地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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対策

太陽系外縁での戦闘は防衛艦隊司令部の頭を悩ませた。

現在の防衛艦隊は10個主力艦隊と2個機動艦隊、1個航空艦隊、5個打撃艦隊、複数の巡洋艦隊、地球軌道艦隊と第十一番惑星防衛艦隊、12個パトロール艦隊を主力とし、その他に各基地及び惑星駐留艦隊、船団護衛艦隊と多数の無人哨戒艦隊を有しており、小型艦や無人艦を含めば総数は数百隻にも及ぶ大戦力だった。またモスボール化した艦艇も多数居るため、戦力は増やそうと思えばすぐに増やせる状態であった。

 

しかし百隻近い有力なガトランティス艦隊を相手にできるのは主力の10個艦隊と2個機動艦隊だけの為、今後今回のようにガトランティス艦隊の攻撃が同時に複数行われた場合は苦戦を強いられることが間違いなかったため司令部は対策に翻弄された。

だが防衛軍司令部と防衛艦隊司令部そして各艦隊指揮官は知恵を出し合い連携し、後の土星沖での決戦までに行われた太陽系外縁部各地でのガトランティス艦隊迎撃戦における防衛艦隊の損害は最小限に抑えられることになる。

 

 

 

そして防衛軍がガトランティス艦隊対策に注力してる中にヤマトからの一報が届いた。

 

 

「白色彗星ですか…」

 

防衛軍司令部の一室には地球連邦大統領をはじめ藤堂長官、芹沢参謀長、土方地球防衛艦隊司令らが集まり会議を開いていた。

 

「はい。ヤマトからの情報ですと白色彗星内部には大きさは不明な惑星らしきものと、総数不明なカラクルム級戦艦を多数含む大艦隊が存在していたとのことです」

「土方司令、現在の防衛艦隊で太刀打ちできるのかね」

 

土方司令の言葉に対してそう藤堂長官は尋ねた。

このヤマトからもたらされた白色彗星の情報は防衛軍司令部にとって頭痛の種だった。なお白色彗星内部に引き込まれたヤマトは乗艦していた転生者の提言によって無理に離脱するのでは無く、白色彗星の側面から脱出する方法を実施し離脱に成功していた。

 

「何とも言えません。ただこの大規模艦隊と戦闘するとなれば可能な限り戦力を集中し、決戦を挑む他ないと思われます」

「そうか」

 

土方の言葉に対して藤堂は短くそう言うと、隣で聞いていた芹沢が話し出した。

 

「大統領、決戦までは時間があると思われます。現在の戦力では間違いなく戦力不足です。これから時間断層工場や各工廠をフル稼働で戦力を増やしたい、そのための予算を用意してもらえますか」

「芹沢参謀長、なんとか議会を説得して予算を用意させましょう」

「ありがとうございます。今不在の防衛委員会委員長も同意見でしょう」

 

大統領の言葉に対して芹沢がそう返事をすると、藤堂が土方に話しかけた。

 

「土方司令、艦隊運用については全て艦隊司令部に任せる。作戦計画については決まり次第、防衛軍司令部に提出してほしい」

「わかりました」

 

そう短く土方が返事をすると芹沢も続けて話した。

 

「戦力については可能な限り用意できるようにしよう。必要な戦力は随時報告してくれ。時間断層があれば用意できない事は無いだろう」

「ありがとうございます。芹沢参謀長」

 

 

会議終了後に藤堂と芹沢は司令室に戻りながら会話をしていた。

 

「長官、艦隊運用を一任してよろしかったのですか」

「大丈夫だ、土方司令なら必ず適切な運用をしてくれる」

「そうですか」

「それより、戦力の増備の方を頼んだぞ」

「わかりました。防衛委員会委員長とも調整して可能な限り迅速に用意できるようにします。モスボール化した艦艇も改装すれば使えますので可能な限り手配いたします」

 

 藤堂の言葉に芹沢はそう返事をした。

 

 

 

 

 

