地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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先住民

バース星宙域から離脱した総督府艦隊を追跡するため追撃戦に移ったステファン・ヘボン中将率いるアナンケ級ツーロンを旗艦とする第九主力艦隊はバース星宙域から遠く離れた宙域にワープアウトしていた。

 

 

第九主力艦隊旗艦ツーロン

 

「全艦ワープアウト。現在位置は地球から約3000光年のアンファ恒星系外縁です」

「了解した。全艦陣形を整え索敵を厳となせ。どこかに総督府艦隊が潜んでいるかもしれん」

 

オペレーターの報告を聞いたステファン・ヘボン中将はそう命令した。

 

そして数十分にも及ぶ厳重で入念な索敵の結果、第九主力艦隊は28隻からなる総督府艦隊を捕捉することに成功していた。

 

「前衛フリゲートのサンダースが総督府艦隊を捕捉、アンファ星系外縁部を航行中!なお星系内に侵入する気配は無し!」

「了解した。全艦最大戦速!敵総督府艦隊を追撃する!」

 

ヘボン中将の命令により第九主力艦隊は全艦が加速し総督府艦隊の追撃に入った。だが総督府艦隊と第九主力艦隊に対して魔の手が迫っていた。

 

 

「我らの領域に近づく余所者を始末せよ」

 

魔の手とはアンファ星系の住人であるディンギル帝国の軍である。ディンギル帝国は非常に好戦的な文明であり領域に近づくものは全て敵と認識していた。

事実、以前調査のために接近したボラー連邦艦隊を撃退していた。そして今回、ベムラーゼ首相は調査の結果判明したディンギル帝国の好戦的な傾向を利用し地球連邦とディンギル帝国を争わせようとしていたのだ。このベムラーゼ首相発案の作戦の為にバース星総督府艦隊は生贄にささげられたのであった。

 

一方、ディンギル帝国軍は総督府艦隊に30隻、第九主力艦隊には100隻の水雷艇を向かわせていた。そして第九主力艦隊は両艦隊に接近する正体不明の小型艦を捉えていた。

 

 

第九主力艦隊旗艦ツーロン

 

「司令、総督府艦隊と本艦隊に向けて正体不明の小型艦が多数向かってきています。識別はボラー連邦ではありません」

「そうか、全艦戦闘用意。ただし向こうが攻撃してくるまで攻撃は禁止だ。それと此方の所属と航行目的、交戦意思がないことを全周波で流せ」

「了解、各艦に通達と正体不明の艦艇に通信します」

 

そして第九主力艦隊全艦は全周波で所属と交戦意思が無いことを流した。

この時、ヘボン中将を筆頭に第九主力艦隊首脳部は「まさかいきなり攻撃はしてこないだろう」と考えていた。しかしその考えは直ぐに覆されることになる。

 

 

ディンギル帝国軍水雷艇群30隻はまずバース星総督府艦隊を射程に捉えるなり、必殺のハイパー放射ミサイルを30隻が2本ずつ計60本を発射し瞬く間にバース星総督府艦隊を壊滅させたのであった。

 

 

第九主力艦隊旗艦ツーロン

 

「ボラー連邦総督府艦隊攻撃を受け全滅しました」

「正体不明の小型艦は大威力の大型魚雷らしきもので攻撃した模様!」

「正体不明の小型艦100隻更に接近中。こちらの呼びかけに応答はありません!」

 

旗艦ツーロン艦橋では一瞬の戦闘状況からわかる限りの戦闘内容を分析していた。

 

「全艦、迎撃戦用意。呼びかけは続けろ」

 

ヘボン中将は冷静に命令を出したが内心は焦っていた。(なぜ応答がないんだ。まさか応答する気がないのか)そんなことを考えていた。

 

そして数分後、第九主力艦隊にとって最悪の事態が発生した。

 

「正体不明の小型艦、反転しました!」

「撤退か!?」

 

ヘボン中将はこの時撤退したことを期待したが直ぐにその期待は打ち砕かれた。

 

「違います、正体不明の小型艦から多数の飛翔体が発射されたもよう!数200!」

「全艦全兵器使用自由、迎撃開始!」

 

ヘボン中将の号令が下った瞬間、第九主力艦隊全艦の主砲が火を噴き、ミサイル発射管からは続々と迎撃ミサイルが発射された。そして第九主力艦隊の迎撃射撃は次々とディンギル帝国軍水雷艇群が発射したハイパー放射ミサイルに命中しこれを撃破していった。

 

護衛のレパント級フリゲートは得意の迎撃能力を活かし次々とハイパー放射ミサイルを撃墜しマゼラン級戦艦は電磁パルス砲を放ちミサイルを撃墜ていった。

この迎撃戦は1分間に及びハイパー放射ミサイル1発がマゼラン級プリンツ・アイテル・フリードリヒに命中したものの波動防壁に防がれたため第九主力艦隊の損害は奇跡的に無かった。

