2205年も早くも1カ月が過ぎ2月の初旬のある日、連邦議会では重要な法案が議論されていた。
その法案名は「無差別攻撃許可法」であった。この法案の内容は地球連邦が他国と戦争になった際に、この法を使用すれば『防衛軍は敵軍事基地及び兵器生産設備などの戦争に必要な施設以外も攻撃しても良い』という内容であった。つまり簡単に訳せば名前の通り無差別攻撃を許可する法案である。その無差別攻撃には絨毯爆撃、無差別艦砲射撃や敵本星及び重要惑星を住民諸共破壊しても良いということが含まれていた。
ではなぜ「無差別攻撃許可法」が議論されているのか、その理由は明白である。
地球は今までにガトランティス帝国の本体とも言える都市帝国とズォーダー大帝を宇宙の藻屑にし、デザリアム帝国は本星である機械惑星をコロニーレーザーを用いて破壊した。しかしいずれも多くの敵対国の民間人を犠牲にしていた。しかもそれらの攻撃は防衛艦隊や統括司令部といった軍部が独断で行っていたのだ。その為、多くの国と国交を結び安全保障条約の締結をし、多くの兵器を輸出している現状、このような攻撃を軍部が独断で行うのは対外的に印象が良くないと総長は判断し、統括司令部での議論の後に「無差別攻撃許可法」として連邦議会に提出された。そして今、連邦議会ではこの法案について議論が行われていた。
しかし議論といっても今まで戦闘してきたのは極悪な侵略者であり、地球人類の奴隷化や身体を求めにやって来た悪魔であった。その為、議員達は敵本国が滅ぶのは当然の報いだと考えており、この法案に何かイチャモンを付ける者は誰一人としていなかった。ただ無差別攻撃許可法を使用する際は対外的な目を気にして「形だけでも議会で議論するのがいい」という意見が一部の議員からは出ていた。
そしてそう言った意見はあったものの、反対意見は誰一人と出さなかった為、法案は無事に即日、議会で可決されたのであった。
議会で可決された「無差別攻撃許可法」の内容は以下の内容であった。
・無差別攻撃許可発動は統括司令部総長より連邦大統領に申し込む。
・無差別攻撃許可発動の申し込みを受けた大統領は直ちに連邦議会を招集し、議会で発動許可の是非を即日で決定する。
・議会で無差別攻撃許可発動が許可された場合、統括司令部総長は正式に無差別攻撃許可発動を全軍に宣言する。
この内容で可決された「無差別攻撃許可法」は即日公布された。なお市民の中ではこの「無差別攻撃許可法」が公表された後に少し議論が起きたが、とある情報機関が世論調査をしたところ、賛成が90パーセントを超えるという結果であった。ガミラス戦役以降、幾度も凶悪な敵により国家滅亡の危機に向き合ってきた国民からしたら敵国の国民がどうなろうが知ったことではなかったのだ。
「無事に無差別攻撃許可法が可決されたか」
総長執務室では総長が報告を聴きホッとしていた。この「無差別攻撃許可法」の発案者の一人である総長はこの法案可決の為に議会では多くの説明をしていた。その努力が今、報われたのであった。まぁ総長としては「無差別攻撃許可法」なんて名前では無く「無差別攻撃法」でもいいとは思っていたが。
「しかしこれでより地球防衛軍は文民統制の軍であるかが証明できました」
そう言ったのは、副総長であった。副総長もこの法案成立の為に様々な努力をしていた。
「まぁ、友好国が増えていく中でこの国がいかに民主的であるのかを示せたのは大きい。それに無差別攻撃許可法が使用された時に地球が如何に本気、いや怒っているのかを諸外国は理解するだろうしな」
総長はそう言うと紅茶を飲んだ。
「ですが地球と国交がなく攻めてくる連中が居たら可哀そうですな。無差別攻撃許可法が使用された時には新型の次元潜航艦であるタイフーン級からいきなり惑星破壊ミサイルがどこかの惑星に撃ち込まれるかもしれないのですからな」
副総長はそう言うとニヤリと笑った。
「あぁ、全くだ。尤もその時はまず敵の重要惑星の位置を掴まねばならんがね」
総長も副総長に同意した。この二人の話題に上がっている次元潜航艦タイフーン級とは地球防衛軍が独自に開発した大型次元潜航艦であり、見た目は原子力潜水艦と同じであった。武装はガルマン・ガミラスからの技術提供を受けた地球製の惑星破壊ミサイル1本と亜空間魚雷発射管8門、亜空間ミサイル発射VLS14セルであった。
既に1番艦タイフーン、2番艦シーウルフ、3番艦ノーチラス、4番艦アスチュート、5番艦アクラ、6番艦リュビ、7番艦チャクラが就役しており8番艦ナーワル、9番艦ラファイエットが最終艤装段階に入っていた。
これらの次元潜航艦は「第一次防衛艦隊長期整備計画」で開発された次元潜航艦であり、防衛軍待望の純粋な地球製次元潜航艦であった。
なおこの「第一次長期防衛艦隊整備計画」はデザリアム戦役以前にビンソン計画の一部として決定された計画であり、次元潜航艦や潜宙艦、多数の輸送艦などの後方支援艦の整備計画である。既にこの計画は80パーセント近く進んでいた。
「まぁ、そうですが暫く地球は平和でしょう、ディンギル帝国については今のところ何も情報は無いですし」
副総長はそう言い机に置いてあった紅茶を飲む。
「そうだが、私としてはボラー連邦との関係が気になる。兎に角他の友好国との関係をもっと深めねば」
総長の中では兎に角ボラー連邦との関係性が気になっていた。ここ最近は両国の関係が悪化しているからだ。
「ですな。幸い安全保障条約を締結した国は何処もボラー連邦に怯えている国家ですから、友好関係は結べていますし、万が一の時は彼らの助力が見込めます」
副総長の言ったことは正しかった。
地球連邦に接触してきたのは何処もボラー連邦やガルマン・ガミラス帝国に怯えていた国であった。だが地球連邦の努力によりガルマン・ガミラス帝国からの恐怖は無くなり彼らの恐怖はボラー連邦だけになっていた。
また地球連邦の仲介もあり彼らはガルマン・ガミラス帝国とも国交を開設しており、有事の際にはガルマン・ガミラス帝国が防衛するという約束を交わしていた。そして地球側は知らなかったが彼らは万が一地球連邦がボラー連邦と戦争に陥った際には地球連邦側に立って参戦する気であった。
「そうだな。だが彼らの力はまだ小さい、まぁ時間が解決してくれるでしょうがね」
「ですな」
二人はそう話していった。しかしその時間が少ないことを彼らはまだ知らなかった。
2205の冒頭映像最高でした。