地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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外伝7 兵士達の記録

1 火星の司令官

 

2178年に勃発した内惑星戦争、地球人類が宇宙に進出してから発生した唯一の地球人類同士の宇宙戦争。あの戦争に私は火星宇宙海軍艦隊総司令として参加した。

 

あの戦争で火星宇宙海軍は国連宇宙海軍に対して戦闘で優位だった。私はその理由は知っていた。火星に墜落していた異星文明の戦闘用艦艇の技術を一部ではあるが火星宇宙海軍は使用していたからだ。

その技術的優位により火星は国連宇宙海軍の火星侵攻を二度に渡り撃破、更に各地での戦闘に勝利し、マスドライバーによる攻撃で地球に対して直接攻撃を実施し損害を与えた。

 

国連側はこれに対して地下都市の建設を実施し対応していたが、国連宇宙海軍は幾度にも及ぶ火星宇宙海軍との戦闘より大きな打撃を受け、再び火星侵攻作戦を行えるほどの戦力を短期間で再建するのは不可能、再建されつつある艦隊は地球圏艦隊と合同でのマスドライバーからの攻撃に対する迎撃と月での火星軍との攻防戦で手一杯。これらの現状により国連側の短期間での火星再攻撃は不可能だという報告を入手した時、私は火星の勝利を確信した。だが現実は違った。

 

幾度にも渡る月の攻防戦で地球圏艦隊の力や新鋭艦の建造で再建されつつある国連宇宙海軍の存在を報告で受けていたにも関わらず私は油断していたのだ。

 

そしてそれは突然だった。

 

今でも覚えている。開戦から5年たったある日、司令室で聴いた哨戒艦からの通信を。

 

「敵艦隊発見、マゼラン級戦艦48、トラファルガー級空母2、サラミス級巡洋艦、レパント級フリゲート合わせて150以上!総数は不明!繰り返す総数は不明!敵は地球圏艦隊!」

 

私は耳を疑った。「なぜ地球圏艦隊が」そう考えている間にその報告をした哨戒艦からの通信は途絶していた。

通信途絶の報告を受けた私は直ちに全艦隊に出撃命令を出した。それと同時に最後の戦いになると感じていた。

 

そして出撃した火星宇宙海軍は稼働可能な全艦艇で総数102隻。

今思えば地球圏艦隊が補給部隊含めて260隻以上、更に大量建造された金剛型戦艦や村雨型巡洋艦などの艦艇により完全再建され、フォボス要塞攻略などに動いた沖田十三提督指揮の200隻を超える国連宇宙海軍主力艦隊を追加で要する火星侵攻の為の大艦隊だったと考えると無謀な戦いだった。

 

戦闘は激戦だった。地球圏艦隊は我々が戦争序盤に相手した国連宇宙海軍より遥かに強力だったのだ。向こうの艦艇が2160年代以前開発の艦艇だからと侮っていたのが大間違いであった。

強力なメガ粒子砲に無数のミサイルによる飽和攻撃、此方のビームを無力化するビームかく乱幕、そして被弾してもビクともしない装甲を持ったマゼラン級戦艦、どれも私の想像力以上の強さだった。

 

それでも火星宇宙海軍は奮戦しサラミス級、レパント級合わせて21隻を撃沈しその倍以上を戦列から離脱させたがそこまでだった。火星側の艦艇は悉く撃沈もしくは行動不能にされ、私が降伏命令を出した時の行動可能な残存艦は僅か17隻だった。

 

降伏した後、私は乗艦であり旗艦のマーズに接舷した地球圏艦隊旗艦アナンケ級戦艦アナンケに足を踏み入れた。その時私は「これで敗者になった。全てが終わった」そう思いながら地球圏艦隊司令のヨハン・イブラヒム・レビル中将の元に行った。

 

降伏調印は想像していたより厳粛でスムーズだった。私は火星軍がマスドライバーで地球に対して無差別攻撃を行い、地球圏艦隊の艦艇も撃沈していたので罵声を浴びせられるものだと思っていたのだ。だが罵声など一言も無く、アナンケ乗組員は正装で私を丁寧に迎え入れたのだ。そしてアナンケ艦内で降伏調印を終えた後、レビル中将は私にこう言った。

 

「あなた方は良く戦った。悪いようにはしない」と。

 

この時、私は意味が良く分からなかったが、その意味は後日わかった。

 

火星宇宙海軍の降伏により火星自治政府も降伏したがある程度の自治権はなぜか認められた。当初私はこれが不思議で仕方なかったが、後でこれには地球圏艦隊司令部が少し関わっていたと聞いた。

 

「これがレビル中将の言っていたことか」私はそう思った、だが問題があった。自分の部下達だ。火星自治政府が持っていた有力な軍は火星宇宙海軍だけであり火星軍総司令官は戦争犯罪人で不在となり、軍も解体となったので私が軍の全ての後処理を任せられていた。来る日も来る日も事務処理に追われていた。残存していた火星宇宙海軍の艦艇は全て国連宇宙海軍に賠償艦として渡され、残るは行き場のない数万の将兵だった。

