旧:逸見エリカのヒーロー   作:逃げるレッド五号 5式

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第17夜 【弟によろしく!】

 

欧州の六月災厄と日本のガンQ襲来、豪州連合によるN2投下と言う報道が為されてから2日後。

日本の黒森峰学園艦は、先日の機甲科とガンQの接触未遂などがあったものの、本土の病院にて機甲科生徒の精密検査などを行った後には彼女たちを回収し、予定通り翌日には出港していた。そして現在は次の戦車道の練習試合相手となってくれた、BC自由学園と合流すべく、自由学園側の母港が存在する岡山県の第二岡山港へと向かっており、ちょうど瀬戸内海に入ったところであった。試合自体は明日であるが、寄港スケジュールの関係上、岡山への到着は本日中に終わる予定である。

 

そして今は昼過ぎ。いつもならば昼前の授業を終えて多くの生徒たちの声が聞こえてくるだろう黒森峰学園校舎にいる生徒は少なかった。どうやら今日は教師陣の会議でもあるのか、午前授業だったようである。しかし、午後からほとんどの生徒が休みと言っても、戦車道履修生は例外らしく、普段なら体育授業などで稀に使われる校庭では機甲科の戦車が一列横隊で走っていた。

 

 

「ちょっと!なにやってんの!! 列が乱れてる!3号車、修正急ぎなさい!!」

 

 

エリカが無線機を使わずにメガホン片手に一年生に対してビシバシと指導していると言う機甲科の練習風景を、遠巻きに戦車ガレージから眺めているのは整備科メンバーの男子たちである。無論その中にはハジメの姿もあった。

 

「ハジメリーダーさんや。お前さんの彼女、今日もすげー張り切ってるなぁ…」

 

「うん。まあ明日も試合だからじゃないか? おい待てダイト、俺とエリさんは付き合ってないぞ」

 

さらりとハジメとエリカをカップルとしたダイトにしっかりハジメは誤解を解く。なんの誤解かは知らないが。ダイトは両手に赤い工具箱を持って、それを筋トレ器具代わりに用いながら、意外そうな顔をした。

 

「へっ?もう付き合ってるもんだと思ってたけど」

 

「なんで?」

 

「お前とだけ距離感近いんだよ、逸見さんは」

 

「そうかぁ?」

 

「そうだぞ鈍感整備士」

 

「なんか腹立つなぁ…」

 

ハジメは鈍感と言うよりかは、一歩前に踏み出せないヘタレと言った方がハジメに失礼だが正しいかもしれない。

 

キュラキュラキュラキュラ…

 

「すいませぇん……れ、練習が終わったので、せ、整備をお願いしまぁす……」

 

「お、来たか一年生の子たち。うわぁ…戦車も人もボロボロだなぁ……」

 

「エリさん張り切りすぎたな…加減してやれよ……。みんなー!戦車戻ってきたぞー!」

 

「「「うーっす!!」」」

 

そんな雑談をしていた二人の前にエリカによって心身共にボロボロにされた一年生たちと彼女たちが乗った戦車が続々とガレージに帰ってきた。

 

一年生の戦車群がガレージに収容され始めたあたりでエリカの"Ⅵ号戦車B型 ティーガーⅡ"も戻ってきた。Ⅵ号戦車がガレージ内に停車するとエリカが降りてこちらにやってくる。

 

「お疲れエリさん。けっこうビシビシやってたね」

 

「当たり前でしょ?ウチは戦車道の名門黒森峰よ?あの子たちにはもっと強くなってもらわなくちゃ」

 

「一年生の子たちにエリさんが厳しい理由が後輩思いから来るものだって教えてあげたいなぁ…」

 

「アンタそれ言ったらまたハンバーグにするわよ?」

 

「ヒェッ…なにそれ、ハジメお前なにされてんだ…」

 

ハンバーグにすると聞いたダイトは、ハンバーグの元であるミンチ肉を想像したのか、顔面蒼白でエリカとハジメを交互に何回も見る。友人の考えてることは恐らく間違っていると感じたハジメは説明する。

 

「いや…そんなんじゃないと思うぞ、ダイトが思ってることじゃない…多分。えっとだな、俗に言う頭拳骨グリグリの刑ってやつ?」

 

…と言っているハジメの後ろにエリカが回りこみ、静か拳を作ってそれをハジメの頭部両側面に添える。そして思い切り力を入れ、めり込ませる。

 

「そうそう、こんな感じで…」グッ!

 

グリグリグリグリ~‼︎

 

「あああああああああああ!!!!!」

 

恐ろしい光景を目の当たりにして、若干ダイトは引いていた。突然ガレージ内に響いた整備科隊長の悲鳴を聞いたメンバーたちが集まってきた。その集まりには機甲科もチラホラ混ざっている。

 

「なんだなんだ?ストームリーダーどうした?」

 

「夫婦喧嘩だってさ」

 

「タクミンそれマジ?」

 

「え、逸見先輩と嵐先輩って付き合ってたんだ!」

 

「初耳ー!!」

 

「「夫婦じゃないし付き合ってもいない!!」」

 

コントでもやっているのかと疑いたくなるほど、息のあった返答である。これはもう夫婦ではなかろうか?

