旧:逸見エリカのヒーロー   作:逃げるレッド五号 5式

20 / 59
悪質宇宙人 ネオレギュラン星人、
憑依宇宙人 ネオサーペント星人、
奇怪獣 ブロブガンQ[ハザード]、登場。


第15夜 【灼熱の炎と神速の拳】

『誘導弾、命中まで…5…4…3……』

 

 

戦闘機、艦艇から全力発射された対空ミサイル群は諸レーダーの管制によって正確にガンQへと誘導されていた。着弾まではもう秒読み段階であり、命中は確実である。

 

ピッ ピッ ピッ ピッ______

 

303航空隊、通称レイザー隊各機のレーダーからは淡々と定常的に誘導弾が目標を追尾中であることを表している電子音が鳴っており、蒼天のパイロットはレーダー上の無数のミサイルの光点とガンQを表す巨大な光点が近づいていくのを睨んでいた。

 

ピッ ピッ ピッ ピッ__

 

『…2…1……!!』

 

 

_今。

寸分の狂いも無く、ガンQに鋼鉄の突槍の束が突き刺さる………と航空隊と護衛隊の全員が思っていた。

 

ピッ…… ピーーーーー____

 

「は!? なんだとっ!!」

 

今まで同じテンポで鳴っていた電子音が、急に間隔を空けずに鳴りっぱなしとなった。エラーである。

さらには、レーダー上からガンQの光点が消え、誘導弾の光点群のみがさらに進み続けていた。

これの示す意味とは__

 

『お、オッドアイの……シグナルロスト……』

 

『全誘導弾、海上に着弾。対象への命中は確認できず。一文字隊長…これは………』

 

『もう対象との接触空域を過ぎました…我々はどうすれば……? いったい奴は何処に……』

 

飛行隊隊長の一文字號は今自分らの前で起こった現象をなんとか把握、理解に努めようとするも、人間の常識が通用しないような現象をすぐに理解しろと言うのも土台無理な話だろう。

 

「あ? この状況、秋津空佐の北九州航空戦のレポートで…………」

 

しかし、彼の頭の中では、自身の同期である秋津二等空佐の率いるトレノ隊と米航空隊が多数の損害を被る原因となった、"アルファ"_メルバによる撃墜を騙った奇襲攻撃が脳裏を過っていた。以前秋津と彼の部下である神から直に話を聞いていた一文字はレーダーロストからの奇襲を疑った。たとえ、自分が目の前の現象を理解できなくとも、それは重要ではない。出来ることをやるのみであると。そう思ってからの一文字の行動は早かった。

 

「全機密集するな、散開しろ! オッドアイによる奇襲を警戒!反応が消えたからと言って気ぃ緩めんじゃねえぞ!!」

 

『対象、目視による確認はできず!下にはいません!』

 

『雲もない。隠れることなど不可能なはずだ。本当に消滅してしまったか……?』

 

『完全にロストです!』

 

他の隊員の言う通り、空域は雲一つ無く澄み切っており、光学迷彩やそれに似たものが無い限りこちらの捕捉からは逃れることなど不可能なはずなのだ。しかし、いつまで経ってもガンQは現れることはなく、奇襲のきの字も見当たらない状況となった。

 

 

 

そこから数分が経ってもガンQの出現を確認できないレイザー隊に対して第3護衛隊の旗艦である護衛艦"あたご"から通信が入る。

 

『こちら"あたご"。我が艦隊の全索敵能力を持ってしても、オッドアイを探知できず。対象は消滅した。繰り返す、対象は消滅した。監視レーダーからもロストを確認されている。…方面隊本部の指令によりこれより当空域は我々、海上自衛隊第3護衛隊が監視を担当することとなった。空自303航、レイザー隊はオッドアイの再出現に備えるべく、小松基地へと一時帰投されたし』

 

「了解した。 レイザー1から小松基地へ、聞いていたと思うがこれより我々は帰投して再度のスクランブルに備えたい。許可を求む」

 

『基地よりレイザー1へ。先ほど、航空総隊より第303航、レイザー隊に帰投の指令が入った。速やかに帰投し、燃料弾薬の補給を受け、再度のオッドアイ出現に備えられたし』

 

「よし。これよりレイザー隊は小松基地に__『待てっ!』__どうしたんだ!?』

 

一文字が帰投命令の復唱をしようとした矢先、基地通信士がそれを遮った。想定外の事態が発生したと思われる。突然のことに思わず一文字は聞き返す。

 

『たった今、入間の警戒管制団が山梨県、南アルプス市上空に"(デン)"の発生を探知!……オッドアイの出現を確認した!! 現在東部方面、北富士の第77特殊戦車大隊が急行中。また、百里の対特生C兵装の"F-2"がスクランブル発進を行っている。オッドアイ再出現区域である山梨の管轄はあくまでも東部方面隊だが、事態は一刻を争う。よって補給は中止、そのままレイザー隊もオッドアイ攻撃の為に山梨県へ向かえ。先の迎撃によって通常装備のみとなっているが、囮となって当区域の市民避難の時間を稼いでもらいたい。周辺の機甲部隊が到着、もしくは特科の配備が完了するまで耐えてくれ』

 

「へっ、上等だぜ! あ…う"う"んっ!…了解した。これよりレイザー隊は山梨へ向かう!オメェら、ついて来い!!」

 

『『『了解!!』』』

 

 

『隊長、また口調戻ってきてますよ?』

 

「うるせえ!ホントはな、堅苦しいのは大嫌いなんだよ俺は!!」

 

『秋津二等空佐と互角に渡り合えるほどの"スーパードッグファイター"でありながら……性格に難ありですよ、ホントに』

 

『隊長、貴方はレイザー隊の誇りなんです。もっと自覚を持ってください』

 

「とにかく!ゴタゴタ言ってねえで目玉野郎をぶっ潰しに行くぞ!! 百里の坊ちゃんたちが間に合わねえなら俺たちだけでやる!」

 

レイザー隊は山梨上空に出現したガンQ迎撃に向かうのだった。

 

 

_________

 

日本国 山梨県 南アルプス市街地

 

 