 

そんなある日、私の元へ一人の人物がやって来た、その人物はレビル中将だった。レビル中将は挨拶もそこそこに私に手紙を渡すと直ぐに帰ってしまった。

レビル中将が帰った後、私は手紙を開いた。私は目を疑った。そこには元火星軍の全将兵を地球圏艦隊が引き取ると書かれており地球圏艦隊総司令のサインもあったのだ。あの手紙の一文は今でも覚えている。「地球という人類の故郷を守るという意思があるのならば過去がどうであれ地球圏艦隊は火星軍の将兵達を快く迎え入れる用意がある」と。

 

私は三日三晩悩みこの提案に乗った、元火星軍将兵の殆ども私に続き地球圏艦隊の兵士となった。後に判明したのだが当時国連宇宙海軍が再建及び大規模増強を行っており、その影響により地球圏艦隊の人員が不足する可能性があった為我々を迎え入れようということになったらしい。

 

そして私は地球圏艦隊に勤務することになりサラミス級などの艦長をした後に、後方勤務となった。これからは平和に日々が続くそう思っていた。だが奴らは来た、ガミラスだ。

 

ガミラス軍は強力であり、国連宇宙海軍は悉く敗れ、主力艦隊は第一次火星沖海戦で壊滅した。だが地球圏艦隊は諦めていなかった、そして画期的な新型砲があることを後方勤務に携わっていた私は知っていた。だから私は志願したのだ。宇宙艦隊勤務に。

 

そして私はマゼラン級戦艦グッド・ホープの艦長になった。

「覚悟しろ、ガミラス。この手で沈めてやる」私は火星へと進軍するグッド・ホープの艦長席に座りながら心の中でそう強く思っていた。

 

 

『マゼラン級戦艦グッド・ホープ元艦長 現地球連邦議会議員アルフレッド・ベンジャミン』

 

 

 

2 シャンブロウの出会い

 

シャンブロウ攻防戦。あれは地球とガミラスが初めて共同戦線を張った戦闘だ。あれに私はマゼラン級戦艦ニュージェネレーションの艦長として参戦していた。

私は両親をガミラスとの戦争で失った、父は第一次火星沖海戦で母は遊星爆弾でだ。だから共同戦線を張ると聞いた時は複雑な気持ちだった。だが命令だからと自分に言い聞かせ、戦闘に参加した。

 

だがあの提案はなぜ出したのかが暫くの間は分からなかった。気が付けば旗艦のアインフェリアに通信を繋ぎ、地球艦隊と2隻のゲルバデス級以外のガミラス艦は機動戦を仕掛けた方が良いと意見具申していた。そしてこの意見具申は受け入れられたのだ。恐らく土星防衛戦から帰還した父が言っていた「敵艦は機動性が高い」と言っていたのを覚えていたのだろう。因みに後で知ったのだが、この提案はガミラス艦隊指揮官のフォムト・バーガー少佐も「良い意見だ」とすんなり意見を聞いてくれたらしい。

 

そして戦闘は始まった。

 

戦局は優勢だった、数では負けていたが火力、機動力、航空戦力ではガトランティスより地球・ガミラス連合艦隊が上だったからだ。敵の超長距離攻撃である火焔直撃砲はヤマトからのデータにより余裕で回避でき、その攻撃もヤマトが発射装置を破壊しておりいつの間にか来なくなっていた。そして気が付けばニュージェネレーションはラスコー級、ククルカン級合わせて7隻を撃沈していた。

 

戦闘が優勢に進む中、私はスクリーンに映ったある光景が目に留まった。機動戦を仕掛けるガミラス艦隊の一つの部隊、デストリア級1隻とクリピテラ級2隻からなる部隊にククルカン級2隻が接近していたのだ、しかもガミラス艦隊の死角からだった。

 

私は咄嗟に指向可能な全砲門での攻撃を命じた。そして直ぐに砲撃が行われ2隻のククルカン級は爆沈した。だが1隻のクリピテラ級はククルカン級からの攻撃を受け爆沈していた。この時私には味方を助けられなかったという悲しい感情が湧き出ていた、だがその感情はその直後に入った通信で和らいだ。

 

「此方、第8警務艦隊所属デストリア級レストリア艦長ライト・ジェミニー少佐、助かった。見事な砲撃だった」

 

一瞬で一方通行の通信だったがその女性の声はなぜか私の心を落ち着かせてくれたのだ。

 

それからも戦闘は優位に進み最後はヤマトが敵旗艦を沈めて戦闘は終結した。

ガトランティス艦隊はマゼラン級戦艦フォタモルガーナとカエルラの部隊に降伏したナスカ級空母と護衛のラスコー級1隻、ククルカン級1隻以外は全滅し此方の損害はケルカピア級1隻とクリピテラ級2隻の損失とガミラスの損傷艦4隻だった。

 