 

「おお…見事なハモリ。心まで息ぴったしじゃないか」

 

「偶然!偶然よ!!」

 

「拳骨食らって悲鳴あげてたのか…」

 

「履帯に足踏まれたのかと思ったぜ。なんだ彼女からの愛の鞭なら仕方ねぇな」

 

「これが愛の鞭だと!?ナギお前それホントに言ってんのか!!」

 

「まあまあ、ハジメさん。コレもエリカさんの不器用な愛情表現ですよ〜♪」

 

「そうだよハジメ君!中学の時なんてもっとチクチクしてたんだから! ハジメ君と会ってた時ぐらいだよ、機嫌良かったのは」

 

「ふ、ふーん…そう、なのか?」

 

「そこの小梅とレイラ!アンタ変なこと吹き込むんじゃないわよ!! あとハジメもそんな目で見るな!」

 

「なんの騒ぎだ、外まで喧騒が聞こえてきたぞ」

 

「あ、西住隊長…」

 

「まほさん…」

 

喧しくなったガレージ。そこに機甲科、戦車道チーム隊長の西住まほがやってきたことで落ち着きを取り戻したのだった。

 

「む、これほど静かになると寂しいな。私でも流石に傷つくぞ」

 

「隊長、指示通り一年生の指導は私がやりましたが……なにか用事があったんですか?」

 

ハジメはまほへのエリカの質問を聞いて、隊長であるまほではなくエリカが珍しく一年生の練習指揮を取っていた理由が分かった。

 

「いや用事と言うか…。ハジメ君の家関連の話でな、職員室に呼び出されたんだ」

 

「ハジメの?」

 

「へ?俺の家の話?」

 

「職員室に呼び出しってハジメ、何かやらかしたか?心当たりとかは…」

 

「んなもん無いに決まってるだろ」

 

心当たりの無い話であったため、当のハジメも困惑する。自身の預かり知らぬところで何かしてしまったのかと逆に不安になってきた。

 

「マイナスな話ではない。ハジメ君のお母様が黒森峰に来ると言われてな。本当にそれだけだ」

 

「ハジメの母さんが? 来るって言ってもまだ洋上ですよ?」

 

「ハジメの母さんってそういや美人だったよな…」

 

「そうなの?」

 

「一年生やダイトとかユウ、タクミンは知らないと思うけどな、ハジメのカーチャンはすげえ人だぜ?」

 

「企業の社長やってる人なんだよな〜」

 

「「「社長!?」」」

 

「あ、ちなみに黒森峰OGであり戦車道のスポンサーの一人でもあるからな。てか一年に二年の一部!母校のスポンサーの人を覚えておく、これ常識だぞ!」

 

「いや、普通に企業の社長ってのに驚いてるんだが…」

 

「しょうがないか、今年は恒例の交流会無くなっちゃったもんなぁ」

 

ハジメと幼少からの付き合いがあるメンバーはそれほど驚かないが、その他のメンバーは仰天して素っ頓狂な声をあげている。

 

「まあ、俺自身が社長じゃなくて母さんの方だから、特段俺がすごいわけじゃないんで…」

 

「でもアンタのお母さん、黒森峰戦車道にすごい寄付してくれてるじゃない。アンタが来なかったらこうならなかったかもよ?」

 

「うーん、そうかなぁ……? ……はっ!? 西住隊長!母さんが"今"来るんですか!?」

 

「ああ。連絡通りなら今"ここに"来るらしい」

 

「ここに?……てことは……」

 

何かを察したハジメはガレージから外に出て空を見上げる。遅れてガレージからエリカたちもやって来て同じように空を見上げる。するとどこからか何かを叩く音が響いているのが聞こえてきた。音の聞こえる方向を耳を澄まして探ると、方向が分かったので、全員がその方向を凝視して待ち構える。

 

バタバタバタバタバタバタ‼︎

 

 

「…やっぱりヘリか……だけどよりによって……」

 

「これが企業社長って感じ?すごいパワフルな登場するねぇ…」

 

「みんな空を見上げたからなんとなく分かったけども……」

 

 

「でもなんで校庭に"CH-47J(チヌーク)"停めようとしてんだよ!?」

 

 

そう……ハジメの母親、アオバが乗っているだろうヘリが機体に日の丸を付けている陸上自衛隊の大型輸送ヘリ、チヌークだった。母親がヘリに乗って学校にやって来ること自体、十分にインパクトはあるはずだが、その上ただのヘリではなく国防組織の輸送ヘリに乗ってやってくるものだから余計周囲に与えるインパクトが上乗せされ、予想の斜め上ではなくほぼ直角を行ってしまったのだ。これに驚かない者はいないだろう。天下の西住流___陸自との接点も多いであろう家系の長女ですらと口をポカンと開けて固まってしまってるのだから。

 

そしてハジメたちが呆然としている間に、ヘリのローター音も消え、開放された後部ランプからは二人の女性が降りてきた。その内の一人は服装から女性自衛隊員だと分かる。

 

「久しぶりハジメ、エリカちゃん!それにみんな!」

 

「みんな元気かしら?関東からいろいろ経由して来たの」

 

