地球圏のL4と呼ばれる宙域には二基のコロニーと地球連邦防衛艦隊の予備役保管状態の艦艇が多数存在している。この予備役保管状態の艦艇はガミラス戦争後期からガトランティス戦役終結までの期間に大量生産された艦艇である。
地球連邦防衛艦隊は発足後現在に至るまで常に増強され続けているがガミラス後期からガトランティス戦役終結までの間は特に艦艇建造が多く、その期間でもガトランティス戦役期間はずば抜けて艦艇建造数が多かった。そして問題だったのはこの時期に建造された艦艇数は膨大で地球連邦が運用できる許容数を超えていたことであった。その為、地球連邦政府及び防衛軍はガトランティス戦役終結後に多くの艦艇を予備役保管状態、所謂モスボール状態にしてこの宙域に保管したのであった。
そしてガトランティス戦役終結後も続く防衛艦隊増強であったが増強される艦艇は造船能力の維持・拡充という方針を連邦政府と統括司令部がとった為、予備役保管状態の艦艇は手が付けられることなく保管され続け、新規設計艦などで置き換えられた艦艇などが保管艦として追加され続けていた。
だがボラー連邦との戦争が避けられなくなると、これらの艦艇の現役復帰作業が統括司令部の予算の獲得により急ピッチで始められることになり、兵装の近代化や無人化改装などが工作艦や各地のドックで行われていた。
なお予備役保管状態の艦艇は大半が小型の艦艇であるがこれらの艦艇は現役復帰後に新規建造艦のバラクーダ級と共に新編成の護衛隊群を編成し船団護衛などの任務に当たることになっていた。
この護衛隊群編成には理由があり、各地への輸送船団の護衛任務数が防衛艦隊の保有する30個の護衛艦隊で補えるレベルを超えており、既に主力艦隊などの基幹艦隊も直接護衛任務で使われており、参謀本部が「流石に戦時に基幹艦隊を間接護衛なら兎も角、直接護衛任務で使うのはやばい」と判断した為である。
そしてこの日、ルナツー基地では初の護衛隊群が編成されていた。
新編成の護衛隊群の第一護衛隊群は村雨改型軽巡洋艦6、松型8、無人磯風改型12、バラクーダ級汎用タイプ8、無人防空タイプ6から編成されており今後は船団護衛を中心とした任務に就く予定である。
この新編成された第一護衛隊群は編成完了後直ちに出港し訓練に向かった。
こうして第一護衛隊群が編成されている頃、銀河側亜空間ゲートでも大きな動きがあった。
「ゲート開通5秒前」
「周囲に異常は無いな」
「はい。ありません」
「わかった」
亜空間ゲート守備艦隊旗艦エンケラドゥス級サリー艦橋でオペレーターと艦長がそうやり取りをする。
サリー艦橋でそのようなやり取りがあった直後にゲートは開通し、ゲートから多数の艦艇が現れた。
ゲートから現れたのはガミラス共和国軍第6、7重機甲艦隊、第24、25機甲艦隊、第85、86遊撃艦隊、第11、12空母艦隊などの有力艦隊とその他補給艦などという大艦隊であった。このガミラス共和国艦隊は激戦続くガルマン・ガミラス北部戦線への増援艦隊であった。
そしてゲートからの艦隊出現は続きガミラス共和国艦隊に続き今度は地球防衛艦隊第十二パトロール艦隊と第二十護衛艦隊に守れられたフレッチャー級改造型の曳航艦50隻とそれに牽引された惑星間弾道弾50発が姿を現した。
この惑星間弾道弾50発は地球連邦がガミラス共和国から購入したものであり弾道弾は発射基地が整備された冥王星に配備される予定であった。
その後もゲートからは多数の輸送艦や輸送船、ガルマン・ガミラスへの移民船が出現し各々の目的地へ向かって行った。