ガンQが出現した南アルプス市の一般道路は片道丸々が山梨県警により交通規制がなされ、県警による誘導に従う一般車や人で車道、歩道がごった返しているのを横目にそこを通過しているのは北富士駐屯地から出動した、陸上自衛隊第1師団隷下の第77特殊戦車大隊である。

 

特殊戦車大隊、それは陸上自衛隊並びに特生自衛隊に配置されつつある、新兵器_"メーサー"を搭載した車両群を運用しており、特殊生物や異星人に対応することを前提とした数少ない特別な機甲部隊である。

この他にも、陸上自衛隊には特殊特科や特殊高射隊と言った対特殊生物戦闘部隊が小規模ながら誕生しているが、それらは特生自衛隊の編成が軌道に乗り次第、順次特生自衛隊隷下の部隊として編入される予定だ。

 

77特殊戦車大隊は、各メーカーの製造工場にて目下生産中である"20式メーサー戦車"や、"12式自走電磁砲"・"10式戦車改"などの主力戦車を中核とした機甲部隊であり、そしてその新鋭部隊を率いるのは、若くして三等陸佐にまで上り詰めた青年、枢木朱雀である。

 

「敵は、全く未知の存在……実弾が効かない相手とは…。だがここで止めなければならないんだ。頼むぞ…20式、お前に掛かってる……」

 

『枢木三佐、間もなく市立演習場駐車場ゲートに到達します!現在、オッドアイは演習場上空で停滞、動きはありません』

 

山の麓にある演習場は見晴らしがよく、ここからでも演習場上空に浮遊している異形、ガンQを枢木たちは確認できていた。しかしそれは市民も同じであり、改めて枢木が後ろを見るとガンQの強烈な見た目からか、演習場より比較的距離があるにも関わらず、対向車線には首都圏方面へと避難しようとする自家用車で溢れかえっている。それはかえって首都圏に混乱を発生させるものだろうにと部下からの報告を聞きながら枢木はその光景を見流す。

 

「了解した。演習場では戦車道の試合があったな。恐らく避難は全くと言っていいほど進んでないだろう。我々は市民の盾となり、奴を食い止める。向こうに動きがないのならば、その間に片付けるまで!」

 

ズズズゥウウウウーーーン……‼︎‼︎

 

しかし、演習場上空にいたガンQは突如、球状の飛行形態から、歩行形態に変体して地上にゆっくりと着地した。そしてまた動かなくなる。ガンQの足元では何が起こっているのかは枢木たちには偵察部隊からの報告を聞かない限り分からない。

 

『オッドアイ、地上に着地!』

 

『あ!"OH-1"がオッドアイの周囲に複数人の学生と審判団を確認したとのことです!!』

 

「なんだと!近すぎる、まだ場内にいるのか!? 会場内からの避難は出来ていると今しがた聞いたが…!」

 

 

第77特殊戦車大隊は警備員が逃げ出し、無人となった演習場に続くバーゲートを引き倒して場内突入した。上空ではジェットエンジンの轟音が鳴り響いており、どこの所属かは分からないものの空自の航空部隊も間もなく到着することが予想できた。

 

「早いな…百里の機体か?」

 

「いえ………あ、これだと思います。なんでも日本海にてオッドアイ迎撃に赴いていた第303航空隊がそのままこちらへと向かっているとのことです」

 

「303航……ああ、號さんの部隊か。なるほど、あの人ならすぐに来るのも納得だ。空自の中で彼ほど秋津二等空佐と同じくらい頼もしい人はいない」

 

「後続の第4、第5小隊のヒトマルは避難所となっている戦車道展望館に回すということでよろしいですか?」

 

「そうだ。それ以外は自分に続け。メーサーを前面に出し、レールガンはそれをバックアップしろ。広域に展開し二列横隊で最大火力を浴びせる。その他のヒトマルは長距離砲撃で我々を支援。隙を見てオッドアイ周辺の民間人救助を行う。メーサーは射程が短い、近距離戦には嫌でもなる。いいか絶対に民間人には当てるな、気を引き締めろ!」

 

「間もなく演習場内に入ります!オッドアイ、前方約1500の地点に確認!!」

 

操縦手からの報告を聞くと、枢木は無線機を握ったままキューポラから顔を出し、はるか前方に何かを待つように直立しているガンQを睨みつけていた。第77特殊戦車大隊は目視でガンQを確認できる距離まで迫っていた。偵察ヘリ"OH-1"からの報告を受け、彼らは作戦行動に入る。

 

 

____

 

市立演習場内部 

 

 

ハジメは観戦会場のゲートから侵入者用のバリケードを飛び越えて演習場内へと入ると、一目散にエリカたちがいる方向_ガンQが立っている場所へと走っていた。

 

「なんでいきなり出てくるんだよ!! さっきまでは日本海にいたってのは嘘だったのか!?」

 

ハジメとエリカたちがいるであろう所まではかなりの距離がある。実際彼の視点からだと、エリカたちは小粒ほどにしか見えないのだ。それほどの距離を全速力で走って向かうのは、日頃から体を鍛えているハジメでもキツいだろう。このままではエリカたちの元へ駆けつける前にガンQがいつか動き出すかもしれない、そう思ったハジメは走りながらアルファカプセルを取り出したのだった。

 

「エリさんから、離れろおおおおお!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう………私、意識が………あの目玉は…もういないわね…。隊長、起きてください!隊長! 嘘、私以外、みんな気を失ってるの?」

 

ボォッボォッボオオッ!!