「母さん……と蝶野さん!」

 

「アオバさんの用事にちょっとついて来ちゃった!西日本には久しぶりに来たわね!」

 

「ちょっとって……」

 

アオバと共に同行してきたのは蝶野亜美一等陸尉。陸上自衛隊、富士学校富士教導団戦車教導隊所属の女性自衛官である。彼女とアオバは黒森峰女学園時代のOGにあたり、互いに面識がある。そのため今回は黒森峰にアオバの付き添いのように来たのだろう。

ちなみに完全な余談となるが、蝶野はその出撃回数の多さから今や対怪獣部隊の一つと言われている航空自衛隊の第506飛行隊___トレノ隊を率いている秋津二等空佐と婚約している。そして彼女、高校時代の全国大会にて単騎で敵戦車15輌抜きや半日に渡る激闘の末に一騎討ちでフラッグ車を討ち取ると言った驚くべき戦果を挙げている。秋津空佐にも劣らない、とんでもない実力の持ち主であるのだ。

ハジメたちとは戦車道指導で定期的に顔を合わせているため、これまた面識がある。

 

「あ、そうだわ!西住さんと逸見さんへある人から伝言を預かってきたのよ!」

 

「私たちに…ですか?」

 

「ある人?」

 

「先日のオッドアイ…民間だとガンQで通ってるのよね。そのガンQがあなたたちのいた演習場に現れたでしょ? あの時、ガンQ攻撃の第一陣だった戦車隊の隊長、枢木クンからの伝言なの」

 

「第一陣、あっ!私たちの所まで向かおうとしてた…」

 

「そうなのか?私は意識を失ってたから…」

 

「そう。未確認の異星人を取り込んだガンQの攻撃のせいで部隊が半壊しちゃってね…あなたたちを助けようとしたけど後退するしかなかったらしくて、彼、本当に申し訳ないって言ってたわ。きっとかなり悔しかったんでしょうね、あと少しだったって言ってたから」

 

「そんなことないです。その人は正しい判断をしたと私は思うし、現に私たちは生きています。だから私たちは大丈夫です」

 

「そう。ありがとね!戻ったら東富士に寄って彼に伝えておくわ!」

 

蝶野が預かっていた伝言をエリカとまほに話し終えたことをハジメは確認して、彼にとっては本命であるアオバが来た理由を訊ねる。

 

「………えっと、蝶野さんの話は分かったけど。それで母さんはどうして黒森峰に?」

 

「少し前に特災孤児の子を引き取るって話したの、覚えてる?」

 

「覚えてるよ」

 

「実は引き取った後に、私が仕事関係で家に戻れない期間が多くて家にまともに帰れないことに気づいてちゃって。それで、見てくれる人がいないのは結構危ないから、ハジメに頼みに来たの」

 

「まあ、母さんは忙しいのは知ってるからそれは全然良いんだけど、その子は本当に俺と一緒で大丈夫?あと、学園艦に小学校は無いよ?そこらへんはどうするの?」

 

「そこは大丈夫!艦内の勉強教室には話してるわ。それにハジメと一緒が良いって本人も言ってるからオッケーなの、ほら、シンゴくんもこっちに来て〜!大丈夫よ〜!」

 

「え?連れてきてるの?」

 

「だって早い方が良いじゃない。一人で家にいて寂しい思いなんかさせたくないの」

 

アオバの呼びかけに応じてチヌークの後部ランプの影から少しだけ顔を覗かせてこちらを伺っている少年がいた。数秒空いた後、こちらに走り寄ってアオバの後ろに隠れた。

 

「ちょっと緊張してるだけよ、写真で見たことないお兄さんお姉さんがいっぱいいるからね。この子、ハジメに会うまでずっと写真見てたのよ?なんとなく分かるのかもね〜人の雰囲気が。ほら、挨拶しよ?」

 

「……ぼ、僕…信吾です!9才の小学3年生です!」

 

自己紹介をすると再びアオバの影に隠れるシンゴ。ハジメはシンゴにゆっくり近づいて話しかける。

 

「はじめまして!嵐初だよ、これからよろしく!そんなビクビクしないで、元気に行こう?ここにいる兄さん姉さんはみんな俺の友達だから怖くないぞ。」

 

「ハジメお兄さん…うん、よろしく…よろしくね!」

 

「おう、それでいいんだそれで!シンゴ、お前は今日から本当に俺の弟になったんだから、なんにも遠慮はいらないからな!」

 

「うん!分かった!!」

 

「いいぞー元気な弟は大好きだー!」

 

会って数分しか経っていないはずであるのにハジメとシンゴはすっかり打ち解けていた。それを見ていたアオバは安堵する。そんなアオバの横では蝶野がサムズアップしていた。

 

「ふー…なんとなく分かってたけど緊張した〜…」

 

「グッジョブベリーナイスゥッ!!」

 

二人が見ている先には、いつの間にかシンゴとハジメの周りに整備科機甲科メンバーが集まって輪になっている光景であった。そこでは続々とシンゴに黒森峰メンバーが自己紹介をしている最中であった。

 

「俺、駒凪光!野球のことなら俺に任せろ、みんなからはナギって呼ばれてるぜ!よろしくなシンゴ!」

 

