バラン星。それは地球、ガミラス星間の丁度中間にある惑星である。
バラン星は先のガミラス戦争時にヤマトの波動砲により壊滅的な打撃を受けたが現在は復旧し、現在はイスカンダル航路と呼ばれている地球、ガミラスの交易航路の中間地点であり、航路防衛の為の拠点である。
その為、バラン星には巨大な基地が再度建設され、ガミラス共和国の哨戒艦隊や防衛艦隊のパトロール艦隊や護衛艦隊の一大拠点となっていた。尤も今では輸送艦や民間の交易船も超長距離連続ワープが可能になっており、地球・ガミラス間の往復には数ヶ月もかからない為、初期の様に護衛艦を伴った船団護衛などの必要がなくなっており、護衛艦隊の重要性は低下したがそれでも基地の重要性は落ちておらず、パトロール艦隊や護衛艦隊の他にガミラス共和国の主力艦隊クラスも駐留している。
そんなバラン星から大規模な護衛艦隊を伴った40隻のコロンブス級輸送艦が出港していった。大規模な護衛艦隊を伴っているということはコロンブス級の中身はよほど重要な荷物であるということになる。
艦隊はバラン星を出発すると亜空間ゲートに突入し一路銀河系外縁を目指した。
そして輸送艦隊は無事に亜空間ゲートを抜け、銀河系外縁部に到着した。
「全艦、亜空間ゲートを抜けました」
「各艦異常なし」
護衛艦隊旗艦の艦橋にオペレーターの報告が響く。
この艦はこのコロンブス級の輸送艦隊を護衛する目的で派遣されたドゴス・ギアを旗艦とする第2遠距離遊撃打撃艦隊のドゴス・ギアである。
この第2遠距離遊撃打撃艦隊の編成はドゴス・ギア級ドゴス・ギア ラー・カイラム級戦艦ラー・カイム、ラー・グスタ マゼラン級戦艦6、長門型戦艦6、超A級戦艦6、イラストリアス級戦闘空母4、サラミス級巡洋艦8、アラスカ級巡洋艦8、秋月型駆逐艦A1タイプ16、秋月型駆逐艦A2タイプ8、無人戦艦2、無人駆逐艦10という大艦隊であり、ただの護衛任務にしては過剰とも言える戦力であった。では統括司令部が護衛の為にこれほどの戦力を派遣する理由はコロンブス級の中身である。
この40隻のコロンブス級の中身とは地球とガミラス共和国が共同で開発した空間歪曲干渉装置である。この空間歪曲干渉装置は原作ではPS版でデザリアム帝国のミヨーズが使用し、ヤマト艦隊を強制的に自らの罠の中へワープアウトさせるなどの活躍をした兵器である。しかしこの世界ではミヨーズは地球侵攻作戦時に死亡しており第一連合艦隊のデザリアム帝国遠征時には使用されなかった、だが転生者達はガミラス共和国と共同でガミラス臣民の壁を参考にして開発し、この空間歪曲干渉装置を完成させていたのだ。
その使用目的はボラー連邦などの攻撃でプロトンミサイルなどが地球を直接狙うのを阻止する為である。
理論上はこの空間歪曲干渉装置を太陽系外縁に設置するだけで効果が発揮され、遠距離攻撃を阻止できるはずであった。そしてこのコロンブス級40隻はガミラス共和国で生産された空間歪曲干渉装置を満載していたのだ。
その為、護衛も第2遠距離遊撃打撃艦隊だけでなく第8パトロール艦隊が先行していた。だがこれだけ護衛を強化する目的はもう一つあった。
「先行する第8パトロール艦隊から入電、不審な通信波を探知とのこと」
「どうやらお客さんは統括司令部の予想通りこの艦隊に目を付けたようだね」
オペレーターの報告を聞き、司令は副長に言った。
「その様ですな。まぁお客さんには申し訳ないですが、直ぐにお帰り願いましょう」
副長は若干気の抜けた感じでそう返す。
「そうだな。全艦戦闘配置、モビルスーツ隊及び航空隊は全機発進用意」