 

「!! なんで怪獣がここに!?」

 

エリカは自身の置かれている状況が全く分からなかった。それは無理もない、地面から不気味な目玉が浮き出たかと思うと、意識を失い、目が覚めたら目の前に巨大な怪獣が立っていたからだ。

 

「あああ………遂に来てしまいましたのね…」

 

エリカの背後から声が聞こえてきた。振り向くとそこにはエクレールが虚ろな目をして立っていたのだ。

 

「アンタ、意識が戻ってたの!? ていうかどういうこと!来てしまったって、アンタこいつのこと何か知ってるの!?」

 

「最近、夢の中で私に語りかけてきていた存在…ですわ…もう私は、私は……」

 

エクレールはエリカの問いに答えるが、視線はガンQへと向いておりエリカには見向きもしてなかった。そしてガンQはエクレールとエリカの前に胴体から触手を伸ばして近づけてくる。さらにガンQは二人の脳内に語りかけてきた。

 

人間ヨ……融合セヨ…融合セヨ……我ラハ全テウケイレル………

 

 

「なんなの、なんなのよこの気色悪い目玉は!頭に声が!」

 

此奴の名は、奇獣……生物であり生物ではない、不条理の塊の虚像……ウルトラマン抹殺を目指す者……

 

「アンタは…あの時の、ハジメが言ってた黒紫……! 何者よ、アンタは!この目玉もアンタの仲間なの!?」

 

フッ…恐れるがいい、人間よ。我らは影法師……全ての並行世界を絶望で満たす者。……もう人間も、ウルトラマンも奇獣には勝てぬ。そこの人間と共に貴様も奇獣の最後の慈悲にあやかって融合するがいい…!

 

「待ちなさい!!」

 

お前も…なかなか良い負の感情を持っている。だが、今はもう少し待つとしよう……フフフフ!

 

「っ!………なんなのよ…」

 

しかし影法師と名乗った怪しげな老人はなんと空へと飛び、徐々に透明になっていき消えてしまった。そしてガンQは伸ばした触手を一対に分け、エリカとエクレールの前に突き出す。その触手には鋭利な金属の破片や、肉または骨のような物が絡みついており、所々から石油のような黒くドロドロとした粘り気のある液体が小さい鉄パイプに似た管から垂れ流されていて、エリカはそんな触手を触ろうとする気にはなれなかった。が、横を見てみるとエクレールはゆっくりとその触手へと手を伸ばしていた。それを見てガンQは笑っている。

 

「ダメよ!それに触れたら、多分アンタは戻れなくなるわ!」

 

「いいんです。もう、どうでも…いいんです…」

 

「ダメっ!!…………え?」

 

エリカの説得も虚しく、エクレールは更に手を伸ばしていく。その時、ガンQの触手が後ろに下がったことにより、エクレールはガンQと接触することはなかった。その妙な動きに気づいたエリカは本体のガンQへと目を向けると、そこにはガンQの後ろから羽交い締めをしているウルトラマンナハトの姿があった。エリカたちからガンQを遠ざけようとナハトはエリカたちがいる場所とは反対方向にガンQを投げ飛ばす。

 

《エリさんたちには、指一本触れさせるか!!》

 

シュアッ!!!

 

ボォオオッ!?

 

 

 

「ウルトラマン…ナハト、来てくれたのね」

 

「ウルトラ…マン……なんで、なんで私の邪魔をするのですか?…私はもうこの世には存在してはいけない人間なのに、もういらない人間なのに…!!」

 

エリカとエクレールの反応は真逆であった。エクレールは世の中の全ての苦しみから解放してくれるであろう存在のガンQとの融合を止められたのだ。怒りは相当なものだろう。しかし、そんなエクレールの言葉にエリカは怒った。そして勢いに任せてエクレールへ平手打ちまでしてしまう。

 

パァン!

 

辺りには嫌なほど綺麗に平手打ちの音は響いた。打たれたエクレールも呆然としていた。

 

「アンタ何言ってんの!! いい?この世に存在しちゃいけない人間なんて存在しないのよ!! アンタだって絶対に誰かに必要とされてるはずよ!そこで寝てるメガネの子たち、アンタの仲間はアンタのことを必要としてるはずなの!…違う?違わないでしょ! ここでアンタがいなくなったら、この子たちはどうなると思ってるの!!」

 

「私が必要…?」

 

「ええそうよ!アンタのことを必要としてるのは、あんな目玉の怪物じゃない…アンタと一緒に、汗水垂らして頑張ってきただろうチームメイトでしょ!仲間でしょ!友達でしょ!! マジノの改革を成したアンタが、心が弱いはずなんかない!あんな目玉に負けんじゃないわよ!!」

 

「チームメイト…友達…!! ………そうでしたわ…私は、なぜこんなことを………私はまだみんなと戦車道を楽しみたい…!生きたいです!!」

 

「そう、それでいいの! アンタたちは、私たちが出来なかったことをしたんだから!!」

 

 

エリカの言葉によりエクレールは完全に立ち直った。しかし、もう一方のナハトとガンQの戦闘は、雲行きが怪しくなりつつあった。

 

 

シュッ…ジュワッ!

 

《エリさんと、マジノの隊長以外はみんな倒れて動けない…避難は無理か……守りながら戦うしかない!》

 

ボォッボォッボオオッ!!キュキュキュキュ!!

 

ガンQがナハトの背後にいるエクレールたちの方へと執拗に触手を何本も伸ばすため、それをナハトは手刀で切断しつつ、さらにエリカたちから遠ざけるために連続で蹴りをお見舞いするが、ガンQは両腕を鞭のように操ってナハトを吹き飛ばす。そこに火炎弾と怪光線を放って苦しめる。

 

グゥウ……

 

《くっ!なんだコイツ…パワーが違いすぎる!! こうなりゃガッツになるしか…!》

 

だがナハトにスタイルチェンジを行わせる隙をガンQは与えることはなく、さらに追い討ちを掛けていく。

ここでさらに事は悪い方向へと進んでいく。演習場上空に新たなワームホールが現れたのだ。そしてその上には影法師が浮遊していた。

 

フハハハッ!奇獣よ、宇宙より来たる恐怖と融合し、完全なる存在へと成るのだ!!

 

 

ズズゥウウン…!

 

ピギィイイイイイイイイ!!!!

 

ワームホールからは北米ノーフォークにて猛威を奮っていたペドレオン完全体が出現し、雄叫びとも奇声とも取れない鳴き声を上げるなり、ガンQとの戦闘で防戦一方で動けないナハトの側面から体当たりを喰らわせた。不意打ちを受けたナハトは受け身も取れずに吹き飛ばされる。

 

グアアッ!

 

ピギィイイイイ!!