「僕は逸樹守。スーパーロボットとか好きなんだ、よろしくね。イッチでもマモルでも好きなように呼んでね」

 

「須藤拓海さ!勉強とかムフフなこととか教えれるかも。よろしく!」

 

「はいはーい!私は蕪木レイラだよ!シンゴ君よろしくねー!」

 

「佐々木大斗…うん、筋肉のことならなんでも聞いてほしいな!」

 

間髪を入れずに自己紹介を行うメンバーに対してハジメはストップをかける。

 

「おいみんな!そんな間を置かずに連続で言ったらシンゴが混乱するだろ、自重しろ!」

 

「アンタすっかり兄貴じゃない、でも、これはこれで……」

 

「僕は大丈夫だよハジメお兄さん。ナギ兄さん、イッチ兄さんにレイラお姉ちゃん、筋肉のダイトお兄さん……うん、みんな覚えたよ!」

 

しかしハジメの考えとは裏腹にシンゴはしっかりメンバーの名前を覚えていた。ハジメは歳のわりに物覚えが良すぎやしないかと感じたものの、そんなものかと割り切った。

 

「すごいな…そんなすぐに記憶できるもんなのか?」

 

「結構賢い子なのかもね、ハジメと違って」

 

「エリさんディスりすぎ…」

 

「あ!お姉さん、エリカお姉さんだよね!」

 

「え? ええ、そうよ。どうしたの?」

 

「やっぱり!エリカお姉さんはハジメお兄さんのお嫁さんなんだよね!?」

 

「そうよ………え?」

 

「うん?なんて言った弟よ?」

 

「「「え?」」」

 

数瞬の静寂が訪れ、事態を理解したエリカとハジメは顔が赤くなる。他のメンバーは『やっぱりかぁ〜』と意味ありげな目線で二人を見る。

 

「だって、僕家にいる時おばさんにお兄さんのアルバム見せてもらったんだけど、お兄さんとエリカお姉さんが写ってる写真が一番多かったから!」

 

「ほー…これもうやっぱり夫婦じゃね?」

 「以下同文」

  「異議なし」

   「肯定する」

 

「おい待て!それは幼馴染だから一緒に撮られた写真もあるわけで!」

 

「その幼馴染とくっついただけじゃないか!」

 

「「まだくっついてない!!」」

 

「頼むから夫婦コントはもうやめてくれ」

 

「好きでやってるわけないでしょ!?」

 

暫定夫婦とその取り巻きのことは置いておき、他メンバーはシンゴへの自己紹介を再開していた。ハジメたちのやりとりを見たシンゴはさらに表情が柔らかくなっていった。早くもここの雰囲気に慣れてきたのだろう。

 

「赤星小梅です。エリカさんとは中学から友達なんですよ」

 

「えっと、佐々木優って言うよ。あ、坊主な筋肉のダイトとは兄弟じゃないからね」

 

「西住まほだ。黒森峰戦車道チームの隊長をしている。よろしくな」

 

「西住隊長、自己紹介が固いっす!漢字が多いっす!」

 

「これはぁ家元の血をしっかり継いでますね…」

 

「……すまない」

 

「ぷっ、あははは!大丈夫だよまほお姉さん!」

 

「おっ!シンゴが笑ったぞ!西住隊長、もっと堅苦しくいきましょう!」

 

「ふざけるのも大概にしろ!」

 

黒森峰の戦車道メンバーが積極的に接してくれたため、シンゴは初日でバラエティーに富んでいるハジメたち整備科に特に懐いたのであった。

 

「…でもアオバさん、シンゴクンはどこで寝泊まりを?」

 

「私が黒森峰のスポンサーやってるのは伊達じゃないわ!寮の管理人さんに相談したらハジメの寮部屋か、その隣の空き部屋に住めるように配慮してくれるって話だったから、問題無いわよ!引っ越し業者も呼んであるし!まあ、シンゴくんはお兄さん大好きだから?多分同じ部屋を選ぶと思うけどね」

 

「………ハジメクンとシンゴクンって、今日が初対面ですよね?」

 

「そうだけど?」

 

「私にはまだ息子も娘もいないですが、なんですぐに昨日まで全く知らない赤の他人だったはずなのに受け入れることが出来てるのか、不思議なんです。そこのところは親であるアオバさんには分かるんですか?」

 

「全然分からないわよ?シンゴくんが持ってきた丸い小石のおかげなわけないだろうし…でもね、あれで良いんだと思う。"ウチの子たち"は」

 

「…そうですか…ま、細かいことは気にしない方が良いですね!」

 

「それじゃあ、私たちもそろそろ引き上げましょうか。あの子たちが楽しんでいるとこを邪魔したくないから。うんうん、長男坊が見ない間に大人に成長してたし、次男坊も馴染めそうだし、万事オッケーね」

 

アオバは息子たちの打ち解け様を見届けて、履修生たちに挨拶して蝶野とチヌークに乗り込んで去っていった。去る直前にシンゴが来てからの説明をして、今日はもう授業が無いことからこの場でシンゴをハジメに託した。

