地球防衛軍戦記   作:第一連合艦隊

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宇宙要塞グラド攻略戦3

要塞グラド攻防戦の戦況は戦闘開始から約2時間でパラディアン皇国の防衛線を突き崩したハイス公国が圧倒的有利になり、防衛線を突き崩されズタズタにされたパラディアン皇国側は苦しい状態になっていた。

そして防衛線を突き崩されたことにより要塞司令は要塞破棄の決断を下し、既に要塞司令官も脱出用の艦艇に乗り込み指揮を取っていた。

 

 

要塞内司令官座乗脱出艦A型戦艦アロン

 

「司令、脱出準備はできております。既に要塞内には敵陸戦隊が多数侵入し防衛は不可能です」

 

短期間での相次ぐ損害報告により、使い物にならなくなっていた状態から漸く使い物になる状態に戻っていた副官はそう司令に報告した。

 

「了解した。友軍の脱出状況はどうなっている」

「はっ、脱出状況ですが芳しくありません。既に要塞はハイス公国艦隊が取り囲んでおり脱出しようとした艦艇は殆どが撃沈されております。また要塞内で敵陸戦隊と戦っている部隊も長く持ちそうにありません」

 

副官は深刻な表情で応えた。

事実この副官の元には友軍がどうなっているかの情報が常に届いていた。その中には最早悲鳴や断末魔としか表現できないものや、要塞内で敵陸戦隊と戦っている部隊からの最期の言葉もあった。

 

「そうか。状況は絶望的か」

 

副官からの報告に対して司令はそう短く言うだけであった。司令には副官からの報告で友軍がどんな最期を送っているか容易に想像できていた。

そして脱出艦の艦長が「本艦も急いで脱出します」と言ったが司令は目を瞑り頷くだけであった。

 

そして司令を乗せた脱出艦は出港しようとしたが時すでに遅しであった。

要塞からの脱出の為、艦が上昇していた時にオペレーターが「上方サラミス級接近!」と叫んだのであった。この瞬間司令は死を悟った。

 

脱出艦は要塞外に出ようとした瞬間、要塞に取り付いていたハイス公国第1艦隊第4巡洋艦戦隊のサラミス級4隻と近くにいたマゼラン級メルバに集中砲火を浴びせられ、10発近い命中弾を受け、脱出艦は轟沈したのであった。

 

 

ハイス公国艦隊旗艦バーゼルガ

 

「司令、敵の組織的抵抗は排除されつつあります。一部敗走する艦隊がありますが追撃しますか」

 

パラディアン皇国の脱出艦が轟沈した頃、ハイス公国艦隊旗艦バーゼルガでは副官が司令にそのような報告すると同時に指示を仰いだ。

 

「了解した。無論追撃はするが追撃に当たれる艦艇はどれくらいいる」

「はっ。付近の制宙権は確保し要塞での戦闘も既に内部に移行しているので相当数動かせるかと。直ちに艦艇のリストアップしてきます」

 

司令の問いかけを受け、副官は追撃戦に回せる艦艇をリストアップしに行き、5分後には艦橋に戻ってきた。

 

「司令此方が直ちに追撃戦に回せる艦艇です」

「ふむ。これらの艦艇を追撃に当たらせてくれ。艦隊編成は任せる」

 

司令は副官にそう言うと副官は「はっ」と返事をすると再び艦橋を後にした。

それから30分後には追撃艦隊が出撃した。

 

 

「全艦発進!」

 

第1追撃隊旗艦機動戦艦グランド艦橋ではフォルカー・ベッティ准将が艦隊発進の号令を出し、見送りの友軍に敬礼をしており、同じような光景が幾つもの艦艇で見受けられた。

 

この追撃作戦には機動戦艦グランドと重航空巡洋艦グドンとツインを中核とする艦隊、機動戦艦ブラックを中核とする艦隊など複数の艦隊が参加し、敗走するパラディアン皇国艦隊追撃に当たった。

 

「第1追撃隊出撃。第2追撃隊も出撃」

 

バーゼルガ艦橋には追撃隊出撃の報告が次々と上がっていた。

また報告の中には要塞での戦闘に関する報告もあった。

 

「司令、強襲揚陸隊から連絡。要塞の組織的抵抗はほぼ排除とのこと」

「了解した。揚陸隊には続けて全ての抵抗を排除させよ」

 

様々な報告が飛び交う中、副官からの要塞内の組織的抵抗ほぼ排除の報告を聞いた司令はそう追加の命令を出した。

 

 