 

《コイツも影法師が呼び出した怪獣か!? この状況で2対1はマズイ気がするぞ……》

 

『ナハト…マッサツ……ウルトラマンナハト…マッサツ…マッサツ…マッサツ…』

 

《…目玉の方は言葉が分かってるのか?どんだけ俺を殺したいんだよ!!》

 

ガシッ!!

 

ピギィイイイイイイイイ!?!?

 

『マッサツ……チカラ…ホッス………融合。マッサツ。融合。マッサツ。融合。マッサツ。融合___』

 

 

《なにっ!!》

 

ガンQはナハト抹殺と融合を呪文のように繰り返し唱えながら、なんとペドレオンを両腕で捕まえ締め始めた。ペドレオンはもがいてどうにか拘束を振り解こうとしているが、離脱も分裂も出来なかった。なぜなら巻き付いている触手群がペドレオンに食い込み、既に融合を始めているためだった。そしてペドレオンは大した抵抗も出来ずガンQに飲み込まれた。ガンQは頭部にあたる巨眼だけでなく体全体で取り込む。ナハトはその光景を前に固まってしまった。

 

《ナメクジを食った…のか? こいつらは仲間じゃ、ない?》

 

 

ペドレオンを取り込んだガンQは大きく身体全体が脈打ち、体色がゆっくりと赤褐色から黒色へと変化していき、一回り巨大化。皮膚表面にはさらに目玉やミサイル、砲弾の残骸、人間の顔、ゲル状の爛れた塊などが浮き出てきていた。

 

 

《なんて姿だ……コイツ、どれだけのものを取り込んだんだ?…これ以上野放しにしたら、もっと多くの人たちが!》

 

 

ガンキュウ………ボォオッボォオッオオオオ!!

 

 

あまりのガンQの変容にナハトは驚愕する。そんなことをペドレオンを吸収し進化したガンQ_ブロブガンQは構わず、エクレールたちの元へと向かうために、立ちはだかるナハトへと迫る。しかし突如ガンQは胴体側面に何本もの青白い電撃を受け、足を止める。それは自衛隊からの攻撃であった。電撃を受けた箇所は高温化し赤く光っていた。それでもガンQの胴体部被弾箇所は急速に修復されて元に戻り難なくまた歩き出した。

 

 

____

 

 

 

「恐るべき再生能力だ。生半可な攻撃では足止めにすらならないか……、オッドアイは無機物有機物関係無く、取り込んだ物はすべて自身の養分に変えるということなのか?」

 

「枢木隊長、百里のバイパー( F-2)2個飛行小隊がレイザー隊のカバーを受けて低高度からのJDAMによる爆撃を敢行するとのことです!」

 

「よし。我々も、爆撃に合わせてオッドアイ頭部の眼球部分へ一斉射を行う! 各車、フォーメーションをEからBへ!ウルトラマンの光線照射のタイミングを作り出す!釘付けにするんだ!」

 

ここで後続車から緊急連絡が入る。

 

『ッ! 報告!4時の方向、新たに赤色の"(デン)"を目視で確認!!数は2!!』

 

「なんだと!!さらなる増援か!? レーダーサイトからは報告がきていないのに…これは挟撃されるか…?」

 

枢木も赤色ワームホールが形成されている方向を見ると、確かにそこには二つのワームホールが綺麗に並んで浮遊していた。そしてワームホールからは形状の異なる2体の巨大な人型存在が地上に現れた。

 

『特殊生物……いや、コイツらは、新種のエイリアン!!』

 

『陣地転換を行う!援護頼む!!』

 

『今度は宇宙人だなんて! ヒトマル9より各車後退!枢木隊長と合流するぞ!』

 

「くそ!通信、方面隊司令部へ2体の新たな異星人と遭遇したと送れ!! 十中八九、これらは敵だ!」

 

『レイザー隊の支援を受けて百里のF-2がオッドアイへ爆撃を開始します!!』

 

 

枢木ら第77特殊戦車大隊の直上を通過し、ガンQにバルカン砲を放って牽制しつつF-2爆撃隊は次々とJDAMを投下して離脱していく。誘導装置に従って爆弾はガンQへと吸い込まれるように降下していく。

 

ゴォオオオオオ!!

 

ヒュウウウウウウウウ_ヒュウウウウウウウ_ヒュウウウウウウウウ!!

 

 

グチュッ! グチャッ!!

 

ガンキュウゥゥウウ……!!

 

 

だがやはりJDAMも例外ではなかったようで、ガンQはそれらを巨大な眼球部分で全て取り込んでしまう。吸収を終えるとガンQはナハトへの攻撃を再開した。枢木たちの部隊が一斉射を行ったが動きを止める様子はなく、ガンQが両腕の触手を鞭のようにしならせてナハトをアウトレンジから攻めたてる。

 

グゥッ……クッ!

 

《コイツとも戦わないとダメだけど、向こうに別のヤツが来たな……何者なんだ…っ、しまった!!》

 

ボォオッボォオッオォ〜!!

 

ガンQはナハトが新たに現れた存在に意識を向けていた時の僅かな隙を突いて捕らえ、ナハトの首を締め上げて持ち上げていきナハトの足は地面から離れる。

 

《くそっ!この野郎!! 行かせるか……これで、どうだっ!!》

 

シュアッ!!

 

ガンQがナハトを締め上げながらエクレールたちの方へ歩き出したので、ナハトは蹴りを何度も何度も入れるがまったく手応えがない。それならばと両腕を十字に組み、ガンQへ向けて必殺光線であるスペシウム光線をゼロ距離で放った。

 

 

 

 

「ウルトラマン、光線照射!!」

 

「これならば…………な、ウルトラマンの光線さえも呑み込むのか……!」

 

「胸部ランプの点滅を確認!以前の報告の通り、ウルトラマンは弱っているように見受けられます! このままでは…!」

 

スペシウム光線さえガンQは吸収してしまっていた。ナハトは窮地に陥っている中、スペシウムを発射したことによりエネルギーを大量に消費。ライフゲージが青から赤へと点灯し、点滅を始めた。

 

『オッドアイの侵攻方向に生存者多数!!やはり標的は生存者であるようです!!』

 

「我々が向か…っ!停車!!」

 

ヒュウンッ!