履修生たちも機甲科は練習後のブリーフィングに入り、整備科は昼間の練習に使われた車輌の修理点検の作業に戻った。そんな中でハジメはシンゴと二人で話す時間をまほが用意してくれたため、整備は後輩に頼んでまほの厚意に甘えることにした。

 

「シンゴ、俺のことをお兄さんって呼んでくれるのはすごく嬉しい。だけどな、さっきあんなこと言った後だけど、その…なんて言うんだ………元の家族とは違うわけだし、俺はお前のことをまだ良く知らない。本当は無理とかしてないか?……母さんも、父さんも……」

 

「僕は大丈夫!アオバおばさんもすごく良い人だし、お兄さんのことは大好きだよ。お母さんもお父さんも、みんな知ってる人はいなくなっちゃったけど、きっと天国のどこかで僕のこと見てくれてるはずだから!ハジメお兄さん、天国はあるよね?お母さんも、お父さんも、そこにいるよね?」

 

「ああ。あるよ、天国は……絶対あるさ。シンゴの父さんも母さんもみんな、お前のこと見守ってると思うぞ………うん。きっとな………」

 

「ハジメお兄さんはやっぱり優しいね。"ガメラ"の言ってた通りだよ!」

 

「え?ガメラ?」

 

シンゴの口から発されたガメラと言う単語にハジメは反応した。ガメラがシンゴに自分のことを教えたとは、どう言うことなのだろうかと。ハジメは正体を知られたのかと思い若干ながら冷や汗を流す。そんなことは知らずにシンゴはズボンのポケットから不思議な模様が描かれた丸い小石___それぞれ深緑と淡緑の二つの勾玉が合わさったようなものを取り出し、ハジメに見せる。

 

「これは?」

 

「これはね、念じるとガメラとお話しできるすごい石なんだ!ギャオスが来る前に友達と海で遊んでたら見つけて、宝物にしてたんだよ。そしたらね、ガメラと話せることが分かったんだ!」

 

以前タクミと話していた話題、日本全国の沿岸地区に住む子どもたちが海へ走って勾玉を拾うという事件があったことをハジメは思い出す。それに関連したことだろうと推測したハジメは不思議と納得がいった。実際テレビニュースでは子どもたちが勾玉を発光させるシーンを映していたわけで、原因究明のために生総研が一部の子どもたちに協力してもらい研究すると言ったことも発表していたのを知っていたからだ。

 

「じゃあ、ガメラはなんて言ったんだ?」

 

「ガメラはね、自衛隊の人たちが僕を助けてくれた後に話しかけてきてね、『もう大丈夫。君は助かる』って言ってくれたんだ。そのあと、新しい家族になってくれる人たちは暖かい人たちだからって言ってたから、僕はアオバおばさんが来た時も怖くなかったし、ハジメお兄さんの写真を見た時は早く会いたいなって思ったんだよ!」

 

「……不思議なこともあるんだな…そっか、ひとりになってたシンゴのことをガメラが守ってくれてたのか。なら、今日からは俺と母さんと、みんながシンゴを守ってやる。もう嫌な思いはさせない。ここにはな、いっぱいヒーローがいるんだぞ!」

 

「うん!分かった! ……僕も、大きくなったら、ハジメお兄さんたちみたいな強くて優しい人になれるかな?」

 

「俺はそんなテレビファイターたちみたいに強くないさ。でも、きっとシンゴはヒーローになれるぞ。絶対に。だから、これからみんなと頑張ろうな?」

 

「うん!……もしかして、お兄さんもファイターが好きなの?」

 

「ああ、そうだぞ! 初代のゲットファイターが一番大好きだ!」

 

「へぇー!僕もね、ゲットファイターが大好きなんだあ! 僕の時はコードファイターだったけど、ゲットファイターを見たら好きになっちゃったんだ!」

 

一日も経たずに家族としての絆を深めていた嵐兄弟のことを影から見守っている者が、一人、二人、三人、四人……えー、数え切れないほどかなりたくさんいた。

 

「そうか…シンゴは、言い方はアレかもしれないが、姫神島の住民の生き残りだったもんな……すごい辛かっただろうな…」

 

「やっぱり俺たちが守らないとな、あそこのシンゴと鈍感整備士を」

 

「おい筋肉、あとその嫁さんのこと忘れてるぜ?」

 

「うっさい駒凪っ!」

 

「ハジメさんは案外しっかり者だったんですね〜」

「ねえ、みんなここに集まらないでよぉ。すっごい苦しいんだけどぉ…!」

「静かにしろレイラ、あの二人の会話が聞こえないじゃないか」

「こ、これって盗聴なんじゃないかな?」

「まうまう〜」

「あのぉ、早くこっちの履帯運ぶの手伝ってくれませんかね?」

「あ、鼠屋(ネズヤ)小島(コジマ)もいるのか…ありゃ?ゲシ子がいねえな」

「アタシ踏まれてるんだけど…あとね駒凪、私はゲシ子じゃないわ足文(アシフミ)よ!」

「ちょっ、フミッ!動くなっ!あっ!」グラッ

 

 

「「「わあああっ!?」」」ドッシーーーン!!