そして要塞の陥落は追撃艦隊出撃から30分後、要塞司令の戦死から約1時間後であった。

パラディアン皇国側の将兵は最後まで抵抗したが、数で勝るハイス公国側には勝てず、要塞から脱出できなかった将兵は降伏した。

この激戦の結果、要塞から脱出できたのは要塞に居た戦力の2割、約110隻であった。

 

 

一方、要塞からの脱出艦はまともな統制も取られず個々にパラディアン皇国勢力圏を目指した。だがそれらの艦の中でも纏まって脱出する部隊も僅かにあった。

 

 

「本部隊に対するハイス公国艦隊の追撃は無いようです。ですが他の部隊は追撃を受けているようで、特にヘーリング准将の第11戦隊には機動戦艦1、航空巡洋艦2、サラミス級4、ガラン級8からなる追撃部隊が攻撃を仕掛けているようです。先程から悲鳴のような通信を傍受しています」

 

要塞から部隊ごと脱出に成功した戦艦3、デストロイヤー艦8からなるパラディアン皇国ハイス公国侵攻艦隊第10戦隊の副官が司令にそう言った。

 

「そうか。他の友軍には申し訳ないが我が部隊も逃げるのが精一杯だ」

 

副官からの報告を聞き司令が申し訳なさと悲しさを合わせた声を漏らした瞬間、青白い光線が旗艦の左前方を航行していたB型戦艦を串刺しにし、B型戦艦は大爆発を起こしたのだ。

 

「戦艦アリドワ轟沈」

「なんだ、何が起こった!」

 

オペレーターの報告を聞いた司令はそう叫んだ。

回答は直ぐに返ってきた。

 

「艦隊正面に敵艦確認。マゼラン級1、ドイッチュラント級8。識別は地球!正面に地球連邦艦隊です!」

 

部下の悲鳴のような報告が響いた瞬間、今度はデストロイヤー艦2隻が砲撃を受け轟沈した。

 

「なぜ地球艦隊がここに居る…」

 

爆発の光が差し込む中、司令はそう呟いた。

 

 

地球防衛艦隊本国艦隊第48任務部隊旗艦マゼラン級リリー・マルレーン

 

「敵デストロイヤー艦2隻撃沈」

「よくやった。次で仕留めるよ。全艦一斉射、撃て!」

 

艦隊司令のシーマ・ガラハウ少将が手に持っていた扇子を振り下ろしながらそう言うと、第48任務部隊の全艦が一斉に主砲、ミサイルを発射した。

 

この第48任務部隊の一斉射はパラディアン皇国艦隊も捉えていた。

 

「地球艦隊発砲!」

「回避だ!」

 

発砲の報告を受け、副官が回避を命令したが返ってきた言葉は残酷であった。

 

「駄目です!避けきれません!」

 

その言葉を聞いた副官は「そっ、そんな」と呟き、司令は目を閉じた。

次の瞬間、パラディアン皇国艦隊に無数のショックカノンやミサイルが襲い掛かり、パラディアン皇国第14戦隊は全艦が撃沈された。

 

 

第48任務部隊旗艦リリー・マルレーン

 

「敵艦隊全艦撃沈」

 

リリー・マルレーンの艦橋に撃沈報告が入る。

 

「全艦直ちに次の目標に移るよ。ハイス公国によると獲物はよりどりみどりだからねぇ」

 

そう司令のシーマ少将が言うと艦隊は次の獲物を目指した。

 

 

 

こうして脱出できた2割もハイス公国の作戦支援の為に展開していたシーマ・ガラハウ少将率いる地球防衛艦隊本国艦隊第48任務部隊(マゼラン級リリー・マルレーン、ドイッチュラント級ムサイ、ムサック、ファルメル、ニーベルング、グルトップ、ドローミ、ビフレスト、ブレイブ)や追撃に当たったハイス公国追撃艦隊、第48任務部隊と共に敗走艦隊を待ち構えていたハイス公国哨戒艦隊の攻撃を受け手当たり次第に撃沈され、最終的にパラディアン皇国の勢力圏に逃れられたのは全体の約1割であった。

 

この一連の戦いでハイス公国側はマゼラン級戦艦5隻、サラミス級巡洋艦9隻、MS搭載型サラミス級2隻、クラップ級4隻、レパント級17隻、ガラン級21隻が失われたものの、要塞グラド奪還作戦は成功し、パラディアン皇国側の駐留艦隊やハイス公国侵攻部隊を事実上壊滅させたのであった。

 

2205年4月19日、この日、ハイス公国はパラディアン皇国から宇宙要塞グラドを奪還、かつての栄光を取り戻す為の第一歩は成功したのであった。

 

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