 

ズドォン!!

 

 

何かに気づいた枢木が停車するように叫ぶと、搭乗車輌である20式メーサー戦車の鼻先を淡青色の光弾がちょうど掠っていき、はるか後方に着弾して爆発した。淡青光弾を放ったのは、異星人の片割れ、鎧甲冑のような姿をした存在、ネオサーペント星人であった。続けて頭部が三角形で体表が紫色の異星人、ネオレギュラン星人も手から雷撃を放とうとしている。

 

『ほう…今の一撃を避けるか。なかなか勘がいいではないか。しかし、それだけでは勝てん!! 聞けッ地球人類よ!我々は星間同盟、地球制圧の先発隊だ! これより、ニホンエリアを星間同盟の直轄区として接収するッ!!』

 

『ちょこまかと目障りだ、消えろ地球軍の虫ケラども!! 貴様らなど、ゴミ同然!所詮は我々のために働かなければならない駒の一部!!優良種化も成し得ない低レベルな種族が、我々に楯突くな!! こちらの目標はウルトラマンナハトのみ、邪魔をするな!』

 

 

 

「戦う相手が増えたか…しかもまともに話が出来そうのない相手だ……各車散開!光弾に注意しつつ、走行間射撃で撹乱しろ!!ウルトラマン、生存者の元へは行かせないぞ! 第1師団本隊が到着するまでなんとしても持ち堪えるんだ!! オッドアイの侵攻遅延は空自に任せる!!」

 

『『『了解!!』』』

 

 

_________

 

西ヨーロッパ ドイツ連邦共和国 ベルリン

 

 

ベルリン市街地の河川沿いに位置する廃工場前には、連邦陸軍の"グレイブ装甲歩兵戦闘車"、"ディンゴ装甲車"が数輌停まっており、工場正面シャッター前には連邦陸軍の兵士が待機している。その光景からは、彼らが今まさに工場の内部へと突入しようとする直前であることがわかる。

 

 

「ここがヤツらのアジトだな…歩兵隊、突入準備!」

 

「万一に備えて機甲師団のレオパルトやブラッカーを支援として呼びますか?」

 

「いやいい。市街地を戦車で派手にかましてみろ、左派の市民連中が黙ってないぞ。……ニホン、合衆国、アラブやアフリカ、インドの連中はそれぞれ自国で撃破した異星人のドローンや機動兵器の残骸、若しくはギャオスやクモンガにカマキラスといった特殊生物のサンプルを回収し研究に回していると聞く。早急に我がドイツに巣食う化け物を叩いて我が国もそれに加わりたいが、不手際で世論が騒いで市民が暴動やらテロやらを起こしでもしたら何も出来ん」

 

「そうですが…巨大にならないという保証はどこにもありません。確かに見た目は肉の塊でありましょうが、仮に異星人ならば以前ニホンに出現したセミ顔の異星人が巨大化した例もあります。対応の準備はしておかなければ…」

 

「それでも、だ。機甲部隊を市街地に向かわせるわけにはいかない」

 

なぜドイツ軍が市街地の廃工場に集結し、包囲しているのか。

それは最近ベルリン市内で、奇怪な動く肉塊を見たという通報が市の連邦警察に相次ぎ、捜索を行ったところ、それらの存在を警察が確認。目撃の多かった夜間にEUの中でもトップクラスの対テロ特殊部隊である"GSG-9"やドイツ版SWATチームにあたる"特別出動コマンド"による巡回、駆除が行われたが、怪生物_ディーンツは反撃として有機生命体をシミへと変えてしまう溶解液を同部隊に対して放ち、犠牲者が多数発生。これにより警察力による対応は限界であるとし連邦警察は調査によって判明したディーンツの情報をすべて連邦軍に共有し、ディーンツ駆除の任を連邦陸軍に引き継がせたと言うのがここまでのドイツでの動きである。

 

「お隣のフランスもカイロポット駆除を開始したことだ、我々も遅れは取れないな。競争というわけではないが、ヨーロッパに早く平穏が戻るように尽力し、早期に事態を集結させたいという思いもある」

 

「知人から聞いたことなんですが、ベルギーでも最近特殊生物の目撃が多発しているらしいです。被害者の死体は胴体が離れたもの、上からザックリいってるものが多く、人斬りの怪物が出ているとして都市部では地方へ行くなとか言われているらしいです」

 

「なに?ベルギーだと?情報はまだ上がっていない……あの王国め、特殊生物のサンプルを独占しようと欲をかいているな…。 隣国二つも似たような問題を抱えている…もしかしたら、この世界には安全な場所などとうにないのかもしれんな」

 

「そんなこと言わないでくださいよ…」

 

「む、そろそろだな。よし第1分隊は正面、第2第3分隊は左右側面の搬入口からスモーク投入後即座に突入しろ! 作戦開始!!」

 

 

『了解。これより作戦を開始する。』

 

『C4……起爆!!』カチッ

 

ドカァアーン!!!

 

現場指揮官の作戦開始の言葉を皮切りに、突入部隊はそれぞれの役割を全うすべく、動き出した。正面担当の分隊がブリーチング・チャージによる突入を行なうため、派手に入り口のシャッター吹き飛ばして突入。そして相手をさらに混乱させるべく、側面からの突入班がスモークグレネードを投げ入れる。それを確認すると彼らもサーマルゴーグルを起動させて工場内へと突入しようとした。

 

『突入する!』

 

『カバーしてくれ!!』

 

 

アアアアァアァァア!!!!

 

ドォオオオオン!!