 

 

「あれ?お兄さんお姉さんたち、こっちにいたの?」

 

「みんな何やってんだよ…」

 

 

_____________

 

茨城県 つくば市 研究学園地区

日本生類総合研究所 本部

 

 

国立の研究機関や大学、公益法人に民間企業もろもろをおよそ300以上抱えている日本最大、最先端を往く学術都市、つくば。

 

その都市の中に、生総研の巨大な本部施設が存在している。その施設内の通路では慌ただしく白衣を着た研究員たちが歩いており、それぞれが違った資料を手に持っていることが分かる。生総研は多岐にわたるであろうあらゆる分野の研究を日夜行っているのだ。人の行き交い密度が高いそんな通路を他の職員とは明らかに違う雰囲気を出した女性が二人歩いていた。一人はセミロングの黒髪をお団子でまとめているクールな高身長美人。そしてもう一人もこれまたクールで知的そうなパープルヘアーの美人である。

 

「ねえ、子どもたちはどんな感じなの?」

 

「今脳内でイメージしたことを絵に描いてもらってるの。最近だと小学生以上の子たちも施設に来てるわ。まだまだあのオリハルコンの勾玉の性質は未知数よ」

 

「ふーん……それで、資料は少しかじったけど……イメージなんかで本当に未来とかが分かるってわけ?」

 

「現代科学では説明できない超常現象よ。不確定な要素も多々あるけどね」

 

黒髪の女性の名前は千葉敦子(チバ・アツコ)。心理学者であり、現在生総研が進めている子どもたちと勾玉の研究の責任者を務めている。

そして紫髪の女性の方は物理学・ロボット工学の権威として名高い香月夕呼(コウヅキ・ユウコ)。彼女は自衛隊が以前のギャオス出現時に開発案を提出した大型機動ロボットの開発に協力している。だが実際は合同開発ではなくそのロボット開発自体は生総研に一任されており、開発用ハンガーも本研究所の地下にある。このことから生総研は国から相当の権限を与えられていることが分かる。

 

二人は会話を交わしながら、〈特能精神開発室〉と書かれたドアを開けてその部屋へと入っていく。部屋の中では、年齢がバラバラの子どもたちが何十人も大テーブルに小さなまとまりごとに座って皆が皆白い画用紙に色鉛筆で絵を描いていた。子どもたちの中には中高生も少なからず混じっている。そしてここにいる子どもたちに共通する要素は皆、例の勾玉を身につけていることだった。

 

「ほんとオカルトチックよね。それに、アンタってホント子どもにだけは優しいんだから」

 

「好きに言ってなさい…。みんなー!絵は描けたかな?」

 

千葉は香月とのやりとりの時とは打って変わって、子どもたちには優しく話しかけ絵の進捗について訊ねる。すると近くの子どもたちが自分の描いた絵を持ち、立ち上がって千葉の周りに集まってきた。

 

「チバせんせー!見てみてー、ウルトラマンだよー!青いウルトラマンとナハトを描いたのー!」

「………ギャオスとナハトが戦ってるやつ…」

「僕の描いた絵も見てよ!ゴジラとガメラが一緒にいるとこだよ!」

「オレの見た夢…ギャオスが暴れてたんだ……」

「私のイメージも、どこかの街を壊すギャオスでした……先生、本当にこんなことが起こるんですか?」

 

「大丈夫。みんなの見た悪い夢が必ず現実になるわけじゃないのよ?それに、みんなが夢を見たせいでそれが起こるわけじゃないの。逆に悪い夢を見て、悪いことが起こる前に止めれるかもしれないの、みんなのしていることは大切な人を守ることに繋がってるんだから気を落とさないで!」

 

「………この子たちの描いてる絵の統計から考えると、8割がたギャオスが日本風の街を……どこかの市街地を襲っていて、人々が泣いているって絵ね…。その他の絵もそれぞれ同じ内容で被ってるものがちらほら………これは有り得そうね…私までオカルト脳になってきたのかしら?」

 

そう呟いた香月に敦子は一旦立ち上がり、周りの子ども達に聞こえないように事実を伝える。

 

「ここで描かれた絵は将来、高確率で本当に起こるものよ。良い未来も悪い未来もみんなある。実際以前に何人かの子がガンQの日本襲来や、四国のエイダシク星人の出現と、仮称だけど、第二の赤色ウルトラマン、"インフィニティ"とナハトの共闘も描いてるの。この子たちはみんなインフィニティを『メビウス』って言ってるけど。……これらが全て偶然だなんてもう私は思えない。だから、この子たちのためにも、日本や世界のためにも、私たちが出来る限りのことをやらなくちゃ……」

 

「そうね……」

 

「こんなところにいたのか、香月博士」

 

「…戸崎大臣。どうも、いつもお疲れ様です」

 

他の研究員に案内されてきたであろう、戸崎防衛大臣が部屋の入り口前に腕を組んで立っていた。今日も彼はトレードマークの白いスーツで決めている。

 

「取り込み中のところ申し訳ないが、機動ロボットの進捗について聞きに来た」

 