そしてこの戦闘で思わぬものを地球側は手に入れた、ナスカ級空母に乗艦していた指揮官イスラ・パラカスとその他司令部要員を捕虜としたのだ。流石に他の捕虜を向かい入れる用意は無かったので司令部要員だけを地球は捕虜として受け入れ残りはガミラスに対応してもらうことになった。

このガトランティスの捕虜は地球にとって異星文明を更に知る大切な存在となった。

 

そして艦隊はそれぞれの帰路に就いた。だが私はなぜかあのデストリア級の艦長の事が頭から離れなかった、それと同時にもう会うことは無いだろうそう思っていた。しかし彼女とは思わぬ形で再開した。彼女はガミラス共和国銀河方面軍在地球艦隊のデストリア級レストリア艦長としてやって来たのだった。

彼女は赴任後直ぐに私を探し出しお礼を言ってきた。「シャンブロウでは命を助けられた」と。

 

 

 

今思うと私が機動戦を提案しなければ彼女と出会う事は無かっただろうし、彼女を妻として迎え入れることもあり得なかっただろう。そして私は妻と一緒に居る時にある事を聞いた。

 

「私が機動戦を提案しなければあのクリピテラ級の乗組員や他の2隻の乗組員やその他の死傷者も助かったのだろうか」と。

 

すると妻はこう言った。

 

「そんなことは無い。機動戦のおかげで私や生き残った他の艦の乗組員は助かったかもしれない。あなたは何も悩むことは無い。少なくとも私は沈んでいった艦の乗組員やその他の艦の死傷者はあなたを恨んだりはしないと思う」と。

 

あの戦闘でガミラスは第8警務艦隊のケルカピア級1隻とクリピテラ級2隻を失った。他にも4隻が傷つき死傷者を出している。私が機動戦を提案したから失われた命なのかどうかはわからない。妻が言う通り機動戦を提案したから他の艦の乗組員は助かったのかもしれない。この答えは永遠に出ないだろう、だが一つ確かなのは妻と出会う切っ掛けはシャンブロウ攻防戦であり、今、妻のお腹には新しい命が宿っているということだ。

 

 

『マゼラン級戦艦ニュージェネレーション元艦長 現第八機動艦隊司令伊藤直樹』

 

 

 

3 シンデレラ戦隊

 

私はヤマトがイスカンダルへ旅立った後に援軍として発進した6隻のマゼラン級戦艦アインフェリア、アスタリスク、ファタ・モルガーナ、ニュージェネレーション、セレクテッド、カエルラからなる「ヤマト援軍部隊」の旗艦アインフェリアに乗艦していた。そして私はこの航海で司令部の要員が稀に「シンデレラ戦隊」という言葉を使っているのが気になった。最初はてっきり艦は女性として扱われるからそう呼ばれているのだろうと思っていた。だが何かが私の中で引っかかっていた。

 

地球に帰還後も「シンデレラ戦隊」という言葉は稀に聞いた。まだ地球連邦が発足する前に一度地球圏艦隊司令部に行ったことがあった。その時も、とある偉いさんが「シンデレラ戦隊」と言っていた。余計に不思議だった。あの部隊の正式名称は「シンデレラ戦隊」ではなく「ヤマト援軍部隊」だったはずだ。だがその偉いさんは「シンデレラ戦隊が多大な戦果を挙げるとは誇らしい」と言っていた。尚更気になったので「ヤマト援軍部隊」に関連するデータを漁ったが「シンデレラ戦隊」という文言は一つも無かった。私の疑問は膨らむばかりだった。「シンデレラ戦隊」とは何なのか普段なら気にも留めないようなことが気になってそして不思議で仕方がなかった。

 

私は暇な時間を見つけると「シンデレラ戦隊」について調べた。アインフェリアに乗艦していた仲間にも聞いたが仲間は「司令部が付けたニックネームだろう」と言っていた。確かにニックネームかそれに類する名前だろうと私も思った、だがそう考えると更に気になった。「なんでそんなシンデレラ戦隊なんてニックネームが付くのだろう」と。

 

私は休日も時間を使い調べた。実は軍機に関わるものではないかと考えもしたが、それなら一般兵に聞こえる場所で言う訳がないという結論に至った。

そして調べ始めてから1年が過ぎた2201年のある日に答えを見つけてしまった。見つけた時は馬鹿馬鹿しくて大笑いしたものだ。軍隊はお堅い組織だとずっと思っていたがどうやら違うらしい。調べれば調べるほど面白くなってきた。

 

「どうやら『シンデレラ戦隊』は幾らでも作れるようだ。全く誰だ、艦名を考えている奴は。他にも仕掛けというかネタがあるんじゃないのか」

 

私はそう思いながら就役済みのアナンケ級戦艦及びマゼラン級戦艦の一覧ととあるリストを見比べながら休日を楽しんだ。

 

 

『マゼラン級戦艦アインフェリア元乗組員 現マゼラン級戦艦フルランジュ艦長七尾翼』

 




読者の皆様もシンデレラ戦隊について考えてみてください。
因みにシンデレラ戦隊ではもう一つネタがあります。
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