 

『『『うわあああっ!?』』』

 

「「!?」」

 

しかし、突入部隊は工場へと入るどころか、逆に何かによって屋外へと吹き飛ばされてしまい、内部への侵入は出来ずに振り出しに戻る。吹き飛ばされてしまった分隊員たちも、それを見ていた指揮官らも何が起こったのか分からなかった。

 

『うぐっ…な、なにが……』

 

『装備には…異常なし。』

 

『凄まじい風圧だったぞ…』

 

『負傷者はいないな!ほら、早く立て!』

 

 

「いったい…今のは……あっ!隊長、工場の屋根が破れていきます!!」

 

「なんだ………こんなにデカくなってるなんて、聞いておらんぞ……。突入班は工場周辺から退避しろ!倒壊に巻き込まれる!!」

 

歩兵部隊がなんとか工場から離れたのと同時に工場を突き破って巨大なディーンツ、いやそれらの母体であるマザーディーンツが姿を現した。女性のような嬌声を上げながら辺りを踏みつけ、その度に振動で地面が揺れる。そこから数分遅れてベルリン市内のスピーカーは緊急避難警報を発令しだす。

 

「各車応戦!歩兵部隊は下がれえ!! 最悪の予想が現実に、か……。すまん、機甲部隊を呼んでくれ…」

 

「了解しました…………ん?なんだ………これは…た、隊長!」

 

「どうした!」

 

「報告します!先ほどフランスパリに大型のカイロポット、例のベルギーに新種の二足歩行型特殊生物が出現ッ!多数の小型種を引き連れて東進を開始!! 既にベルギーの新種は我が国の国境線を突破し、ここ、ベルリンに向けて進撃中です!ヤツらは進路上のあらゆるものを破壊しながら移動しています!!

フランスのカイロポットは駆除部隊を壊滅させ恐るべき移動速度でフランス東部森林地帯へ移動。これをフランスを主力としたヨーロッパ連合空軍爆撃隊が大規模空爆を実施しましたが、カイロポット大型二足歩行種並びに中型ワーム種数体はこれを突破。ベルギー西部国境地帯に差し掛かろうとしています!カイロポットに対してベルギー王立陸軍が先の新種特殊生物戦に動員させた残存兵力を集結させて国境付近に防衛線を構築し水際で防ぐとのことですが、間に合うとは…。 !!、大型目標、移動を開始!ベルリン中央市街地に向かっています!!」

 

「あの肉塊め、こちらを無視するか…!何をしている、なんとしても止めるんだ!! 対戦車班、"TOW(対戦車ミサイル)"を使え!!」

 

「よろしいのですか!?対象の後ろには市街地が!!」

 

「こうなってしまったらもう構わん!!ここでミサイルを撃つのをこのまま躊躇っていれば、奴になんの有効打も与えられぬまま市街地への侵入を許す事になるぞ!! 東部でも戦端は開いているっ!例え歩兵戦力のみであってもここを現在守れるのは我々だけなのだ!!それにどの道機甲部隊も戦闘に加わる! 構わず撃てッ!!死ぬ気で当てろよ!!」

 

バシュウン! ババッシュウウウン!!

 

標準をマザーディーンツに合わせて対戦車部隊は"BGM-71 TOW"対戦車ミサイルを一斉に発射した。それらは真っ直ぐに対象へと向かっていき、着弾。爆発を起こす。マザーディーンツはこれにより大きく体勢を崩して転倒した。しかし、追撃に入るために近づいた歩兵部隊に対して身体中から溶解液を噴射して寄せ付けない。

 

「AFVで前面を固めろ!溶解液は有機物にしか効果は無い!!歩兵は下がらせるんだ!!」

 

「現在ポーランド軍、ロシア連邦欧州方面軍で編成された連合陸軍が増援として急行中!」

 

「ヨーロッパ連合陸軍は間に合うまい……最悪、我が国の陸軍機甲部隊さえ到着すればどうにかなる!!攻撃を継続しろ!ヤツを立ち上がらせるな!!」

 

 

 

 

 

 

 

欧州は突如同時に出現した大型特殊生物群への対応に追われるのだった。このように陸の上が騒がしくなっているなか、人知れず"黒き龍"が北大西洋海中を泳いで欧州へと向かっていた。彼もまた、自身の生存を脅かすであろう存在と戦うためだ。人類と共に。そして同時刻、太平洋西部、日本国領である小笠原諸島沖から、発光体が飛翔。大気圏外まで上昇したのち、これも欧州へと上空に降下していくのを各国の偵察衛星が確認した。

 

 

_____欧州の混沌を制する地は、ベルリンである。

 

 

 

_________

 

 

日本国 山梨県

 

 

演習場では模擬戦などではなく、巨大な存在同士の本物の激しい戦闘が繰り広げられている。その中でも自衛隊は奮戦していたが、やはり巨大な異星人や怪獣に対しての戦力が十分ではないようで押され気味だった。ウルトラマンが不利な状態であるはいえ、ガンQを相手にしてくれてはいるが、2体の異星人を相手にすることは自衛隊にとってはかなり厳しいらしい。実際未確認異星人に対してのメーサーは高知のエイダシク星人と同様に有効であったが、足の遅い20式メーサー戦車数輌、10式や12式なども光弾の餌食となり、その数を減らしていた。

 

 

『地上部隊が……!』

 

「畜生……早く目玉野郎を潰してあのエイリアンどもを叩きに行きてえが、目玉野郎め…意外に頭が回るのかよ! んなら、こうさせてもらうぜ!!」

 

空から地上の戦況を見ていた一文字はガンQを倒せず、枢木の地上部隊の援護に回れないことで歯痒さを覚えていた。一文字が言っていたのはガンQの行動であった。ガンQは今もナハトを拘束して首を絞めており、一文字のライザー隊やF-2爆撃隊が空中から攻撃しようとすると、ガンQは攻撃のタイミングを予測して拘束しているナハトを動かして自身の盾とするため、迂闊に攻撃が出来ないのだ。

ガンQはそれを馬鹿にするかのように大地を揺らしながら軽やかにスキップしてエクレールたちの場所まで向かっている。そこで一文字は部隊の隊列からいきなり外れ、ガンQではなくサーペント星人とレギュラン星人に苦戦している枢木の77特殊戦車大隊の援護に単騎で向かう。

 

『一文字隊長!? どうしたんですか!!」

 

「オッドアイのマークはお前らでやれ! 俺はあのエイリアンどもの相手をしてくるからよ!!指揮は中谷、お前に一任する」

 

『それは………』

 