「あー、"G-F計画"ですね。すいませんこっちで名前つけちゃいました。ただ巨大機動ロボット開発計画とかゴタゴタした名前で言ってるのカッコ悪いってみんなが言うので………て言うか機材の設置や人員の配置やらでまだ始まってすらいないんですがね。そこらへんの詳しいことは開発主任の早乙女博士に聞いてくださいな」

 

「ん?待て、早乙女先生は考古学の権威だったはず。なぜ彼が機動兵器の開発の監督をすることになるんだ」

 

「早乙女博士が考古学者であることは事実ですよ、でもあの人って本命は私と同じロボット工学に重きを置いているんです。それもかなりの実力で…」

 

「ならば何故?考古学者の肩書きでメディアに出ている?」

 

「あの人曰く、考古学者を名乗ってる方が胡散臭くて良い感じ…らしいです」

 

香月の返答を聞いた戸崎はまるで意味が分からず、顔をしかめて困惑していた。

なぜ考古学者であるはずの老人が機動兵器開発の現場指揮を担当しているかは分かった。しかしそれとは別に生総研側が具体的な呼称すらなかった計画に"G-F計画"と名付けたのかと言う疑問が戸崎の中で渦巻いていた。仮にも自衛隊が扱う兵器であるのだ。それの実態を隊員の上に立つ自分が把握しないわけにはいかなかった。

 

「あともう一つ。なぜ計画をその名称に?」

 

「………戸崎大臣は、特撮ヒーローって好きですか?」

 

「は? いや、ヒーローには一時は憧れていたこともあったが…好きじゃなかったと言ったら嘘になるな」

 

唐突に質問をまた違う質問で返されたが、ここでくだらない嘘をついても話が進まないと思った戸崎は正直に自分のヒーローと言う存在への気持ちを伝える。

 

「以前に自衛隊側から機体のコンセプト提案で"陸海空のあらゆる領域で行動が可能な、ウルトラマン若しくは特殊生物に匹敵する戦闘能力を備えたロボット"っていう無理難題を押しつけてきましたよね?まあ、地球外超技術…メテオールの搭載も許可してくれたのでいいですけれど」

 

「………それはすまなかったと思う」

 

「いいですよ。…計画の名称がなぜそうなったか、でしたね。………似てたんですよ、"ゲットファイター"に。さまざまな敵の特性に合わせて、戦う姿を変えるっていう設定が。懐かしいな、始まりの戦士、ゲットファイター……特撮に興味がなかった私もハマってましたから。そこで早乙女博士が言ったんですよ、子どもたちの夢を守るヒーローの名を貰うことにしようって」

 

「そのままゲットファイターにしたのか?」

 

「いいえ。ロボットの名前は可能性への跳躍と挑戦の意味を込めて……アドバンス、〈ゲッターロボ・アドバンス〉になりました。ゲッターロボは3機の大型多目的戦闘機で構成されており、戦闘機による高速飛行で迅速に作戦区域へと展開、全戦闘機が合体してロボット形態になります。合体シーケンスを変更することで陸海空それぞれに対応した形態になれるといった設計で進めようと思ってると、早乙女博士が言っていました。型式も近いうちに決めるそうです」

 

「ゲッターロボ、アドバンス……か。分かった、総理には今聞いたことをそのまま報告する。日本を守るためにはキミたちが不可欠だ。今後もよろしく頼む」

 

「はい、ゲッターロボは私たちに任せてください。最短でも春先には飛ばせるように早乙女博士に私から言っておきましょう」

 

戸崎が別れの挨拶をして退出しようとしたその時、部屋中の子どもたちが頭を抱えて苦しみ出したのだ。

 

「ううう……先生、頭が痛いです…」

 

「また頭と、勾玉がビリビリ痛い……」

 

「苦しいよぉ……」

 

周囲の職員が苦しんでいる子どもたちに寄り添い、酷い状態になってしまった子どもには救護班を呼ぶと言った行動を取り、敦子もそれに加わっていた。

 

「香月博士これはいったい?」

 

「私もはじめて見ます…」

 

「"予知熱"よ」

 

「「予知熱?」」

 

「ガメラとコンタクトした子たちは…勾玉を扱える子たちはね、数人以上のグループで固まっているとある特定の周期でこれから起こる大きな出来事のイメージが脳内に入り込んでくるらしいの。…大丈夫よ、すぐに良くなるからね?」

 

「……大きな出来事とは、具体的にはどのようなことだ?」

 

「…………予知熱で子どもたちが見るイメージはマイナスな出来事よ。プラスな出来事は頭痛や熱を伴わないの。だからこの事象が起こる場合、新たな怪獣や侵略宇宙人の出現、なんらかの災害の発生、それで少なくない数の人が死ぬ事象を予知する…これまでの研究に基づけば、必ずね…」

 

「!!」

 

千葉の口から発された衝撃の一言を聞いた戸崎は血相を変えて自身が今得なければならない回答を得る為に訊ねる。

 

「場所は!? 出現対象の正体は!?」

 

「それは、この子たちに聞かないと……」

 

「来る…来るよ………怖い怪獣が…空を飛んで…」

 

「教えてくれ!何が来る!?どこに飛んでくるんだ!?」

 

戸崎は一番自分の近くにいた少年の肩を掴んで必死に問い詰めてしまう。これで今回の自衛隊の初動がもしかしたら…いや、絶対に決まるのだ。

 