「了解、全艦に伝達します」
オペレーターがそう返事すると、戦闘配置を示す警報が艦内に鳴り響いた。
一方、不審な電波を出した艦隊も戦闘配置を整えていた。
「司令、全艦戦闘配置完了しました」
「よし、全艦敵輸送艦艦隊の前にワープだ。我らに恐れ無しだ」
「了解」
こうして艦隊は第2遠距離遊撃打撃艦隊の正面にワープしようとしていた。
この第2遠距離遊撃打撃艦隊に挑もうとしている艦隊はデザリアム帝国の残党軍であった。
デザリアム帝国は第一連合艦隊とコロニーレーザーによって二重銀河もろとも消滅した、しかし僅かながら生き残ることに成功した艦隊も居た、その一つがこの艦隊であった。
彼らは帰る場所を失った為、放浪の身となっていたが祖国を滅ぼした憎き敵である地球連邦に一矢報いるためにここに集結したのであった。その数は巡洋艦5、護衛艦15と全盛期のデザリアム帝国に比較すると悲しい数であったが戦意は高かった。
だが不運にも彼らの発する電波は航路警備に当たっていた第12パトロール艦隊に探知され統括司令部の知ることとなった。その為、統括司令部は銀河側の亜空間ゲートから太陽系外縁までの警備を強化していた。そして不審な電波はデザリアム帝国の物であると判明すると、今回の船団の情報がわざとデザリアム帝国残党軍に届くように流したのだ。そして今回、デザリアム帝国残党軍はこの情報に釣られたのであった。強力な護衛艦隊がいるとは知らずに。
ドゴス・ギア艦橋
「艦隊、正面多数の重力震を確認」
「来たか」
オペレーターの報告を聞き司令はそう呟くと艦橋から見える正面の宙域に目を向けた。
その瞬間、幾つかのワープアウトを示す光点が司令の目に映った。その直後にオペレーターの報告が艦橋に響いた。
「正面、艦隊ワープアウト。識別デザリアム帝国。巡洋艦5、護衛艦15を確認」
「よし、全艦砲撃用意。射程に入り次第攻撃開始だ。容赦は要らん」
「はっ」
そして司令の命令通り各艦の主砲が砲撃態勢に入る。現在の陣形でデザリアム帝国艦隊に砲撃可能なのは旗艦ドゴス・ギアを筆頭に旗艦の左右に展開しているラー・カイラム級2隻、超A級4隻など戦艦だけでも10隻以上おり、明らかに勝敗は決まっていた。
だがデザリアム帝国残党軍の戦意は落ちない。
デザリアム帝国残党軍旗艦
「正面、大規模な地球艦隊。未確認の艦艇多数を確認!」
レーダー手の悲鳴のような声が艦橋に響く。
それは絶望を表していた。
「嵌められたか」
司令は一瞬で悟りそう呟いた。
未確認の艦艇が多数存在する大艦隊、明らかに自分たちが罠に嵌ったことを表していた。しかし退く理由もない為、司令は命令を出した。
「全艦、突撃し一矢報いよ」と。
ドゴス・ギア艦橋
「敵艦隊、加速しつつ突撃してきます」
「相手に退く気は無しか… 全艦砲撃用意!一撃で仕留めろ」
司令はぼそりと呟いてから砲撃用意の命令を出した。
そして数分後
「敵艦隊射程に入りました!」
オペレーターの報告を聞き司令は一言言った。
「全艦撃ち方始めっ!」
「主砲てっ!」
次の瞬間、艦隊前面に居た二十数隻の艦艇から猛烈な砲撃が開始され、デザリアム帝国艦隊に命中、ドゴス・ギアやラー・カイラム級、超A級の50.8㎝砲はデザリアム帝国艦艇のバリアを問答無用で貫き、一撃で全艦を轟沈させた。
この戦闘後、第2遠距離遊撃打撃艦隊はデザリアム帝国兵の救助に当たったが生存者は一人も居なかった。
そしてこの戦闘から数日後、このコロンブス級の輸送船団と第2遠距離遊撃打撃艦隊、第8パトロール艦隊は全艦無事に帰還し、空間歪曲干渉装置は地球連邦の領域に無事に設置された。