一方ガルマン・ガミラス帝国から再独立し再軍備を急ピッチで行っているゼニー合衆国では新規艦艇の建造が始まっていた。
この新規建造艦はモビルスーツ搭載を前提とした艦艇でありながら既存のゼニー合衆国の艦艇をベースに設計されているので建造にはさほど手間がかからないようにされていた。事実この新規建造艦は短期間で建造され前線に姿を現すのであった。
そして艦艇建造と同時に地球から輸入したモビルスーツの配備と地球から技術者を地球連邦政府と交渉の末、派遣してもらい国産モビルスーツの開発に取り掛かっていた。なおその姿は技術者(転生者)の悪ふざけでジオンのモビルスーツであった。因みにそのモビルスーツはハイザック、ギラ・ズール、ズサ、ガザDと命名されるのであった。なおゼニー合衆国側で技術者が好き勝手やっていると聞いた地球防衛軍の技術者は対抗して輸出していたジムを改修したジム・スナイパーカスタム、ジムキャノン、ジムキャノンⅡを生み出している。
ゼニー合衆国本星大統領執務室
「ミッツ元帥、軍備再建はどうだね」
大統領はそうゼニー合衆国軍最高司令官になったミッツ元帥に尋ねた。
「順調です。艦艇建造、モビルスーツ開発ともに問題なく進み、地球連邦からも多数の支援を頂いています。地球連邦指導の下で訓練された地球連邦製の艦艇で編成された艦隊は既に実戦に出られており、幾度かボラー連邦艦隊を撃破しています」
「そうか。それは喜ばしいことだな。地球連邦には感謝しかない」
「はい大統領。軍としても地球連邦には感謝しかないです」
「そうだな。兎に角軍の再建を急いでくれ。早期にボラー連邦に復讐をせねばならんからな」
「了解いたしました」
ミッツ元帥はそう言うと敬礼し執務室を退出した。
元帥が退出した後、大統領は椅子に座りながら(このままだと我が国は地球連邦の属国になってしまうな)と苦笑いしながら思っていた。
ガルマン・ガミラス帝国から再独立したゼニー合衆国では官民が一体となり軍備再建が急ピッチで進んでいた。また地球連邦やガミラス共和国、ガルマン・ガミラス帝国から企業進出もあり、それらがゼニー合衆国の復活を支えていたのであった。
ゼニー合衆国・ボラー連邦国境
軍備再建を急ぐゼニー合衆国であったがゼニー合衆国とボラー連邦国境では双方の軍が小競り合いを再独立後から続いていた。
攻めてくるボラー連邦艦隊が小規模な部隊であった為、ゼニー合衆国艦隊は地球から輸入した艦艇で迎撃していた。
ゼニー合衆国軍マゼラン級マルバラ
「ボラー連邦艦隊撤退します」
「了解した。追撃はいい。監視を続けろ」
ゼニー合衆国軍の第8国境監視艦隊旗艦マルバラ艦橋では司令が命令を出していた。
「しかし司令、最近はボラー連邦のちょっかいが多いですな」
「あぁだが大規模攻勢が無いのが幸いだ。ボラー連邦もガルマン・ガミラス帝国の北部戦線で手が埋まっているんだろう。兎に角こちらは早く軍備再建が必要だな。このままではゼニー合衆国軍が良いとこ無しで終わるからな」
司令はそう苦笑いしながら言ったのであった。
ゼニー合衆国が軍備再建に勤しんでいる頃、銀河連合構成国のハイス公国では大規模作戦への準備が行われていた。
その為ハイス公国の本星であるハイス星軌道上には多数の艦艇が集結しつつあった。
「ようやくこの時が来ましたな」
ハイス公国艦隊旗艦ドゴス・ギア級(輸出型)バーゼルガの艦橋で艦隊司令に艦長が話しかけていた。
「あぁ、遂にボラー連邦に頭を下げ我々を散々な目にあわせてくれたパラディアン皇国に反撃する時が来たのだ」
司令はそう力を込めていった。