 時間断層工場、この工場はガミラス戦争終了後に地球連邦の復興及び軍備増強の中心となった場所である。

 連邦議会が大規模な対ガトランティス予算を可決後、太陽系各地の工廠では24時間フル稼働で艦艇の建造が進められており、ここ時間断層工場では時間が通常の3倍で進むという特性を生かして凄まじい速度で建造が進んでおり、工場内には建造中のドレッドノート級戦艦やエンケラドゥス級巡洋艦が並んでいた。

 

 

 

 場所は変わり南米ジャブロー基地、地球防衛軍最大の基地でありアマゾンからギアナ高地に至るまでの地下に築き上げられた超巨大地下基地である。基地内には造船所や資源採掘施設など様々な施設がある一大軍事拠点である。そして基地内の一室で建造中の艦艇群を見ながら二人の将校が話していた。

 

「ここまで活気のある造船所は久々に見るな」

「ここだけでなく、ルナツーや月面基地、ソロモン要塞といった各基地や地球各地の造船所も同じだと聞いてます」

「なるほど。まるでガミラス戦争末期から終戦直後みたいだな」

「そうですな、しかしここにいる何隻が無事に生き残れるか」

「そうだな。それは土方司令次第だな」

「土方司令には1隻でも多く生き残らせてほしいものですな」

 

 そう言いながら将校は建造中のマゼラン級を見つめた。

 

 

 

 

 その頃、地球からタイタン基地にある防衛艦隊司令部に急ぎ戻った土方は幕僚と共に作戦を練っていた

 

「やはり戦力を集結するしかないですな」

 

 一人の幕僚が彼我の戦力差が記されたモニターを眺めながら発言した。

 

「しかしそれは危険です。もしも予想が外れたら集結した艦隊はただの遊兵になります」

「そうです、今も小規模なガトランティス艦隊や稀に百隻近い艦隊が散発的に攻撃を仕掛けてきています。集結させたら奴らの対応はどうするんですか」

 

 参謀の一人がすかさず反論意見を次々とだす。

 

「集結は今すぐじゃなくていい」

「ではいつ集結させるんですか司令?」

 

 この参謀達の問いかけに対して土方は持論を説明し始めた。

 

「これは私の考えだが、艦隊を集結させるのは白色彗星及びガトランティス艦隊の本格的な侵攻が決定的となった時でいい。おそらくガトランティスもその時は散発的な攻撃をやめて戦力を集結させているだろう。それに集結した艦隊は再編成し土星と月に展開する」

「土星と月ですか?」

 

 一人の幕僚がモニターに映し出された土方の作戦計画を見ながら困惑気味な声で話した。

 

「そうだ。まずガトランティスの侵攻が決定的となれば波動砲を装備した艦艇とその護衛は月へ、それ以外の艦艇は土星に集結させる。月に集結させるのは白色彗星が直接地球に侵攻した場合に備えてだ。ただし敵艦隊が先行して太陽系に侵攻してきた場合は土星にいる艦隊と合流して土星沖で敵艦隊を迎え撃つ。無論太陽系各地にガミラス臣民の盾がある以上、ガトランティスの侵攻ルートは限られるが保険を掛ける必要はある」

 

 土方はそう言った。

 この時期、太陽系各地にはガミラス臣民の盾が配置されており、ワープによるガトランティス艦隊の太陽系内への侵入を拒んでいた。

 

「なるほど、しかし土星へ集結した場合、地球の守りが薄くなりますがどうするおつもりですか。無防備という訳にはいかないでしょうし」

「そこは地球軌道艦隊と今後続々と就役する新造艦に任せる」

「なるほど、わかりました」

「もちろん、これは現時点での計画だ。今後ヤマトから送られてくる情報やガトランティスの動き次第で幾らでも変更する。なので幕僚各位は臨機応変に対応できるようにしておいてくれ」

「「了解しました」」

 

 そして、この作戦案は防衛軍司令部や各艦隊に通達され、来るべき決戦に向けての準備が進められた。

 

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