーが出てくるかもしれないということですか」

 

話を聞いていた守が言う。

 

「そういうことです。なのでデザリアム反攻作戦は出来るだけ短期間に行い素早く済ませたいのです。あなた方をお呼びしたのはこのデザリアム反攻作戦実施の際には素早く短期間に終わらせてほしいということを伝えたかったためです。そして素早く終わらせるためには敵本星に波動砲を撃ち込んで粉砕しても構わないと考えています。なので沖田司令には後程デザリアム帝国に関する得られている情報全てをお渡しします」

「なるほど。了解しました」沖田はそう返事したが進が異論を言った。

 

「しかし幾ら何でも本星を粉砕はやりすぎではないでしょうか」

「進艦長それは私も思っている。しかし今現在得られている情報だと敵本星は要塞化されており、攻略には時間が掛かると思われる。勿論、交渉によって和平に出来るのがベストなのだが相手が応じないだろう。一応、現在解析した相手の通信波で交渉の場を設ける余地があると交信を送っているが全く反応がない。それに交渉できる可能性がある存在ではないと判明している今では交渉も難しいだろう。デザリアム帝国の地球侵攻の目的は我々地球人の肉体だったからね。それに万が一交渉できたとしてもいずれは再戦してくるだろう。まぁ作戦実施までの期間はまだあるから沖田司令と話し合って攻略方法を探ってもらっても構わない」

 

総長はそう尤もらしい理由を言ったが内心はデザリアム帝国本星を破壊して二重銀河の崩壊を起こし、銀河交錯事件を発生させボラー連邦を弱体化させたいのであった。まぁそんなことを喋るつもりは全くなかったが。

 

そして総長の説明を聞き進はまだ何かを言いたそうではあったが一応納得したのか「わかりました」と答えた。すると守が尋ねる。

 

「統括司令部としては我々がデザリアム反攻作戦を実施している間はボラー連邦に備えるといった具合ですか」

「そうです、反攻作戦を実施している間に防衛艦隊の大幅な増強が行われる予定です。反攻作戦の予定期間である4ヶ月もあれば主力艦隊は30個艦隊に、機動艦隊も倍近くになっているでしょう」

「30個艦隊ですか。しかしたった4ヶ月で10個艦隊以上もの艦艇を建造できるのですか」

 

守は驚きながらそう言った。

 

「できると断言します。既に主力艦隊は25個艦隊体制になるだけの艦艇は完成間近か訓練中だ、それに残りの五個艦隊分や機動艦隊の艦艇も建造が始まっている」

「しかしそれでも可能なのですか。私の知っている情報ですと2202年時の地球の軍艦造船能力は半年で500隻、民間に協力して貰って1000隻だと記憶しています。主力艦隊や機動艦隊を仮に合計10個艦隊近く揃えるとなると600隻を超える艦艇を建造しなくてはなりません。これでは地球連邦の半年間の造船可能能力の限界を超えていませんか?尤も今は2202年より多くなっているとは思いますが」

「さすが守艦長鋭いね」

 

そう言うと総長はリモコンを取り出しながら口を開いた。

 

「今から見せる映像は国家機密を超える極秘映像だから口外はしないでくれよ」

 

総長のその言葉を聞き3人は「了解しました」と返事した。

 

そしてモニターには画像が映し出された。その映像を見た沖田と守は驚き、進は『この場所か』と言いたそうな顔をした。その映像とは時間断層工場であった、映像にはマゼラン級戦艦やイラストリアス級戦闘空母、超A級戦艦、無人戦艦、新型艦である長門型戦艦やアラスカ級巡洋艦、秋月型駆逐艦などが無数に建造されている風景が映し出されていた。その映像を見た守は総長に尋ねる。

 

「総長この映像はなんなんですか?」

「今から話す内容は進艦長についてはガトランティス戦役時にガミラス共和国のキーマン武官から聞いて知っているからまぁ聞き流してくれ」

 

総長がそう言うと進は「はっ」と返事した。

 

「この場所は時間断層工場という。地球はガミラス戦役後にコスモリバースシステムによって美しい星に生まれ変わった。だがそのコスモリバースシステムにも副作用があった、それがこの工場がある時間断層だ。この空間内では通常の3倍の時間が流れている。これがガミラス戦役後に地球の軍備増強を支え続けた裏の存在だよ。ここでの造船能力は半年間で1000隻を軽く超える、だから各造船所と合わせれば4カ月で10個艦隊以上の艦艇数を揃えられるのだよ。現にガトランティス戦役でもここから莫大な数の艦艇が前線に送られたよ。まぁここで建造した艦艇は建造時期が誤魔化されるから一般人が時間断層工場の事を見抜くのは不可能に近いけどね」

 

この話を聞いた守は「なるほど」と言い、沖田は複雑そうな表情を一瞬浮かべたが、直ぐに総長に問いかけた。

 

「これは凄い設備だと思います。しかしこれが表に出ると戦争の火種になるのでは」

「その通りです沖田司令。なのでこれを知っている政府上層部と我々統括司令部上層部はこの存在を隠しています。なにしろパンドラの箱みたいなものですからね。ボラー連邦なんかがこの工場の存在を知ったら間違いなく奪いに戦争を仕掛けてくるでしょう。ですので、皆さんもこの内容は口外しないでください」

総長がそう言うと「了解しました」と3人は口を揃えて言った。

 

その後も4人は会談を続け、総長はデザリアム反攻作戦に対する要望を伝え終わり3人は部屋を後にした。3人が退出したあと総長は「頼みましたよ」と呟いた。

 

 

一方、時間断層では映像と同様に多数の艦艇が急ピッチで建造されていた。また地球の勢力圏各地にある造船所にも統括司令部命令で建造中の艦艇の工期を急ぐように通達されており、どこの造船所も大忙しであった。

 

 

デザリアム帝国本星

 

「聖総統、地球からの和平交渉の通信は無視でよろしいのですか」

 

そう側近のサーダは問いかけた。

 

「あぁ構わん」

 

聖総統はそう短く返したのだった。

 

そして聖総統がそう言うのも無理は無かった。

和平交渉に乗れば間違いなく長期の停戦などデザリアム帝国に対して不利な条件が課せられるのが明白であった。デザリアムは種としての先は長くない、一方の地球は驚異的なバイタリティで宇宙へ進出してきている。それは時間が経てば経つほどデザリアムが地球に対して不利になることを意味していたのだから。

 

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