 

「飛翔体全機撃墜しました」

「プリンツ・アイテル・フリードリヒへの命中弾は波動防壁が防いだ模様」

「わかった。全艦直ちに反転。バース星攻略艦隊に合流する」

「了解しました。全艦に打電します」

 

こうして第九主力艦隊は反転しバース星へと舵をきった。

この第九主力艦隊の戦闘記録はバース星攻略艦隊と合流後直ちに地球の統括司令部に送られるのだが、この情報を見た総長は大変驚いたのである。

 

 

ディンギル帝国

 

「正体不明の艦隊は地球の艦隊だったのか」

「その様です、何度もそのように発信していたので間違いないです」

「そうか。地球への侵攻作戦を実施する。軍は準備を進めよ。祖先の故郷に帰るのも悪くなかろう」

「はっ」

 

ディンギル帝国首脳部内ではこのような会話が行われ、地球侵攻の準備が進められることになる。

 

 

統括司令部

 

統括司令部の会議室には総長や司令部の転生者が数名集まっていた。

 

「まさか第九主力艦隊がディンギル帝国と接触、交戦するなんて想定外だ」

 

一人の転生者がそう言った。この時、統括司令部には第九主力艦隊のアンファ星系での戦闘映像や状況が伝えられていた。

 

「全くだ。しかし報告にあるボラー連邦艦隊の動きからすると第九主力艦隊の動きには何の問題もない、恐らくボラー連邦艦隊の動き的に此方を誘い出す思惑があったのだろう」

 

総長はそう言った。実際ボラー連邦の総督府艦隊は地球防衛艦隊を誘い出す目的があったのでこの推測は当たっていた。そしてそう言いながら他作品からの転生者にも敵対国家の事を周知させておくべきだったと後悔した。

 

「しかし厄介ですな、これでディンギル帝国は間違いなく地球を認識しました。原作と同じように攻めてくる可能性があります」

 

一人の転生者がこう言うと全員が納得した表情をした。実際これが一番の問題であった。

 

「そうだな、こうなった以上太陽系の防衛を厳重にするしかない、幸い空間歪曲干渉装置の設置は完了しているから奇襲で地球本土が攻撃されることは無いだろう。恐らく第十一番惑星軌道の外縁部に強制ワープアウトさせることができるだろうから戦力の展開範囲はある程度限定できる」

 

総長がそう言うと艦隊運用に関わっている転生者が問題点を挙げた。

 

「しかし既にアルゼ星系侵攻作戦であるバグラチオン作戦は開始されています。ガルマン・ガミラスとの合同作戦である為中止にもできませんし、莫大な戦力を動員していますので予備の戦力にあまり余裕がありません」

 

この言葉に数人の転生者が頷いた。実際アルゼ星系侵攻作戦であるバグラチオン作戦には莫大な戦力が動員されている。その戦力は第十二主力艦隊、第十四主力艦隊、第十五主力艦隊、第十六主力艦隊、第一機動艦隊、第三機動艦隊、第四機動艦隊、第一航空艦隊、第三航空艦隊、第四航空艦隊、第五遠距離遊撃打撃艦隊、第六遠距離遊撃打撃艦隊、第一戦略艦隊、第一遊撃艦隊、第二遊撃艦隊、第三打撃艦隊、第五打撃艦隊、第一無人艦隊、第二無人艦隊、ロンド・ベル隊からは旗艦ラー・カイラムとアナンケ級インディゴ・ベル、マゼラン級2、サラミス級6、その他支援艦艇200隻越えという大兵力であり、これにガルマン・ガミラス帝国軍のカイデル司令の機動要塞とダゴン司令率いる機甲艦隊など多数の艦隊が加わるのである。

 

「仕方ないがバグラチオン作戦は続行しディンギル帝国に対しては太陽系残留艦隊で当たるしかあるまい。シリウス・プロキオン星系や同盟国防衛に派遣した主力艦隊などを呼び戻す訳にはいかないしな」

「わかりました、取り敢えず十一番惑星軌道には待機状態の第五主力艦隊と第十一主力艦隊をローテーションで派遣します。第一主力艦隊、第二機動艦隊、本国艦隊は後詰めとしてタイタン基地と本土に温存し、それ以外の艦隊は予定通り待機状態を維持します」

「わかった。それで頼む」

 

艦隊運用の転生者の意見に総長はそう返事した。この意見は他の転生者も頷いていた。

この時の防衛軍の艦隊運用は莫大な戦力を保有し続けてもなお『余裕がない』状況であった。

 

統括司令部でこのような会議が行われている頃、地球防衛軍、ガルマン・ガミラス帝国軍の合同作戦であるアルゼ星系侵攻作戦であり、後に鋼鉄の濁流と呼ばれるバグラチオン作戦が開始されていた。

 




2205最高でした。3199も楽しみですね。
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