「うう…ギャオスが……まちを、壊してる………あ、女の子が、泣いてる……みんな逃げてるよ、ギャオスから………」

 

「ギャオス…ギャオスが来るのか…? ………もしもし?私だ。今から全国の部隊に出動態勢を取らせろ。責任は私が取る。…ああ。全ての部隊、教導団も何も関係なく全てだ。事情は後で話す。各地のレーダー基地には"(デン)"の探知範囲も限界まで上げ、索敵要員を増員させろ。どんな小さな光点も見逃すな」

 

戸崎は部下にいつギャオスや他の敵対生命体が出現しても対応できるよう、指示を飛ばすのだった。戸崎は自衛隊による本格的な国内での敵性特殊生物の捜索・排除を開始する前にまた新たな脅威が現れることに歯噛みした。

 

 

____________

 

福岡県 福岡市 博多区

 

 

九州の交通と経済を支える福岡の行政区の一つである博多では、今日も街中は人で賑わい活気に満ち溢れていた。そして賑わう博多の街中を手を繋いで歩いている仲睦まじい姉妹がいた。姉であろう高身長の女性はブラウンのロングで、愛想の良い笑顔が特徴的だ。一方、その妹は小学生高学年ほどの背丈と容姿で姉とはかなり歳が離れているだろうことが分かる。髪はセミロングにサイドテールで色は姉と同じブラウン。そして彼女の空いているもう片方の手には可愛らしいクマ___ボコられグマのボコのぬいぐるみの手が握られていた。

 

「お姉様、博多のシオボコ買ってくれてありがとう!」

 

「愛里寿が嬉しそうでなによりよ。夏休みに入ったら選抜チームの練習予定も変わると思うから、その時にまた行こうね」

 

「うん!」

 

彼女たちは島田姉妹。日本戦車道で西住流と並ぶ流派である島田流の生まれであり、当代家元の島田千代の愛娘たちである。姉の恵美里(エミリ)は大学2年生であり大学戦車道の選抜チーム隊長を務めている。妹の愛里寿(アリス)は実年齢は13歳で本来なら中学生であるが、戦車道でのずば抜けた才覚を持っていることにより飛び級で大学1年生として、大学に通いながら姉と共に選抜チームに所属し副隊長として姉をサポートしている。愛里寿はひどく内気な少女だが、姉の恵美里といる時だけは明るげな表情で過ごしている。今日は選抜チームの練習日程は無く、二人で地元に戻り休日を満喫していたのだ。

 

「愛里寿はボコが本当に好きよね。もうボコグッズだけで部屋が制圧されるんじゃない? 最近だとウルトラマンナハトのやつも集めてるじゃん」

 

「動画サイトで見たナハトは今までどんな怪獣にも宇宙人にも真っ直ぐに向かっていって、やられたってすぐに立ち上がって諦めずに戦う……不屈のヒーローだから。そこがボコみたいだから、ボコと同じくらいウルトラマンも大好き。あ、もちろんお姉様が一番大好き」

 

「ありがと〜!私は良き妹を持ったよ〜!!」

 

「お姉様、ちょっと苦しい…」

 

______正史に存在しなかった愛里寿の姉、恵美里の存在により、運命の歯車はさらに大きく歪んでいく。

 

「でもね愛里寿? ちゃんと大学でもいいからどこかで友達を作っといた方が絶対にいいよ。私の時みたく話せばきっと友達もいっぱい出来るし、どんどん増えていくよ。私も愛里寿といるのは楽しいけど、心配なんだ」

 

「……友達………うん…」

 

「…………まあ、今はいっか! よし!私が今度友達作りのコツをレクチャーしてあげよう!ゆっくり、少しずつ頑張っていこう!」

 

「うん。ありがとうお姉様。私、お姉様と一緒なら頑張れそう!」

 

「それなら良かった。これからも二人で______」

 

 

 

キュォォオオオオオン!!!

 

 

聞く者にとっては絶望を孕んだ咆哮が、街の空から響いてきた。

 

 

 







 ゲッターに携わる人間がいれば、その世界にはゲッターの名を冠する存在が作り出されるのは必然なのですよ…(謎理論)

 シンゴ君の容姿は、『ゼノブレイド2』の"レックス"君です。

 さて、本編は不穏な終わり方をしましたね。いったいどうなってしまうだろうか……お楽しみに!
 島田姉妹の設定は自分の第二作品、ジオン水泳部から引っ張ってきた独自設定です。ご了承ください。


_________

 次回
 予告

ギャオス、福岡県急襲!ナハト、ガメラが向かうなかで、街中を逃げ惑う人々の中にはとある姉妹の姿もあったのだった! 彼女たちの生死が、未来を変える大きな転換点となる。そして地球、ひいては並行世界すら手に入れることのできる"神"を覚醒させる"器"を求めて星間同盟も動き出す!!

次回!ウルトラマンナハト、
【災影暴走】!

サイドストーリー アンケート(基本ほのぼの)

  • 紗希のトモダチ
  • ミチビキさん サンダース編
  • ミライVSマホ カレー対決
  • ハジメ、迷い家にて
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