転生したらオリジムシだった件   作:みころ(鹿)

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いつになったらオペレーター出せるんだコレとか戦慄しつつ初投稿です。


02 雑誌

 

・・・

 

オリジムシになってから八日目の朝。今日俺は巣穴の近くにあるゴミ山で情報収集をしていた。

 

『うーん…』

 

不法投棄されたゴミ山の中を探していると、時折雑誌などを拾う事がある。

しわくちゃになった雑誌はかなり痛んでいるものの全く読めない訳じゃない。ページを広げた雑誌の上に乗った俺は脱色した記事に目を通す。幸いなことに使用されている言語は英語だ。もしこれが異世界語とかだったりしていたら神様特典ももたない俺には手の出しようが無かっただろうが、ひとまず見慣れた言語でホッとさせられる。ただそもそもの英語力が学生レベルなので一つの記事を読むのにも悪戦苦闘しているのだが、オリジムシ生活において時間は飽きるほどあるので読めないことはなかった。

 

芸能人のスキャンダル記事を読み終えた俺ははぁとつけないため息をつく。期待はしていなかったが三文雑誌では有益な情報が入ってこない。犬人間の顔写真が乗った記事があったので何事かと読み込んでみたら、どうすれば毛並みを良く出来るかについてのコラムだった。要約すると揚げ物は毛並みに良くないらしい。多分この情報は一生使うことが無いだろう。

ちなみにこの雑誌の発刊日は2008年8月31日となっている。なってはいるがそもそもアークナイツ本編が2020年のできごとか俺は知らないし、富士の樹海で昭和のエロ本が発掘されるみたいにこの雑誌もかなり古いものである可能性がある。結局この雑誌から今が何年かは知りようがなかった。

もはや情報収集ではなく暇つぶし感覚で俺はページを捲る。手が無いので触角の先に唾液をつけ、全身を使って捲らなくてはならないのだがこれがなかなか重労働だ。雑誌の端から端を行ったり来たりしてようやく1ページをめくって、次の記事を覗き込んだ。

 

『ん…これは…?』

 

目を止めたのは健康についての見出し。

健康グッズが宣伝されているその端には謎の流行り病についての記事が小さく載せられていた。何でもその病気は感染力がとても高く、また治療法も確立されていないので患者を見かけても絶対に近寄ってはいけないという。

他の感染症という可能性も捨てきれはしないが恐らくこの記事は鉱石病、オリパシーについて書かれたものだろう。

もしこの記事がオリパシーについて書かれた記事なのだとしたら、鉱石病という言葉が使われていないあたりこの記事はまだ病気自体が世の中に認知される直前に書かれたのかもしれない。

そして原作通りに世界が進めば感染者は迫害され、レユニオンというテロ組織が設立する。いや、もう設立しているのかもしれない。だがそれが何だというのだろう。異世界転生のように原作介入できるほど俺は強くなかった。

はぁと身体を萎ませた俺は二冊目の雑誌に移動する。例によって触覚で一ページ目を開くと――巻頭グラビア。

そこでは水着姿のケモミミ美少女が砂浜で扇情的なポーズをとっていた。加えてそのグラビアアイドルさんはとてもおっぱいが大きかった。わなわなとおっぱい至上主義者の策略に震える俺の目に留まったのは「ぽろりもあるよ(要約)」とでかでかと書かれた袋とじの存在。

半ば反射的に触手の先を伸ばすも、どうやらこれを捨てた持ち主は袋とじの中に確認できない危篤状態にあったらしく、袋とじはぴっちりと閉じられていた。

 

『おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』

 

この後しばらく袋とじと格闘した俺は悪戦苦闘の末に勝利を収めた。そして手ブラに包まれた二つの太陽を拝んだ頃には、鉱石病の事などすっぽりと頭から抜け落ちていたのだった。

 

・・・

 

 

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