「俺ァ気に入らねえんだ。あんな、他の奴らのことを知りもしねえで馬鹿にしてくるヤツがよぉ、気に入らねえ…そしてそんな野郎に俺の仲間が殺されんのは、もっと気に入らねえ!!」

 

通信による会話越しでも一文字の気迫と決意を感じ取ったのか、航空隊の指揮を一時的に任された部下はため息を一つ吐く。こうなったら、彼を止める事などできない事は隊内すべての者が知っていた。

 

『……分かりました。任せてください。無茶はほどほどにお願いしますよ!』

 

「おう!任せたぜ!!」

 

 

信頼している仲間に隊を託した一文字は、自分の機体と距離が近かったレギュラン星人を狙いに定め、真っ直ぐに正面から向かっていく。当然レギュラン星人もそれに気づき、一文字の蒼天を撃ち落とそうと両腕に電撃を形成して次々と繰り出す。

 

『ハッ!痺れを切らして特攻ときたか! 大人しく自分らと同じ下等生命体の相手をしてれば良かったものを!!』

 

「うるせえうるせぇ、エイリアンってのは空にまで響くぐらいの馬鹿でかい声でしか喋れねぇってのか?ヘルメット越しでも耳が痛えぜ。 少し黙ってろや!」

 

レギュラン星人の放つ赤色の電撃が一文字の蒼天を襲うが、それを紙一重ですべて回避し、地を這っているのと見間違うほどの低空飛行でレギュラン星人に迫り、ウェポンベイを展開し"04式空対空誘導弾"を発射。無誘導で発射された2本の誘導弾は、それは一文字の天性の感によるものなのか、吸い込まれるようにレギュラン星人の頭部に命中する。

 

『ぐああっ!? ふ、ふざけるなよ下等種族があああ!!蹴り飛ばしてやる!!』

 

これに怒ったレギュラン星人は正面足元の低空から仕掛けようと上昇してくるであろう一文字の蒼天に対して蹴りを入れてやろうとするが、その予想は外れた。全力の蹴りはいとも簡単に避けられ、蒼天に股の下を潜り抜けられてしまった。そしてそのまま空振りしてしまった反動で滑稽にも転ぶことになる。

 

『レギュラン、何をしている! たった一機の、それも旧世界レベルの戦闘機に何を手こずる必要がある!!』

 

『おのれええええ!!!! 許さん、許さんぞおおおお!!!!』

 

 

「へへっ!誰も許してくれなんて頼んでねえっての!! うおっとぉ!?やべっ!」

 

怒りに駆られたレギュラン星人は、離脱しようとした一文字の蒼天に対し、執拗に雷撃を浴びせてきたのだ。

 

『隊長!!』

 

『隊長がやられた!!』

 

『狼狽えるな!まだ戦闘は続いているぞ!』

 

『しかし一文字隊長が!』

 

 

 

 

 

 

完全に堪忍袋の尾が切れたであろうレギュラン星人が放った広範囲への赤色電撃が、一文字の蒼天に命中した。

電撃によるダメージで機体の電子機器がダウンし、制御不能となり蒼天は地上に墜落した。機体はバラバラに分解してしまったが辛うじて胴体部分は分解することなく無事であり爆発もしなかった。しかし、機体が無事でも内部の人間が無事である保証などどこにもないのだ。

 

 

「いつつ…いってえ………ああー。堕とされちまったなぁ……」

 

『一文字隊長!? 無事ですか!!」

 

「あー、少し首周りが痛えが大丈夫だ。いっつ…こちらレイザー1、一文字だ。俺のことは気にすんなよ、俺はまだくたばってねえからな!!」

 

___が、彼は並の人間よりも遥かに頑丈であった。一文字は機体が湾曲して開閉しなくなったハッチを自慢の馬鹿力で修正、自力で脱出していた。正に『○○馬鹿』を体現したかのような人間である。しかし、いくら頑丈な肉体を持っていてもそれは所詮人間の肉体であり、必ず限界というものは存在する。

脱出した一文字はこのままだと自分のことをかなり恨んでいるだろうレギュラン星人に見つかったら殺されるのではと思い、脱出したはいいがここからはどう退避したらいいかと呑気に考えていた。

 

「んー……走って戦闘区域から退散するか?」

 

だがそこに一輌の20式メーサー戦車が土埃を舞い上げながら一文字の前に停車した。砲塔上部のキューポラが開いたかと思うと、そこからは一文字の見知った顔が出てきた。

 

「やっぱりあの無茶な飛び方は號さんでしたか! 早く乗ってください!!號さんなら生きてると思ったので、来てみて正解でした!!」

 

「おいやっぱりとはなんだ枢木!! まあ、救助感謝するぜ。俺はどこに乗ればいいんだ?」

 

「このまま車体に掴まっててください!」

 

「はあ!?てめえ、俺に死ねってかこのヤロー!」

 

「騒いでると舌噛みますよ、冗談ですから早く後ろに! ……よし。パイロットの救助を完了した。出してくれ!!」

 

『了解!』

 

「まだこっちが不利なのは変わりない…あそこにいる彼女たちを助けたいが、近づく前にオッドアイか異星人に対応される…」

 

「目玉野郎はウルトラマンを盾にしやがってる。だからまずはあのエイリアンどもを叩いた方が良いとは思うが、目玉野郎が向かってるのはそのガキどものとこだからなぁ……」

 

「くそっ!!」

 

「……あっ!あのエイリアンどもが目玉野郎とウルトラマンの方に行きやがった!!」

 

 

 

 

 

 

シュ…シュアッ……グッ……

 

《そろそろ……やばい………もうエリさんたちのところまで…来ちゃったか………二人だけでも、逃げてくれ…》

 

ガンQに拘束され思うように力を出せないナハトの背後から新たな敵がやってくる。

 

『ハハハハハ!下等生命体相手に無様だなウルトラマン!!』

 

『ようやく貴様を殺せる…!覚悟しろ、ウルトラマンナハト!』

 

《お、お前たちは……》

 

『我々は、星間同盟!全宇宙平定を目指す崇高なる存在!!………今から死ぬ者に教えても、意味がないとは思うがな』

 

