地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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巨大戦艦

2204年も終わり迎え用としている12月4日、総長は統括司令部の幹部達やとある計画の参加メンバーと共にサイド3のとあるコロニーに来ていた。

 

 

「いよいよですな総長」

 

そう話しかけたのは造船部門トップの転生者である。

 

「あぁ、ようやく計画が完成する。私としてはうれしいよ」

 

総長はそう笑顔で言った。

 

「ですな、ここまで長い道のりでした。しかしこの計画の完成の暁には防衛軍は相当強くなるでしょうな。尤も建造には莫大な時間を要しましたが」

「それは仕方あるまい。防衛艦隊の主力艦は全てブロック工法での建造だからすぐに完成するがこいつらはブロック工法ではなかったかからな」

 

建造に時間が掛かったことを残念そうに言う造船部門の男に対して総長はそう言いフォローした。尤も総長の言っていることは事実であった。

この時代の防衛艦隊の艦艇は徹底的なブロック工法で建造されており、戦艦ですら1ヶ月かからずに艤装完了する艦が殆どである。

特に「ビンソン計画」などの防衛艦隊増強計画では民間の造船所も各種艦艇の建造に参加しており、民間会社の造船所ではどれだけ早く建造できるかの競争が勝手に行われており、大型の秋月型駆逐艦を僅か7日間で艤装完了までさせる造船所もあった。因みにこの報告を聞いた総長は執務室でひっくり返りそうになったらしい。

 

その後も総長や幹部達は雑談をしながら式典会場へと足を運んだ。

 

 

この日、サイド3のとあるコロニーでは総長の計画で極秘裏に建造されていた戦艦群の就役記念式典が行われようとしていたのだ。コロニー周辺には厳重な警備が施されており、コロニー防衛艦隊の他にロンド・ベル隊から旗艦のインディゴ・ベルを筆頭に、マゼラン級アイリッシュ、ラーディッシュ、サラミス級ソロモン、パラオ、サモア、トラック、モンブランⅡ、ブルネイ、スマトラ、ジャワⅡ、キプロス、マリアナと有力な戦力がコロニーを囲むように展開し、警備に当たっていた。そして式典会場には多くの人で溢れかえっていた。

尤もこの式典には一般人は入れないため、集まっているのは建造に関わってきた工廠関係者やコロニーに住んでいるその家族、政府、軍関係者であった。

 

 

「凄い人数だなぁ」

 

総長は式典会場を見ながら呟いていた。

 

「そうですね。彼らの前で演説するんですからしっかりしてくださいね」

 

秘書にそう言われると総長は溜息をつき、秘書に「胃薬を持って来てくれ」と頼んだ。総長は大勢の前で喋るのが苦手なのであった。

それを言われた秘書は呆れた顔をしながら胃薬を取りに行った。その後、胃薬を飲んだ総長は式典会場の演説台に立った。

 

その後演説台に立った総長は、当たり障りのない挨拶をした後に就役する艦艇の艦名を発表した。

 

「さて、前置きはこれくらいにしまして、これからこの仮称ゴリアテとホースの正式な艦名を発表します」

 

総長がそう言うと会場がざわめいた、いよいよ謎に満ちた艦艇の艦名が発表されるのだから仕方ない。

 

「それではまず、3隻のコードネームゴリアテの艦名から発表します。1番艦ドゴス・ギア、2番艦ニミッツ、3番艦チャーチルと命名します。続いて7隻のコードネームホースの艦名を発表します。1番艦ラー・カイラム、2番艦ラー・カイム、3番艦ラー・グスタ、4番艦ラー・エルム、5番艦ラー・チャター、6番艦ラー・ザイム、7番艦ラー・キエムと命名します。これら10隻の艦艇は地球そして銀河の平和を守るために大いに活躍してくれるでしょう!」

 

総長がそう言うと演説台の後ろにあった垂れ幕が落ち、整然と並ぶ10隻の艦艇が映し出された。そして映し出された艦艇はドゴス・ギアを先頭に順に出港していった。それらを見た式典参加者からは凄まじい拍手や歓声が上がっていた。

 

 

ここでこれらの艦艇を紹介しよう。ドゴス・ギア級はガンダムユニコーンに登場するゼネラル・レビルをこの世界で建造したものであり、その全長は630メートルもあり春藍型戦艦を超える全長を持つ。武装は50.8㎝連装砲10基、50.8㎝単装砲5基、ミサイルランチャー6基、連装対空パルスレーザー40基、4連装対空パルスレーザー16基、物質転送装置2基その他ミサイル発射管などを装備し小型化されたモビルスーツを96機搭載可能である。

 一方のラー・カイラム級はガンダムユニコーンに登場するラー・カイラムをこの世界で建造したものであり、全長は487メートル、武装は50.8㎝連装砲5基、連装対空パルスレーザー22基、艦首ミサイル発射管6基、物質転送装置2基、小型化されたモビルスーツを32機搭載可能である。どちらの艦も総長管轄の下、極秘裏に開発、建造されており、モビルスーツ搭載機数もモビルスーツが小型化されたこともあり原作の倍の数を搭載可能になっている。

 どちらの艦艇も遠距離遊撃打撃艦隊に配属される予定であり、ドゴス・ギア級は旗艦を務める予定である。またラー・カイラム級はラー・カイラムのみロンド・ベル隊に配属される予定である。

 

 

それでは解説は終了し、式典会場のあるサイド3に戻る。

 

式典会場では続々と出港する10隻の艦艇を観客が歓声を挙げながら見送っていた。

そして10隻の艦艇はコロニーを出るとサイド3の他のコロニーで待機していたモビルスーツ隊を受け入れ、護衛にロンド・ベル艦隊を伴いながら訓練宙域へと向かった。この10隻の艦艇と搭載されるモビルスーツ隊はロンド・ベル隊のもと猛訓練を数週間掛けて行うことになる。

 またこの10隻の就役に合わせて地球連邦の各地にある造船所や基地からはこれら10隻と共に行動する超A級ことバジリスク級を筆頭に遠距離遊撃打撃艦隊所属艦艇が続々と発進していた。そして遠距離遊撃打撃艦隊所属艦隊は訓練宙域で合流しロンド・ベル隊と共に激しい猛訓練を行うことになる。

 

さらに時間断層工場ではアンドロメダ級5隻と春藍型3隻が完成間近になっていた。これらの軍艦は2205年1月には就役予定である。また各地の造船所ではドッグが空き次第次の軍艦が建造されており、その建造速度は凄まじいものになっていた。

また波動防壁のシステムを応用し、ミサイル炸裂地点に波動防壁を展開させることができる波動防壁展開弾が実用化されていた。

 

地球連邦、そして地球防衛軍の軍備増強は着実に行われていた。

 


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