『そして我々が新たなる種族、"ネオスペーシーズ"である!我らはすでにネオへの変貌を遂げた優良種!貴様に負ける要素などない!そこの下等生命体と足下のガキ諸共死ねっ! ……チッ!空のゴミが、邪魔をするな!!』

 

 

真上を飛んでいるレイザー、F-2両隊もナハトと生存者を助けられない状況に焦り、苛立っていた。

 

『中谷!アイツら、オッドアイごとウルトラマンと生存者を!!』

 

『こちらから仕掛けようにも片方のエイリアンがマークしている!妨害する前に全滅するのがオチだ!!』

 

『一文字隊長がまだいてくれれば……っ!光弾来るぞ!』

 

『くそ!近づけねえ!!』

 

空中の航空隊はこの状況の中、サーペント星人をレギュラン星人が電撃と光弾を放って対空のカバーをしているため迂闊に近づくことが出来なかった。

 

《クソッ!ここまでかぁ…!!》

 

「あの宇宙人、ここにいるみんなを!?」

 

「やっぱり…ダメなのですか…」

 

 

レギュラン星人たちは悲願が達成できると歓喜している。

 

『これで、我々がウルトラマン討伐をなし得た英雄に!』

 

『労働人口が微量消えても問題はない!!終わりだ!』

 

 

ハジメは無念だと思いながらサーペント星人が極大の光弾発射のための力を溜め終え、撃ち出そうとする瞬間を見ていた。

 

 

 

 

 

 

しかしその時___

 

《ストリウム光線ッ!!》

 

《シャイニングフィストォ!!》

 

空から割り込むようにサーペント星人らへ向けて光線と光の拳が降り注いだ。光線は見事に2体の異星人に命中、大きく後方へと吹き飛ばされて転がっていく。

 

『………宇宙警備隊か…これはマズイな…』

 

『ぐあああっ!!! 痛い!腕がぁああ!!サーペント、助けてくれぇえ!!』

 

『自分でなんとかしろ。他者の手は借りないのではなかったのか?………さて、よりによって、警備隊の猛者とはな…』

 

サーペント星人はその自慢の装甲のお陰でさほどダメージは受けなかったようでそこから素早く頭跳ね起きをして体勢を立て直しているが、もう片方のレギュラン星人の方は光線が直撃したための痛みからか未だ地面を転げ回っていた。

 

『それとこれは別だ、我々は志は同じ!仲間だろう!?』

 

『お前の種族には一番似合わない言葉ではないか。いい加減早く立て。…来るぞ』

 

 

ナハトとガンQ、サーペント星人とレギュラン星人の丁度中間にあたる場所に、頭部の三本の角が特徴である銀色の巨人とウルトラセブンのような赤色の巨人が降り立った。

 

《先発隊が侵略行動に移行していたか!》

 

《諦めるなウルトラマンナハト、この侵略者たちは私たちが相手をする! 奇獣、ガンQの相手を頼めるか!》

 

 

《!! や、やってみます…!このぉ、うおおおお!!!》

 

ブチイイッ!

 

ボオオッ!?

 

ナハトは力を振り絞ってガンQの触手を引きちぎり、痛みが残っている首に手を当て摩る。ガンQはまさか拘束を解かれるとは思っていなかったようで驚いている様子だ。

 

「やった!拘束を解いた!!」

 

「これなら…いけますわ!」

 

助っ人の登場に沸き立ったのはエリカとエクレールだけではなく、自衛隊の面子もそうだった。

 

『また新たなウルトラマン!? いいぞ、これで奴らを分断できた!彼らの援護に回るぞ!! バイパー飛行小隊はレイザー隊に続け!!』

 

『『『了解!』』』

 

 

「よっしゃあ!!ウルトラマンが抜け出したぜぇ!」

 

「これなら、上の航空隊もこちらの戦車隊も動ける! 各車前進!これより我々は新たに出現した2体のウルトラマンの援護に入る!」

 

 

 

 

シュアッ!!

 

《これで3対3!ピンチはチャンス、ここからだ!》

 

ジュワッ!

 

《これしきの状況、あの時タロウと戦ったザンボラーの方がもっと辛かった……こいつらには、灼熱紅蓮の炎を教えてやる!》

 

ダアッ!!

 

《いくぞ!私の拳と脚は何人たりとも砕くことは出来ぬと知れ!!》

 

 

光の国から加勢に来た二人のウルトラマン、現宇宙警備隊教官であるタロウを鍛え上げた炎の戦士カラレスと、レオ兄弟にすら勝る宇宙拳法の使い手ドリューという、五大勇傑の戦士二人の参戦により、戦況は持ち直し拮抗状態となる。

彼ら三人はブロブガンQと星間連合のネオスペーシーズを退けることができるのだろうか。

 




どうもお久しぶりです!新生活が始まった逃げるレッドです。

これからは書き溜めを一週間に一回ほどのペースで投下していきます。
以前のアンケートからストーリー0の戦士を参戦させました。大変遅れたことは申し訳なかったです。
光の国の説明は、活動報告の方を見てもらえればと。

さて、エクレール姉貴は立ち上がることが出来るのか、ナハトたちが星間同盟の刺客とガンQを倒すことはできるのか!?
お楽しみに!

_________

 次回
 予告


カラレス、ドリュー二人の戦士が救援にやってきたことにより、ナハトは窮地を脱することに成功した。しかし、ガンQはさらにおぞましい姿へと変貌し戦士たちの前に立ちはだかる!彼らは勝利を掴めるのか?エクレールは己の心と向き合えるのか?

そして欧州の事態をそっちのけでギャオス殲滅を急ぐ豪州連合は、新型破壊兵器の使用を決断する。また、特殊災害が多発している情勢に煽られた各国は競うように対怪獣兵器開発に着手し始めた。
それらは地球崩壊を更に加速させるものなのか、それとも、地球と人類救済の切り札となるものなのか………

次回!ウルトラマンナハト、
【狂いだした歯車】!

サイドストーリー アンケート(基本ほのぼの)

  • 紗希のトモダチ
  • ミチビキさん サンダース編
  • ミライVSマホ カレー対決
  • ハジメ、迷い家にて
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。